鬼狩り? 私は一向に構わん!!   作:神心会

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前回より間が大変空いてしまい、申し訳ございませんでした。
私生活が多忙の為に身動きが取れませんでしたが、ようやく纏まった執筆時間を確保する事ができたので、再開できました。

タイトルの通り、烈海王と水柱との激突になります。




33 烈海王vs水柱

 

 

 

水柱―――冨岡義勇。

 

 

 

隊内においては、その実力こそ柱として申し分ないと評価されているものの。

 

 

同時に、人格面においては柱として難有りという烙印もまた押されている。

 

 

 

何せ兎に角口数が少なく、喋ったかと思えば飛び出すのは歯に衣着せぬ言の葉が大半ときた。

 

人と接する能力―――コミュニケーション力が著しく欠けているのだ。

 

 

 

故に、彼を毛嫌いする隊士もそれなりに存在してしまっているのが現状である。

 

 

 

 

 

 

その一方で、現在多くの隊士を惹きつけて止まぬ人物がいる……ご存知、烈海王である。

 

 

 

一見近寄りがたい空気を漂わせながらも、いざ接してみれば礼儀正しく誠実な態度―――ただし、礼節を欠く相手に対してはこの限りに非ず―――を示してくれる。

 

また、蝶屋敷での手料理披露で胃袋を掴まれた者も多く……入隊当初こそ獪岳の様に彼を訝しむ者はいたものの、今では殆ど見られていない。

 

 

 

 

 

そんな二人が会合―――それも水柱の方から誘う形で―――とあっては、事情に精通している藤の家紋の屋敷の者も、流石に驚きを隠せないでいた。

 

屋敷を借りての手合わせが目的ということだが、両者の間に険悪な空気感は一切無いのだから尚の事だ。

 

 

 

それどころか……義勇の表情にこそ変化は見られぬものの、烈海王の表情の何と期待に満ちたことか。

 

 

 

 

楽しみで仕方がないッ……そう言わんがばかりの、この笑みはッッ……!!!

 

 

 

 

 

「一人なのか?」

 

「ええ、玄弥は片平さんと任務に当たっています。

 この手合わせを見せたかったという気持ちは確かにありますが、それ以上に優先すべきは責務です。

 隊士として……いえ、人としてね」

 

 

 

今日は珍しく、玄弥が不在―――烈海王が一人という状況である。

つい昨夜に鎹鴉より鬼出現の報を告げられ、片平と共に現場へと向かっていたのだ。

師としては、彼に可能な限り猛者の動きに触れさせたかったのだが、こればかりは仕方がない。

指令が下ったという事は、そこに不死川玄弥が必要だと判断されたという事なのだから。

 

 

 

「あいつとは違うのだな」

 

「心配も不安も一切ありませんよ。

 私の継子は、常に師がついていなければ闘えないなんて弱い男じゃない……こういう機会は、寧ろ成長の為にも必要です。

 ただ、不死川さんは肉親ですからね……心配するのは、やむを得ない所もあると思いますよ」

 

 

 

烈海王は、義勇の言うあいつ―――実弥の姿を想像すると共に、少しばかり苦笑の混じった表情でそう答えた。

元より、玄弥の鬼殺隊入りを猛反対していた彼の事だ。

鬼側から目をつけられている烈海王の継子という玄弥の立場を考えれば、久方ぶりに師より離れての任務となると、心配は人一倍だろう。

 

 

「兄弟という関係は……まして兄となればね。

 私も、色々な人達を見てきましたから」

 

 

 

 

 

―――わたし以外の誰かが……お前を傷つけることなど、絶対に我慢できんのだ。

 

 

弟を誰にも傷つけられない為に、敢えて自らが先んじて倒す事で守ろうとした兄―――鎬紅葉。

 

 

 

 

―――ここからは……兄弟じゃない。

 

 

壮絶な死闘になると分かっていながらも敢えて弟の全てを受け入れ、そして自身の手で弟を倒さねばならぬ運命に涙を流した兄―――ジャック・ハンマー。

 

 

 

兄というものは、人一倍弟を心配する。

実弥の玄弥に対する苛烈な態度は、他の隊士からすれば異常に見えるのだろう。

現に、悲鳴嶼をはじめ玄弥を強く心配する者達もいる。

 

 

 

しかし……烈海王からすれば、実のところ然して珍しいものではなかった。

 

彼等―――特に鎬紅葉―――の姿に、あまりにそっくりだったのだから。

 

実弥が、辛辣な対応の裏で玄弥を深く心配しているであろう事ぐらい、お見通しなのだ。

故に、二人の兄弟仲についてはあまり心配をしていなかった。

 

 

 

