鬼狩り? 私は一向に構わん!!   作:神心会

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原作同様、那田蜘蛛山・柱合裁判を経ての炭治郎蝶屋敷入りですが。
烈さんの介入により、那田蜘蛛山編でとある変化が実は起きております。


19 鬼殺隊と烈海王

 

「烈海王さん……それが、あの人の名前なんですね?」

 

「まあ、名前と言いますか呼び名と言いますか……海王はあくまで称号ですからね」

 

 

 

 

蝶屋敷の病室において。

自分達を巡っての話し合いの後、まずは治療を最優先としてここに運ばれた炭治郎は、アオイよりある人物の話を聞いていた。

 

 

先刻、自分と妹に厳しくも強い激励を送ってくれた漢―――烈海王。

 

中国拳法界における最高峰の称号『海王』を名乗る事を許された拳法家。

現在は食客として鬼殺隊に身を寄せているものの、その強さは柱と比べても遜色無く……その裏付けとして、相当数の鬼を葬っている。

 

 

 

「そんな凄い人だったなんて……俺達の事も気遣ってくれたし、烈さんって本当に良い人なんですね」

 

 

 

烈海王には、力強く一本気でどこまでも真っすぐな人間性を感じさせる、そんな匂いがあった。

事実あの場においても、彼は柱の面々から大いに信頼されていた。

故に、接した時間こそ短いながらも……炭治郎には、こう断言できた。

 

 

烈海王は、尊敬に値する人物だと。

 

 

 

 

 

「……いや、ちょっと待ってよ炭治郎。

 烈海王って……あの、烈海王だよね……?」

 

 

 

しかし、それに待ったをかける者がいた。

炭治郎の隣のベッドで横たわる、金髪が目立つ隊士―――我妻善逸である。

彼もまた炭治郎と同じく、昨日の任務において鬼を倒したものの手傷を負わされた身だ。

そしてその具合は、炭治郎よりも重症な訳だが……今、そんな彼の肉体がブルブルと震えていた。

 

 

 

だが、それは傷が疼くからなどという訳では無く……

 

 

 

「いやいやいや、優しい良い人とか無いってッ!!??

 お前、烈海王って言えば鬼も泣いて逃げ出す魔拳の持ち主って噂だからなッッ!?

 滅茶苦茶怖ぇって絶対ッ!!!」

 

 

そう、烈海王の噂を知るが故に善逸は震えていたのだ。

何せ炭治郎と合流する以前、彼が聞いた話は―――その正否は別として―――どれもこれも、異常な物ばかりだった。

 

 

 

 

 

曰く、呼吸を不完全にしか使えないにも関わらず、十二鬼月の下弦を無傷で圧倒する実力者。

 

 

曰く、岩の様に強固な皮膚の鬼が一発殴られただけで悶絶して膝を折った。

 

 

曰く、丸太の様に太い首をした鬼に肩車の様な姿勢で組み付き、胡坐をかくような姿勢で首元を極めて横向きに回転―――転蓮華なる技らしい―――し、首をぶち折った。

 

 

曰く、同行していた隠を人質に取った鬼に対して人質ごと拳を叩き込む暴挙に出るも、衝撃は人質を突き抜け鬼にのみ叩きつけられ、その者は無傷で済んだ。

 

 

曰く、口から火炎を噴いてきた鬼に対して同様に莫大な量の呼気を放出し、完全に掻き消した。

 

 

曰く、鬼相手に金的を叩き込みこの世のものとは思えぬ痛みを与えた後、その隙をついて首を断った。

 

 

曰く、半端な呼吸の未熟者と馬鹿にした鬼が、どっちが鬼か分からないような形相をした烈海王に『お前は中国拳法を舐めた』と吼えられ、全身を破壊された上で討滅された。

 

 

 

 

「おかしいだろコレェッ!!

 烈海王って、本当に人間なのッッ!!??

 鬼よりよっぽど人間離れしてるじゃないかァッ!!??」

 

「そ、そんな噂が流れてるのか……?

