RDがISを動かしました   作:オールドクイーン

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ロザリィ「ねぇ、RD。なんでアンタの語尾って
「〜っす」じゃなくて「〜ッス」なの?

RD「作者のミスッス。もう戻すのもあれなんでこのままって事らしいッス」



八話 実家

職員室

 

 

 RDは職員室に居る。理由はロザリィに昨日電話で

 

ロザリィ「RD、アンタそろそろこっちに帰ってきなさいよ。レオンも私も待ってるんだから、外泊届けくらい簡単に出してもらえるでしょ!」

 

RD「無理無理無理、無理ッスよ、こんな土壇場で!」

 

ロザリィ「無理とか言わない!どうせ通るわよ、やるだけやってみなさいよ。」

 

RD「うぅ…分かったッスよ、姉さん」

 

 それでここに到る。そしてRDの眼前に鎮座坐す職員は地上最強の名を持つ織斑千冬である

 

 

RD「すいません、織斑先生。実家に帰りたいのでその…外泊届けを」

 

RD(ダメッス、やっぱりこの人に見られてるだけで、俺…怖いッス)

 

千冬「ん、そんな事か、分かった。ちょっと待ってろ、持ってくる」

 

 

 織斑千冬が席を外し職員室の奥の方へと行く。RDは鳩が豆鉄砲を食ったように、ただボーっとしている

 

 

RD(え?案外簡単に通った…?)

 

千冬「ほら、これだ。ここに名前と外出する日を、書けたら持ってこい。」スッ

 

RD「え?あ、ありがとうございます…」

 

千冬「どうした?すんなりと外泊できて不思議か?」

 

RD「え、まぁそんな感じッス。元々無理だと思ってたんで…」

 

千冬「親御さんとまともな別れもせずに此処に連れてこられたんだ。今回は羽根を伸ばしてこい」フフ

 

千冬「それに、幾ら男性操縦者とはいえ、生徒である以上は他の女子生徒と別扱いする訳にはいかんからな」

 

RD「ありがとうございます。では、失礼しました」

 

ガラガラガラ

 

千冬(行ったか。口の上ではあんな事言ったが、本当は此処の職員は満場一致で出すべきではない、となっていたんだがな…一夏め、今回だけだぞ)

 

 千冬はそう心の中で思いながらコーヒーを飲む。そして窓の外を見ながら面倒な事にならなければ良いが、と思う。

 

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昨日、寮内、千冬の部屋

 

ガチャ

 

 

一夏「千冬姉…」スタスタ

 

千冬「ん?一夏か、どうしたんだ?珍しいな」

 

一夏「レイの事なんだけどね」

 

千冬(何だ、藪から棒に)

 

千冬「レイの事がどうした?相部屋が不満なのか?」

 

一夏「いいや、全ッ然違うよ!うん!それでね、要件だけ言うね、明日レイが言いに来ると思うけど…レイの外泊届け、受理して」ウワメヅカイ

 

千冬「お、おいおい、どうしたんだぁ?他の生徒ならともかくレイだぞ。そんなの私の一存では…」

 

千冬(どうしたんだ一夏、お前らしくない)

 

一夏「…来週から一週間お弁当作ってあげる」

 

千冬「……分かった」

 

 

 千冬は折れた。妹の作る弁当に負けたのだ。彼女自身此方に来てから一夏の手料理は殆ど食べれていない。そんな中、難しい話とはいえ手料理を食べるチャンス。地上最強がそれを逃す訳がない

 

 尚、この手は幾度と使われる事になるがそれは別の話

 

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千冬(全く、彼奴に気でもあるのかぁ?)