もっとも、その事実を玄弥には話していない……話すべきではないからだ。

何故ならば。

 

 

 

「ですが……皆、弟である前に一人の漢でもある。

 自らの力と意志で兄を乗り越え、認めさせてきましたよ。

 私は、玄弥にもそうあってほしいと願っております」

 

 

鎬昂昇然り、範馬刃牙然り。

誰もが全力で兄とぶつかり合い、その強大な壁を乗り越えてきた。

 

兄というものは、頼れる存在であると同時に一つの目標なのだ。

漢として、その上に立ちたいと強く願う憧れにして強敵なのだ。

 

 

 

だから、烈海王は敢えて玄弥には語っていない。

心配し合うのは大いに結構、されどそれだけでは互いに前へと進めない。

 

 

 

実弥がいくら玄弥を守りたいと願っていようとも、玄弥もまた実弥の為に闘いたいと願う限り、永久に平行線だ。

 

 

ならば、兄弟同士で存分に闘い合い、実力を認めさせる……それこそが、真の意味で彼等が和解するに必要な事柄ではないだろうか?

 

 

 

 

彼等が、漢として生まれたからにはッ……!!

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

「ッ……!!」

 

 

 

烈海王の言葉を聞いた途端、義勇は目を見開き言葉を失った。

 

不意に、脳裏に過ったのだ。

 

 

 

―――どんな苦しみにも耐えろ、義勇。

 

 

 

―――進め!

 

 

 

掛け替えの無い友の、家族の。

 

 

 

 

 

―――お前が漢なら、漢に生まれたのならッ!

 

 

 

 

 

兄弟の、言葉が。

 

 

 

 

 

 

「……冨岡さん?」

 

 

 

そんな義勇の姿を目にすれば、流石に烈海王も不思議に思わざるを得なかった。

別段おかしなことを言ったつもりは無かったが、何かが彼の琴線に触れてしまったのではないかと。

 

何せ鬼殺隊内には、家族や親しい者を鬼に殺されたが為に入隊をした者も少なくはない。

 

 

 

 

もしや義勇は、過去に兄弟を……?

 

 

 

 

「……すまない。

 そろそろ、いいか」

 

 

しかし、その疑問を確かめる間も無く。

義勇は表情を直し、烈海王に次を―――闘いを促した。

 

 

 

「……ええ、そうですね」

 

 

烈海王も、それ以上は敢えて聞かなかった。

簡単に触れていい内容ではないだろう事ぐらい、流石に分かる。

 

 

 

それに、何より……折角、水柱と闘う機会を得られたのだ。

 

炎と並び、最古の歴史を持つ呼吸……その頂点に立つ剣士。

余計な事を話してしまったが為に、万が一にでも実力を削ぐ形になれば……勿体ない事この上なしッッ!!!

 

 

 

 

 

 

「では……はじめましょうかッ……!!」

 

 

 

 

 

互いに得物を握り締め、構えを取った。

 

途端に、屋敷内の空気が張り詰めていく……事の次第を見守っていた屋敷の主は、その肌を刺す感覚に堪らず息を呑んだ。

 

 

 

両雄共に、凄まじい実力を秘めた鬼狩りなのは分かっていたが……いざ目の当たりにしてみれば、何という圧かッ……!!

 

 

 

 

 

「ッ……!!」

 

 

先んじて仕掛けるは、義勇。

水の吐息を口から漏らすと共に、前へと一歩踏み出す。

 

 

 

力強く、壱ノ型を真正面より烈海王へと繰り出しにかかりッ……!!

 

 

 

 

 

 

「冨岡さん、烈さんッッ!!!」

 

 

「ッッ!!??」

 

 

 

 

刃が、烈海王を捉えようとした瞬間。

 

 

 

思いも寄らぬ人物―――炭治郎の声が耳に届き、義勇はその動きを止めざるを得なくなってしまった。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

「……成程、そういう経緯でしたか」

 

 

 

数分後。

屋敷にやって来た面々―――炭治郎、杏寿郎、槇寿郎、千寿郎、小芭内と、錚々たる顔ぶれを見た瞬間には、流石に誰しも開口し硬直せざるを得なかった―――から、烈海王はこれまでの経緯を説明されていた。

いきなりの来訪故に、火急の用件である事は察せたが……まさか、自分達の会合の直前にそんな事態があったとは、思ってもみなかった。

まして、義勇には全くその様な素振りが見られなかった―――今も、感情を読み取りにくい表情のまま、視線だけはこちらから反らしている―――だけに、尚更だ。

 

 

「突然押しかけてしまい、本当に申し訳ございません。

 烈さんも冨岡さんも多忙ですから、この機会を逃す訳にはと思ったので……けれど、少し意外でした。

 お二人が、手合わせの約束をする程の間柄だったなんて……」

 

 

訪問に関してはしっかりと謝罪をした上で、炭治郎は率直な感想を口にした。

烈海王と義勇の二人が手合わせを……というのが、正直言って想像出来なかったのだ。

ましてそれが、義勇の側からの申し入れだというのだから、尚更である。

 

しかし、それならば寧ろ好都合というべきか。

義勇が抱えている何かを、烈海王ならば引き出せるのではないか……その可能性は、より高まったのだから。

 

 

 

 

「冨岡……貴様、何を考えている?