 でも、流石に無茶苦茶すぎるし……どこかで尾ヒレがついてるって」

 

 

善逸が語る烈海王像に、炭治郎も若干引き気味であった。

だが、流石に内容が荒唐無稽過ぎる。

幾らかは真実かもしれないが、噂が独り歩きしてこの様な形になったのではないか。

 

そう、炭治郎は判断した……が。

 

 

 

「…………」

 

「え……あの、アオイさん……?」

 

 

横に視線を移すと、アオイが頭を抱えて無言で俯いていた。

まさか、という予感が炭治郎と善逸を襲い……直後、二人は確信する。

 

 

 

炭治郎は、彼女から漂う感情の匂いに。

 

善逸は、彼女から聞こえる感情の音に。

 

 

 

「……炭治郎さん。

 その、残念ながら……善逸さんが今話してくれた事は、全て真実なんです」

 

 

 

そしてアオイも、深くため息をつきながらトドメの一言を放った。

烈海王の噂話には、脚色も何も一切ない……マジで、彼はやっていると。

 

 

 

「イィィヤアアァァァァァァッッッ!!??

 なに、何なの中国拳法ってッ!?

 全集中の呼吸よりずっとおかしいじゃないかッッ!!??」

 

 

どうやら善逸の中では、烈海王とは人間の形をした別の何か―――妖怪の類ではないかという認識らしい。

そんなとんでもない男が隊の中枢にいるなど、たまったものではない。

もし目を付けられようものなら、どんな悲惨な目に遭わされるか。

炭治郎が親密に接している以上は、自分もまたそうなる可能性があると……気が気じゃないのだ。

 

 

「お、落ち着け善逸!

 烈さんは鬼じゃない、普通の人間だから!!

 匂いは間違いなく人間だったし、そもそも太陽の下で普通にしてたぞ!!」

 

「余計に怖ぇよそれェッ!?

 じゃあ、柱って全員そんな怪物揃いなのッッ!!??」

 

 

慌てて炭治郎がフォローを入れるも、全くフォローにならず。

寧ろそれで人間だというならば、同等の立ち位置にいる柱達もまた人間離れした存在という事になる。

先の任務で自分達を助けてくれたしのぶ―――容姿で食べていけそうなぐらいの美女である―――ですら、そうだというのか。

 

 

余りにも得体が知れなさすぎる……柱とは、そこまでの剣士なのかッッ……!?

 

 

 

「……そうだ……柱って奴は、滅茶苦茶強ぇぞ……」

 

「伊之助ッ!?

 お前、柱の戦い見た事あるのッッ!!??」

 

 

そんな彼等の会話を耳にし、更に横で寝ている猪頭の覆面を被った隊士―――嘴平伊之助は、静かに口を開いた。

彼もまた、炭治郎達同様に先日の任務に参加をし……そして、己の実力不足を痛感する結果に終わった身である。

 

己が牙が届かなかった、強大な鬼。

それを一刀の元に切り捨てた、彼曰く半々羽織の剣士―――水柱、冨岡義勇。

 

文字通り、次元が違う存在だった。

自分の信じていた最強の二文字が、木っ端微塵に吹き飛ばされる程に。

 

 

 

「……ゴメンネ、弱クッテ」

 

「伊之助ェッ!?」

 

 

思い出し、落ち込む伊之助。

咄嗟に炭治郎と善逸がフォローを入れにいくも、精神的に受けた傷は大きい様だ。

もっとも、彼―――炭治郎と善逸もそうだが―――の名誉の為に言うと、決して彼は弱くはない。

寧ろ同階級の隊士と比べれば、抜きん出た存在と言えるだろう。

 

 

 

ただ、目指すべき頂がまだ上にある……それだけなのだ。

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

「隊士の質の向上……これは非常に喜ばしい事だ。

 槇寿郎さんの尽力の賜物だろう」

 

 

炭治郎達が、そんなやり取りをしていたのと同時刻。

化け物揃いと称された柱の面々及び烈海王は、耀哉の下で入念に会議を進めていた。

 

 

まず焦点となったのは、隊全体における質の向上だ。

この半年から一年の間で、隊士一人一人の実力が目に見えて上がっているのである。

その立役者は、育手として復活を果たした槇寿郎だ。

彼の熱心な指導により優秀な剣士が多く育ち、また各地の育手も触発され、今まで以上の力を発揮する形となった。

現役の隊士達も、下の階級から優れた者達が現れてきている事で自分達もと努力をより重ね、同様に成果を上げている。

 

事実、先の那田蜘蛛山においても結果が目に見えて現れていた。

先遣隊こそ手酷い被害を受けたものの、後より駆け付けた隊士達が獅子奮迅の活躍を見せたのだ。

とある女性隊士は「もっと階級が上の人間を連れてこないと、みんな殺されてしまう」と当初は考えていたものの。

いざ接敵すると、人間を操る糸の血鬼術の仕組みを仲間と共に看破し、これを如何にか防ぎきる。

そこへ丁度炭治郎達が駆け付け、協力し合って無事に窮地を乗り切り生還を果たしたのだ。

 

