東方飲茶伝   作:くろ1021

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ご都合主義注意です~





第3話

―――俺はこの荒野のハイエナ…ヤムチャってもんだ。死にたくなければ金かカプセルを置いていくんだな。

 

―――狼牙…風風拳! 

 

―――お、俺の凛々しい顔が…!!

 

 

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……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う、ううん…」

 

 ぱちぱちと目をしばたかせる。なんだかえらく懐かしい夢を見た気がするな。

それにここはどこだっけ? 確か、やたら強い女に絡まれて…

 

「気を失ったってことか。はは、情けねぇな。」

 

 いくら何でもこれは酷い。俺はそんなに鈍っちまったってのか。

確かに最近は現状維持位の惰性のトレーニングしかしていなかったけど。

 

 

 かなりのショックを受けて考え込んでいると部屋のドアが開く。

さっき仕掛けてきた女性、確か妖怪の風見幽香って言ったっけ。

 

「あら、目が覚めたようね。体はどう?」

 

 こいつ…どの口がいいやがる。

激しく納得いかないが、俺もいい大人だ。努めて冷静に返事をする。

 

「はは、おかげさまで」

 

 口元が若干引きつっていた気がするがそこはまあご愛嬌といったところだろう。

 

「無遠慮に触れたりするからそうなるのよ。女性の扱いがなってないわね。」

 

 なにおう!? これでも昔に比べたら天と地の差だぞ!

内心でツッコミつつ改めて尋ねる。同じ失敗はせんのだ。

 

「ぐっ……すみません。ところで風見さん。どうなんでしょう?元の世界に帰る方法はないんですか?」

 

 こんな体たらくで帰ったところで本格的に何もできなさそうだが、みんなを見捨てて自分だけのうのうとなんてできない。

 

「そうね、幻想郷の管理者に頼むか博麗の巫女に頼むか。それくらいじゃない?」

 

 おおっ! なんだ、しっかりあるんじゃないか!

こうしてはいられない。帰れる方法があるなら早速会いに行かないと!

 

「良かった! じゃあ、その管理者さんか巫女さんに会わせてください!」

 

「管理者の方はどこで何してるか知らない。でも巫女の方は神社にいるわ。慌てなくても教えてあげるわよ。」

 

 そうして幽香は博麗の巫女の暮らしている博麗神社の場所。それから巫女さんの名前と管理者さんの名前を教えてくれる。

博麗霊夢に、八雲紫か…。管理者も女性なんだな。

 

「ありがとうございます。風見さん。情報も、それに介抱してくれて。」

 

「どういたしまして。ああ、そうだ一つ聞きたいのだけれど」

 

「え? はい。なんです?」

 

「あなたの力、ただの人間にしてははっきり言って異常よ。まあ、巫女や魔法使いなんて例外もいるけど。」

 

「あー…まあ。昔からそれなりに鍛えてましたから。今は鈍ってるなんてもんじゃないすけど。」

 

 言われて改めて自分の状態を確認…はぁっ!??

 

「なんだこれ!? っていうかなんで今まで気づかなかったんだ!?」

 

 短めに切りそろえていたはずの髪は背中の中ほどまで届くほど長く、目や頬の傷跡もない。

こんなのまるで、さっきの夢の頃の…!?

 

「若返ってる…?」

 

 そんなまさか、いや、だけど…体は軽いのにやたらと反応が鈍い動きにすぐに切れるスタミナ。

心もとない気の量。耐久力もあんなもんだったし。まさかほんとに?

ベッドから立ち上がり、体に染みついた亀仙流(と言っても亀仙流には基本の型などはないのだが)の動きを行う。

続けて狼牙風風拳、よし、こっちは問題なさそうだ。

 

 力強さやスピード等諸々足りていないが、いわゆる技術に関しては衰えていないようだ。

掌に気を集中させて操気弾も作れたし自在に操ることも問題ない。威力はお察しだったが。

それにしてもいったいどうしてこんなことに? こんなことができるのはドラゴンボール位だが俺は使った覚えなんてないぞ。

 

「へぇ、弾幕も出せるの。追尾弾かしら。それに珍しい動きね。踊り?」

 

 俺の確認作業を見ていた幽香が興味深そうに訊ねてくる。

 

「はは、弾幕ってほど量は出したことないすよ。それと踊りじゃなくて武術です。弟子入りした流派のと俺の独自のやつっすね。」

 

「ふーん…武術ねぇ。その動きで私の弾幕を避けてたわけね。」

 

「ええ、風見さんの弾幕はすごい密度でしたけど穴も何か所かあったので。」

 

「当り前じゃない。弾幕ごっこなんだからわざと避けられる箇所を作るのがルールよ。

とは言っても簡単に避けられる代物でもなかったはずなのだけれどね。あんたのそれは私から見ても洗練されていたわ。」

 

 そう言って笑う幽香はこれまでのどの表情よりも柔らかい印象を受けた。

 

「そ、そっすか? いやぁ俺なんて師匠に比べたらまだまだ」

 

 口では謙遜するものの美人に褒められて悪い気はしない。そうだよね、俺結構やるもんだよね!