 竈門炭治郎個人の実力向上に関しては、注視する必要が無いと感じても何ら不思議は無い。

 だが、日の呼吸に於いて言えば……貴様の行動は、柱にあるまじき蛮行だ」

 

 

 

そんな希望を、炭治郎が抱いたその直後だった。

小芭内が、厳しく非難の言葉を義勇へと投げかけた。

 

 

日の呼吸は、全ての呼吸の開祖にして最強の御業。

その研究を進める事は即ち、全ての呼吸の発展に繋がると言っても過言ではない。

これは炭治郎だけの問題ではない……鬼殺隊全体にとっても、プラスに働く事だ。

 

 

そうだというのに……義勇は、それを拒んだ。

水柱として、あってはならない態度を取ったのだ。

小芭内の怒りも、もっともである。

 

 

 

「冨岡……私が、人の事を言える立場ではない事は百も承知だ。

 それでも、敢えて言わせてもらおう……君の考えを、私達に話してはもらえないか?

 何を思って炭治郎君を拒んだのか……理由があっての事ならば、皆も理解してくれる筈だ」

 

 

続けて義勇に問うは槇寿郎。

柱にあるまじき振る舞いを取っていたという点では、自分もまた同じ。

それ故、義勇の抱えている問題は他者には到底推し量れぬモノなのだろうと、彼には容易に想像が出来た。

 

ならばこそ……それは、一人で抱えていていいモノではない。

重荷を持ち続けたままでいれば、いつしかその重さに人は耐え切れなくなる……過去の己が、堕ちるところまで堕ちてしまった様に。

 

 

もう誰にも、同じ道を歩いてほしくない……それが、槇寿郎の切なる願いであった。

 

 

 

 

「…………」

 

 

 

そんな彼等の言葉に対し……義勇は、変わらず沈黙を保っていた。

その表情も、俯きの状態である為に窺う事が出来ない……何を思い至っているか、まるで分からなかった。

 

 

 

ただし、炭治郎を除いて。

 

 

 

(冨岡さん……やっぱり、何か悲しい匂いがする。

 俺に、水柱になれって言った時と同じ……)

 

 

その優れた嗅覚を以て、義勇が抱く感情―――確かな悲しみを、炭治郎は感じ取っていた。

先の時と、全く同じ匂いだ。

 

自分が杏寿郎の継子になる事を許可せず、また義勇の継子となる事もまた拒んだ。

そうするに至った理由の大本に、この匂いがある。

 

 

 

ならば、それは……?

 

 

 

 

 

 

「……皆さん、申し訳ございません。

 この話の重要性は、よくよく理解していますが……その上で。

 一度、中断してもよろしいでしょうか?」

 

 

 

そう思考を巡らせていた、まさにその時であった。

 

 

 

 

烈海王が、会話に入り込み……そして、完全に流れをぶった切ったのはッッ……!!!

 

 

 

 

「烈さん……!?」

 

「すみません、杏寿郎さん……身勝手だと思っていただいても結構です。

 ですが、このままでは冨岡さんも話し辛いでしょう……ですから、まずは私の用件を優先させていただきたい」

 

 

 

烈海王の用件。

それが何なのかは、この場にいる誰しもが即座に理解できた。

故に、誰しもが驚愕の表情を浮かべざるを得なかった。

 

 

 

そう……彼がこの場に至った、本来の目的とはッッ……!!!

 

 

 

 

「冨岡さん……こういう時は、身体を動かすに限りますよ。

 一度頭をスッキリさせてから、改めて話し合いに臨めばいい……どうですか?」

 

 

 

 

勝負ッッッ……!!!

 

 

 

あれこれと悩む時は、一旦頭の中を空っぽにしてしまえばいいッッッ……!!!

 

 

 

無茶苦茶かもしれないが……しかし、ある意味では正解ッッッ……!!!

 

 

 

 

 

「……そうだな」

 

 

 

そして、義勇は賛同の意を示した。

木刀を強く握り締め、真正面より烈海王を見据える……全面肯定の姿勢ッ!!

 

 

 

 

「ッ……冨岡、烈……」

 

「そう眉間に皺を寄せるな、伊黒!!

