「ぜぇ…へぇ…へぇ…へぇ…………」
「どうした?この程度でへばっていては、魔王討伐なんて夢のまた夢だぞ?」
「だ、だからって、毎朝ランニング20キロはキツすぎるだろ!!しかもこれアップなんだよな?!」
「そうか?これでも、君たちに合わせてかなり抑えているのだが?」
「どこがだ!?」
佐藤カズマ。不運な事に死んでしまってこの世界に転生してきた元ニートの引きこもり。現在、魔王討伐を目指して冒険者として活躍している。と思われる。
「か、カズマ……骨は拾ってください……グフッ」
「めぐみぃぃぃぃぃん!!!」
めぐみん。高い知能と魔力を持つ紅魔族のアークウィザード。この世界の最強魔法「爆裂魔法」を操る者。カズマとパーティーを組み、共に魔王討伐を目指す。
「か、カズマさん!もう無理!なにか出ちゃう!口の中から何か出ちゃいそうなんだけど!!」
「だったら抑えてろよアホ!お前少しは自分のビジュアル考えろ?!」
アクア。カズマをこの世界に転生させた水の女神。と言っても実際は知能の低い飲んだくれ駄女神。このパーティーのトラブルメーカー1号である。
「どうした?この程度か?!私はまだまだ行けるぞ!」
「うむ!その心意気受け取った!プラス10キロ行こう!」
ダクネス。このパーティーの盾役。攻撃は全く当たらないが高い身体能力を持っている。タイタスのトレーニングに唯一食らい付く存在。所謂ドM。
「さぁ!元気に残りを走りきるぞ!」
タイタス。知り合いの神に頼まれてこの世界に来た筋肉ウルトラマン。魔王を討伐しようとするカズマたちと行動を共にし、カズマたちを鍛えている筋肉バカ。
まぁ、そんなこんなで、早朝から合計30キロのランニングを何とか終らせた一行。この時点でダクネス以外の3人は既に虫の息で、アクアとカズマは茂みに隠れてゲロを吐いている。めぐみんはと言うと、途中から意識を失ってダクネスに担がれていた。まだ気を失ったままだ。
「よし。休憩は十分だな。では、本格的にトレーニングを始めるとしよう。まず手始めに、スクワット5万回から行こう」
「ふざけんな!そんなことしてみろ!俺たちの足の筋肉の繊維と言う繊維が断ち切れて!今後立てなくなるわ!と言うか!そんなの1日で終わるか!?」
「ふむ……確かに、人間単位で考えたら辛いものがあるか……よし、ここは、1万回に妥協して──」
「それは妥協って言わねぇよ!人間なんて100回やれただけでもスゲェ方だぞ!?せめて50回程度にしてくれ!」
「ん~……なら60回にしよう!」
「越えてくんじゃねぇよぉぉぉお!!!」
その後、何とか筋トレのメニューをこなし、カズマたちは冒険者ギルドへと向い、クエストを探しながら朝食をとることにした。
「ねぇ、なんか食べる気になれないんですけど……」
「奇遇だな。俺もだ。腹は減っているが、猛烈に胃袋が食べ物を拒絶している」
「私は、フォークとナイフを持つ力も残ってません……」
「どうしたどうした?そんなに辛かったのか?」
「なんでお前だけそんなに元気なんだよ……」
厳しすぎる運動の直後で、ダクネス以外は体が全力で食べ物を拒否している。運動の後と言うのは、普通はもっと爽やかな筈なのだが、何故かとてつもなく重たい岩石が体にのし掛かっているかのような感覚に襲われていた。と言うか重力すら違うような気がしてくる。
「タイタスの野郎……!俺たちに筋トレさせまくりやがって……!!アイツが来てから俺たち筋トレしかやってない気がするんだけど?!」
「今度、爆裂魔法をぶち込んであげたいです。タイタスの筋肉と私の爆裂魔法。どっちが上かをハッキリとさせましょう!」
「止めとけ。あの筋肉の前じゃ、お前の爆裂魔法でも豆鉄砲程度に落ち込んじまうだろ……つか、初めてアイツと会ったとき、お前早々に撃ってただろ?爆裂魔法。と言うか、タイタスは?」
「スクワット5万回と腹筋3万回、ランニング500キロをやり終えたら来ると言っていた。私たちとでは不完全燃焼だった様だからな」
「アイツ、本当に訳分かんねぇ……」
それから3時間ほどしてだろうか。ようやくタイタスが冒険者ギルドにやって来た。ふざけた量のトレーニングを短時間で終らせた癖に、涼しい顔をしている。入り口の扉を開けてカズマ達の元へ向かう。と見せ掛けて、重たそうなゴミ袋を大量に運んでいる受付のお姉さんに手を差し伸べた。
「大丈夫ですか?私が運びますよ」
「え?いえいえ!これくらい何とも──」
「ハハハハハ。お気になさらず!重たいものは私が持ちましょう!」
そう言って、荷物の大半を持ってギルドの外へと行ってしまった。
「アイツ、なんで筋肉しかねぇのにあんなに紳士なの?」
「街の子供や奥様方に人気ですからね。彼」
「カズマとは大違いね」
