この素晴らしい世界をキレッぽい友人と!   作:憲彦

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さてさて、本編は進みません。また読切り版です。今回はノリの良いツッコミ役が主役です。


【読切り版】風の覇者の異世界冒険譚

「俺はつい先日、この近くの城に引っ越してきた魔王軍幹部の者だが。貴様らに聞きたい……ま、まままま毎日、毎日毎日毎日毎日毎日!お、俺の城に毎日欠かさず爆裂魔法を撃ち込んでくる頭のおかしい大バカは!どこのどいつだァァァァァア!!!!」

 

 突然初心者冒険者の街、アクセルの正門に現れた首なし騎士こと、デュラハンの魔王軍幹部は、相当お怒りだった。

 

「毎日毎日毎日毎日!俺の城に爆裂魔法を撃ち込んでくる頭のおかしい大バカは、誰だァァァア!!」

 

 爆裂魔法と言う言葉に、集まった冒険者の視線が1ヶ所に集中していく。そう、この街でネタ扱いされている爆裂魔法を撃てる、と言うか、撃てることを公言しているのは1人しかいない。だが、当の本人は気まずくなったのか、視線を自分と同じ職業の別の冒険者へと向けて誤魔化そうとした。

 

「え?わ、私?!ちょっ!私まだ駆け出しで、爆裂魔法なんて使えません!本当です!」

 

「ってお、おい!フーマ!?」

 

 慌てながら自分が使えないことを周りに説明。命を持っていかれると思ったのか、誰も聞いていない家族構成なんかも話している。そんな状況に呆れたのか、1人の男?が、魔王軍幹部の元まで歩いていった。

 

「おいおっさん。ちょっと落ち着けって。そんなに興奮してたら、話せることも話せないぜ」

 

「おっさん!?確かに俺は死んでから時間は経っているが!死んだときの年齢はお前らと!お前らと……お前人間?」

 

 デュラハンは酷く驚いている。何故なら、話をしに来た男は、とても人間には見えなかったからだ。シルエットで見れば、形こそは人間と言ってもおかしくない。だが、それはシルエットでの話だ。デュラハンの目の前にいる男は、全身が青色で体には最低限のプロテクターを付けている。

 

「まぁ、人間かどうかは微妙だが……一応人間だぞ。んで爆裂魔法撃ってたのだけどよ、多分ソイツはうちのパーティーメンバーだは」

 

「そうか。ならば話は早い。さっさとソイツを差し出せ!」

 

「いや命奪われるの分かってて差し出すかよ普通!話なら俺が代わりにしてやるから、穏便に済ませようぜ?その方がお互いに疲れないからよ~」

 

 デュラハンは興奮気味に差し出せと言ってくるが、あくまでフーマは話し合いで解決しようとしている。

 

(ここに旦那やタイガがいなくて助かった~。アイツらいるとすぐに戦闘になっちまう……ん?)

 

 そんなことを考えていたら、背後に誰かがやって来た。

 

「お前が……!お前が毎日毎日、俺の城に爆裂魔法を撃ち込んでくる大バカ者か!?俺が?魔王軍の幹部だと知って喧嘩を売っているなら、堂々と城に攻めてくるがいい!その気が無いなら、街で震えてるがいい!ねぇ、何でこんな陰湿な嫌がらせするの!?どうせ雑魚しかいない街だと放置しておれば、調子に乗って毎日毎日ポンポンポンポン撃ち込みに来おって!頭おかしいんじゃないのか貴様ァァァア!!」

 

「……我が名はめぐみん!アークウィザードにして、爆裂魔法を操る者!」

 

「なにやってんのここで!?カズマ!何で押さえておかないんだよ!!」

 

「めぐみんって何だ?バカにしてんのか?」

 

「ち、違わい!」

 

 最初はそう思っても仕方無い。現にフーマも、ここに来て初めてめぐみんの自己紹介を聞いたときは、バカにされているのかと思ったものだ。後にその誤解は解けた訳だが、やっぱり今聞いてもおかしいと思っている。

 

「我は紅魔族にして、この街随一の魔法使い!我が爆裂魔法を放ち続けていたのは、魔王軍幹部の貴方を誘き出す為の作戦。こうしてこの街に1人でのこのこ出てきたのが、運の尽きです」

 

 その言葉に、後ろにいる冒険者たちは感嘆の声を上げて感心しているが、パーティーの面々は逆の反応をしている。

 

「何時の間に作戦になったんだ?」

 

「しかもサラッと、この街随一のとか言い張っているな……」

 

「シッ!黙ってなさいよ。今日はまだ爆裂魔法撃ってないし、うしろに沢山の冒険者がいるから強気なのよ。今良いところなんだから、このまま見守るわよ」

 

 全くもってその通りである。これにはフーマも感付いていた。「コイツ、後で押し付けるつもりだな」と。

 

「フン。まぁ良い。俺はお前ら雑魚にちょっかいかけるために、この地に来たのではない。しばらくはあの城に滞在することになるだろう。これからは、爆裂魔法は使うな。いいな?」

 

