駆逐艦はというのは消耗品のような艦種だ。
たとえ数隻沈んでも作戦が成功すれば儲け物、代わりならいくらでもいる。艦隊の何でも屋だ。この性質は深海棲艦が台頭したこの時代にも受け継がれてしまった。戦艦級の砲撃の直撃なら一発で沈む、鬼・姫級なら肉片も残らないことは当たり前のことだ。
だから提督は駆逐艦娘たちと約束を結んだ。「練度が上限を迎えたら、ひとつだけどんな願いでも叶える」
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今夜はトラック島秋島鎮守府にとって特別だ。
初めて練度上限に達した駆逐艦娘がとうとう帰ってくる。
「ハァイー、ただいま遠征艦隊帰還したわ」
彼女の名前はジョンストン、アメリカでも有名な駆逐艦だ。提督は彼女がここまで戦ってくれたことに大きな感動を覚えた。彼女の艦娘としての取り柄は万能性だ。だからこそ、敵が不確かなときは必ず彼女に出撃してもらった。それは空振りなら良かったが、敵の有力艦隊ならひとりやふたり帰ってこないことは多い、彼女には戦友か消えていくところを多く見せてしまった。だからこそ何としてでも彼女の願いは叶えるつもりだ。
既に「姉妹が欲しい」と言われた時に備えて、アメリカ太平洋方面艦隊に打診を始めている。もっと強くなりたいと言われた時に備えて明石に強化案の検討も申請した。普通に祝うだけなら本土から菓子職人を呼ぼう。他にも複数のプランがある。これでつつがなく彼女の願いを叶えてやれるはず、そう思っていた。
「さて、我らが首席駆逐艦娘は何を望むのかな?」
月明かりしかない執務室で親しみを込めて、少しだけからかうような質問、その返答は大きく予想を外れることになる。
「あなたがたべたいの」
「へっ?」
「聞こえなかったみたいだからもう一度言うわね、貴方が食べたいの」
意味不明の回答に反応が遅れた。食べたいとはどういうことだろうか、ひとまず詳しく質問しよう。性的な意味なのか、言葉通りのなものなのか、後者の場合は相当の覚悟が必要になるだろう。
「どっちもよ」
さらに予想外で恐ろしい返答が返ってきた。彼女は艦娘と提督の少し離れた距離から、提督と秘書艦の人ひとり分しか開かないところまで距離を詰めて来た。
「ちょっと待ってくれないかな」
「待たないわ、今日は耳だけで許してあげるわ」
艦娘の身体能力ではもう逃げられない。今から耳なし法一みたいになるのかなと目を瞑った。膝の上に彼女が跨がり、吐息が当たる。もう肌が触れ合うほど近い。
まず耳に唇が当たり、舌が外から中へなぞっていく、中にいくにつれて口内の温かさを感じでいく。息苦しさと興奮の混じった息遣いがほほとほほが触れ合うことでわかる。もう片方も耳は彼女のしなやかな手によって念入りなマッサージが行われていた。夜中の薄暗い執務室で目を閉じているのことで嫌でも耳に感覚が集まってくる。あまりの感覚に自分の耳が失われてもいいとまで思い始めている。
「はひめへてはったとひからはなたがすきだった、ふっっとはたしのものひひたかった(初めて会った時からあなたが好きだった、ずっと私のものにしたかった)」
それが告白に類するものだろう。
彼女は興奮のボルテージを上げる。耳からカリッという音がして、痛みがじわっと広がった。
「ちょっと痛いのだが」
「あなたの血美味しいわね」
話が嚙み合っていない、ピチャピチャと血を吸う。
その後も執拗な耳攻めを夜が明けるまで受けることになった。
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もう朝日が眩しい、彼女は恍惚として早口で独白を始めた。
「あなたをものにしたかったの、血と肉と心と全て。何のことも無しに私の想いは提督を傷つけてしまうし問題があると思ったわ。だから「約束」を使って無理やりでも愛情を伝えたの。これからも私と一緒にいてくれわよね?」
感想書いてくれると、もれなく作者が昇天します。