 

 

「礼を言われるような事じゃない。

 自暴自棄になって、皆に多大な迷惑をかけた身だ……本来やるべき職務を果たしただけに過ぎないさ」

 

「それでもです、槇寿郎さん。

 俺や煉獄をはじめ、多くの者が貴方に感謝をしている……どうか、誇ってください」

 

 

 

もっとも、槇寿郎はその評価を謙遜と自戒から過ぎたものだと断っているのだが……

小芭内や杏寿郎は、決して自己を低く見ないでほしいとそこを持ち上げに行く。

そんな微笑ましく温かい光景に、悲鳴嶼は滝の様な涙を流し、蜜璃はキュンとときめき、耀哉は嬉しく思った。

 

 

……尚、天元と実弥は「伊黒が終始ネチネチ言わないで丁寧なの見てると、調子が滅茶苦茶狂う」と考えていたようだが。

 

 

 

「誇るべきと言うなら、それこそ烈さんだろう。

 あの鬼舞辻無惨と遭遇し、貴重な手がかりを掴んで帰還してくれた……どれだけ大きい功績か」

 

「ああ……烈さん、よく無事で戻ってきてくれた。

 極めて困難な任務を課してしまったが、貴方がこうして生還出来た事を心より嬉しく思うよ」

 

 

ここで話は、烈海王へと移る。

今回の柱合会議における、最重要議題だ。

 

鬼殺隊最大の怨敵たる鬼舞辻無惨との接敵且つ物品の奪取。

烈海王も重傷を負ったとはいえど、無事に戻ってきてくれた。

この収穫は極めて大きい……ここ百数年の間では、文句なしに最大の戦果である。

 

 

「いえ……私は、鬼舞辻を取り逃がしてしまいました。

 情けない話ですが、奴の能力と……何より、生存への執着を甘く見ていました」

 

 

もっとも、烈海王にとってあの闘いは、敗北に等しい痛み分けという認識だった。

油断も慢心も一切してはいなかった。

ただ……生き延びてやろうという無惨の意志が、烈海王の想定を超えて遥かに強かったが為に。

正直思い出すだけでも、はらわたが煮えくり返ってくる。

 

 

 

「炭治郎さんが与えてくれた最大の好機を、逃してしまった。

 この失態は、必ずや挽回させていただきます。

 おかげで分かった事も多くある……次こそは、鬼舞辻無惨をこの手で倒しましょうッッ……!!」

 

 

 

だからこそ……この怒りを、今は静かに蓄えておこう。

 

 

敗北したからこそ得られたものを、次に活かし……必ずや、勝つ為にッッ……!!!

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

「……成程、確かに並の鬼を遥かに凌駕している……恐るべき相手だ」

 

 

烈海王が事細かく話してくれた、鬼舞辻無惨の能力。

そのどれもが驚異的であり、柱達も戦慄せざるを得ない代物であった。

 

 

 

攻撃に入り混じる、常人では耐えられない猛毒の血液。

 

丈夫な西洋建築の館を、常温のバターが如く容易く切り裂いた触腕。

 

顔面を串刺しにされ、且つ烈海王の拳打を連続で受けたにも関わらず致命には至らなかった、信じがたい自己治癒力。

 

 

 

どれ一つとっても、厄介な物ばかりだが……中でも殊更、対処が難しいものがある。

 

 

 

「違う場所と繋げる血鬼術……それをどうにかしない限り、鬼舞辻無惨には逃げられちゃうんですよね……?」

 

 

 

空間と空間を結ぶ、襖の血鬼術だ。

瞬き一つするかしないかという刹那の時間で出現し、跳び込めば即座に別の場所―――十中八九、鬼舞辻無惨の本拠地―――へと移動が出来る。

今思えば、これまで鬼殺隊が無惨を一切捕捉できなかったのは、この能力が大きいだろう。

どうにか隊士が近づけたとしても、僅かな気配を察知しての逃走を繰り返してきたに違いない。

 

 

「成程なァ……鬼が色んなとこに散らばって配置されてんのも、その力って事か」

 