 それだけ言うと、何もせずに背を向けて帰ろうとした。本人も戦うつもりは無いようで、爆裂魔法を撃ち込んでくるヤツに文句と説教を言いに来ただけのようだった。これで何も言わなければ良かったのだが、現在強気状態のめぐみんはこれに突っ掛かった。

 

「無理です。紅魔族は日に1度、爆裂魔法を撃たないと死ぬのです」

 

「おぉい!聞いたことがないぞそんなこと!適当な嘘をつくなよ!」

 

「めぐみん。頼むからもう変なことは言わないでくれ……」

 

 大抵のことは流せるフーマだが、これには頭を抱えてしまった。デュラハンの気持ちが何と無く分かったのだろう。

 

「どうやっても爆裂魔法を撃つのを辞めないと。そう言いたいのだな?俺は魔に身を堕としたとは言え、元は騎士だ。弱者を刈り取る趣味はない。だが……」

 

「ふん。余裕ぶっていられるのも今の内です!先生!お願いします!」

 

 その言葉を引き金に、アクアが自分の杖を召喚しデュラハンの元まで走っていく。デュラハンのお陰で色々と鬱憤が溜まっていた為か、勢いがすごい。杖を向けて浄化しようとした。

 

「アークプリーストか。俺は仮にも魔王軍幹部の1人。こんな街にいる低レベルなアークプリーストに浄化されるほど、落ちぶれてはいない。そうだな……ここは1つ、紅魔の娘を苦しませてやろう」

 

 そう言った瞬間、辺りの空気が一瞬にして変わった。禍々しいオーラの様な物が、デュラハンの腕に集中して集まっていく。見ただけで無意識に身構えてしまうほどの威圧感を持っている。

 

「私の祈りで浄化してやるわ!」

 

「間に合わんよ。汝に、死の宣告を!お前は1週間後に死ぬだろう」

 

 めぐみんに手を向けると、集約されていた禍々しいオーラが一気に飛んでいく。それは目にも止まらぬ速さで、めぐみんを包み込もうとした。が、それがめぐみんに当たることは無かった。

 

「ッ!?……ダクネス?」

 

「い、いや……私でもない」

 

 めぐみんの前には同じパーティーメンバーであるダクネスが立っていたのだが、そのダクネスにも死の宣告と言う何かが当たった様子はない。

 

「まさか……フーマ!?」

 

「グアァァァア!!」

 

 オーラがフーマを包み込み、体の中へと入って行こうとしている。それを見たカズマは、さすがにヤバイと思ったのか、急いでパーティー達の元へと走っていく。

 

「クッ!ちょっとキツいな……これ」

 

「フーマ!」

 

「大丈夫か!?」

 

「今のところはな……体の中に変なものが入っちまった……」

 

「仲間同士の結束が硬い冒険者の貴様らには、むしろこっちの方が堪えそうだな。紅魔族の娘よ、その男は1週間後に死ぬ。これから1週間、仲間が苦しむ様を見て、自らを悔いるがいい」

 

 そう捨て台詞を吐いて、その場から立ち去ろうとしたデュラハンだが、途端に乗っている馬の脚を止めた。

 

「貴様、速いな。何時の間に移動した?」

 

「速い?ちょっと動いただけだぜ?俺は」

 

 デュラハンの視線の先には、先程まで膝をついていた筈のフーマが立っていた。その光景には、カズマたち4人も驚いている。

 

「1週間?俺にとっちゃ、長すぎて欠伸が出るぜ。この呪い、ここでお前を倒せばチャラだよな?」

 

「ふん。面白い。貴様の様な種族は知らんが、いい度胸をしている。この街にいる雑魚共とは違うようだな。名を名乗れ!」

 

 馬から降りて自身の剣をフーマに向ける。デュラハンも手を抜くつもりは無さそうだ。それを感じたフーマは、一瞬で4人を元いた正門の前まで戻し、再びデュラハンの前に立つ。

 

「俺の名はフーマ。銀河の風と共に参上!」

 

「風か……成る程。我が名はベルディア!魔王軍幹部が1人!デュラハンのベルディアだ!貴様とは中々に面白い勝負ができそうだ。この俺を楽しませてくれ」

 

「ヘッ!仲間を連れてこなかったこと、後悔すんなよ?行くぜ!」

 

 地面を蹴り、高速でベルディアに蹴撃を繰り出す。周りには蹴りのスイングだけで風が巻き起こっている。それほどに速い蹴撃なのだが、ベルディアも負けずに斬撃を放ち続ける。

 

「中々やるな。なら、これはどうだ?」

 

「ッ!グワッ!まだスピードが上がると言うのか!?」

 

「当たり前だ。風の覇者を名乗らせて貰ってるんでね。まだまだ上げられるぜ!光波手裏剣!」

 

「チィ!嘗めるな!!」

 

「ウワッ!?」

 

 縦横無尽に飛び回り、光波手裏剣を放つフーマだが、その動きを予測して攻撃を先回りさせた。見事に予測は的中し、ベルディアはフーマを空中から叩き落とす事に成功する。

 