 烈さんの言う通り、悩んでいる時は運動が一番だッ!!

 それに元より、俺達よりも先に手合わせの約束をしていたのだから、ここは譲るのが筋だろうッ!!」

 

 

この予想の斜め上を行く展開に、小芭内は眩暈を覚えそうになった。

言っている事自体は分かるのだが、だからといってこの状況下でいきなり勝負を始める奴等がいるかと……肩の鏑丸も、困惑から視線をいったりきたりさせている。

その一方で、杏寿郎や千寿郎達は納得の笑顔と来たのだから、余計に頭が痛くなった。

 

 

「まったく……」

 

 

呆れてものが言えない……しかし、止める理由もまた無い。

それに自身も剣士として、この両名の試合とあらば見てみたい気持ちがあるのも事実だ。

どの道、あのままでは膠着状態で事態が動かなかった可能性も高い……ならばここは、いっそ全力でやり合ってもらった方が結果的に良いだろう。

 

ため息を大きくつきつつも、小芭内は成り行きを見守る事に決めたのだった。

 

 

 

 

 

尚……槇寿郎だけは、やっぱりこうなったかと内心思っていたりする。

実のところ、彼はこの展開―――烈海王vs義勇を予測出来ていたのだ。

 

 

何せ、外ならぬ自分自身がそうだった。

出会い頭に―――暴言を吐いた自分が悪いとはいえ―――烈海王と殴り合いになり、その末に立ち直り和解したのだから。

 

 

また、先日の悲鳴嶼と獪岳の和解の一件とてそうだ。

烈海王は、獪岳―――これも、先に暴言を吐いた彼が悪いのではあるが―――にこれでもかという程に拳を叩き込み、それが切っ掛けとなって彼等は無事過去に決着をつけている。

 

 

 

 

 

 

そう、烈海王による人間関係の修復事例は全て……闘争がその過程に含まれているッ……!!!

 

あの地上最強の生物―――範馬勇次郎とて、こう語っているッ……!!!

 

 

 

 

 

―――闘争こそが、何よりものコミュニケーションだッッ……!!!!

 

 

 

 

 

義勇の本心を引き出したいと願った時点で、この展開は必然なのであるッッ……!!!

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

「あ……そういえば烈さんの武器、初めて見るものですね」

 

 

烈海王と義勇が、勝負を再開しようとする最中。

炭治郎が、ふとそれに気づいた。

 

烈海王の右手に握られている得物が、今まで見聞きしてきたどの武器にも当てはまらないモノだったのだ。

全長およそ65cmの太い棒……その先端付近より、握りとなる短い棒が垂直に出ている。

丁字型の棍棒とでも言うべきだろうが……あのような代物は見た事がない。

 

 

「ああ、あれは拐だ。

 沖縄の方ではトンファーという名前で伝わっているそうだが、中国拳法で用いられる棍の一つだそうだ」

 

 

その疑問に答えるは杏寿郎。

彼は以前に一度、烈海王が持つこの武器―――拐を見せてもらったことがあった。

 

 

 

拐とは、中国拳法に古くより伝わる打突武器の一つ。

硬質な木材もしくは鉄材を丁字型に組んだ、特徴的な形をした棍棒の一種。

現代にも広く伝わる武具……御存知、トンファーの原型である。

 

しかし、現代のトンファーは約45㎝の長さなのに対し、烈海王が持つ拐は20㎝近く伸びている。

これは杏寿郎の言った様に、日本―――琉球に伝わるに当たって、琉球空手に合わせて伸縮改良が行われた結果である。

取り回しで言えば、トンファーの方が上という意見は多いが……敢えて烈海王は、原型たる拐の方を選択した。

こちらの方が、より中国拳法を活かせると判断したが為だろう。

 

 

 

 

「成程……水の呼吸に合わせての判断か。

 炭治郎、二人の動きをよく見ておくといい。

 これは良い勉強になるぞッ!!」

 

 

 

同時に、杏寿郎は何故烈海王が拐を手にしたのかも察する。

だが敢えてそれを口にはせず、勝負の行く末をよく観察する様にとだけ炭治郎へと伝えた。

教えるのは容易い事だが、自分自身で掴み取る方がより良い経験値となるからだ。

 

 

 

「はいッ……!!」

 

 

 

炭治郎もその意図をすぐに理解したのだろう、勢いよく返答して烈海王と義勇へとまっすぐな視線を向けた。

そして、それは彼だけではない。

 

槇寿郎、千寿郎、小芭内……この場にいる全ての者達が、両者を注視していた。

一瞬たりとも見逃せない闘争になる……そう、予感していたからだ。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

「では……はじめッッ!!!」

 

 

 

 

開始の合図を、槇寿郎―――館の主人より、適任だからと役割を譲られた―――が告げる。

 

 

 

「ッッ!!」

 

 

その声と同時に、弾けるかの如く動いたのは義勇。

強く前へと踏み込んで加速の勢いに乗せ、烈海王の胴体目掛け、右手に携えた木刀を弧を真っすぐに突き出すッッ!!

