戦姫絶唱シンフォギア 時空を超える歌   作:可惜夜ヒビキ

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明けましておめでとうございます!(遅ぇよバカッ!!)
今年までにはこの作品を終わらせておきたいですねぇ...


Chapter 12 -操るもの、操られるもの-

なんて嘆かわしいことだろう、と響は思った。

彼女は今、旧リディアンの校舎に来ていた。理由は単純明快、この場所で反応を確認した、ファントムノイズを倒すためだ。前回の戦いではこちらに成す術もなくあっけない敗北を喫したが、新たな力を手に入れた今、こちらもそう簡単にやられるわけにはいかない。故にこの戦いは長期戦だ、そうなったらこの思い出の校舎も崩れちゃうんだろうなぁ、と響は少し後ろめたい気持ちでいた。

 

「響、どうしたの?」

 

未来が話しかけてきた。彼女も、今回の討伐作戦に参加していたのだ。

 

「あぁ、未来。ちょっとね...」

「――?」

「私たちの思い出でもあるこの校舎が崩れるかもしれないと思うと、何だかあまり戦いたくなくなってきて」

「確かに、この戦いで校舎はなくなっちゃうかもしれないけど――」

 

未来が響の手を取る。その手は、温かかった。

 

「――ここで響と過ごした日々、私は忘れないよ?」

 

響は未来の手を握り返した。

 

 

「そうだよね――えへへ、何だかこんなことでくよくよしてた自分が馬鹿みたい」

「響はいつも通り、その拳でファントムとも手を繋げばいいんだよ。こんな建物一つが崩れるのを気にするなんて、響らしくないもん」

「うん、ありがとう未来!」

 

 

 

 

 

 

と、突然連絡用のイヤホンから司令の声が聞こえてきた。

 

 

「みんな、聞こえるか?」

「司令、何でしょう?」

「たった今、ファントムノイズの反応が強く確認された。さらに付近の監視カメラにも、巨大な影が映っていたそうだ。間違いない――奴は君たちのすぐそばにいる。準備ができ次第、すぐに突入してくれ」

「ハイ(デス/でござる)ッ!!」

 

 

 

「もう一刻の猶予もないってことデスね...」

 

切歌が呟いた。

 

「えぇ、けれどこの世界からファントムを一掃できるチャンスでもあるんじゃないかしら」

 

マリアの答えに、皆の顔が引き締まった。ここで、私たちが倒す。これ以上、民間の犠牲者を出したくはない。

それはアルドたちも同じだった。

 

「──ここで忌々しい連鎖を断ち斬れば、拙者たちも心残りなく元の世界に帰ることができるでござるな」

「少し寂しい気もするけどね...」

「マダ別れヲ惜しむ時でハないデス!今は一刻モ早く、ファントムノイズを殲滅しなけれバなりません、ノデ!」

「リィカの言う通りだ。今は町の人たちに被害が出る前に――」

 

アルドが言いかけたその時、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

辺りに、轟音が響いた。

 

 

 

「な、何だッ!?」

「いよいよということだろう。お前達、後れを取るなよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

他の誰かが口を開く前に、ギルドナは剣を構えると、一人で走って行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

「あっ、ちょっと!?」

「おいギルドナ、待てって!!」

 

慌てて他のみんなも追いかける。ほどなくして、ギルドナの姿が見えてきた。一人で呆然としている。

 

「どういう...ことだ!?」

 

 

 

息を切らしながら、アルドがギルドナに話しかけた。

 

「やっと追いついた...!!まったく、急に走り出すからオレ達心の準備が――」

 

 

 

そう言いかけて、アルドも目の前の光景に何も言えなくなった。

 

「2人とも、どうしたの?早く武器を構えないと、ファントムノイズが――」

 

響が二人の方に歩み寄っていったが、途中でその足を止めてしまった。

 

 

 

 

三人とも――そして、あとから来た他のメンバーも――目の前の光景に、唖然するしかなかった。

 

 

「な――何だよ、これはッ!?」

 

 

 

 

 

 

旧リディアンの校舎は消え、その残骸を踏み潰すかのように巨大なファントムノイズがたたずんでいた。その近くには、勝ち誇ったような顔をしたファントム・ネオの姿も見える。

 

 

「...さない...」

「え?響、何て――」

「許さない...私たちの思い出を踏みにじった、あいつらを――

 

 

 

 

 

許さないッ!!」

 

 

 

 

 

突然響が飛び出していった。その光景に、未来もアルドも驚いた。そして、ファントムノイズとファントム・ネオも気づいたようだ。ゆっくりとこちらを向き、近づいてきた。

 

 

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron...」

 

響が聖詠を唱え、ギアを纏った。彼女に続いて、未来、アルド、翼、ギルドナも続く。

 

「Rei shen shou jing rei zizzl...」

「Imyuteus amenohabakiri tron...」

 

走っていく響を、ギルドナと翼が止めた。

 

