さて今回は、切歌×ギルドナ編の後編です。前編の内容を忘れてしまったという方は復習することをおすすめします。
それでは今回も、歌の力を借りてこの世界を混沌から救け出そうー
ギルドナと切歌は奮戦していた。2人の活躍で、ファントムダストもノイズもだいぶ減ってきていた。
「かなり減ってきてるデスッ!これなら――」
「いいや、まだ安心はできない。どこかにまだ親玉が潜んでいるかもしれないからな。」
「うぅ...隠し玉ってことデスね...そんなのが来たら――」
まさにその通りだった。瓦礫と化したビルの中から、ファントムともノイズとも言えぬ歪な存在が現れた。
「――!!何デス、こいつはッ!?」
「こいつを倒せば残りの奴らも撤退するだろう――行くぞ、他のザコはアイツを倒してからだ!!」
「りょ、了解デスッ!!」
二人は一気にその巨体に突っ込んでいった。ありったけの力を込めて斬攻撃を畳み掛けるが、それが倒れる気配はない。むしろ、攻撃の反動で2人の体力の消耗の方が激しかった。
「くっ...これじゃあいくら戦っても勝ち目が見えないデスッ!!」
「だが、やつもダメージを受けているのは当然だろう。このまま押し切って――」
「2人とも、聞こえるか?」
突然、携帯用端末から司令の声が聞こえた。2人は思わず飛び上がった。
「な、何デス急に!?」
「急いで伝えたいことでもあるんだろう――なるべく早く済ませてくれ。」
「あぁ、こちらも手短に話すつもりだから聞き漏らすなよ。」
その後、司令からあの巨大な奴についての情報を聞いた。奴はファントムダストとノイズが強制的に融合されたものであり、名を“ ファントムノイズ”と言うらしい。双方の位相差障壁を持っているため通常は攻撃が聞かないが、体が不完全なため狙う箇所に気をつければ攻撃を当てることが出来ること 、その為に切歌はノイズ部分ー赤や緑色の部分を、ギルドナはファントムダスト部分ー青色の箇所を狙えばいいことを伝えられた。
「...なるほど、言われてみれば確かにカラフルな体デスね...なんだか綺麗デス!」
「見とれている場合ではない。攻略法がわかったんだ、とっととくたばらせるぞ。」
「は、はいデスッ!!」
今度は2人とも狙う場所に注意して戦った。ファントムノイズの放つビーム粒子は威力こそ高かったが、動きが鈍く簡単に避けることが可能なため、それほど戦いの支障にならなかった。
「これで...どうデスッ!!」
切歌の刃がファントムノイズの核を剥き出しにした。ファントムノイズは苦しみ、悶えだした。
「くっ...あそこが急所のようだが、あれほど活発になっていては狙いようもないな...」
「そんな悠長なことも言ってられないみたいデスよ...?」
「何ッ...!?」
切歌が見つめる方向をギルドナも見上げると、のたうち回っているファントムノイズの影響で付近のビルが崩れかかっているのが目に入った。なんとそこには、まだ人が残っているではないか。
「まずい――あのまま暴れてもらったらあのビルまで崩壊する...ッ!」
「そうなる前にアイツの核を破壊しないと、デスよ?」
「だが、ヤツには位相差障壁とやらがあるのだろう?どうやって破壊するんだ?」
切歌は考えた。2人のエネルギーを融合させた技を放てばいいのでは?でも、エネルギーの融合なんてどうやってーと、S.O.N.G.から通信が入った。
「切歌君、戦闘中すまない!たった今クリス君が帰ってきた─君に伝えておきたいことがあるようだ!」
「全然大丈夫デス!早くクリス先輩と繋ぐのデスッ!!」
「そうだな、少し待っていろ!」
クリスは直ぐに代わった。どうやら、ファントムノイズについて分かったことがあるらしい。
「いいか切歌、アイツの核が剥き出しになってるのは確認できた。どうやらその後処理に困ってるみたいだけど――いいか、あいつの核を破壊するには、2人の技の融合が必要だ――ユニゾンみたいな感じだ。それじゃあ、健闘を祈るぞ!」
そう言って、クリスは通信を切った。
「ユニゾン技デスかぁ...あれはよほど親しい人とじゃないと成功しないデスよ...?」
それを聞いていたのだろう、ギルドナが歩み寄ってきた。
