五条悟が最強であることは理解していたが、まさか封印されるとは思ってなかったんだ。   作:のれん(-_-)zzz

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題名にある人が全然登場しない...
名前は何度も登場しているのに。




参話

千代視点

 

私が術式を発動した後、夏油さんの体から傷が消えた。

 

「これはっ?」

 

夏油さんは自分の体に触れ、傷があった場所を確かめる。穴が塞がり、血も流れ出ていない。傷が一瞬のうちにして消えたことに驚いていた。

 

「では、後は頼みましたよ。先輩。」

 

私はそう言って、微笑み返す。私はこの顔を崩してはいけない。彼の余念に残るようなことをしてはいけない。

 

私の姿を見て、一旦夏油さんは今起こったことの考察を放棄して、呪霊の方へ向く。

 

「ああ、任せてくれ。」

 

「ア、ア、イエエエヤー。」

 

赤子の呪霊は、どんどん力を増していく。先ほどの攻撃の影響などなかったかのように。

夏油さんの3体の呪霊はもうすでにボロボロ。

 

 

「これは扱いづらいから好きではないけど、その分威力は半端ないよ。」

 

夏油さんは、新しい呪霊の名を呼んだ。

 

「『滝夜叉姫(たきやしゃひめ)』」

 

その瞬間、女型の呪霊が現れた。団子に結われ足元まで伸びる艶やかな黒髪。色白く陶器のような肌。整ってはいるが、白眼で血涙を流しており不気味さを醸し出している顔。何枚も着物が重なった十二単。そして圧倒的呪力を身に纏っている。

 

 

滝夜叉姫は手元に札を持ち、目の前で構え何やら術を唱える。その後、彼女の周りに無数の紫紺の火の玉が現れた。

 

「ウ、ウ、ギャアアアア。」

 

敵の呪霊も滝夜叉姫に対抗して黒い杭を出す。

 

次の瞬間、打ち合いが始まった。火の玉と杭が衝突しその場で小さく爆ぜる。

 

両者とも呪力のキャパシティは大きい。このまま打ち合いが続くかもしれないが、おそらくはそうはいかない。

 

次の瞬間、私と夏油さんの周りにも黒い杭が現れる。

 

やっぱり。このフィールドではあちらの方が上。滝夜叉姫が対抗している分、私たちへの攻撃は少ないが、こちらも気が抜けない。

 

それに、先ほど夏油さんが言っていた。滝夜叉姫は扱いづらい。あれほどの呪力を内包しているならば、私たちへのフォローも十全にできるはず。それができないとなると、正面の敵にしか意識を向けさせることしかできないということ。

 

 

ただ、滝夜叉姫の攻撃も徐々に苛烈さを増している。その分対応に追われ、敵が無防備になる瞬間が増える。敵が黒い靄の実体化に伴い弱体化するときの一瞬の隙。それを夏油さんは伺っている。

 

私がするべきことは決まっている。敵の攻撃をいなしつつ、夏油さんがダメージを負ったら回復させること。それだけ。

 

「ギギギ、イアアアアアア。」

 

敵は仕留めきれないことに、しびれを切らしたのか攻撃手法を変えた。自身を黒い靄で包み、そこから何本もの蛇行する鞭を繰り出した。滝夜叉姫の発する火の玉でその鞭が削られるも、再生速度が速い。おそらく、本体につながっているからだ。

 

そのまま黒い鞭は滝夜叉姫の元まで伸び、湾曲して攻撃を与えた。

滝夜叉姫は動じずに、そのまま術を発動していく。それによって敵の呪霊も押されている。

 

「滝夜叉姫も狂ってますね。気に食わない奴はとことん攻めるタイプだ。」

 

私は苦笑いする。

夏油さんの操る呪霊が意思を持つかどうかなど知らない。けれど、どこか兄様と似ている。夏油さんもこの滝夜叉姫の特性を理解したうえで、召喚したのだろうか。今の彼女は消耗を気にせず、間合いを詰めている。

 

 

しかし、ダメージは追っているはずだ。

確実に敵を殺るには、滝夜叉姫を最高の状態に戻すべき。

 

 

私は、後方で分銅鎖を滝夜叉姫に投げつけ、巻き付けた。私の術式は何も人にのみ効くわけではない。

 

傷継(しょうけい)

 

「っ、すごいタフですね。あなたは。」

 

呪霊を褒めるなんて、呪術師としては恥だが、自然とその言葉が出た。

念押しだ、これもあげてやる。

 

呪呈(じゅてい)

 

私の術式発動に呼応するように滝夜叉姫は動いた。実体化する鞭を掴み、靄に戻る時間を与えず、一気に燃やし尽くす。呪霊の元まで伸びた炎により、敵の呪霊の黒い靄の防御に隙が生まれる。

 

夏油さんはその隙を見逃さず、新しく呪霊を手元から出し、さらに自身の体術に呪力をのせる。

 

