鬼狩り? 私は一向に構わん!!   作:神心会

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入門を掛けた手合わせ。
烈海王vs不死川玄弥、開戦。

玄弥の実力については、人によって色々と解釈の分かれる点が多いかとは思います。
後書きにて詳しく書かせていただきますが、この作中においてはこの様な形とさせていただきました。


22 入門試験

 

 

 

 

 

(ッッッ~~~~~!!!??)

 

 

 

 

 

鍛錬用の木刀を手渡され。

構えを取る烈海王を前にして……玄弥の全身から、冷たい汗が噴き出していた。

 

 

今までに無い……どんな鬼を相手取った時よりも、強く重たいプレッシャーを感じていたが為に。

 

 

 

 

(……確かに身体の造り込みは凄いけど、それでも身長だけでいえば俺の方が上。

 大体、親指以外の指四本分くらい……少しばかりだけど、俺の方がこの人より高かった……筈、なのに。

 何で……見上げてるんだ、俺ッッ……!?)

 

 

 

烈海王の身体が、デカく視えているッッ!!!

 

 

 

悲鳴嶼と同じ……否、それ以上にッッッ!!!!

 

 

 

 

圧倒的に……巨大に感じるッッッッ!!!!!

 

 

 

 

(大岩……猛獣……大海ッッッ……!!??)

 

 

 

様々な猛威が脳裏を過る。

 

烈海王の背後に視える、圧倒的な威を言い表すには……何に例えれば良いかが分からないッ……!!

 

 

 

(ッッ……ビビんなッ!!

 こんな所で震えちまってたら、強くなれる訳がねぇッ……!!

 気持ちで負けちまったら、闘う以前の問題だろうがッ!!)

 

 

しかし、玄弥はその震えを気迫でねじ伏せた。

烈海王は、自分に力を示せと言ってきたのだ……それなのに、闘う前から萎縮するなど情けないにも程がある。

自分から弟子入りを志願しておいて、醜態を曝してどうする。

決して許される行いではない……闘いから逃げ出したいなど、言語道断ッッ!!

 

 

(そうだ……俺は呼吸は使えねぇ。

 だから、楽に乗り越えられた任務なんか一つもねぇ……他の隊士以上に、いつも命からがらだ。

 こんな闘い……いつもの事じゃねぇかッッ……!!!)

 

 

 

格上との闘い……?

 

 

 

上等だ……鬼との勝負は、常に格上との勝負ッ……!!

 

 

 

 

 

恐れるな……全部、いつも通りじゃないかッッ……!!

 

 

 

 

 

「舎衛国……祇樹給孤独園……与大比丘衆……!!」

 

 

 

そして、やる事も一つ……何も変わらない。

 

ただ、自分の出せる全力を以てぶつかるのみだ。

 

 

 

「ッ……オオオオオオオオォォォッッッッ!!!!!!!!」

 

 

 

木刀を強く握り絞め、気合の雄叫びと共に疾走。

烈海王との間合いを一気に詰め、そして木刀を横にし薙ぎ払う。

 

 

狙うは急所―――首元。

 

 

 

 

その刃が今、まさに捉えんと迫り……!!

 

 

 

 

 

――――――ドンッッッ!!!!!!

 

 

 

 

 

 

「ガッ……!?」

 

 

 

 

直後。

 

 

玄弥の刃が、烈海王の首を打つよりも速く……烈海王の拳打が、玄弥の鳩尾に叩き込まれた。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

(今の動きッ……!!)

 

 

玄弥の突進に合わせての崩拳で、見事なまでのカウンターを打ち込んだ烈海王。

しかし、その表情には驚嘆の色が少なからず浮かんでいた。

何故ならば、玄弥が今見せた動きは……烈海王を以てしても、少々想定外のものだったのだ。

 

 

(初動から……ほぼ、出し得る最大のスピードだった。

 車両に例えるのであれば、発進と同時にいきなりのトップギアッ……!

 肉体全ての感覚を、限りなく速く解き放っての動きッ!!)

 

 

 

肉体の造詣が深い烈海王だからこそ、それは見て分かった。

玄弥は最初の段階から、ほぼほぼ全開だった。

 

 

脚運び、踏み込みの幅、到達までの時間。

あらゆる要素からして間違いない。

 

 

 

本来、肉体が全力を出し切る為に必要な助走とも言うべき工程が、極端に短かったのだ。

 

 

 

 

(確かに速さだけを見れば、善逸さんや杏寿郎さんの壱ノ型と比べて大きく劣っている。

 しかし、肉体のポテンシャルを引き出すという点でならば……見事という他ない。

 反復動作を物にしているなッ……!!)

