五条悟が最強であることは理解していたが、まさか封印されるとは思ってなかったんだ。   作:のれん(-_-)zzz

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拾参話

 

 

びしょびしょになった荒縫と千代の目の前にいる呪霊は褐色のドロドロとした液状でできた巨体であった。その上部にはギョロっとした一対の瞳、そして中央には空洞ができている。山なりの巨体から薄っすらと手と思しき部分が伸びて、池の周りの柵によりかかっている。

 

「ゴオオオオオオオ」

 

呪霊が音を立てる。口という器官が見られないためどこから音を出しているかは不明だが。

 

呪霊を目の前にした荒縫と千代はそれぞれ自分の得物を構えた。荒縫が取り出したのは拳銃、千代が手に持つのは分銅鎖である。

 

「敵からでてきてくれたのはありがたいですけど、この状況は少し厳しいですね。」

 

千代がそう漏らしながら、ちらりと後ろを見遣った。千代たち2人だけならまだしも、一般人を庇いながら戦闘するというのは難しい。

 

それを受けて荒縫は千代に返す。

 

「それでもやるしかないだろう。千代が前に出ろ。私は援護にまわる。」

 

分銅鎖の攻撃範囲から千代が前衛に出て、遠距離武器を持ち、実力も高く、一般人を守りつつ戦える荒縫が後衛を担う戦い方を選択した。

 

「了解です。」

 

荒縫の言葉を受けた千代は、呪霊に向けて走り出し、分銅鎖を振り回した。鎖がまっすぐ呪霊に向かって伸びる。

 

それに呪霊も対抗して、泥状の球を体から投げ出す。

 

互いの攻撃がぶつかり、相殺される。

 

 

 

荒縫は千代に指示出しした後、すぐ後ろを向き、若者たちに呼びかけた。

 

「お前ら、死にたくなかったら急いでこの場から離れろ。」

 

「は?何言って、しかもその拳銃ほんも…「離れた方がいい‼」」

 

何も見えていないけんたが、なかなか動き出さないのを見て、とおるが大声で怒鳴る。彼にはすでに戦いが始まったのが視えている。

 

その怒鳴り声に反応したのか、呪霊が千代の後ろ側に瞳を向け、同じように泥を投げかけた。

 

高速で飛んでくる泥に目を瞑るとおるだったがその前に、パンッという音とその後にべちゃっと音がした。

 

荒縫がその手にある拳銃で泥を撃ち落としたのだ。

 

「…無駄打ちは避けたいな。仕方ない、おい、お前らはもう動くな。」

 

のろのろと呪霊が池から這い出てきているを見て、むやみに一般人が動かれるより、固まって位置を把握していた方が戦いやすいと荒縫は考えた。

 

 

 

一方、前衛に上がった千代は先ほどの若者に向けて、敵の攻撃が放たれたのをみて不可解に思った。

 

(私が相対しているなか、わざわざ男に向けて攻撃を出したのは、やはりなにかある?)

 

先ほどから千代は分銅鎖を呪霊に向けて投げているが、泥状の体を貫いても手ごたえが少なく、呪霊もさしてダメージを負ってないようだ。

 

しかし、そこで千代は焦らず、ふぅと深呼吸をする。千代は呪術高専に来てから、先生、先輩、同級生との稽古で総じて体術やこの武器の扱いも向上した。現場任務も段違いに増えた。

 

荒縫が千代に前衛を任せるのもそういった鍛錬から十分に任せるに値すると判断されたからだ。厳しい教師ではあるが、評価は厳正につける人である。

 

(この呪霊に攻撃を与える暇をあげないようにしないと)

 

千代は呪霊にダメージを与えるよりもまず一般人を優先に考え、目の前の呪霊に再度攻撃を仕掛ける。

 

千代の分銅鎖が、呪霊の体を貫通する。が、手応えはなく、呪霊も動じていない。

 

千代は試しにそのまま分銅鎖を振り回し、呪霊の体中央から斜め左に体を削り取った。そして、瞬時にまた鎖を体に貫通させ自分の術式を発動した。

 

 

 

代躰(だいたい)呪法』

傷継(しょうけい)

 

 

 

しかし、千代の体に傷は現れなかった。

 

「やっぱり、効いていない。」

 

術式を発動させても千代に傷が現れなかったということは、呪霊にダメージがないということだ。それを確認できたため、敵の呪霊の特性もある程度絞れる。

 