「話は聞いたぞ...ほとんど成功しないとか言っていたな。」
「あ、あれは...」
「アルドは不可能だと思っていたことを何度もやってのけた。アルドに出来て俺たちに出来ない、なんてことは無いだろう?」
「ギルドナさん...」
正直、何も解決されていない。が、切歌は胸につっかえていたものが無くなったような気がした。
「...そうデスよね、迷っていても仕方ないデス!!私とギルドナさんとのユニゾン技...絶対に完成させてやるデスッ!!」
切歌は再び鎌を持ち直した。ギルドナもまた、彼の剣を正面で構えた。
「切歌...タイミングはお前に任せよう。」
「了解デスッ!!」
切歌は注意深くファントムノイズを目で追った。奴は未だ暴れ回っており、核がこちらを向いてくれる気配はない。
「ぐッ...どうすればこっちを見てくれるデスか...?」
切歌が悩んでいると、急にファントムノイズがこちらを向いた。切歌はハッとして、
「ぎ、ギルドナさん、今デスッ!!」
と叫んだ。切歌はギルドナと共に駆け出したものの、あと少しというところでファントムノイズが核を再び隠すように向きを変え、弾かれてしまった。
地面に倒れるギルドナを見ながら、切歌は落ち込んでいた。
「うぅ...自分の甘さが失敗を招いたデス...」
その横で大の字に倒れたままのギルドナが、彼女を慰めるようにフッと笑うと、
「なんてことはない。第一、俺達はまだ死んでいないんだから何度だってやり直せばいいものだ。それに、さっきの攻撃のおかげでアイツは倒壊寸前だったビルから離れたみたいだぞ?」
切歌が見ると、確かに、さっきとはかなり距離があった。さらにギルドナが続ける。
「俺とお前はまだそれほど親しくないのは事実だ...だが、少なくとも俺達には共に戦う理由がある――それだけで、ユニゾン技とやらを成功させるには十分な理由になるんじゃないか?」
切歌はしばらく黙っていたが、やがて顔を上げると、
「そうデス、まだ諦めるには早いデスッ!!ギルドナさん、今度こそアイツを倒すデスよッ!!」
「あぁ、今度はしっかりアイツを見ておいてくれよ。」
キリカは改めてファントムノイズを凝視した。なおも暴れ回っている。が、切歌は気づいた─―奴は常に時計回りで暴れている。これなら、行けるかもしれない─―
タイミングを見計らって、切歌が叫んだ。今度は、寸分の狂いもなく。
「今デス!!ギルドナさん、行くデスよッ!!」
「あぁ、今度こそケリをつけてやる!」
切歌とギルドナが武器を思いっきり振り上げた。そして、2人の刃に焔が燃え上がる。
「今だ!合わせるぞ、切歌!」
「はいデス!!これでも――喰らうのデースッ!!!」
焔刃・過らMiテeee──2人の刃は、巨大な炎の剣となってファントムノイズを核ごと切り裂いた。核を斬られたファントムノイズは悶え、苦しみ─―消えた。
しばらく呆然としていた2人だったが、何かを思い出したように周りを見、胸をなでおろした。
「どうやら、倒壊したビルはこれだけのようだな。」
「被害が最小限に済んで良かったデス!それでは、報告しに帰るデスよッ!」
戦いが終わって疲れているにも関わらずはしゃいでいる切歌を、ギルドナが黙って追いかけていった。
「ほう...ユニゾン技というのか、面白い。さて...次は私が行こう。あいつらにファントムノイズの研究をやらせていては一向に進む気がしないからな...さて、これで戦闘データは得られた─―あとはこれを元に、ファントムノイズの完全体を生み出すだけだ!ククク...ハハハハッ...!」
今回も読んでいただきありがとうございます。
さて、今回の内容を書くにあたって前の話にも目を通そうと思ったのですが...何とデータがスッキリ消えていました(笑)。焦って何とか書き直したはいいものの...あんなことがないように、今度からはバックアップ的なものをつけておこうかと思います。
さて次回は...
旧リディアン校舎に突如現れたファントム。彼らの目的とは一体...?そして、完全体と化したファントムノイズに響たちは為す術もなく─
次回[まだ負けてなんかいないッ!!]
お楽しみに!