「おい、むやみに走って一人で死にたいのか?」

「立花、気持ちは分かるが...焦れば相手の思うつぼだ。頼む、その激情は抑えてくれ」

 

ついで、未来も追いついた。

 

「響...あんまり怒ると、怖いよ。響は優しい響のままでいて?」

 

三人に声を掛けられ、響も落ち着いたようだ。

 

「ごめんみんな...もう一人で行っちゃったりしないから」

「さぁ、気を引き締めるんだ!アイツはオレ達のすぐ側にいる!」

 

アルドの言う通りだった。巨大な影が、五人のいるところに近づいていた。

 

「フン...一度負けたにもかかわらずもう一度死にに来たのか?」

「そうみすみすやられると思ったら大間違いだぞ、ファントム。今度の俺たちは前とは違うんだからな」

「攻撃が効かないコイツの前では関係ない!さぁやってしまえ、ファントムノイズ!!」

 

ファントム・ネオの叫びと同時に、ファントムノイズがその右腕を振り上げた。が、それに反応できない響達ではない。軽やかな身のこなしで、その巨腕を避けた。

 

「はぁぁぁ――ッ!!」

「えいッ!!」

 

ギルドナと未来が、炎の刃と閃光弾でファントムノイズに攻撃を仕掛けた。

 

「フッ、だからお前たちの攻撃など――」

 

ファントム・ネオの言葉がそこで詰まった。理由は単純、彼(彼女?)の予想を反する出来事が起こったからである。

 

 

 

 

 

 

 

 

ファントムノイズは、その巨体をくの字に曲げて呻いていた。その光景に、響たちも驚いた。

 

「す、すごい...」

「やっぱりエルフナインちゃんの技術は本物だよッ!!本当に位相差障壁を無効化できるなんて!」

「馬鹿な...これは完全体だぞッ!?貴様らの攻撃など効かないはずだというのにッ!!」

 

未来は自分のギアを見た。彼女が今纏っているギアは、前のものとは全く異なる形状だった。足を覆うアーマーは紫から白をかたどったものになり、背中にはマントが、そして彼女の持つ杖は白く光り、フィーネをかたどったギアになっていた。そしてフィーネも、今まで着ていた白基調の服ではなく、紫基調の金属パーツのようなものを纏っていた。

 

「この服と、エルフナインさんが改良してくれた武器があれば、位相差障壁なんて怖くないッ!!」

 

フィーネと未来が、同時に技を仕掛ける。響が医務室で眠っている間、二人はシミュレータで訓練を重ねていた。ゆえに二人の息は姉妹の如く一致し、技を出すタイミングもばっちりだった。

 

「はぁぁ――っ!!」

「えいッ!!」

 

2人の放った光線が交わって一つになり、巨大な槍となってファントムノイズを貫いた。腹部を抑えて呻くノイズを、さらに翼とサイラスが追撃する。

 

「はぁぁーッ!!」

「せいや――ッ!!」

 

炎と水――反する二つのものを帯びた2人の刃が、その巨腕を貫き、その核をあらわにした。

 

「ば、馬鹿な...貴様らの攻撃が、完全体(こいつ)に届くなど...」

 

ファントム・ネオは今にも歯ぎしりしそうな目つきで、目の前の敵をにらみつけた。

 

「認めぬ...我は認めぬぞ!やってしまえ、ファントムノイズ!!」

 

ファントム・ネオの掛け声とともに、ファントムノイズはその体を起こすと、その場で大きくジャンプした。

たった一度飛び跳ねただけだが、その巨体から起こる爆風の威力は想像に難くない。装者たちは、風に煽られた紙きれの如く、その体を宙に投げ出されてしまった。

 

 

 

 

「うわぁぁぁっ!?」

「エラー!天地逆さ状態デス、ノデ!」

 

 

それは、アルドたち時の旅人も例外ではなかった。

 

 

「フ...ハハ...」

 

 

ファントム・ネオは、湧き上がる勝利の喜びを抑えきれないようだった。

 

「フハハハ!やはり貴様らは、この"完全体"に太刀打ちなどできない!今回も、我々の勝ち――」

 

そこまで言って、ファントム・ネオは言葉を詰まらせた。立ち上る砂煙を凝視し、驚きの表情を見せていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響とアルドが、立っていた。

 

 

 

 

 

 

「なッ...馬鹿な!!あの爆風を受けて無事だったものなどこれまで一人としていなかったというのにッ!?――いや、過去に一人だけいたが...あれはもはや人と呼ぶべきものでは――」

 

 

ファントムノイズも、驚いた様子でたたずんでいた。信じられないことに、その巨体に震えが走っていた。

 

「どうした、それでもお前は我々の今までの研究の成果だと言うのかッ!!もう一度、薙ぎ払って――」

 

 

 

 

しかし、二人の方が早かった。アルドがオーガベインを掲げると、彼を中心に亜空間が現れた。

 

