五条悟が最強であることは理解していたが、まさか封印されるとは思ってなかったんだ。   作:のれん(-_-)zzz

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前の話でルビを振るところを忘れてた。兄様はあにさまと読むよ。

それではどうぞ。



弐話

屋上への入り口を開けると、そこにお目当ての呪霊がいた。黒い靄が3メートル範囲にまとまっており、ところどころに眼球が付いてぎょろぎょろと動かしている。

 

「私が叩く、サポートを頼む。」

 

夏油さんが言う。

 

「分かりました。」

 

私が言い終わるのと同時に、夏油さんが動き出した。夏油さんはまず、2体の呪霊を出した。一体はムカデのように体が長く節と足が多くついている昆虫型の呪霊、もう一体は、熊ほどの大きさがあり、鋭い爪を持つ獣型の呪霊だ。

 

昆虫型の呪霊は黒い靄の近くまで這いより、一気に体を巻き付けようとした。

 

しかし、黒い靄は霧散し、その巻き付けは空振りに終わった。

 

「どこにいった?」

 

私と夏油さんは周りを見渡す。呪霊の気配は消えていない。寧ろ濃くこの場に残って居る。

 

必ずどこかにいるはず。

 

後ろで何かが動いた気配がした。私は反射的に、分銅鎖の端から1メートルのあたりを持ち、呪力を帯びさせながら回転させた。

カキンッと音が響く。

 

見ると、黒い杭のようなものが転がっており、その後、先ほどと同じように霧散して消えた。

 

「大丈夫か?」

 

「はいっ」

 

「ちっ、やっかいだな。靄は実体となっても攻撃してくるのか。」

 

こちらは敵の位置を読めない。しかし、呪霊は靄のようなものを動かし、死角からの攻撃を行う。

おそらく先ほどのはまだ序の口。あの大きな黒い靄の塊ならもっと多くの攻撃手段があるはず。

思考をめぐらしていると、次の攻撃は一気に来た。

 

ズズズと音を出しながら、私たちを数百本の杭が囲んだ。そしてこちらに向かって飛んでくる。私は先ほどと同じ要領で鎖を回転させ、弾く。夏油さんは、昆虫型の呪霊を自身に巻き付けながら、獣型の呪霊の爪により弾いていく。

 

ただ、敵も考えているのか、一斉に杭を投げかけるのではなく、時間差を作りタイミングをずらしている。夏油さんはまだいいものを、私にとってこれは少々きつい。

 

「夏油さん、本体はっ?」

 

「確認できない。しかし、これだけの能力を有しているには、何か縛りを設けていてもおかしくない。同じ場所に留まるだけでは足りない。」

 

そうだ。場所の縛りはおそらく一般人への影響範囲の拡大。実体を持たず、これ程の能力を得ているのは別の縛りがあるはず。どこにいる?

 

「この攻撃を一気に吹き飛ばす。千代ちゃんはこっちに来れるかい?」

 

このままでいても埒が明かないと考えたのだろう。夏油さんが動き出す。

 

「はいっ。」

 

私は攻撃の合間を縫って、夏油さんに近づく。

 

私が近づいたのを確認すると、夏油さんは二体の呪霊を消して、新たな呪霊を出した。大きさは先ほどの獣型と同じ。翼にもなっている手と足を両方地面につき、シューと息を吐きだしながら構える蝙蝠(コウモリ)のような呪霊であった。

 

「耳を塞いで!」

 

夏油さんの一声に反応し耳を塞ぐ。次の瞬間、耳を塞いでも分かる、鼓膜を震わすような衝撃波が響いた。反射的に目をぶってしまった。

 

眼を開けると、周りを取り囲んだ黒い杭が一気に崩壊しているのが見えた。

 

「すごい。」

 

これが、兄様(あにさま)に並んで最強と呼ばれる人の力。圧倒的力で敵を屠る。

 

「まだ、倒せていないかもしれないから気を抜いちゃだめだよ。今の衝撃波でダメージを負わせることはできたとはお…も…。」

 

夏油さんが話している途中、急に口から血が垂れた。見ると横腹から細く黒い(もり)が突き刺さっていた。

 