「ええ……ただ、この術は鬼舞辻無惨とは別の鬼が使っている様なのです。

 奴は転移の襖が出現する寸前に、鳴女という者の名を叫んでいました。

 配下を呪いと恐怖で縛る鬼舞辻が、自身の生死に直結する場面で迷わず頼る存在……上弦の鬼か、或いは別枠の側近かと」

 

 

鳴女。

己以外の全てを見下し続けてきた鬼舞辻無惨が、例外的に命を預ける事を許す鬼。

この者こそが、鬼舞辻無惨を倒す上での最大の障壁といっても過言ではない。

例えどれだけ追い詰めたとしても、この鬼が健在である限り鬼舞辻無惨は逃走経路を確保する事が可能なのだから。

 

 

 

 

 

 

――――――ちなみに、烈海王達に知る由は無いのだが……この鬼の誕生経緯には、実ははじまりの剣士が関わっていたりする。

 

 

――――――全身を日の呼吸で切り裂かれ、自爆という手段で辛うじて生き延びた鬼舞辻無惨は、次の襲撃を恐れて護身を最優先に考えたのだ。

 

 

――――――死ななければ、生きている限りは負けではない……ならば、絶対に逃げ延びられる手段を手にすればいいと。

 

 

――――――その結果、何体かの空間を操る鬼―――炭治郎が戦った響凱という鬼もその一人だ―――の生産に成功し、その中でも一際強い力を持ったのが鳴女である。

 

 

 

 

――――――縁壱が追い詰めたが故に、鬼舞辻無惨が護身完成に至ってしまった……皮肉としか言いようがない結果だ。

 

 

 

 

「だが、そいつを討つにしてもどうする?

 遭遇できたとしても、その術を封じない限りどうにもならねぇ……かなり厄介だぞ」

 

「……前回の柱合会議でも、こんな流れがありましたね。

 あの時は、烈さんの打撃が有効であると判断されて、事実その通りだったみたいですが……一つ判明すれば、また一つですか。

 鬼舞辻無惨の用意周到さは、本当に恐るべきものと言いますか……」

 

 

問題はこの鬼が、鬼舞辻無惨とは別ベクトルで討ち難い相手という事だ。

何せ、接敵と同時に即転移が予想される鬼ときた。

近づく事すら難儀で、飛び道具を用いたとしても回避される可能性が極めて高い。

 

つまり……この鳴女を倒すには、暗殺しか手はない。

視界に捉えられる事無く、完全に気配を殺して一切の動きを悟られぬ様に近づき、致命傷を与える。

これが如何に難しい所業であるかは、言うまでもないだろう。

 

 

(もし、それが出来得るならば……環境利用闘法のガイアか)

 

 

ふと思い至ったのは、修業時代の刃牙を苦しめたというガイアの事だ。

彼が用いる環境利用闘法は、文字通り周囲のあらゆる環境を利用する独特の戦術。

その多彩さは、中国拳法を以てしても感心する領域にあるが……その中に一つ、この状況を打開しうる技がある。

 

擬態。

最凶死刑囚シコルスキーとの闘いにおいて、ガイアは地面の砂を自ら身に纏う形でカメレオンが如く景色との同化を果たしたのだ。

気配を消す術は既に心得ている……後は、姿を消すこの技と組み合わせられたならば。

鳴女に転移をさせる事無く―――遭遇できるか否かは別問題として―――倒しきれるかもしれない。

 

 

(しかし……理屈こそ簡単だが、これは並大抵の技ではない。

 せめて一度でも目に出来ていたならば、まだどうにか出来たかもしれぬが……)

 

 

だが、出来るかどうかと言われれば相当に難しい妙技だ。

まして烈海王は、徳川よりこの技について伝え聞いた身……実物を目にしたことが一度も無い。

手探りで習得を目指すとなると、かなりの事になるだろう。

それでも、他に対鳴女用の戦法が無い以上はどうにかやってみる他ないか。

 

 

 

 

そう、悩んでいた……その最中であった。

 

 

 

 

「……その事なのだが、私に一つ考えがある。

 もし私の推測通りならば、その鬼を討てるかもしれない」

 

 

 

 

打開策がある。

そう、思わぬ人物より提案が出たのだ。

 

 

口を開いたのは、柱の面々でも無く、烈海王でも槇寿郎でも無く……

 

 

 

「お館様……何か、お考えがあるのですか?」

 

 

 

産屋敷耀哉だ。

まさか戦法の是非を問う場面で、彼が発言をするとは―――少々、失礼かもしれないが―――誰も思ってもみなかった。

それだけに、皆が驚きの表情で視線を向けるが……しかし。

 