 

 

 

それを為すモノこそが、悲鳴嶼行冥が玄弥に伝授した技法。

肉体の全感覚を瞬時に解き放ち、持ちうる全力を一気に引き出す手段―――反復動作である。

玄弥が扱えている事からも分かる通り、これは全集中の呼吸によるものではない。

人間が従来持ちうる、肉体及び精神的機能への特殊なアプローチから為される技だ。

 

 

その原理は極めて簡単―――集中を極限まで高めて一気に解き放つべく、予め決めておいた動作を行うというものだ。

故に『反復』動作である。

 

この説明だけではいまいち内容が伝わりにくいかもしれないが、実はこの技術は鬼殺に限ったものでも無い。

近代スポーツにおいて一流アスリートと呼ばれる選手の中にも、同等の手段を用いる者が存在しているのだ。

 

 

例えば、プロ野球界において最も優秀な成績を収め世界にも認められたと称される、イチロー選手。

彼はバッターボックスで構えを取る際、決まってある動作を取る事で有名だった。

 

ピッチャー方向へ右腕を伸ばしバットを立て、左手でユニフォームの右肩を引く。

 

テレビ中継か、或いは直接客席からか……どの様な形にせよ、この一連の動作を目にした者は大勢いるだろう。

この仕草が何を意味しているかと記者よりインタビューを受けた際、イチロー選手はこの様に答えたという。

 

 

 

――――――スイッチなんです。次へと切り替え、その為の集中を高める。

 

 

 

あの動作は一種のゲン担ぎ、自分の中での集中を高めるためのスイッチなのだ。

大事な勝負では、不安や緊張等からベストパフォーマンスを発揮できない場面もある。

そこで、普段から特定の動作を決めておくことにより、それを実施する事で精神の安定を図り平時の状態へと移行。

こうして集中力を極限まで高め、力を一気に出し切る事が可能となるのだ。

 

 

(玄弥が反復動作に用いるスイッチは、悲鳴嶼さんと同じ読経。

 昂っていた精神を読経により高度な状態で安定させ、その集中力を用いて脚力を瞬時に最大解放したッ……!!)

 

 

しかし、こういった理屈を理解は出来ていたとしても。

この反復動作を物に出来た隊士は―――悲鳴嶼が他者へと積極的に伝授していないという事情はあるものの―――少ない。

それだけ、習得にはコツが必要な独特の技術なのだ。

 

少しでも力を手に入れようと、相当な積み重ねをしたに違いない。

烈海王は玄弥のそんな努力に、素直に感心していたが……

 

 

 

 

 

 

その直後であった。

 

 

 

 

 

 

――――――ガシィッッ!!!

 

 

 

 

 

「何ッ!?」

 

 

 

玄弥が左腕を動かし、己が腹部に直撃していた烈海王の腕を強く掴んだのだ。

意識外の部位へと、カウンターで入った強烈な打撃……受けたダメージは相当に大きかった筈。

少なくとも数秒は動けないと見ていた中で……玄弥は、その予想を覆してきた。

 

 

烈海王の拳に耐え……瞬時に反撃へと移ったッッ!!

 

 

 

「アアアアァァァァァァァッ!!!」

 

 

身動きを封じた状態での、頭部狙いの薙ぎ払いッッ!!

 

近距離からのこの一撃は、まず躱しきれないッッッ!!!

 

 

 

 

「ッッ……破ァッ!!」

 

 

 

しかし、烈海王はこれを思わぬ方向へと避ける……!

 

 

腕を掴まれ、後ろにも左右にも逃げられないのであれば……前に出ればいいとッ!!

 

 

 

 

 

――――――ドゴォッ!!

 

 

 

 

 

「がはッ……!?」

 

 

 

肩口からの靠撃―――近距離ショルダータックルッッ!!

掴まれた右腕はそのままにして左脚で一歩踏み込み、木刀が直撃するよりも速く肉体を内側に潜り込ませ、叩き込んだのだッッ!!

回避と同時に攻撃をぶつける、この状況に即した最適解ッッッ!!!

 

またしてもカウンターの形となり、玄弥の受けたダメージは決して少なくは無いが……

 

 

「ッッ……まだァァッッ!!」

 

 

しかし、先程と全く同じく……玄弥の動きはダメージで一切鈍る事がなく、即座の反撃に移ったのだ。

烈海王が自ら肉体を潜り込ませたのならば、こちらも至近での強烈な打撃を打ち込む事が出来る。

 

狙うは、その腹部。

放つは、人体でも特に強固な部位による一撃―――左膝蹴りッ!!

 

 

 

 

――――――ドンッッ!!!!

 

 

 

(ッ~~~!?

 堅……なんて筋肉してるんだッッ!!??)

 

 

その一撃は、狙い通りに烈海王の腹部に命中したものの……伝わる感触は、決して良い物とは言えなかった。

打ち込んだ膝の方が、ダメージが大きかったんじゃないかと錯覚するほどに……凄まじく堅かったのだ。

 

 

 

全力で固められた烈海王の腹筋がッッ!!

 

 

幾多もの打撃を、時には斬撃をも防いだ強固な筋肉が、玄弥を断固として阻んでいたッッ!!!

 

 

 

 

(この人……俺の膝蹴りを、読んでたッ……!!)