 

 

 

―――――水の呼吸 漆ノ型『雫波紋突き』ッッ!!!

 

 

 

水の呼吸が誇る、超速の刺突術ッ!!

少ない予備動作から瞬時に放つことが可能な、敵を最短且つ最速で刺し貫く事に特化した一撃ッ!!!

 

鬼の首を斬るには少々不向きなれど、確実にダメージを与えるという点では、あらゆる呼吸でも随一と言っていい技だ。

先程―――炭治郎達によって中断された時―――は壱ノ型で仕掛けたが、流石にもう一度というわけにはいかない。

故に義勇は、初撃をこちらに切り替えたのである。

 

 

 

凄まじい速度で迫る、突きの一閃。

 

それに対し、烈海王のとった行動はッ……!!

 

 

 

 

 

「墳ッッ!!!」

 

 

 

 

――――――バシィィッッ!!!!

 

 

 

 

 

 

裏拳ッッ!!!

 

寸前まで迫っていた木刀の腹を、左拳の甲で全力で弾いたのであるッッッ!!!

 

 

 

 

「ッ!!

 義勇さんの身体が、思いっきり横にッ……!!」

 

 

 

真っ直ぐに突き進む力―――直線力。

 

それは、強ければ強い程に……比例して、横方向からの力には弱くなる。

 

秒速1000mを超えるライフル銃の弾丸だろうとも、その軌道上においてたった一枚の葉っぱが側面に触れただけで、大きく進行方向を逸らされるのだ。

 

 

 

 

そう……かつて刃牙が、ピクルの誇る必殺のぶちかましを、横からの一撫でだけで打ち破った時の様に。

 

刺突を真横から叩かれる形になった以上、義勇の推進方向は大いに乱れざるをえないッ……!!

 

 

 

 

 

 

……しかしッッ!!!

 

 

 

 

「いや……冨岡め。

 読んでいたな……!!」

 

 

 

そう予め分かっていたならば、話は別であるッ!!

 

弾かれるその勢いを、利用するまで……流れに身を任せ、一体と成すッッ!!

 

 

 

 

――――――水の呼吸 参ノ型『流流舞い』ッッ!!!

 

 

 

 

流流舞い。

水流が如く流れる足運びを駆使して敵の周囲を舞い、巧みに翻弄。

隙を生じさせた後、すれ違い様に斬撃を見舞う、攻撃回避一体型の技。

 

 

そこへ烈海王の打撃が加わることにより、流れは加速……濁流化ッ!!

凄まじい速度で烈海王の周囲を旋回するその姿は、正しく暴れ狂う大波ッッ!!!

 

 

「なんという速度だ……あれは簡単には捉えられんぞ……!!」

 

 

そのスピードたるや、同じ柱である杏寿郎と小芭内の目を以ってしても、驚愕に値するものであった。

水の呼吸は最も使用者の多い呼吸だけあって、最も柔軟性に富んでいるのだが……流石はその頂点―――水柱。

技自体の完成度は勿論、烈海王の動きすらも更に取り込み己が一助と成す芸当は、お見事と言う外にない。

 

 

 

(変幻自在の水……穏やかさと激しさの双方を併せ持つ呼吸。

成程、やはり期待通りッ……!!)

 

 

そして、この剣技を誰よりも喜んでいるのは、やはり対する烈海王だった。

 

 

 

これだ……こういう優れた武を目の当たりにしたかったからこそ、彼に持ち掛けたのだ。

 

 

 

 

ならばこそ、こちらも持てる武の全てを出し切り応えようッッ!!!

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

竈門炭治郎 十五歳 鬼殺隊隊士、階級『庚』。

 

 

後に彼は、烈海王と冨岡義勇の闘いについて、多くの隊士へとこう語ったのだった。

 

 

 

 

 

―――冨岡さんの足捌きは素晴らしいものでした。

 

 

―――烈さんの四方八方を巧みに、それも凄い速度で立ち回っていて……冨岡さんの動き自体は、どうにか目で追う事は出来たんですが。

 

 

―――けれど、それは観戦者としての立ち位置だったからというのが大きくて、烈さんのいる位置……舞いの中心部に立っていたとしたら、確実に翻弄されていたと思います。

 

 

―――同じ技でも、俺のものよりずっと完成度が高かった……もしかすると、鱗滝さんよりも。

 

 