並外れた勘と洞察力を持つ耀哉が何かを感じたというならば、必ず何かある筈だ。

自分達には気づけない、彼の視点からこその発想が。

 

 

「ああ……烈さん、槇寿郎さん。

 会議が終わったら、炭治郎に会いに行くつもりかな?」

 

「はい、彼には色々と尋ねねばならぬ事がありますので……もしや、彼に何かが?」

 

 

 

 

「うん、その通りだ。

 彼が今日まで繋いできた縁こそが、転移の鬼を討つ切り札になる。

 幸いにも、烈さんの御蔭で手土産もある事だしね……そして、槇寿郎さん。

 実は貴方が精査をしてくれている押収品についても、同じく彼が鍵を握っているかもしれないんだ」

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

「では、炭治郎さんには私からお伝えさせていただきます」

 

「ありがとう、よろしく頼むよ」

 

 

耀哉の策は、見事という他ない内容であった。

成程、確かにその手を使えば転移の鬼を打倒する事は十分可能だ。

僅かな状況報告から、よくぞこの最善手を思いつけたものである。

 

 

 

そして……鬼舞辻無惨の潜伏先より得られた情報から導き出される、その狙い。

これもまた、一つに繋がってくるのだ。

考えてみれば単純な話であり当然の帰結でもあるのだが、確実性の重視で言えば決して無駄ではない。

寧ろ、ここまでの積み重ねがあったからこそ辿り着けたというべきか。

後は炭治郎と話し、彼からの了承を得られるかに全てがかかっている。

 

 

(竈門炭治郎……実に素直で真っすぐな、良い少年だった。

 伸びしろもありそうだ……鍛えれば、優れた剣士になるだろう)

 

 

彼の入隊を切っ掛けにして、鬼殺隊は大きく前へと踏み出す事が出来た。

ならばその礼も兼ねて、彼が強さを求む限り、しっかりと鍛え上げねばなるまい。

 

 

 

 

全ての道筋が、一本に交わっていく。

誰しもが、鬼舞辻無惨との接敵は遠くない未来であると予感していた。

 

 

 

 

 




Q:烈さん、マジで色々やらかし過ぎてない?
A:烈さんにとっては平常運転ですし、Mr.アンチェインとかに比べればまだマシな方です。


かまぼこ組、烈海王がどんな人物かを知るの巻となりました。
炭治郎にとっては自身と妹を導いてくれた恩人。
善逸にとっては洒落にならない力を秘めている、関わり合いを持つのが怖いバケモノ。
伊之助にとっては柱と同じく最強の指標。
それぞれに思うところはありますが、三人ともこれから本格的に烈さんと関わっていく事になります。

そして、前書きにて触れた那田蜘蛛山の変化ですが、原作と比較して犠牲者が大幅に減少しています。
煉獄パパさんが育手として再起した影響で、炎の剣士のみならず多くの隊士の実力向上に繋がり、結果として窮地を乗り越えられました。
……ただし残念な事に、サイコロステーキ先輩はあのスタンスなので実力向上が見られず、原作と同じ末路を辿った模様です。

会議の場でお館様が提案した鳴女対策及び煉獄パパの精査した無惨の目的についてですが、これは次話以降で少しずつ出していく予定です。
もっとも、原作から容易に読み取れる内容でもありますので、そこまで勿体ぶる必要性もないかもですが。


鳴女が生み出された経緯に関しては、独自の解釈をさせていただきました。
ただ、縁壱との遭遇後に生み出された鬼なのは間違いないと思います。
そうでなければ、自爆しなくても鳴女の術で逃走するなり縁壱を飛ばすなり、確実に出来ていたでしょうから……


Q:転蓮華で鬼って倒せるの?
A:相手の首を両足及び手でロックしてから回転する技なので、手でロック=鋼線編み込み手袋を首元に当てる=日輪刀で首を断つのと同義という事で、可能です。

Q:環境利用闘法は烈さんでも流石に不可能?
A:あくまで擬態の使用は難しいと解釈させていただきましたが、水弾や砂弾レベルなら十分できると思います。
  実際に武蔵戦で砂弾は使っています。

Q:人質諸共拳を叩きつけられた隠って、後藤さん?
A:御存知後藤さんです。普段より烈さんを信用してるとはいえ、流石にこの時ばかりは「死ぬかと思った、本当にやめてほしい、怖い」と気が気じゃなかったそうです。


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