ソードアート・オンライン ジーニアス・メモリーズ   作:人民の敵

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前作をお知りの方はお久しぶりです。初めましての方は初めまして。投稿主の人民の敵でございます。

この物語は自分が純粋に"セブンがヒロインとなる二次創作"を書きたかった、そしてSAO事件の裏で巻き起こっていたであろうVRを巡る規制についてを書きたいな、という気持ちその他もろもろの理由で作られました。

出来るだけ面白いと思っていただける小説を書くように努めますので、どうかよろしくお願いします。それでは、お楽しみください!


1章 裏SAO編 その時現実世界では――
#0 序章


 アメリカ合衆国マサチューセッツ州ケンブリッジ市。世界中から秀才や天才が集まることで知られる世界最高峰の大学、マサチューセッツ工科大学があることでも有名な都市だ。そんなマサチューセッツ工科大学、通称MITには天才として名高い二人の少年少女が在学していた。

 

 少年の名前は桧宮(ひのみや)柚樹(ゆずき)、そして少女の名前は七色・アルシャービン。両方とも日本人とロシア人の血を引く、稀代の天才科学者コンビである。

 

 

――――――――――

 

 

「いよいよSAOの正式サービス開始か……」

 

 俺、桧宮柚樹はタブレット端末を付けて静かに言う。こっち(ケンブリッジ)では今日付が変わったばかりだが、日本時間では丁度14:00。

 

「そうね、あたしも参加したかったものだわ」

 

 歯磨きから帰ってきたらしい俺の研究パートナーの少女、七色・アルシャービン――俺はアルと呼んでるが――が言う。二人とも普段は夜更かしなんてしないタイプの人間だが、今日ばっかりは違う。何せ、今日は世界初のVRMMO《ソードアート・オンライン(SAO)》の正式サービス開始日だからだ。丁度さっき迎えた日本時間14:00、その時間に開放されたサーバーに続々とプレイヤーが詰めかけていることだろう。

 

「仕方ないさ。そもそもアルは年齢的にアウトだし、僕も僕でスケジュール調整ミスって日本に行けなかったんだから」

「せめて柚樹君に行ってもらって感想を聞こうと思っていたのに、計画が狂ったのが痛いなぁ……」

「飛行機が取れなかったからね。ま、そのせいで今こうして久しぶりにアルとゆっくり一緒に居られているわけだけど」

 俺たちは本当に少しとはいえSAO,というかそのハードであるナーヴギアの開発に寄与したこともあって特別にSAO正式サービスへの招待を受けていたのだ。

「しかし、どうなるんだろう……()()()は今までのVR、そしてMMOの常識を変えると言っていたけど……」

「実に興味深いね。あたしたちもあの人に負けないように日々の研究を頑張っていかないといけないわ」

「あぁ、そうだね」

 

 俺とアルはこの瞬間まで、SAOが切り開くであろうVRの無限の可能性に心を躍らせていた。その眼の先にあるタブレット端末が速報のニュースを伝えるまでは――

 

『たった今入った速報をお知らせします。本日サービス開始のVRMMOゲーム、ソードアートオンラインにてログアウトが不可能になるなど複数の不具合が報告されました。また、都内を中心にソードアートオンラインにログインしていたと思われる人々の不審死が続出しており――』

 

 タブレット端末に表示されたそのニュースは、俺を、そして隣のアルを驚愕させるには十分すぎる内容だった。それを期に他の日本国内の放送局が放送している生放送も一斉に内容を切り替え、同じ内容を報道し始めた。

 

『……現在までにナーヴギア関連と疑われる不審死は既に100人を突破していると見られ――』

『陸上自衛隊のサイバー攻撃対策部隊によれば、サイバーテロの可能性があると――』

『既にソードアートオンラインの運営会社であるアーガスには多くの人々が詰めかけており、遺族の姿も――』

 

「えっ?何、何よこれ。一体何が起こっているの?」

「不審死……?何が起こっているんだ?VRMMOで死者が出るわけなんてないはずなのに……」

 

 俺とアルは困惑の表情を隠しきれず、茫然とした目で画面を見つめるしか出来なかった。

 

 

――――――――――

 

 

 しばらく時間が経ち、混乱していた情報がようやくまとまってきた。

 

『これまでの情報を整理いたしますと、ソードアートオンラインの開発者にして運営責任者である茅場晶彦博士、彼がゲーム内にプレイヤー1万人を監禁した、そういう事でよろしいのでしょうか?』

 

『その通りです。更に茅場博士は、ソードアートオンラインをプレイするハード、ナーヴギアと呼ばれるヘッドギアを利用して、ゲーム内のアバターが死亡すれば高熱でアバターの中身の人間の脳を焼き切るという恐ろしい仕様を付け加えたのです。まさにデスゲーム、と言うべきでしょうか』

 

『現在運営会社のアーガス社は警察と自衛隊が合同して編成された特別対策班が占拠しており、内部データや組織ぐるみの犯行の可否を捜査中とのことです。続報が待たれるばかりです』

 

 

「………」

 

 俺はタブレット端末の電源を切り、アルの方に向き直った。俺も彼女も、僅かに体が震えていた。

 

「……アル、ちょっと聞いてくれるかい」

「……まさか、君もSAOに行くなんて……」

 

 アルの質問に、俺は首を振った。

 

「さすがにそれはしないし出来ないはずだ。僕は……日本に行こうと思う」

「えっ?どうしてよ、あたしたちにはまだ残している研究が……」

「もしこの件で……VR技術自体が危険な技術だと思われて規制されたりしたら……僕とアルの研究も全部パーになってしまう。僕に何が出来るかは分からないけど……」

「あ……」

「だから、アルはここで研究を続けて待っていてくれないか?」

 

 俺はなだめるようにアルに言った。ここでVR技術に不信感を抱かれれば、間違いなく俺たちの研究に悪影響が出るどころの騒ぎではない。

 

「……分かったわ。大学にはあたしから報告しておく」

「助かるよ。じゃあ、後は頼むよ」

 

 俺は数少ない日本の知り合いであるとある人物にメッセージを打ちこんでから、ようやく眠りに落ちた。この事件が、四桁の犠牲者を出す惨劇になるとは露ほどにも知らないまま―――

 

 

――――――――――

 

 

2022年11月、日本中のゲーマーを熱狂させ、世界中の注目を受けたVRMMO・《ソードアート・オンライン》、通称SAOは、その運営責任者にして開発者である茅場晶彦によってログアウト不可能・ゲーム内でのHP全損=現実の死亡というデスゲームに変わり果てた。閉じ込められたプレイヤーたちは決死の覚悟を決め、100層にも上る浮遊城の攻略に臨むことになるが、彼らの戦いの裏でもう一つ、SAO―そしてVRの未来を巡る戦いが始まろうとしていた。




かなり短めですが、プロローグは終わりです。

(このまま行けばですが)主人公はSAOにログインせずに、SAO事件の裏で巻き起こっていたVR規制を巡る規制賛成派との長きに渡る駆け引きに巻き込まれていくことになり、その過程で彼は規制反対派のとある人物に出会い、彼と深くかかわるようになります。勘のいい方は気づいたかもしれません。

次回もお楽しみに!

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