 

 

 

腕を封じ、強引にペースへ持ち込もうとした玄弥の戦法……それ自体は、決して悪くなかった。

ある程度の隊士が相手であれば、十分だっただろう。

 

 

だが、目の前に立つのは中国拳法界の頂点に立つ海王が一人。

 

 

至近距離での殴り合いは、寧ろ十八番ッ……!

潜り抜けてきた場数が、決定的に違うッッ!!!

 

経験則より、玄弥の攻撃が左膝だろうと即座に察知ッ!!

瞬時に腹部へと意識を集中させ、腹筋を全力で固めてブロックしたのだッッ!!!

 

 

 

(ッ……構うなッ、押し切れェッッ!!!)

 

 

 

だが、玄弥は尚も反撃に移るッ!!

動かせる部位がある限り、痛みを意に介している暇など無いとッッ!!!

 

 

 

(相手が鬼ならアレが出来るが、人間相手……なら、こうだッッ!!)

 

 

 

今現在、攻撃に扱える最も有効な箇所は何か。

 

自由且つ即座に動かせるパーツは……この頭部ッ!!

 

 

 

 

狙いは、眼前にある烈海王の側頭部……そこへ、勢いよく振りかぶっての頭突きを繰り出すッッ!!

 

 

 

 

 

「……やはり、そう来ると思ったッ……!」

 

「ッッ!!??」

 

 

 

 

しかし。

 

この時、玄弥は知る由も無かっただろう。

 

 

 

つい先日、烈海王が伊之助との組手を実施し……こんなやり取りを交わしていたなどとは。

 

 

 

 

 

 

――――――あんな間合いから、権八郎の頭突きよりやべぇのが打てるのかよッッ!!??

 

 

 

――――――ほう……?

 

――――――炭治郎さんの頭突きは、私の拳打との比較対象になるだけの威力があると。

 

――――――それは興味深い……是非とも、次の機会に見せてもらいたいですね。

 

 

 

 

そう……あの日、烈海王は炭治郎の頭突きに深い関心を抱いた。

 

そして、有言実行とはまさにこの事……その日の夜に、炭治郎の元を尋ねていたのだ。

 

 

 

彼の頭突きの威力を知る為にッ……!!

 

 

 

 

 

 

――――――ゴンッッッ!!!!

 

 

 

 

 

 

「ガァッ……!?」

 

 

悲鳴を上げたのは、またしてもぶつけた側の玄弥。

 

 

否、ぶつけたと言うのは語弊があるだろう……正しくは、ぶつけられたのだから。

 

烈海王が、即座に頭部を動かしバッティングのタイミングを合わせたのだ。

最高の形で、カウンターを打ち込むべくッ……!!

 

 

 

(対頭突き……こんなに早く機会に恵まれようとはッ……!)

 

 

 

炭治郎に頭突きを披露してほしいと頼んだあの夜。

全力で防御を固めた上で、彼の一撃を受け止め……烈海王は、その威力の程に相当驚かされた。

 

伊之助の言葉通り、自身の拳打にも近い攻撃力を彼は発揮したのだ。

天性の石頭と、それを十二分に活かせるだけの技量。

よくぞその若さでと、正直感服した。

 

 

 

 

そしてこの時、烈海王はある事実に気づいた。

 

 

思えば……頭突きを駆使してきた相手には、中々に苦い経験をさせられていると。

 

 

 

 

騙し討ちに近い形とはいえ、見事なまでのカウンターを打ち込んできた寂海王。

 

肉体全てを弾丸と化し、恐竜すらも葬り去る超威力・超速度の頭突きをぶつけてきたピクル。

 

 

 

 

烈海王自身も、ヘビィ級プロボクサーの拳を額で受け止め粉砕した実績がある様に。

頭蓋という人体でも極めて硬い部位を扱う性質上、頭突きはかなり有効な攻撃手段なのだ。

無論、烈海王とてその点は重々承知しているが……残念な事に、繰り出せる場面にあまり恵まれなかった。

 

 

故に、繰り出す相手に苦戦したのかもしれないと……炭治郎の頭突きを受けたのは、良い経験になった。

 

 

おかげで己を見つめ返す事が出来……そして今、早速活かせているッ……!!

 

 

 

 

(しかし……これでもまだ、喰らいつくかッ……!!)

 

 

 

 

だが、そうして見事なカウンター頭突きを叩き込んでも尚。

 

玄弥は、掴んだ手を放さなかった……逃がすまいと、喰らいついていたッ……!!

 

 

 

 

(ダメージは間違いなく感じている筈……悲鳴嶼さんが心配する訳だ。

 全く、どこまでも似ているッ……!!)