―――だから、烈さんはこの技にどうやって立ち向かうんだろうって思ったんですが……

 

 

 

 

 

―――あれは、冨岡さんが烈さんの右後方から切りかかろうとした瞬間でした。

 

 

 

 

―――烈さんが……廻ったんです。

 

 

―――右脚を軸にして、まるで独楽の様に……その場で、高速回転をしたんですよ。

 

 

 

―――近いものをあげるのなら……捻じれ渦を想像していただけたら、分かると思います。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

かつて、煙の異名を持つボクサー―――スモーキン・ジョーと熱戦を繰り広げた時。

烈海王は、脳に与えられた震盪から逃れるべくその手段を取った。

 

 

回転。

 

 

脳の揺れを抑えるには自らもまた回転し、打撃の威力を逃す。

単純明快、分かりやすい答えであった。

烈海王は全身を大きく回転させ続ける事で、ダメージの回復を図りつつ回避へと専念する事に成功した。

 

 

 

そして……この回転が、烈海王に新たな拳打を生み出させた。

それは、次ラウンドで繰り出した、ジョーの僅かな隙を突いたカウンター……凄まじい回転の勢いに乗せた右フックであった。

 

当時の烈海王は、義足というハンデを背負っていたが……それすらも、彼は己が武器に変えた。

細い棒状の義足であったからこそ出来た、人間独楽大回転右フック。

 

 

あれは他のボクサーには思いも寄らなかったであろう、烈海王だからこその拳撃だった。

被弾したジョーは、マウスピースを噴き出すと共に膝から崩れ落ちてのダウン……ボクシングの神と呼ばれたマホメッド・アライをして、称賛を口にする結果であった。

 

 

 

(全方位、どこから仕掛けてくるかを悟らせないというのなら……三百六十度、全てをカバーすればいいッッ!!!)

 

 

 

 

その経験を今、ここで活かすッッ!!!

 

五体満足に再生されたこの身なれど、義足時に体感した全てはこの身にあり……何ら問題はないッッ!!!

 

 

 

 

右手の拐を、柄の長い方が拳側に来るように百八十度持ち替えてリーチを確保……そのまま真っすぐに横へと右腕を伸ばしッ!!!

 

そして、片脚を軸にしての超高速回転ッッ!!

 

烈海王を中心とする、打撃の竜巻完成であるッッ!!!

 

 

 

義勇の斬撃が何処から来ようとも、関係ないッ……全て、防ぎ切るッッ!!!

 

 

 

 

――――――ガキィィィッ!!!

 

 

 

 

「ッッ!!??」

 

 

 

見事、成功ッ……!!

 

烈海王の背後より放たれた義勇の斬撃を、拐によって無事弾き飛ばすッ……!!

 

 

 

「破ッ!!」

 

 

そして、烈海王は間髪入れずに追撃へと移行。

木刀を上へと弾かれた事で、義勇は両腕を上げる形に態勢を崩している……即ち、胴体が無防備となっている。

 

 

その隙を逃さない……回転の勢いを止める事無く、左の旋風脚―――後ろ廻し蹴りに繋ぐッ!!

 

 

 

 

「ッ……まだッ!!」

 

 

 

しかし、義勇は後方へと咄嗟に跳躍……これを紙一重で回避。

そして着地と同時に、両脚へと力を込め……再度横方向へと跳躍ッ!!

 

 

 

「ヒュゥゥゥゥッッ……!!」

 

 

 

呼吸により生じるエネルギーを、脚へと集中ッ!!

 

 

道場の全体を広く捉えた、更なる跳躍ッ!!

 

 

 

 

 

――――――水の呼吸 玖ノ型『水流飛沫・乱』ッ!!

 

 

 

縦横無尽に跳び回りつつ、烈海王との間合いを詰めていく……これぞ水の呼吸が玖ノ型。

 

足裏の設置面積を最小限にしての連続跳躍……足場が悪い箇所で戦うに適した、自由自在に跳び交う為の技法である。

 

 

右へと思えば左へ、左へと思えばまた右へ。

着地と共に、激しく跳ね上がる水飛沫のイメージを脚部より迸らせ……凄まじい勢いでの跳躍を繰り返しながら烈海王へと迫るッ!!

 

 

 

(右か左か……さあ、どちらから来るッ!!!)

 

 

 

その動きを、構えを取り冷静に見据える烈海王。

以前に善逸と手合わせした際には、床どころか壁や天井でさえも跳び交う彼の技術に驚かされたが……義勇のこの歩法は―――着地面こそ床に限定されているとはいえ―――更に上だ。

霹靂一閃はどうしても動きが直線的故に読みやすかったのに対し、義勇は不規則な着地パターンを織り交ぜる事でリズムを読ませない。

 

攻撃の寸前まで、左右のどちらから攻めてくるかの予想がつかないッッ……!!!