 

 

 どうせあいつの事だ。無自覚の保護欲でもフル回転で回らせてるに違いない。

 

 

千冬(或いは…色付いたのか?いや、そんな筈…が、あんな反応だったしなぁ)

 

 千冬(長期戦になる、か…或いは存外ただの親切心かもな)

 

 この状態が続いて奴に関しての話題が幾つか増えてきたら前者の方を考えていくか。そう思いながらふと、隣の山田真耶の存在に気がつく

 

山田「織斑先生」肩ポンポン

 

千冬「どうしたんですか?山田先生」

 

山田「あの…いつまで空のコップに口つけているんですか?」ユビサシ

 

千冬「…ゴホン。少し考え事をしていただけですよ」

 

山田「そ、そうなんですか。やっぱり、レイ君か一夏さんの事ですか?」

 

千冬「そんなところです」フフ

 

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RD(戻ってきたんスね、家に)

 

 

 RDの前には今まで住んでいた家がある。また姉さんとレオンさんと話ができるのか、と思うとワクワクする

 

 思うと短い間で色々とあった。ISに専用機にクラス代表戦。今までの暮らしとは全く違う生活をしてきたRDにとって、この帰宅は、すり減った心を癒やせる事であり、現に今心は踊っている

 

 

ガチャ

 

 

RD「姉さん、帰ったッスよー」

 

RD(あぁ、この掛け声はいつぶりだろう。今までは毎日の出来事だったのに…)

 

 

ドタドタドタ

 

 

ロザリィ「RD!やっと帰ってきたのね。で、どうだった?女の園は」ニヤニヤ

 

RD「姉さん、そんな事より、俺…早くリビングに行きたいんスけど」

 

 

 RDは両手に持っていた荷物をドサッと玄関に置く。ロザリィも疲れできたのが分かったのか、手で此方を招きながらリビングに行こうとする

 

 

ロザリィ「ん?あぁ、じゃ、早く上がって上がって」

 

RD「マイペースッスねぇ…」ハァ

 

ロザリィ「なんか言った?RD」

 

レオン「その位にしておけ、ロザリィ」

 

 

 レオンが廊下の奥の方から出てくる。レオンはRDの隣の家に住んでいるロザリィと同年齢の男性である。昔から世話になっており、最早家族と言える程である

 

 

RD「レオンさん、久しぶりッス」ペコリ

 

レオン「よぉ、RD。久しぶりだな。ま、積もる話もここでなくリビングでな。な?ロザリィ」ハハハ

 

ロザリィ「あーはいはい。分かった分かった。二人して言わないでよ」

 

 

 それを聞いたロザリィは耳を手で塞いで嫌々そうに返答する。

 

 

RD(本当に、帰って来たんスねぇ)

 

 

 RDは思わず笑みを浮かべる。そこには本来は今も当たり前のように見れた光景。ロザリィがRDにいたずらをし、レオンが止める。しかし今はこんな日常すら殆ど見れない

 

 

RD(けど、だからこそ今の俺は…)

 

 

 RDはISにこの日常を奪われた。しかし、ISは同時に変わる勇気をRDにくれた。そしてそれをバネにRDは変わる事を決意した。それに、この日常も後3年でまた戻ってくる

 

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リビング

 

 

ロザリィ「で?RD。学園の方ではどうなのよ。好きな人でも見つけた?」チラッ

 

 

 リビングでだらーっとしているロザリィがRDに問い掛ける。やっぱりか、とRDは逃げる為の言葉を考える

 

 

RD「そ、そんな事ある訳ないッスよ。」

 

ロザリィ「へー、顔面偏差値300とか言われてるIS学園様にはRDの御眼鏡にかかる人は居ないと」

 

RD「んな事言われたって…俺」

 

 

 RDが俯く。元々女性との関わりが薄く、臆病な彼が、女の園へと単身で行ったのだ。その苦労はロザリィも嫌でも分かる

 

 

ロザリィ「はぁ、RDらしいわ」ヤレヤレ

 

レオン「まぁ、RDは受け身だからな。これは長丁場になるな、ロザリィ」

 

ロザリィ「そうねぇ、流石のお姉さんも弟のこの性格は直せないわー」

 

 

 レオンの言葉に反応してロザリィが苦笑いしながら返答する。このままでは心配させてしまうと、RDが二人にとっての朗報を口に出す

 

 

RD「けど、友達はできたッスよ」

 

ロザリィ「んー?ん?今なんつった?RD。」

 

RD「だから友達ができたって」

 

ロザリィ「…ねぇレオン」

 

 