 

 

 

危なくて見ていられない。

悲鳴嶼が彼の事をそう言った理由が、今ハッキリと分かった……これが不死川玄弥のファイトスタイルなのだ。

相手からの攻撃を受け続けても尚、鬼食いで培った肉体と強靭な精神力で強引に耐え抜き、真正面から食らいつく。

 

 

これは、自身の肉体とタフネスに絶対の自信を持つ花山薫と一見同じように見えるが……その実は、少々異なっている。

彼は一種の美学に基づき、相手からの攻撃を受け切っているのに対し。

 

 

玄弥のそれは、例えどれだけダメージを受けようとも『必ず勝たねばならない』という姿勢―――執念から来ている。

 

 

 

そう……やはり、玄弥はジャック・ハンマーと同じなのだ。

 

 

 

アレクサンダー・ガーレンより強烈な打撃の連打と投げを受けようとも、喰らいつき最後には勝利をもぎ取った様に。

 

アライJr.のパンチを顔面に執拗に受けようとも、構うものかと攻撃を優先して繰り出した様に。

 

 

 

 

勝利を得るためならば、我が身の犠牲を省みぬ……恐るべき意志の強さが、玄弥の根幹にはあるッ!!

 

 

 

(だが、惜しむらくは……拳法を知らぬ事ッッ!!)

 

 

 

しかし、その勝利への執着心を以てしても尚……相手が悪いと言わざるを得なかった。

腕を掴み、身動きを封じ続ける……鬼相手ならば、首を狙うチャンスも十分に生まれただろう。

 

 

 

 

 

だが、烈海王に対してであれば少々拘束時間が長すぎた。

 

 

 

 

 

全体の握力、力の流れ及び入れ方。

 

己が握りの程を理解する時間を、与えてしまったのだからッ……!!

 

 

 

 

「噴ッッ!!!」

 

 

 

次の瞬間。

烈海王は震脚と共に、握られていた右腕を大きく捻りッ……!!

 

 

 

 

「ッッッッ~~~~~!!!??」

 

 

 

 

玄弥の肉体は、烈海王の右腕を支点にして大きく一回転ッ……!!

 

 

 

 

――――――ドンッッ!!!

 

 

 

 

強く、背中から地面に叩きつけられたッッッ!!!

 

 

 

 

(投げられたッ……!?

 いや、投げられたというよりも……回されたッ!?

 腕の捻りで、渦巻きの様に……身体を持っていかれたッッ!!??)

 

 

烈海王が繰り出したのは、原理で言えば合気に近い一種の投げ技だった。

だが、仕掛けられた側の玄弥からすれば、何が起こったのかすら分からない一撃であった。

しっかりと踏ん張っていたのにも関わらず、両足はいつの間にか地面より離され、身体をぶん回されていたのだから。

 

 

(やべぇ……これ以上はッッ!!)

 

 

流石にこの攻撃は、無視できるものでは無かった。

このまま腕を掴み続けていては、また同じ攻撃を受けるかもしれない。

やむを得ず、玄弥は烈海王の腕を解放……同時に地を蹴り、追撃が来る前にと間合いを離す。

 

 

 

「不安が少しでもあれば、即座に優位を手放して仕切り直せる……悪くない判断力だ。

 そうそう、判断力と言えばだが……先程放った、あの頭突き。

 あれは相手が私だったからそうしたのであって……もし鬼相手ならば、首筋もしくは肩口に噛みついていたな?」

 

「ッ……お見通しだったんですか……!」

 

 

 

烈海王からの確認に、玄弥は息を呑んだ。

膝蹴りを腹筋に阻まれた直後、ならばと放った頭突き。

その際に考えていた、人には使えないもう一つの選択肢―――噛みつき。

それを、烈海王は見抜いていたのだ。

 

 

「鬼の皮膚の硬さは、もはや説明するまでもないだろう。

 それを喰らうというのであれば、相当な咬合力が必要となる。

 組み手で使っていい領域ではない程に……そう、感じたのだよ」

 

 

玄弥が鬼喰いを行っていると聞いた時点で、咬合力の高さは察しがついていた。

恐らくは、複雑に繊維が絡み合ったココナッツの実であろうとも、容易く噛み切れる程であろう……と。

 

 

(ジャック・ハンマーとの手合わせは、残念ながら叶わなかったが……この様な感覚だったのだろうな)

 

 

そして、もしあの場で玄弥が噛みつきを選んでいたならば……正直、危なかったかもしれない。

決して無視できないダメージを、確実に負わされていただろうから。

 

 

 

実に……面白いものだ。

 

 

 

 

「さて……これで終わりではあるまい。

 まだまだ、ここからだろう?」

 

「ッ……はいッッ!!」

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

「ッ……ハァ、ハァッ……!!」

 

 

数分後。

満身創痍と呼ぶに相応しい状態で、玄弥は地に倒れ伏していた。

対する烈海王は、多量の汗を流し呼吸こそ荒いものの……しっかり、その足を地に付け立っていた。

どちらが勝者であるかは、もはや言うまでもない光景だ。

 

 

「ふむ……ここまでの様だな」

 

 

あの後、玄弥は持てる全ての力を駆使して烈海王へと挑んだ。

何としてでもと、必死に足掻き……それでも及ばず、倒れ伏した。

 

 

(当然といえば当然の結果ではあるが……ここまで粘るとは……)

 

 

