この素晴らしい世界をキレッぽい友人と!   作:憲彦

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基本ソロプレイ

 冒険者登録を済ませた次の日。取り敢えず3人は安く済む寝泊まり可能な施設として、馬小屋で夜を過ごした。気候は穏やかとは言え、星空の元で夜を明けさせるのは可哀想な為、結局更に1500エリスをカズマたちに貸すことに。合計3500エリスだ。

 

「で?お前らはいつクエストを受けるんだ?もう3500エリスだぞ。俺からの借金」

 

「……その、返すのは少し先になるかと…………」

 

 2人とも俯いている。返せる見込みが全く無いからだ。クエストを受けようにも、まともな武器を持っているのは准のみ。基本性能が高いアクアは……見た感じ1人でクエストに出したら何が起こるか分からない。カズマは言わずもがな。

 

「俺はクエストに出てくる。早く金を作るんだな」

 

 ギルドの飲食スペースに2人を置いていき、受付の元へと歩いていく。初心者にちょうど良いクエストを見繕って貰うためだ。

 

「1番簡単で死ななそうな物を。できれば戦闘ありの物が助かる」

 

「そうなりますと……ジャイアントトードの討伐なんて言うのはどうでしょうか?5日間で5体以上の討伐でクエストクリアになります」

 

「ジャイアントトード?まぁ、じゃあそれで」

 

「分かりました。ジャイアントトードは金属が苦手ですので、金属製の何かを身に付けると安全性が増しますよ」

 

 それは問題ない。准の格好は学校の制服。ズボンのベルトのバックル部分が金属だ。小さいが、まぁ大丈夫だろう。ジャイアントトードのイメージは沸かないが、クエスト用紙にはカエルの様なイラストが書かれているため、多分デカいカエルだろう。街を出てすぐの草原にいるため移動にも苦労はしなさそうだ。

 

「さてと……どんなカエルだ?」

 

 カエルのいそうな湿っている木陰や茂みを覗き込みながら、様々な場所を探していく。が、カエルの姿は見当たらなかった。まぁカエルだし仕方無いと納得し、気長に探していくことにした。

 

 10分程だろうか、ドシンドシンと言う大きな音が響いてきた。足音にしては次が来るまでに感覚が空いている。まるで跳ねながら移動している様な音だ。

 

「……嘘だろ!?」

 

 音のした方向を向いてみると、自分の体の3倍以上はあるであろうカエルが目の前にいた。武器は持っているが、准が見たことある大きいカエルは精々20センチが良いところだ。目の前の規格外を絵に描いた様なカエルを見て冷静でいられる訳もなく、一目散に脇目も振らずに逃げていった。

 

「ふざけんな!あんなカエルどうやって倒すんだよ!!」

 

 誰もいないが、ツッコミの様な叫び声が草原に響き渡った。しかし逃亡もむなしく、ジャイアントトードの伸ばした舌が准を捕らえ、飲み込もうとした。

 

「食われて堪るかよ!!」

 

 貰った光剣を使い舌を切り離し、なんとか脱出。幸いにも動きはトロい。後ろに回り込んで人間で言うところの頸椎部分に光剣を突き刺して1体討伐した。

 

「はぁ……マジでこれがジャイアントトードかよ……これが初心者向けとかイカれてんな……」

 

 これをあと4匹倒すのかと考えると、気が滅入ってくる。とは言えクエストだ。嫌でもクリアしなくてはならない。それ以上にこの世界で冒険者として生きていく以上、こう言った状況には慣れなくてはならないし、レベルも上げ続けないといけない。

 

「やるしかないのか……」

 

 苦虫を噛み潰した様な顔で覚悟を決めて、光剣を握る手に力を入れた。ステータスを上げてくれる神器クラスの武器を装備している訳ではない。故に身体能力が上がって好き勝手に動けるなんて事はないが、カエルの倒し方はさっきので理解した。同じ要領で倒していく事を決意した。

 

「2匹目!」

 

 サクッと2匹目討伐。正直言っていい気持ちはしない。今まで殺生とは無縁の生活を送ってきたただの学生に、害虫とは言えデカいカエルを故意に殺している。蚊みたいな小さな虫を無意識にふんずけた時とは違う。考えない様にしてもヤッパリ気分が悪い。

 

 そして3体目も登場し討伐。ここまでは順調だったのだが、途端にジャイアントトードが出てこなくなった。そもそもこのクソ広い見通しが良い草原で、足音がするまで1匹も発見できなかったカエルをバンバン見付ける方がおかしい。日も大分傾いてきているし、今日はもう帰ろうかと思い、倒したジャイアントトードに手を合わせて街へと向かっていった。

 

「……ん?」

 