 

 

 

(ッ……左ッ!!!)

 

 

そして、来たのは左。

烈海王目掛け、跳躍の勢いに乗せた横薙ぎが振り抜かれる。

 

拐を持っているのは右手……左から来るこの一撃は、防ぐより回避が賢明。

先の義勇同様、後方へと跳ぶ事が最善手と言えるだろう。

 

 

 

 

しかし……烈海王は、これを迎え撃つッ!!!

 

 

 

 

「ハイィィッッ!!」

 

 

 

拐の持ち手を離すと共に、左手で拐の柄を掴み……大きく横薙ぎに出たのだッ!!

 

 

 

 

 

――――――バシイィィッ!!!!

 

 

 

 

義勇の刃は、またしても烈海王に届かずッ……!!

 

拐の柄と持ち手が直角に交差する箇所にて、受け止められる形となっていたッ……!!

 

 

 

「棒術……いや、鎌だッ……!」

 

 

 

そう……その様は、正に一振りの鎌であった。

 

 

 

(そうか……杏寿郎さんが言ったのは、この事だったんだ……!!)

 

 

ここで、炭治郎は拐の本質を理解した。

アレはあらゆる状況に適した、変幻自在の武具なのだ。

 

 

 

拐、そして現代におけるトンファーは、二本一対―――両手で握り扱うイメージが強いだろう。

実際、両手で扱う事で打撃・防御の両面において大きく増強を図る事が可能だ。

 

 

しかし、片手持ちには両手持ちに無い大きなメリットが一つ存在する。

手数の多彩さだ。

 

持ち手を握れば、拳打の応用となる打撃武器。

また、柄の部分を持てば棒術として扱えるのは勿論の事。

長い側の柄を掴めば鎌や刺又、短い側を持てば釵が如き扱いも可能となる。

 

 

その利便性故に、アメリカでは暴徒鎮圧用として警察官の武器にトンファーが一時期採用されていた逸話さえある。

 

 

 

 

そう……あらゆる場面に対応する柔軟さ。

水の呼吸を相手取るならば、もってこいの武具だ……だから、烈海王はこの闘いに拐を選んだのである。

 

 

 

 

「ッ……!!」

 

 

 

予想外の方法で受け止められたのには驚いたが、しかし義勇もすぐに思考を切り替えた。

 

このまま鍔迫り合いに入れば、膂力で勝るだろう烈海王が確実に勝つ。

そうなれば、勝負の流れは一気に彼へと傾くだろう……ここでペースを掴まれるわけにはいかない。

 

 

ならば、この状況で打てる打開策はッ……!!

 

 

 

――――――ダッッ!!!

 

 

 

「ぬっ……!?」

 

「烈さんの膝を蹴って、跳んだッ!?」

 

 

 

またしても、跳躍ッ!!

 

あろう事か義勇は敢えて前へと脚を出し、踏ん張っていた烈海王の膝を踏んで上へと跳んだのだッッ!!!

 

 

 

 

地下最強トーナメントにて、愚地克巳が花山薫を相手に、水月を踏み台にして肩へと駆けあがっての跳び蹴りを見せたのと同じ様にッッッ!!!

 

 

 

 

 

「オオオォォォォッ!!!!」

 

 

 

そして次に放つは、落下の勢いに乗せた打ち下ろしッッ!!

 

渾身の力を込め、全力で上段から振り下ろすッッ!!

 

 

 

 

 

――――――水の呼吸 捌ノ型『滝壷』ッッ!!!

 

 

 

 

 

「面白いッ……!!」

 

 

 

当然、これを黙って喰らう烈海王ではない。

攻撃ではなく跳躍が目的だった為だろう、踏まれた膝自体には然程ダメージが無い。

 

十分に踏ん張りが利く……ならば問題はないッ!!

 

 

 

「墳ッッ!!!!」

 

 

震脚。

そして拐の持ち手を素早く右手で握ると共に左手を解放。

拐を腰だめに構え、手中で高速回転ッ!!

 

 

遠心力を付けて威力が増した拐を、上空より迫る義勇へと高く突き上げるッッ!!!

 

 

 

 

 

――――――ゴォォンッッッッ!!!!

 

 

 

 

 

「クッ……!!」

 

 

 

 

見事、相殺ッ!!!