両者をよく知る悲鳴嶼からすれば、勝負の結果は端から見えていたが……予想外だったのは、玄弥の奮闘だった。

彼は想像をしていた以上に耐え抜き、長い時間を闘い続けたのだ。

 

 

無様な敗北は許されないという、その一心で……倒れ込むのでさえ、前のめりに。

よくぞ、ここまでやったものだ。

 

 

 

「……烈さん、玄弥の事をどう見る?」

 

 

だからこそ、気になって仕方が無かった。

烈海王は、この闘いを通じて彼に如何なる評価をつけるのか。

 

 

彼を嘆願通り、弟子とするか……否か。

 

 

 

 

 

 

「……率直に言わせてもらいましょう。

 玄弥……悲鳴嶼さんや実弥さんの言う通り、やはり君には才能が無い」

 

 

 

 

 

 

 

告げられたのは、残酷な一言だった。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

「ッッッ!!!??」

 

 

 

才能が無い。

その一言が玄弥に与えたショックは、例えようのない程にまで致命的であった。

 

 

自分は、出し切れるだけの精一杯を出した。

今まで生きてきた中で、今日の闘いは最も死力を尽くしたと言ってもいいぐらいに。

 

 

 

だというのに……それでも、認められないというのか。

 

 

 

 

 

 

―――雑魚はいらねェ……お前に才能なんか無ェ。

 

 

 

 

 

脳裏によみがえる、兄からの拒絶。

 

 

 

 

 

―――弟子には取るが、継子としては認められぬ……お前には、それだけの才が無い。

 

 

 

 

 

脳裏によみがえる、師からの断言。

 

 

 

 

 

(また……なのかよッッ……!!)

 

 

 

 

身体の奥底から、悔しさがこみ上げてくる。

 

両の眼に、涙が溜まろうとしているのが分かる。

 

肉が裂けるのではないかというぐらいに、無意識の内に拳が強く握られていた。

 

 

 

 

強くなりたい一心で、我武者羅に突き進んできたのにッ……!!

 

 

どれだけ努力しても……ダメだと言うのかッッ……!!!

 

 

 

 

(じゃあ……どうすればいいんだよッッ!!!

 才能が無い奴は、手を出しちゃいけねぇのかッ……やる前から勝負が決まっているってッッ!!!

 闘う事すら……俺には、許されねぇのかッッ……!!??)

 

 

 

 

 

 

才能が無い人間は、土俵に立つ事すら許されない……こうも無慈悲に切り捨てられるのかッッッ……!!!!

 

 

 

 

 

 

「……だが、私は君の強さを認めよう」

 

 

 

 

否……!

 

断じて、そんな事は無いッ……!!

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

「……え……?」

 

 

 

 

頭上より告げられた、埒外の言葉。

 

それを耳にし、呆然とした表情―――胸中に渦巻いていた怒りと悲しみすら、忘れてしまう程の―――で玄弥は顔を上に持ち上げた。

 

 

 

 

「確かに、鬼殺の剣士としての才能は君にはない。

 だが、積み重ねてきたモノは私が知る隊士達に決して劣るものでは無い」

 

 

 

 

今……烈海王は、何と言った?

 

 

才能が無いと言っておきながら……自分を、認める……?

 

 

 

 

 

 

「君の様な漢を一人、よく知っている。

 他と比較し、圧倒的不利な条件を持ちながらも……彼は、前に進む事だけは決して止めなかった。

 乏しい才能でありながらも、絶望を断固拒否して死線を踏み越えてきた」

 

 

 

 

ジョー・クレーザー。

煙―――スモーキンの異名を持つ、世界ヘヴィ級ボクサー。

彼は、烈海王が手放しに尊敬できる数少ない格闘士の一人であった。

 

齢三十六……一般的にはロートルと呼ばれる存在。

勝ったり負けたりを繰り返して、ようやくトップステージに上り詰める事が出来た。

 

乏しい才能、低い身長というボクサーとして致命的な欠点を抱えていたが為に。

プロモーターの中には、そんな彼を低評価する者も当然存在していた。

 

 

 

 

しかし……そんな逆境にも挫ける事無く、彼は努力を重ね続けてきた。

 

 

希望は、夢は、未来は、後ろには無いものだからと……前に進む事だけは、決して諦めなかった。

 

 

 

 

「歴戦を潜り抜けてきたと……一目見ただけで分からせる風貌が、彼にはあった。

 玄弥、それは君も同じだ。

 今の一戦が、どんな言葉よりも雄弁に私へと伝えてくれた」

 

 

 

 

才能が無い事は、確かに不運ではある。

 

だが、決して弱いという事ではない。

 

 

 

凡庸な身であっても、諦めぬ限り……人は、確かな強さを必ず得られるのだ。

 

 

 

 

 

「他の誰が否定しようとも、私はこう言おう。

 不死川玄弥の築き上げてきた強さを、この烈海王が認めよう……と」

 

 

 

「ッ……!!!!」

 

 

 

 

玄弥の目から、一筋の涙がこぼれ落ちた。

 