「イッテェ……まさか読まれるとはな」

 

「俺は嘗て、王国最強を謳われた騎士だ。他国にも名を轟かせ、多くの敵を葬ってきた。最期は謂れのない罪で斬首に処され、魔に身を堕としたが、鍛練を怠った事は1度たりともない!俺の騎士としてのプライドもある。ただ速いだけの貴様に、負ける筈がない!」

 

「へぇ~。良いねぇそう言うの!乗ってきたぜ!」

 

「ハァア!」

 

「よっと!ヘヘッ!ほらこっちだ!」

 

「この!」

 

「フゥイ!ここだぞ~!」

 

「おちょくりやがって……!!ならばこれならどうだ!!」

 

「ウワッ!?」

 

 大剣を自身の周り360度ぐるりと回す。スピードでベルディアを翻弄しながらふざけていたフーマは、バッティングの要領でブッ飛ばされた。

 

「バカめ!騎士をおちょくるからこうなるのだ!死ねぇぇえ!!」

 

「ガァッ!……」

 

「フーマ!!?」

 

 ベルディアの剣がフーマの胸を貫き、誰もがフーマの死を覚悟した。ベルディアも完全にフーマを仕留めたと思った。だが、

 

ポンッ!

 

「は?」

 

「にんっ!」

 

「代わり身……だと!?」

 

 煙と共にフーマが消えて、フーマと似たようなサイズの藁人形が剣にくっついていた。

 

「さぁ、続きやろうぜ!」

 

 沢山の光波を出し、それを右腕のブレスレットに集約させて光剣を作り出した。

 

「ソラッ!」

 

「グッ!」

 

「セイッ!」

 

「チッ!はぁ!」

 

 鋭い斬撃の応酬だ。辺り一体に激しい剣と剣がぶつかり合う音が響いている。

 

「クッ……!」

 

「そこだ!」

 

「ッ!?しまった!剣が!」

 

「俺の勝ちだな?ベルディア」

 

 一瞬、ベルディアの体勢が不安定になった所を突いて、ベルディアの剣を弾き飛ばした。

 

「まさか剣を弾き飛ばされるとは……何百年振りの体験だ?」

 

「どうした?降参しないのか?無益な殺しはしたくない」

 

「フッ。バカなのか貴様。俺は戦いに身を置く者。武器が無くなった程度で戦えなくなるか!!」

 

「グガァッ!」

 

 剣を弾き飛ばした事で、勝ちを確信したのか、ベルディアに降伏させようとしたが、それが甘かった。ベルディアの拳がフーマの顔面を捕らえた。

 

「イッツ……旦那のよりかは軽いか」

 

「今、貴様はこの俺と勝負をしているのだ。勝敗は、どちらかが死ぬまでに決まっているだろ!!」

 

「それは悪いことをしたな。仲間の甘いところが移っちまったみたいだ。なら、終わらせるか」

 

 指でVサインを作り、ベルディアにそれを向ける。ベルディアはそれがなんなのか分からず、定位置に乗せた首を傾げた。

 

「これはピースマークじゃねぇぞ。お前はあと2秒で終わりって事だ!」

 

 最高速度で動き、ベルディアに近付く。

 

「そこ──ッ!?」

 

 ベルディアの拳は確かにフーマを捉えたのだが、それはフーマを突き抜けた。当たった感覚もない。拳が貫通したフーマは霧の様に消えていった。

 

「残像……だと!?」

 

「そう言う事だ」

 

「ッ!?」

 

「極星光波手裏剣!セィィヤッ!」

 

「グァァァァアアアア!!!」

 

 巨大な光波手裏剣がベルディアを貫き、爆発四散。完全に葬ることができた。

 

「おっ。体が軽くなった」

 

 ベルディアが滅んだことを証明するように、フーマの体から禍々しいオーラが抜け出ていった。

 

「お~い!フーマ!!」

 

「よっ!終わったぜ!」

 

「スゴいですね。魔王軍幹部をたった1人で倒してしまうなんて」

 

「まぁな。さ~て、帰ろうぜ」

 

「うむ。お疲れ様だ。フーマ」

 

「あ、ねぇねぇ!魔王軍の幹部を倒したのよね?償金いくら入るのかしら?!ねぇフーマ!少し分けてよ!」

 

「おいズルいぞアクア!なにお前だけ金を貰おうとしてんだ!」

 

「良いじゃない別に!ねぇフーマ、お願い!」

 

「分かった分かった。もう全員で分ければ良いだろ?」

 

「さっすがフーマさん!じゃあ今晩はフーマの奢りね~!」

 

「おぉい!まだタカるつもりかよ!」




さてさて。今回もアンケートあります。感想や評価、お気に入り登録と一緒によろしくお願いします!!

あ、准の利息が酷いとか言っていた人、バニルの分割払いの金利の方が酷いと言うことをお忘れなく。200%とか言うブッ飛んだ数字ですからね。どっちが悪魔かは一目瞭然ですよね?笑

【読み切り版】風の覇者の異世界冒険譚

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