 帰ろうとした直後、離れた場所からジャイアントトードが跳ねながら移動する音が聞こえてきた。しかも数が結構ある。

 

「は?このタイミングで?しかも団体さまのご登場かよ……ふざけんなよ」

 

 数にして13体。11体程余計に倒すことになる。何故倒すことが前提になってるかって?後の2匹を倒して全力疾走しても、逃げ切れる保障が無いからだ。最悪、2匹倒して残りのカエルに食われる事だってありえる。

 

 ラノベ的にここで強いヒロインが現れて助けてくれる。何て言う道端に1億円が落ちてるくらいの確率であり得ない事が起きる訳がない。と言うかそんなものに懸ける程に准の頭はお花畑ではない。腹を括って、新しく現れたジャイアントトードたちに突っ込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁぁぁぁぁ……」

 

「どうしたのよ。そんなに疲れた顔して。ヒールでもかける?」

 

 なんとか全部討伐できた。合計で16体のジャイアントトードを討伐。初クエストでこれは上出来だ。レベルも1から8に急成長。スキルポイントも結構貯まった。

 

「クエスト行ってたんだよ。お前らは何してたんだ?」

 

「日雇いのバイト。外壁修理の土木作業で募集してたからそこに行ってた」

 

 准よりも先にギルド中で酒を飲みながら食事を食べていたカズマとアクアの2人。アクアは少し顔が赤くなっている。そしてカズマ、お前は未成年だろ。

 

「そうか。つまり、今日の分の給与は渡されたんだよな?」

 

「「あっ……」」

 

「俺からの借りてる分、さっさと返せ」

 

 ニコニコしながら借金返済を促す准。そんな准を見て、給与が入っている封筒から残りの金を出した。

 

「200エリス……2人で400エリスだと?」

 

「そ、その~」

 

「今日の馬小屋代と食事代、仕事終わりの風呂代とか出してたら、その……すいません!!」

 

 バツが悪そうな顔をするアクアに、テーブルに頭を叩きつけて謝るカズマ。そして申し訳程度にしか残っていない400エリス。このカオスな状況に、准は考えることを諦めた。

 

「期限は明日だからな」

 

「あ、あぁ……なぁ、准はどれくらい稼げたんだ?」

 

「討伐対象16体討伐で80000エリス。クエストクリア報酬で10000エリス。合計90000エリスだな」

 

 討伐したジャイアントトードの唐揚げをかじりながら、2人にクエストの報酬を説明。あれだけやったのに10万にも満たない。労力に釣り合わないと言うかなんと言うか、兎に角割りに合わない感じが強い。

 

「マジか!スゲーな1回でそんなに稼ぐなんて!」

 

「えぇ。クエストってそんなに儲かるのね。私たちも早くクエストに行けるように頑張らないと!」

 

 コイツらがクエストに行ったとき、どんな顔になるのか観察してやろうと言う顔になっている。今日のクエストで身に染みてわかった。ゲームの様に簡単には行かないと言うことが。普通に考えれば分かることなんだが、ゲーム感満載な異世界でその考えを捨てろと言う方が無理だ。2人が困っている顔を想像しながら、借りた馬小屋へと向かって行った。

 

「明日はもう少しまともなクエストを選ぼう……」

 

 そんなことを考えながら眠りに付こうとすると、隣の部屋の住人が帰ってきた。カズマとアクアの2人だ。眠りに付くのが遅れそうだ。

 

「さてと……もう寝る──」

 

「隙あり!」

 

「ウワッ!?お前……何すんだよ!」

 

「良いじゃない胸くらい。減るもんじゃないし。そのエロい体はなんのためにあるの?この全知全能の水の女神であるこの私のストレスを発散するためでしょ?」

 

「んな訳ねぇだろ!俺の体は俺のもんだよ!」

 

「カズマのくせに生意気よ。いいから私に弄られなさい!」

 

 もう我慢できなくなった。准は自分の部屋を出て隣の部屋の扉を勢いよく開けて光剣を伸ばし壁に突き刺した。

 

「お前ら……これ以上俺をイラつかせるな。選べ。明日ある眠りにつくか、明日の無い永遠の眠りにつくか、今なら2択くれてやる」

 

「「ね、寝ます」」

 

「そうか。おいアクア、ヤるならヤるで、ソイツの口を塞いで声が出ないようにしてからにしろ。うるさくて敵わん」

 

 そう言って、自分の部屋へと戻って眠った。クエストの疲れと問題児2人による精神的な疲れからか、はたまたその両方からなのかは分からないが、あっさりと眠ることができた。




カズマの現在の借金
2500エリス

アクアの現在の借金
2500エリス

准の現在の所持金
22万5千エリス
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