5分程して、ようやくカズマ達のいる場所へとやって来てくれた。クエストは既に取っていた様で、この日はジャイアントトードを討伐しに行くことに。何故このクエストなのかと言うと、タイタスにとってはこれが初クエストとなるからだ。
「ジャイアントトード……確か、食料にもなる巨大なカエルだったな。繁殖期のこの時期、卵を産む体力を付けるために家畜や人間を襲う事から、討伐の依頼が出てると聞いたが」
「よく知ってんな。どこで聞いてきた?」
「なに。この世界に来た最初の日に、図書館に籠って大量の資料に目を通していたのさ。解読には苦労したがな。よし、早速行こう!」
と言うことで、ジャイアントトードが出現するいつもの草原へとやって来た。繁殖期真っ只中なせいか、遠目でも10体は確認できる程に出てきている。その中の1体がカズマ達を見付けたのか、のそのそと跳んできていた。
「私が戦おう。4人は見ていてくれ」
「大丈夫なのか?アイツ打撃効かねぇぞ?」
「問題ない。ウルトラチェンジ!」
そう言うと、人間の姿からこの世界に初めて来た時のウルトラマンの姿に変わった。サイズは人間と同じだ。
「さぁ!どこからでもかかってこい!」
「人間の時もかなりゴツかったけど、その姿だと更に筋肉がスゲー事になってんな……」
カズマのツッコミを無視して、跳んできているジャイアントトードに向かって歩いていく。その様子に他のジャイアントトードたちも気付いたのか、一斉にタイタス目掛けて動き出した。
「賢者の拳は全てを砕く!」
その言葉と共に放たれたタイタスの拳は、ジャイアントトードの腹部を捕らえて、そのまま吹っ飛ばした。パーティーの中ではずば抜けたステータスを持っているアクアの必殺技「ゴッドブロー」を受けてもビクともしなかったジャイアントトードが、タイタスの放った普通のパンチで倒されてしまったのだ。
「生半可な打撃が通用しないのなら、強烈な打撃を与えてしまえば良いだけの話。次行くぞ!」
パンチ1発で同族が倒されたことに驚いたのか、他のジャイアントトードたちは逃げ出そうとしたのだが、逃げ道に回り込んだタイタスにそれを止められてしまう。
「お前たちに個人的な恨みはない。しかし!人間の生活圏に立ち入り、迷惑をかけると言うのなら、このスターシンボルと私の筋肉に懸けて、貴様らを討伐する!」
またもやタイタスの拳がジャイアントトードを捕らえ、何十メートルも先にブッ飛ばした。今度はさっきよりも強く打ったのか、拳が当たった場所は消し飛んでなくなっている。
「マッスル!マッスル!スーパーマッスル!!はぃい!」
勢いそのままに3体のジャイアントトードを殴り飛ばし、4体目は足で首の部分を挟んで締め上げ、プロレスラーの如くポーズを決めながら倒していた。
既に6体倒しているため、これでクエストクリア。なのだが、タイタスはまだ止まらない。目についた他のジャイアントトードも残らずに討伐しようとしている。
「マァァァァァアッスル!」
しかも時々ポーズを決めながらである。
「ん?逃がすか!食らえ!星の一閃、アストロビーム!」
額のアストロスポットから放たれた光線が、最後の1体を貫き、この草原からジャイアントトードが消え去った。
「今日ほど、クエストに参加しなくて良かった。と思える日はありませんね。とてつもなくモヤモヤしますけど……」
「あぁ。そうだな」
「カエルの粘液まみれになってないのに、なんか嬉しくないわね……」
「クッ!捕食されず粘液まみれにもならず、ただ見ているだけでクエストが終わってしまうとは……!」
ダクネスだけなんか別の感情を抱いていたが、大体全員クエストに参加せずにクリアしたのに、なんか釈然としない。と言うのが感想だった。
「さて。街へ帰るとしよう」
「おう。って何でジャイアントトード全部担いでんだよ!?」
「トレーニング代わりだ!」
運送費負担の削減にも繋がった。
見ました?公式YouTubeチャンネルのタイタスの体操。もはや体操じゃなくてただのボディービルでしたけど。ファンが考えた二次創作的な物でも面白いのに、それを公式が真面目な顔してやってると思うと更に面白いですよ笑。腹筋を崩壊させて鍛えろと言う公式からのメッセージでしょうか?
【読切り版】この素晴らしい世界に賢者の拳をッ!について
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読切り版ではなく連載で読みたい
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再び読切り版で読みたい
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再び読切り掲載後に連載