 ロザリィが真顔になる。いつもヘラヘラと笑っているロザリィの真顔はRDやレオンにも滅多に見れない。それのせいか場が凍りつく

 

 

レオン「な、なんだ?ロザリィ」

 

ロザリィ「顔面偏差値300の女の園で暮らしてるRDに友達ができたって」

 

レオン「らしいな。で?それがどうした」

 

ロザリィ「RD…」ギロッ

 

RD「な、なんスか、姉さん」アセアセ

 

ロザリィ「…できるだけ早く紹介しなさいよ」ジトメ

 

RD(あ、これマジな目だ。けど紹介って友達を?何故…ん?紹介…女性…)

 

RD「って、何でそうなるんスかぁ!姉さん!」

 

ロザリィ「あーぁ、バレちゃった。良いから早く紹介しなさいよー。お姉さん心配なのよねぇ、RDに彼女できるか」

 

 

 ロザリィが真顔を解き、いつもの顔になると、ロザリィはレオンの持ってきたお茶を飲む。その顔は冗談半分本気半分の顔だとRDは瞬時に判断し、悩み込む

 

 

ロザリィ「今を逃すとチャンスなんて殆ど無いようなもんよー?RD。その子とちゃっちゃとくっつきなさいよ」ニコニコ

 

 

 ロザリィがRDに笑顔を向けながら言い放つ。RDの弱点である中でも一番の効き目を放つそれに対してRDは、抵抗できない。姉の純度100%の笑顔を見て抵抗できる弟などこの世にいようか

 

 

レオン「流石にそれは言い過ぎだ。で、その子はどんな子なんだ?RD」

 

 

 レオンもこの話題には興味があるのか訪ねてくる。レオン自身も、女友達をほとんど作らなかったRDの女友達は、一体どんな人なのか気になっているのだ

 

 

RD「それがその…ッスね」

 

ロザリィ「早く言いなさいよーRDー」肩グイグイ

 

RD「t……最…の妹ッス…」ボソボソ

 

ロザリィ「あぁ?もっと大きい声で言いなさいよ、RD、ほら、声を張って!」

 

RD「…地上最強の妹ッス…」

 

ロザリィ「……あー…」

 

 

 ロザリィの顔が青白くなり、目も白目に切り替わる。ロザリィの後ろにいるレオンも、聞いた事を後悔したかのように外方を向き哀愁漂う顔になる

 

 

ロザリィ「大物友達にしたわねぇ…」

 

レオン「…よりによって相手の御家族が地上最強かぁ」

 

RD「な、なんスかぁ!二人共そんな言い方して、只の友達ッスよぉ!?」アタフタ

 

 

 その後、なにかの決意を決めたのか、ロザリィが口を開く。

 

 

ロザリィ「いつか連れてきなさいよ、アンタならやれるって。お姉さんの方はこっちが何とかするから」ニヤニヤ

 

RD「なーにニヤニヤしてるんスかぁ!姉さん!」

 

レオン「お前は、相手の事だけを考えろ。他はこちらの仕事だ」ソデマクリ

 

RD「レオンさんまで!やめてくださいよ、本当に!」

 

 

 そんな事を話したりしながら、時間は午後5時半になる

 

 

ロザリィ「まぁいいわ、それは後でまた聞くとして。さーて、夕食の準備しなきゃね。レオン、連絡を」

 

RD「ん?何か出前でも取るんスか?」キョトン

 

ロザリィ「そんなんじゃないわよ」

 

 

プルルルル

 

レオン「ん、あぁ俺だ。RDが帰ってきた。どうせ飯もまだなんだろ?久しぶりにこっちで食ってけ。二人も連れて」

 

ピッ

 

RD「レオンさん、一体誰に連絡したんスか?」

 

レオン「ん?あぁ、隣の家の主任達だよ。面子的に後半酒盛りになると思うが…許してくれ」

 

ロザリィ「さぁ、今日はパーッと飲むわよー!」ハハハ

 

RD「姉さん…」




御朗読ありがとうございます。

RDの実家帰宅編、これを含めて3話にして書く予定です。その後が箒とセシリアの二人の話か鈴の登場回ですかねぇ

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