ちなみに武天老子様の技術には本当に未だに追いつける気がしない。あの方は本当に凄まじいお方だ。

神様や界王様の教えももちろん素晴らしいが、武天老子様とカリン様のおかげでどっしりした器を持てた気がする…。

 

「ふぅん…外の世界にも面白い人間がいるのね。常識の範疇の奴しかいないと思ってたけど」

 

「はは、そりゃほとんどは常識の範疇ですよ。一部がおかしいだけで。

…っと、あんまり長居してもいられないし、そろそろお暇します。色々とお世話になりました。」

 

 色々の部分を少し強調しておいたが当の本人はどこ吹く風といった様子だ。にゃろういい根性してやがる。

なにはともあれどうにか元の世界に帰らないとな。

一礼して教えてもらった博麗神社へ向かうため外に出ようとすると突然辺りの気配が変わる。まるでブウが精神と時の部屋から出てきたときみたいな。

 

「――――お待ちいただけますか?」

 

 スッと空間に切れ目が入ったかと思うと、ぐぱぁっと上下に開き、まるで窓のようにその先に異空間が広がっている。

その窓枠に腰掛ける少女が妖しい笑みを浮かべながら話しかけてきた。

 

「ごきげんよう、風見幽香。そしてヤムチャさん」

 

 目礼してこちらを見てくる少女。なんで俺の名前を?

 

「めんどくさい奴が来たわね。」

 

 幽香はそれだけ呟いて嫌そうな顔をしている。確かに見るからにうさんくさいが、何者だ?

 

「申し遅れましたわ。八雲紫と申します。」

 

「八雲紫っていうと幻想郷の管理者っていう? ちょうどよかった! 八雲さん、俺を元の世界に帰してもらえませんか?」

 

 俺の申し出を受けた八雲さんはふっと目を伏せて

 

「失礼ですが、元の世界にお帰りになってどうなさるおつもりです?

私はあなたの世界の状況はある程度把握していますが、あなたが戻ったところで無駄死にするだけでは?」

 

 俺たちの世界の状況を知ってるのか…それに言いにくいことをサラッと言いやがる。まったくの正論だ。…けどな!

 

「たとえ何の役にも立たなくったって…弾避け位にはなる! 俺だって武道家の端くれなんだ。じっとしてはいられない!

そりゃ、今までも悟空やガキどもに任せっぱなしだったさ! だけど俺にだって意地はある!」

 

 自分の無力さは嫌というほどわかっていたが、他人に指摘されると結構クルもんだな…。思わず声を荒げちまった…。

 

「…そうですか。ですがそれでもやはり今のあなたでは弾避けにすらならないかと。」

 

 八雲紫は残酷な現実を突き付けてくる。わかってんだよそんなことは!

 

「それでもだ! 俺はあの時、ホントに何もできなかった! 同門で…同じ地球人のクリリンでさえ家族を守るために立ち向かったってのにっ!」

 

 ブウにお菓子にされる直前、結果はともかくとしてクリリンは立ち向かった。だけど俺は…

あの時、俺は本当に武道家として終わっちまったんだ…。

 

「だけど…俺だってまだ…! じゃないと、アイツにあわせる顔がないっ!」

 

 そう、あわせる顔がないんだよ。同じ戦う者として一番付き合いが長いのは俺なんだ! 

その背中はもうだいぶ前にはるか彼方に行っちまったけど、それでもアイツの仲間だって誇りがあった!

それすら、今のままじゃ亡くしちまうんだよ!

 

「――――なるほど。覚悟はおありのようですわね。それでは、ここで強くなっていかれてはいかがでしょう?

微力ながらお力になりますわ。もちろん、私としても目的はありますのでご協力いただきたいのですがね。」

 

 

 

 






ちなみに幽香さんはものっそい手加減してました。それこそ一般人を相手にするくらい。


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