 

 

 

 

 

呼吸が使えない、才能が無い。

 

 

 

どうしようもなく弱い存在だと……ずっと、自分を惨めに感じてきた。

 

 

 

 

 

そんな自分を……はじめて、強いと認めてくれる人が現れた。

 

 

 

 

 

 

よく努力をしたな、頑張ったなと……その一言は。

 

 

 

 

 

 

「ッッッ……アアアァァァァァァァァァッ!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

何よりも……ずっと、聞きたかった一言だった。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

「烈さん……よろしくお願いしますッッ!!!」

 

 

一頻り、涙と共に感情を吐き出した後。

憑き物が落ちた、晴れ晴れとした表情で玄弥は烈海王と向き合っていた。

 

 

「ああ……こちらこそだ、玄弥」

 

 

今この時より、二人は師弟となる。

烈海王が持つ武。

不死川玄弥はそれを伝えるに相応しい戦士であると、認められたのだ。

 

 

 

「嗚呼……実に嬉しき事だ。

 玄弥よ、烈さんの元での日々は今以上に険しい物になるだろう。

 だが、お前ならば心配はあるまい……励めよ」

 

「悲鳴嶼さん……はい!

 本当に、ありがとうございました……!!」

 

 

そんな二人の姿に、感極まり涙を流す悲鳴嶼。

玄弥の不憫さを見かねて弟子にした身からすれば、目の前の光景は実にありがたきものだった。

 

巣立ちの時。

きっと、烈海王ならば己以上に玄弥を導ける筈だ。

 

 

 

「……玄弥。

 すまないが、少し悲鳴嶼さんと二人で話をしたい。

 お前も、今後私と行動を共にするに当たっての準備がいるだろう……荷造りがあればしてくるといい」

 

 

 

すると。

そんな悲鳴嶼を見て何か思うところがあったのだろうか……烈海王は、彼と二人にしてもらえる様に玄弥へ告げた。

 

 

 

「あ……はい、分かりました!」

 

 

 

当然、玄弥にこれを断る理由は無い。

また烈海王の言う通り、活動の拠点を移すに当たっての用意もしなければならない。

すぐさま、今日まで拠点とさせてもらっていた場所―――岩屋敷へと足を向けて、駆け出して行った。

 

 

 

 

 

 

「……烈さん。

 貴方が何を言いたいかは分かっている……私の過去の事、だろう?」

 

「お見通しでしたか……その通りです」

 

 

 

そして、玄弥の姿が見えなくなったのを見計らって……悲鳴嶼より、先に切り出した。

烈海王が何を言おうとしているのかが、察せられたからだ。

 

 

 

以前に一度だけ、烈海王に断片的にだが話した事がある……自身が鬼殺隊に入る切っ掛けとなった出来事について。

 

更に言えば、その出来事と玄弥の関係性についてだ。

 

 

 

「……子ども程、信じられない存在はいない。

 己が為ならば平気で残酷な事をする、我欲の塊である……貴方はそう言いました」

 

 

遡る事、およそ九年前。

悲鳴嶼行冥は、小さな寺で僧侶として身を立てていた。

身寄りのない子ども達を引き取り、彼等と共に仲睦まじく穏やかな日々を過ごしていた。

 

 

しかし……その日常は、呆気なく崩れ去った。

ある日、言いつけを破り日が暮れても寺に戻らなかった一人の子どもが、鬼に遭遇したのだ。

 

力のない少年が鬼と遭遇すれば、ただ餌として死を迎えるのみだが……しかしその少年は、生き残った。

 

 

 

 

自分が助かる為に、寺にいる他の子ども達や悲鳴嶼を鬼に差し出す事で。

 

 

 

「そうだ……あの日、子ども達は私の制止も聞かずに我先にと逃げ出そうとした……そして、命を落とした。

 私は、ただ一人生き残った沙代だけでも守ろうと鬼に立ち向かい、どうにか討滅を果たした……だが」

 

 

 

 

 

―――あの人は化け物……あの人が、みんな殺したッ……!!!

 

 

 

 

 

「……駆け付けた警官隊に、貴方は捕らえられてしまった。

 子ども殺しの大罪人として……」

 

 

 

唯一の生存者だった沙代の証言により……悲鳴嶼は、死刑囚として連行されてしまったのだ。

鬼の犯行だと無罪を主張しようにも、鬼の遺体が消滅している以上はどうしようもなかった。

 

 

 

その後、事の次第を聞きつけた産屋敷家によって悲鳴嶼は無事釈放されたものの……この出来事を切っ掛けに、悲鳴嶼は子どもに対して強い不信感を抱くようになってしまった。

 

子ども程、残酷な存在は他に無いと。

 

 

 

 

「……沙代はまだ四歳だった。

 恐ろしい目に遭った、混乱した上での発言だったのだろうと……頭では分かっているのだがな。

 それでも、せめて彼女にだけはと……そう思ってしまったが為に、私は信じられなくなってしまった」

 