「夏油さん!」

 

勢いよく銛が引き抜かれ、夏油さんが倒れる。私は夏油さんを支え、彼の裏にいたものに分銅鎖を投げつける。

 

グエッと声が聞こえる。手ごたえはあった。

 

見ると30㎝程の小さなサイズの赤子のような呪霊がそこにいた。霧状のものよりは弱そうだ。もう一発入れようとすると、目の前を黒い靄を実体化させた障壁でブロックされてしまった。

 

その隙に距離を置かれた。

 

 

「夏油さん大丈夫ですか?」

 

「急所は外してるから、何とかね。」

 

そうは言うが血は止まっていないし、動きが鈍い。

 

「ア、イヤイ、イヤイウー。」

 

赤子の呪霊も先ほどの攻撃の衝撃でひるんでいるが、弱るまでには至っていない。

 

夏油さんは力を振り絞り、先ほどの2体を再度召喚し、相手を牽制する。

 

「本体を見ていろいろと分かった。まず、あの黒い靄。靄のときは呪霊もほぼ無敵だが、実体化させるときは確実に呪霊本体が弱体化する。」

 

なるほど。さっき私の攻撃が通ったのはそのせいか。だけど、

 

「でも、弱体化しているなら、先の衝撃波のときに大ダメージを追っているはずです。」

 

実体化している杭をすべて崩壊させたときは呪霊も無防備だったはずだ。

 

「いや、おそらく攻撃の瞬間だけ実体化させたようだ。私の攻撃で壊されたと見せて、こちらの油断を誘った。もともと小さい本体だから私たちの死角、かなり近いところに潜んで能力を強化していたみたいだね。2級どころの呪霊ができる芸当じゃない。1級、もしくはそれ以上。」

 

「なっ。」

 

それはまずい。今、夏油さんは負傷している。かつ私が足を引っ張ってしまっている。

 

「一旦引きましょう。こちらの分が悪いです。」

 

「相手がそうしてくれたらいいんだけどね。屋上は向こうのフィールド。逃げ切れたとしても、場所を変えられたら、被害が広がる。ここで殺るしかない。なに大丈夫、相手の能力は割れたし、私は1級だ。十分に祓える。」

 

夏油さんはそう言って呪霊に向かう。使役している呪霊たちは私たちが話している間にかなり消耗している。どれだけ彼にストックがあったとしても、負傷しているうえに相手の能力で隙を狙われやすい。それを私がカバーできる保証がない。

 

 

現実は厳しいものであるのに、夏油さん自身もそんなに青ざめた表情であるのに、どうして言い切れるんですか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…仕方がない。

 

 

彼が死んでしまえば、兄様は悲しむ。親友が死ぬことで兄様が弱くなることなどはないとは思うが、万が一が起きれば、五条家が終わる。五条家が終わることは呪術師界が終わるということ。万が一がなくとも、夏油さんを死なせれば、ここへ私を仕向けた五条家の面子も潰れる。

 

分かっていた。私は利用される存在であることを。できれば使いたくなかったが、五条家のためになるのならばやらねばならないのだ。そうして○○になるのならば。

 

 

フゥーと息を吐く。

 

「夏油さん。」

 

私の前に立つ夏油さんが振り返る。まっすぐ彼を見つめ言葉を発する。

 

「あなたが全快であるならば、私へのフォローを気にしなくていいならば、こんな呪霊簡単に殺れますよね?」

 

最強の片割れのあなたならば。

そう言って私は笑みを浮かべる。

 

夏油さんは目を見開いて、そして答えた。

 

「ああ、確実にやれるだろう。だが、どうやって。」

 

「詳しい説明は後です。あなたは、呪霊を殺ることのみを考えてくさい。私が全力でサポートします。」

 

 

そういって、私は夏油さんに触れ、術式を発動する。

 

 

代躰(だいたい)呪法』

 

傷継(しょうけい)

 

次の瞬間、夏油さんの体から傷が消えた。

 

 




連日投稿なんてしたらこの後が厳しくなるのに…してしまったよ。けど、後悔はしない。

ここまで読んでくれてありがと。
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