「これで終わりだ。」

 

「オオオオギャーー。」

 

次の瞬間、呪霊は地面に叩きつけられ、戦闘不能になった。

 

 

 

 

地面に陥没する呪霊をみて、この戦いに勝ったことを認識する。

 

「は、終わった。」

 

長かったようで、短かった戦いが終わり安堵の息を吐く。

 

夏油さんはまず、滝夜叉姫の呪霊を解き、今しがた倒した呪霊を飲み込もうとしている。

 

あれが呪霊操術で操る元なのか。どんな味がするのだろう。あとで聞いて...みよ......な。

 

私の体も限界が来ていた。力の踏ん張りが利かず、前のめりに倒れる。倒れる直前、視界の端にこちらへ駆け寄ってくる夏油さんが見えた。

 

 

 

 

夏油視点

 

赤子の呪霊を倒した。今後、利用するために倒した呪霊を飲み込む。うん、不味いな。

 

途中、どうなることやらと思ったが、無事倒せてよかった。これも、千代ちゃんのおかげか。彼女の術式はどんなものか。もう一度聴いたら、教えてくれるだろうか。

 

そうして、私は彼女の方へ振り向く。

 

「千代ちゃん、怪我はな...」

 

すると千代ちゃんがふらつきながら、今にも倒れそうなのが見えた。

 

急いで、駆け寄り残しておいた呪霊を使って、彼女を支えた。ゆっくりと地面に降ろし、仰向けにさせる。

 

異常がないか確かめる。すると、すぐに気づいた。

 

「これはっ。」

 

彼女は特に敵からの攻撃を身に受けてはいなかったはず。だが、横腹から血がにじんでいる。他にも腕、足に打撲の跡が見られる。

 

私自身が、敵の攻撃で負傷した位置であった。そして、打撲の跡。正確な位置は記憶していないが、滝夜叉姫が負った傷を可視化するならこのようになるだろう。

 

彼女の術式を聞くまでもなかった。彼女の術式は、他者の傷を請け負うもの。私と彼女の体格差を見ても、傷を請け負ってから、普通に行動していた際の彼女の忍耐力は凄まじいものだ。

 

「早く治療しないと。」

 

私は反転術式が使えない。腕のいい術師、ここでは同級生、家入硝子のもとに早く連れて行かなければ。彼女を死なせてしまったら、悟にあわす顔もない。

 

空を飛べる呪霊を召喚しようとする、が、

 

「大丈夫ですよ、夏油さん。」

 

彼女の手が私の術の発動を制した。

 

「少しふらついて、意識が飛んだだけなので、平気です。支えてもらってありがとうございます。地面とキスしないで済みました。」

 

そう言って、私に弱弱しい笑顔を向ける。

 

「いや、大丈夫じゃないだろ!その傷は私の…」

 

「大丈夫ですって。私の術式はご想像のとおり傷を請け負うものですが、わざわざ自分が死ぬものを請け負うのはごめんです。」

 

そう言って、千代ちゃんは起き上がり、その手に呪力を籠めて自身の患部にあてる。

 

すると、血のにじみの広がりが止まり、打撲跡が薄くなっていった。

 

「反転術式、使えたのか。」

 

「自分限定ですけどね。ただ強力で、重傷負っても歩くぐらいは何ともないところまで治せます。ね?大丈夫でしょう?」

 

少し余裕ぶっているところが頭の中の親友と重なり、少しイラつく。だから、彼女に笑顔を向けてこう言った。

 

「最初から言ってくれれば、焦る必要はなかったのにね。」

 

そう言うと、彼女の顔が青ざめて、慌てる。

 

「いや、えっと、しょうがないじゃないですか。まさか、こんな強い呪霊だったと思わなかったですし、夏油さんも深く聞かなかったじゃないですか!」

 

あわあわとする彼女を見てぷっと息を吐いて笑う。ちょうどいいから利用しよう。

 

「先輩。」

 

「へ?」

 

彼女の目が真ん丸になる。

 

「戦いの途中、そう呼んでくれたでしょ。これからは夏油さんじゃなくて、傑先輩。そう呼んでくれたら、許してあげる。どう?」

 

彼女は少し迷うようなそぶりをして、恥ずかしそうに言った。

 

「う、分かりました。げ、傑先輩。」

 

その言葉に満足して、手を差し出す。

 

「じゃあ、帰ろうか。立てるかい?」

 

「は、はい!」

 

彼女は私の手を取り、腰を上げる。

 

散々な任務だったな。彼女の術式だったとしても、自分の不覚により傷を負わせてしまったのも申し訳ない。悟にも謝った方がいいかな。

 

それとは別で、彼女の入学後の悟の反応が楽しみだ。

 

 

 




ここまで読んでくれてありがとー

こんなに、夏油メインにするつもりはなかったのにどうしてこうなった
次回はやっと、題名の人が出てくれるよ
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