「……でしょうね。

 実際、先日の柱合会議では……貴方は炭治郎さんと禰豆子さんに、最後まで一言も声を掛けなかった」

 

 

 

そう……悲鳴嶼の過去を知るが故に、烈海王は見抜いていた。

竈門兄妹を巡り、様々な言葉が飛び交った先の柱合会議で……彼等の処遇について、悲鳴嶼はただの一言も意見を出さなかったのだ。

 

はじまりの剣士との一致、鬼舞辻無惨との遭遇。

様々な要因から、その場の大半が彼等を認める中で……悲鳴嶼は、ただ静観していた。

 

 

 

子どもへの不信感から……彼等について、言葉を発する事が出来なかったのだ。

 

 

 

 

「ですが……貴方は、玄弥を弟子として引き取った。

 信じられない存在であっても、見捨てる事が出来ずにいた」

 

 

 

しかし、悲鳴嶼は玄弥に救いの手を差し伸べていた。

信じる事が出来ない子供を自ら引き取るという……大いなる矛盾である。

 

 

 

「……ああ、そうだ。

 だが、何故そうしたのかと聞かれれば……実のところ、上手く言えないのだ。

 気が付けばそうしていた……とでも言えば良いか。

 自分でも、矛盾しているとは分かっている」

 

 

それは悲鳴嶼も自覚していた。

しかし、理由を問われれば答えられないでいた……何故そうしたのか、自身でさえもはっきりとは言えないのだから。

 

 

 

ただ……玄弥を放っておくことが、出来なかったのだ。

 

 

 

 

「……悲鳴嶼さん、やはり貴方は立派な方だ。

 ただ自然と体が動いたとあれば……それが貴方の本質という事ですよ」

 

 

 

烈海王は、それを称賛した。

理由なき行動とは即ち、その者の本能―――本質に迫るものであると。

即ち、悲鳴嶼の行いは紛れもなく善。

 

 

 

子どもに対する不信を抱こうとも、その根に座すは心優しき僧侶時代の彼という事だ。

 

 

 

「玄弥を見れば分かります。

 実に真っすぐで、家族思いで……まあ、実弥さんに関しては少々焦りすぎな面もある様ですが。

 貴方の元でだからこそ、あの様に成長できたのに違いありません」

 

 

 

実際―――悲鳴嶼と烈海王は知る由もないが―――最終選別を終えた頃の玄弥は、相当な荒れ具合であった。

自らの目的を果たさんが為に視野狭窄を起こし、監督役の産屋敷かなたに乱暴を働くという暴挙にまで及んでいた。

 

 

もし、悲鳴嶼が彼を導いていなかったならば……どれだけ、愚かで哀れなことになっていたか。

 

 

 

 

 

「だからこそ、気になる事があります。

 悲鳴嶼さん……失礼を承知で問いたいのですが、本当に寺の子ども達は貴方を見捨てて逃げようとしたのですか?」

 

 

 

故に、烈海王は踏み込んだ。

悲鳴嶼の心に深く爪痕を残している、その過去へと。

 

 

ある一つの、決定的な疑念が生まれてしまったが為に。

 

 

 

 

「貴方は、子ども達が自分の制止を聞かずに命惜しさで逃げたと思われている様ですが……そうは思えないのです。

 例えば、助けを呼ぼうとしたり、武器を探そうとしたり……そういった可能性があるのでは?」

 

「ッッ……!!??」

 

 

 

烈海王の問いかけに、悲鳴嶼は驚き硬直してしまった。

 

 

 

子ども達は逃げたのではなかった……?

 

 

状況を打開すべく、別の方法を取ろうとしていた……?

 

 

 

そんな可能性など、微塵も考えてはいなかった。

 

彼等は皆、我が身可愛さで我先にと逃げ出したのではないのか……?

 

 

 

 

「……烈さん、何故そんな事を?」

 

 

 

何故、烈海王はその可能性に辿りついたのか。

一体何が、彼に疑念を抱かせたというのか。

 

久しく感じていなかった心拍と呼吸の乱れの元、悲鳴嶼は静かに問いかけた。

 

 

 

 

 

 

すると……烈海王は。

 

 

 

 

 

 

「決まっているじゃないですか……貴方が育てた子ども達ですよ?

 我が身可愛さで保身に走るなど、そんな者の筈がありません」

 

 

 

力強く、断言した。

 

単純明快、実にシンプルな根拠を。

 

 

 

 

悲鳴嶼行冥が育て上げた子ども達だ……そんな馬鹿な話、あり得る筈がないとッッ……!!!

 

 

 

 

「……烈、さん……」

 

 

両の瞳から涙が溢れ出る。

 

何て馬鹿な、呆れる理由だ……暴論と言ってもいい。

 

 

 

「……ありがとう。

 そう言ってもらえて……心から、感謝する」

 

「いえ……私は、事実を言ったに過ぎませんよ」

 

 

 

だと、いうのに……心に、途轍もなく響く。

 

 

事実がどうなのかは、勿論分からないが……それでも、救われたと……そう思わずにはいられない程に……!!