 

 

 

 

「これはッ!?まさか――アナザーフォース!?」

 

 

半ばパニック状態に陥っているファントム・ネオに、2人が声をそろえて答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「その"まさか"だよッ!!」

 

 

 

 

 

 

その声と共に、響の拳が光を帯び始めた。それと同時に、アルドの持つオーガベインもかがやきだした。

 

 

「これが、オレ達の――」

「これが、私たちの――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2人の武器が1つになり、巨大な槍を形成していく――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「絶唱/絆だ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エッ!?」

 

 

 

瞬間、2人の形成していた巨大な槍は消え、そのままのスピードで2人はファントムノイズの核向けて武器をかざしていた。

 

 

 

 

 

 

「え、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ―――――ッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつの間にかアナザーフォースも解除され、2人は成す術もなく突っ込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――う、」

 

 

 

 

響は目を覚ました。

 

 

 

 

「うぅ...」

「響ッ!!」

 

そこはまだ、旧リディアンの中だった。どうやら、響はしばらく気絶していたらしい。不意に響は、大事なことを思い出した。

 

「あっ...ファントムは!?」

「そんなに焦らなくてもいいよ、響」

 

未来が少し笑って指差す先を見ると、そこに巨大な影は見えなかった。ファントム・ネオが一人、悔しそうにその場にたたずんでいるのが見えた。

 

「響とアルドが、核の部分に止めを刺してくれたんだよ」

「そうだったのか...えへへ、覚えてないや」

 

その場を包みかけた戦闘中とは思えない和やかな雰囲気を、ファントム・ネオが引き裂いた。

 

「おのれ、貴様らごときに超えられるとは...ッ!!次は、さらに耐性をつけた奴を複数体送り込んで――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

途端に、ファントム・ネオの動きが止まった。まるで見えない鎖に縛られているかの如く、その手足がその場から離れない。響たちが唖然として見守る中、ファントム・ネオはさらに喚いていた。

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ、どうかわたくしめをお許しください!!まだ――まだ消えてはならぬのです。あいつらを...我らの計画を幾度も邪魔してきたあいつらを止めるまでは―――アァァァッ!!」

 

 

 

 

 

 

瞬間、空に裂け目が現れ、ファントム・ネオはその穴の向こう側へと消えていった。

 

「あれは...時空の裂け目!?でも、どうして急に――」

 

アルドが言いかけたその時、不意にリィカが叫んだ。

 

 

 

 

 

 

「ミナサン、気を付けて下サイ!時空の裂け目の奥カラ先程ヨリ強大な反応ヲ感知!!」

 

 

それとほぼ同時に、響たちの持っている連絡用イヤホンから、エルフナインの焦る声が聞こえてきた。

 

「みなさん、先程とは違う強い反応を検知しました!警戒してください――何かが皆さんたちのもとへ向かっているようです!!」

「エッ!?それって、どういう――」

 

響が言いかけたその時、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然、地響きが起こった。

 

 

 

 

 

 

 

 

思わず、響たちはその場でしゃがみこんで耳を抑えた。唸るような地鳴り、吹き飛ばされそうになる装者たち。幸いにも誰かが欠けることはなかった。

 

 

 

 

「とりあえず、誰か吹き飛ばされた奴は誰もいないみたいだな」

「はぁ、それなら良かっ――」

 

エイミが言いかけた、その時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瞬間だった。気が付くと、響たちは謎の空間に閉じ込められていた。

 

 

 

「――!!なんだ、これは!?」

 

装者たちには、その光景に見覚えがあった。

 

「翼さん、これって...」

「あぁ、立花もうすうす感づいていると思うが――どうやら私たちは、異空間に取り込まれたようだ」

「なんと、異空間でござるか!して、どうやってここから出られるのでござる?」

「この空間を形作っている、本体を叩けばいい。そうすりゃこの空間は消え、元の世界に帰れるって訳だ」

「えぇ、そして――

 

 

 

 

 

 

 

 

そいつはどうやら、私たちに向かってきているみたいね」

 

 

 

 

 

 

 

 

マリアが言うと同時に、空中に向かって右手のロングソードを打ち付けた。

 

「およ?マリア、そんなところに敵はいないデs――」

 

が、切歌は途中で口をつぐんだ。彼女の目の前に、巨大な影が現れたからだ。そして――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギルドナはその正体を知っていた。そして、目の前にいる敵は自らの手で倒すべきだということも。




もしかしたら昨年中に一作目は行けるかもしれない...そう思っていた時代が僕にもありました


さてさて次回予告!

「さあギルドナ...今度こそ私の手を取り、真の闇の王になれ!!」
「いいや、何度でも言ってやる――笑わせるなッ!!」


突然現れた、"闇の主"と名乗る謎の生命体。この世界の命運を賭けて、響たちの最後の戦いが始まる――ッ!!


次回[顕現、闇の主]


お楽しみに!

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