 

両者共にダメージを与えるには至らず。

木刀と拐を真正面より強くぶつけ合い、その反動によって義勇は数メートル後方へと吹っ飛ぶも着地。

 

互いに距離を離す形となる。

 

 

 

「凄い……烈さんも、冨岡さんもッ……!!」

 

 

 

目の前で繰り広げられる攻防に、炭治郎をはじめ観戦していた誰もが強い昂りを覚えていた。

義勇を痛烈に批判していた小芭内でさえ、今はその剣技を真剣に見つめている。

それだけ、この闘いには感じ入るものがあるのだろう。

 

水柱を名乗るに恥じぬ、素晴らしい武。

それを手にする為に、並々ならぬ努力を重ねてきたに違いない。

彼の闘う姿が、その事実をどんな言葉よりも雄弁に物語っている。

 

 

 

 

 

 

そう……本当に、並々ならぬ努力の果てに……彼は水柱に選ばれたのだと。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

―――その後も、烈さんと冨岡さんの闘いは続きました。

 

 

 

―――どちらも凄い腕前でした……その為に、勝負は長期戦にもつれ込んだんです。

 

 

 

―――烈さんが攻めては、それを冨岡さんが受け流し……冨岡さんが隙を突いて踏み込めば、烈さんはそれを捌き切って。

 

 

 

―――二人とも、少しずつは当ててはいたんですが……互いに、これだっていう決定的な一撃を打ちこむ事が出来ないままでいたんです。

 

 

 

―――だから、体力勝負の持久戦になるのかって思っていたんですが……

 

 

 

 

 

―――そんな決着より、全力を出し切りたいって……そう考えたんだと思います。

 

 

 

 

―――烈さんが、勝負をかけに動きました。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

(流石は水柱……臨機応変な立ち回り、特に受けに回った時の対応は見事という他ない)

 

 

勝負が始まって、早十数分。

様々な攻撃を仕掛ける烈海王に対し、義勇は的確な返し技を放つ形で対処してきている。

そして、その全てが一級品ときた。

 

 

やはり、彼との手合わせを承知してよかった。

実に良い経験だ……打ち合いを通じて、多くを学ぶ事が出来る。

 

 

 

(ならば……これには、どう返すッ!!!)

 

 

 

だから、もっと知りたい。

 

 

全てを受け止める水は……この激流をも、受け切れるかッッ!!!

 

 

 

 

「ッ……烈さんが仕掛けるぞッッ!!」

 

 

 

烈海王が強く床を蹴り、疾走する。

 

ただ真っすぐに、一直線に義勇目掛けて。

 

 

 

そして、間合いに入ると共に。

 

その両拳に、全霊の力を籠めて……一気に解き放つッッッ!!!

 

 

 

 

 

「破アアァァァァァァァッ!!!!」

 

 

 

 

怒涛の乱撃ッ!!!!

 

 

強固な黒曜石の塊さえも、まるでバターや果実の様に削り取り、見事球体へと変えた魔拳の乱れ打ち―――打岩のラッシュッッ!!!

 

 

 

夥しい打撃の猛攻を、義勇へと浴びせにかかるッッッ!!!

 

 

 

 

 

 

「……ヒュウゥゥゥッ……!!」

 

 

 

 

 

対する義勇もまた、呼吸により全身へと力を巡らせ。

 

 

 

 

全身全霊をもって……これを迎え撃ちにいくッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――水の呼吸 拾壱ノ型『凪』ッッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 




Q:烈さんなら冨岡さんの悩みを解決できるって考えたのはいいけど、具体的にはどうするの?
A:闘争こそは最高のコミュニケーション。

烈さんが冨岡さんの本心を引き出すならば、話し合い以上に絶対手合わせが必須と考え、勝負と相成りました。
実際、煉獄家の問題に関しても最初は殴り合いから始まってますので、通過儀礼と思っていただけたら幸いです。


Q:烈さん、煉獄さんや獪岳の時は木刀だったけど、今回は使わなかった?
A:変幻自在の水の呼吸に対抗するため、拐の片手持ちを選びました。

作中でも説明したように、拐は打撃・棒術・鎌・釵と多種多様な扱いが出来る武器です。
トンファーというと両手持ちのイメージが強いし、実際に本家異世界転生烈海王でも烈さんは両手持ちを披露していましたが、手数でいうなら片手持ちの方が寧ろ上です。


Q:煉獄さんとの勝負ではお互いに多少はダメージを与え合っていたけど、冨岡さん相手にはダメージを殆ど通せてない?
A:炎の呼吸が攻めの戦法なのに対し、水の呼吸は受けの戦法である為です。烈さんは守りより打って出るタイプなので、そこで差が出ました。


Q:烈さん、言葉が足らない冨岡さんと普通に会話できてる?
A:無口さで言えば花山さんという例が身近にいるので、同じ感覚で自然と話せてました。

Q:伊黒さん、胃が痛くなってない?
A:メンバー的にツッコミ役が他にいないので、仕方ありません。

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