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

「……悲鳴嶼さん。

 悲劇の元凶となった子どもは……今、どうしているかはご存知でしょうか?」

 

 

 

しばらくして、悲鳴嶼の涙が収まったタイミングで。

烈海王は、彼にそう問いかけた。

 

 

先程、悲鳴嶼の育てた子ども達は皆立派に成長していると断言はしたものの。

前言を撤回する様で申し訳は無いのだが……ただ一人、悲鳴嶼達を鬼に売ったという子どもについてだけは、流石に擁護しきれなかった。

 

 

無力な子ども故に、そうする事でしか身を護る手段が無かったのかもしれないが……かといって、許せる所業ではない。

出来るならば、面と向かって話をしてみたいところなのだが……

 

 

「……分からぬ。

 獪岳が私達を売った事は、寺を襲った鬼の言葉からして間違いないのだが……実際、一人だけ死体が無かった。

 今もどこかで、生きてはいるのだろう」

 

 

残念ながら、悲鳴嶼もその子ども―――獪岳については、何も知らなかった。

あの日からの彼の消息は、完全に途絶えている。

ただ、鬼の魔の手から生き延びた事だけは確かであるのだが……

 

 

 

 

 

 

「……獪岳……?

 悲鳴嶼さん、今……獪岳と言ったのですか……?」

 

 

 

 

 

その言葉―――その名を聞いて、烈海王の表情が一変した。

 

 

 

 

 

「もしや、獪岳とは……首に勾玉の様な飾りを着けた男子では……?」

 

 

「ッッッ!!!???

 烈さん、獪岳を知っているのかッッ!!??」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……彼は、鬼殺隊にいます。

 悲鳴嶼さん、貴方も耳にしているかもしれませんが……私が入隊して、間もない頃の話です。

 宇随さんの立ち合いの元、私の実力を疑問視していた隊士と一度、手合わせを行いました。

 その隊士が……獪岳なのです」

 

 

 




烈さんvs玄弥。
結果だけを見れば玄弥の大敗ではあるものの、烈さんが納得するだけの力を示せたため、見事入門を果たす事が出来ました。

呼吸が使えないという事は、裏を返せば呼吸に頼らない技術を徹底的に磨いたという事。
才能が無い身でありながらも愚直なまでに鍛えた戦士というのは、スモーキン・ジョー戦でも見せた様に、烈さんからすれば尊敬に値する存在です。
玄弥の事を気に入らない訳がありません。


さて、前置きでも触れたこの問題についてですが。


Q:玄弥って強いの?弱いの?
A:反復動作で瞬時に哀絶の背後を取れる実力に、柱稽古を岩まで突破できているらしき描写がある以上、弱い筈がありません。

この作中では、玄弥は決して弱者では無いと解釈しております。
それどころか呼吸無しの純粋なフィジカル勝負なら、鬼喰いで培った身体に加えて岩柱直々の稽古を受けているのだから、隊全体でも上位を狙えるかと思います。
烈さんからすれば、正しく鍛え甲斐のある逸材です。

また、玄弥のファイトスタイルを「相手の攻撃を、持ち前の肉体と精神力で強引に耐え抜くスタイル」とさせていただきましたが、これは原作の半天狗戦で正しくその通りな闘い方をしていたためです。
哀絶の槍に胴体をぶち抜かれても、逆に槍を掴んで哀絶の動きを封じ銃弾を撃ち込むという逆襲に出ていましたので、日常からして同等の手段を取っている可能性は高く、そこが烈さんとの一戦で取った「腕を掴み続けて間合いに持ち込む」戦法に繋がりました。



そして、ラストの展開についてですが。


Q:烈さん、獪岳を知っていたの?
A:片平隊士と後藤さんが話していた「中国拳法を馬鹿にしてボコボコにされた隊士」こそが、獪岳です。

感想欄でも予想されていた方がいましたが、烈さんに喧嘩を売ってしまった隊士=獪岳でした。
烈さんが慈悟郎さんと知り合う切っ掛けになったある事件が、この一件です。
詳しくは、次回以降をどうかお待ちください。




Q:烈さん、炭治郎の頭突きを受けに行ってたの?
A:強いと聞いた一撃を試さずにいられるわけが無いです。
  炭治郎は最初は危ないからと拒否し続けていましたが、己を鍛える為だという烈さんの言葉にうたれ、最後は全力でぶちかましに行きました。
  結果、烈さんをして「恐ろしい頭突き」と言わざるを得ない一撃を繰り出しました。

Q:弟子入りを果たしたという事は、これから玄弥は烈さんに同行する?
A:その通りです。
  今後は基本的に、二人は行動を共にしていく事になります。

Q:玄弥、鬼喰いと銃はこれからどうするの?
  烈さんに弟子入りしたなら、どっちもアウトじゃない?
A:詳しくは今後の話で書かせていただきます。
  ただ、銃に関してはもう扱わなくなると思ってくださっても結構です。


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