ハイスクールD×D短編(ウェットル)   作:ウェットル

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転生者の記述 シスコン兄貴の日記より抜粋

 物語の世界の「過去」に転生した人間が、果たして「今」を生きていると言えるのか。

 

 そんな小難しいことを大真面目に考えたことなど両手では足りぬが、確実に言えることがあるとすれば、物語の世界の過去ともいえる「テキスト」を知っているからといって、なにも駒王町のような名のしれた生活区域で、これまた名前を知っている女学院であった駒王学園に通ってまで、「テキスト」に干渉しようとすることこそ。

 まさしく、「今」を生きてはいないだろう。

 

 逆説的にいえば、駒王町以外で、あるいは駒王町に住んでいたとしても、駒王学園には所属せず、してしまったとしてもオカルト部や生徒会に深入りせず、もちろん兵藤一誠の覗きで精神的苦痛を被らないような人間関係を構築していればよい。

 はぐれ悪魔だの堕天使だので、最終的に身内も自分も死ぬ可能性こそあるが。あれらの犯行は暗殺可能な場所、時間、状況、および潜伏可能なアジト候補が必要になる。

 どこに住もうが結局は同じと言えるかもしれないが、都市部であれば、潜伏させられてしまう場所など賃貸住宅ぐらいしかない、廃墟がない地域などいくらでもある。

 たとえば、夜中は灯りで照らされ続けてしまうだとか、監視カメラがやたらと一般住宅から覗き込んでくるとか、密集しているから某作品の便利な結界でもない限りは効果範囲に関係のない一般人を巻き込みうるとか、暗殺や戦闘面を考えれば劣悪な環境は多い。

 つまり、それこそ駒王町以上に発展しすぎた都市部であればよいのだ。あれらに殺されたくないのであれば、そのほうが明らかに安全に生活できるだろう。

 

 将来設計を大真面目に考えれば。

 安直な手段、解決法としては、上京すればいい、というわけである。

 確実に到来するかも曖昧な、原作知識通りの未来に関わらないためであれば。

 

 そういった目的を持って、前世ぶりに・・・・・・いや、前世のように両親の見栄に振り回されたり、親バカ過ぎて勉強の「意欲」や「目的」をすげ替えられかねないこともなく、だが。

 本当に前世ぶりに、好きな学問を全力で勉強し続けられたものだと思う。

 家の裕福度で言えば、前世のほうが明らかにおかしかったかもしれないが、下手に賢しく見栄っ張りで、未だ明確に整っていない子供の気持ちを勝手に決めつけ、都合よく意志を捻じ曲げようとするわけではないから、本当にありがたい。

 貧すれば鈍するという言葉もあるが、富みすぎて、責任の重い職につきすぎて、当たり前の人の気持ちを振り返れないどころか、何気ない愚痴や弱音すら吐けなくなるまで偉くなってしまうひとが、曖昧な子心には鈍せざるを得ないように、その逆もあるのだ。

 

 ・・・・・・貧せざるを得ない立場だからこそ、愚かになりきれない一線がある。

 自分はきっと、今生ではそれに救われているのだろう。

 

 本来ならば、それは自分ではない、本当の無垢な子供に与えられるべきものだ。

 だからこそ、自分はやはり、『そこ』だけは、どこかで妹たちには甘い前世のままでしかいられないのかもしれない。

 前世の妹たちも、母性が強いかのように思わされる可愛げのある顔つきや、日本人離れした美貌の持ち主ではあったが、いやいや、まさかそういう典型的な妹キャラとは思わなかった。思わなかったが。

 

 やはり、駒王学園には進学してほしくないものである。

 覗きで泣かされる未来でもできようものなら、絶対に許せはしないだろう。

 とりあえず明日、まずは女学院系の、ようするにお嬢様学校での現実というものを教えておこうと思う。前世での話だが、上の妹に曰く「女を捨てたゴリラだらけ」が普通のお嬢様学校らしいからな。(某ソシャゲのコズミックお嬢様学校には笑わされたものだ。)

 そもそも共学校に通えるような本物のお嬢様のほうが、明らかに性格的に問題がないからこそ許されていると考えるべきで、ほんの一例ではあるが、ちょっとでも恋愛観がスイーツだったりしたら、そりゃあ男の子とのあれそれで性的な問題を起こしうるから、そうなるだろうよ。複数の名家との関係性だけがほしいなら、それこそ継承者である長女ではなく、ある程度の自由が許されやすい「次女」が通わされてもおかしくはない。

 長女で通わされるということは、よほど親が深く先行きを考えていないか、親バカが過ぎたか、専門学校や家庭教師、私塾などで専門的な知識やビジネス向けの知識を深めておく必要のない家で、コネを作ること以外に期待されていないということになる。

 自由は確かにあるだろうが、少なくとも共学校に通う子の自由と等価ではない。

 

 そのくらいな「問題児」でもあるのだ、お嬢様学校に通わされるお嬢様というものは。

(こう考えると、ソーナ・シトリーが最もお嬢様学校に通う人間像では、姉からの激愛ぶりも、序列も、どれもが現実的で、なおかつ実務経験も得られている稀有な例だろう。)

 

 でなくとも、だいたいがお家と関係のある勉強をしやすい学校に通うもので、つまりはその、なんだ、駒王学園が頭おかしいくらいお嬢様学校してるのがオカシイ。

 上の妹の話を思い返して、そこに理路整然とした消去法で補足するならば、そういうことになる。「そういうことだから」と、ちゃんと普通の学校に通ってもらいたいものだ。

 

 ・・・・・・いや、本当に、どうして純粋な外野である妹から見ても、綺麗な白鳥しか住んでないかのような体裁を保っていられるのか、自分にはよくわからない。

 

 

 実際のところ、どういうところなんだ、駒王学園とかいう場所は??

 




 この物語に続きはありません。
 転生者が普通に生きたなら、こんな瞬間があるだろうな、という内面描写を書いたものです。特に劇的なドラマはありません。
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