池から現れたが、その場所に固執することなく、戦場に陸を選択した。つまり、土地的アドバンテージは関係ない。どちらかと言えば、その体を構成している泥から水場に潜むためという考え方が自然である。おそらくは泥で包まれている巨体のどこかに明らかな素体、弱点があるはずである。

 

そう千代は見切りをつけた。

 

そして、このことを荒縫先生に伝える。

 

「荒縫先生!」

 

 

 

千代が戦っている間も、荒縫は若者達の周りの警戒と千代が捌き切れなかった敵の攻撃の相殺をしていた、かつ彼女自身の術式により呪霊の本質を見抜いていた。

 

 

 

白識目(びゃくしきもく)

 

荒縫の術式はその瞳を通して発動する。五条家の者が先天的に有すると言われる『六眼』の下位互換とよく囁かれているが、その特性は少々異なる。

 

 

 

()の眼」

高度な夜目、遠視が可能になり、動体視力が大幅に上昇する。

 

(あま)の眼」 

あらゆる物の内部構造を視ることが可能になる。

 

 

 

この二つの能力は荒縫の使用する拳銃との相性が良い。

 

さきほど千代が荒縫に呼びかけたのも「天の眼」により見抜いてもらうためである。

 

荒縫も千代が声をかけるよりも前から天の眼は発動していた。なぜ黙っていたかというと千代が自力で呪霊の特性を理解していたかを確かめるためである。

 

(及第点だな。)

 

千代への評価を口にはせず、心の中に押しとどめた。さすがに戦闘中に言うのは可哀そうだという理由だった。

 

荒縫は千代へ返答した。

 

「巨体の右側、手が伸びる付け根あたりに1つ、そして中央にある空洞より1メートル下に1つ核がある。」

 

その言葉を聞き、千代はすかさず分銅鎖をまず手の付け根を目指し投げつける。敵もなにかを察したのか、核の周りを泥で囲い始める。しかし、呪力を濃密に纏わせた分銅鎖が勢いよく貫き、ゴツッっと音がした。呪霊の核が破壊された証拠だ。

 

だが、核が一つ壊されても、呪霊は動き続けた。更に核周りに泥を固めて、堅牢にしようとしていた。

 

千代が少し嫌な顔をした。分銅鎖を引き戻すには少々時間がかかるからだ。その間に泥で固められたら、倒すのが面倒になる。

 

そう千代が考えていた時、中央の核を荒縫の銃弾が打ち抜いた。

 

 

 

(さすがに、一般人に被害が出るのはまずいからな。)

 

千代の成長具合を確かめたい気持ちもあったが、若者たちの安全をとるため千代の攻撃で、呪霊の気が若者たちから逸れた瞬間をねらった。

 

二つの核が壊された呪霊はその場で崩れ落ち、消滅していった。

 

 

 

呪霊が消滅したのを見て、千代が「ふう。」その場で一息つく。

 

「お疲れ様だ。いい戦いをするようになったな。」

 

荒縫は前衛の役割を担った千代をねぎらう。彼女は本格的に前で戦うのはそうそうないため、実際に動ける千代を見た評価だった。

 

「それは、扱かれてますから。」

 

千代は少々苦笑いしながら言う。近距離でも十分に戦えるように、毎日特訓した日々を思い出しているようだ。近距離戦を教える環境にあまり置かれなかった五条家に比べたら、荒縫や同級生との訓練はかなり厳しいものだったのだ。

 

(思っていたより、呪霊の気配に対して呪霊の強さがあっていないな。それにわざわざ陸に出ずに、その場で戦っていた方がよりこちらが苦戦していただろうに…。まだ、なにか)

 

「あの、すみません!」

 

荒縫が先ほどの戦いを考察していたら、声をかけられた。荒縫と千代が振り返る。

 

声をかけてきたのは、妙に呪霊から注目されていたとおるという男だ。

 

「ありがとうございました!」

 

男は礼を言った。唯一、若者たちの中で呪霊が見えていたからだ。

 

未だに他の3人は放心状態だった。それは、見知らぬ人達が虚空に向けて何かしら攻撃をしたり、水しぶきが何もないところから上がったら、だれでも混乱するだろう。

 

彼らを見渡して、荒縫が言う。

 

「これが仕事だからな。あとでここに黒スーツの人間が来る。そいつらの指示に、」

 

 

 

 

荒縫の言葉が止まる。そして、叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

「そこから離れろ!!!!!」

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれてありがとうー

戦闘場面は難しいよ~
術式の名前考えるのつらいよ~

荒縫先生の術式考えるのほんとに疲れた。結果、案外普通のが出来た。
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