ハイスクールD×D短編(ウェットル)   作:ウェットル

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ある令嬢と、ブラコン妹の会話から抜粋

 お兄様について振り返ってみれば、かなり異質な「兄」だと思います。

 

 そう思ったのは、私がまだ学業に苦手意識があった頃。

 学才のあるお兄様を羨み、どうして自分には同じだけの頭がないのか、あればよかったのにとつぶやいた時、はっきりとした形で気づいたからです。

 

「・・・・・・ボクはね、君のほうこそ羨ましいんだよ。

 なにせ、理論さえわかればだの、筋道さえわかればだの、そんな過程ありきで勉強ができてしまってきたものだから、わかることができないんだ」

 

「努力の仕方、根性論だの精神論だの、夢だのなんだのってことへ頑張る意気込みってやつがさ。どうしてもわからないし、そこの精神力であっさり負けてばかりなんだよ。

 これでも悔しいって思っちゃいるんだ。君には、努力の才能ってやつがあるんだから」

 

 このくらいの話であれば、そう、高校生になった今ならば納得ができるものでした。

 高校生になった今で、高校生になったばかりの私が、お兄様から教わったのであれば。

 状況も、年齢的にも、決しておかしいことなどないはずなのに。

 

 お兄様は、それを。

 私が小学生だった頃、お兄様もまた小学生を卒業する間際の、中学受験に忙しいはずの時期に、私と同じ幼い子供であるはずの年齢で言ってさえいなければ、の話なのですが。

 

 同じ子供とは思えない、ありえないほどの内面性への理解。

 才能と聞けば、誰もが神器のように考えがちな時期に、小学生の頃から「そういうもの」などではないと悟っていて、なおも努力の才能を欲することの異常さ。

 足りぬからこそ努力を平然とする人間以上に、足りるからこそ敵わなくなると気づいていて、あの頃から努力というものを欲する意欲の強さ。

 妹相手だろうと慈愛を向け、敬意を表してしまう、一種の謙虚ささえも。

 

 そう、あの頃から、私にとっての兄は、「お兄様」になってしまいました。

 どこにでもいる普通の兄妹の「兄」ではない、否が応でも敬愛を抱かざるを得ないもの。

 逆に言えば、それは、私が普通の「妹」であれた最後の日でもあり。

 リアス先輩がおっしゃるような、ちょっと困るお兄さん、といった目線で向き合える具合の、そうですね、気楽に文句が言える相手ではなくなってしまったのかもしれません。

 文句を言わせてもらえないのではなく、不満より敬愛が勝ってしまうんです。

 

 ですので、私からすれば。

 ちょっと尊敬できないところがあるお兄さん、というのは、とても羨ましいものに感じてしまうのです。あまり私を心配しすぎず、愛ゆえに縛ることもなく、あれほど難色を示した本校への入学を許してくださったのも、逆に言ってしまえば、ええ。

 リアス先輩のお兄さんのような「気軽な迷惑」をかけてくれない。

 そんな寂しさを感じなくはありません。

 

 

 正直なところ、今日の授業参観もそうです。

 「学校をサボってでも見に行く」なんて真似、お兄様がするはずが――――

 

 

 

 

 

 ・・・・・・えっ?

 




【お兄様(シスコン兄貴転生者)】

 前世での呼ばれ方は「お兄ちゃん」。
 前世と大差ない台詞を、前世と同じ時期に言って、今度は「お兄様」になってしまう。
 駒王学園に入学してしまった妹が心配なので、原作の授業参観と合わせて「妹の学友たち」にも会いに行けるよう、前々からスケジュールを組んでから来た。


【妹(ブラコン)】

 自分の兄の「前世での妹」とは別の形で、かつ強すぎるブラコンを拗らせている。
 いろいろな経緯はあったが、悪魔の駒を受け入れてはいない。

 「お兄様」が「気軽な迷惑」をかけてきたのは、誕生日プレゼント並みに嬉しい。
 

【あとがき】
 投稿してから秒で思いつきました。今度こそ続かないと思います。
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