五条悟が最強であることは理解していたが、まさか封印されるとは思ってなかったんだ。 作:のれん(-_-)zzz
話を進めたくて、描写が雑になる。それ以前に、語彙力が圧倒的に足りない。
あの廃病院の戦いから二日後。
呪術高専の教室の中に二人の生徒がいた。五条悟、夏油傑、どちらも最強と称されている二人は、昼休憩中、オセロをしていた。同級生の家入硝子は治療の任務が入りどこかへ行ってしまった。
「暇だ。」
逆向きにした椅子の背に脱力しもたれ掛かる五条がつぶやいて、駒を置く。
パチッ
「なんだ、急に。」
五条のつぶやきに反応しつつ、夏油も駒を置く。
パチッ
「先日の任務が簡単すぎて、物足りねえんだよ。」
パチッ
「いいじゃないか。悟が苦しむような強い呪霊なんていない方がいい。」
パチッ
「傑もこの前任務だったんだろ。強かったか?」
パチッ
「ああ、2級呪霊の予定が、1級以上の呪霊を相手取ることになってしまってな。ていうか、妹から聞いていないのか。」
夏油の言葉を聞いた五条の手が止まる。
「あっ?今なんて言った?」
そう言って、五条は自分の駒を潰した。その全身からはどす黒い呪力がにじみ出ている。
「何を殺気立っているんだ。お前の妹、千代ちゃんと任務に行ったのだが、聞いていないのか?」
次の瞬間、五条悟のこぶしが机の上に叩きつけられた。
「クソッ!」
五条が言葉を吐きつけるように叫ぶ。
「悟?」
夏油が様子の変わった五条を見て驚く。普段の飄々とした雰囲気からはかけ離れている。
五条はまだ状況を理解していない夏油を見遣り、言った。
「傑! さっき2級呪霊の予定が、1級以上の呪霊になったと言ったな。あいつがその状況で無事で済むわけがない。」
五条がここまで緊迫した状態になるのは珍しい。
夏油は真剣な顔つきで答えた。
「いや、彼女は何も怪我をしなかった。本来ならばな。私が不覚を取ったせいで負った傷を彼女が請け負った。彼女自身の反転術式ですぐには治ったのだが、すまない、私がいながら。」
五条は夏油の言葉を聞くと、こぶしに込めていた力を解いた。先ほどよりは呪力の出力を抑え、少し冷静になって答えた。
「いや、傑は悪くない。悪いのは五条家と上層部の奴らだ。」
悟の言葉に夏油は怪訝な顔をする。五条の言っている意味が分からなかった。
「どういうことだ。」
「...お前には言っておいた方がいいか。あいつは、俺のために、いや違うな。俺が生きていなければ困る五条家のためにのみ存在している。」
そう答えた五条の表情は非常にやるせないものだった。
1991年、2月、五条家にある女の子が生まれた。
後に、五条家相伝である無下限呪術、そして六眼の持ち主であると判明した五条悟の実の妹、千代であった。
ひとつ上の兄の術式が分かり、彼女も自分の術式を自覚する年頃になるとそれはそれは期待されていた。
しかし、現実はそう思い通りにはいかなかった。
彼女の術式、それは『
その名の通り、代わりになる躰を行使する呪法である。任意の相手の身体的能力を自身に上書きし、相手はその分失う。また、自分の術式以外の能力も受け渡すことが可能だ。
しかし、彼女は術式により相手から身体的能力をもらい受け、自身を増強させることができなかった。それは、術式を自覚する前にすでに無自覚に縛りを加えてしまったからだ。
ひとつ上の兄、五条悟が、非常に稀有な存在となった瞬間から、周りは彼を大層大事に扱った。今後の呪術界の筆頭になる存在、そして他の御三家に対抗できる存在であったからだ。
五条千代はその周りの反応を5歳にして感じ取ってしまった。
「兄様は特別。兄様に害を為してはならない。兄様は守るべき存在。」と。
その意識が術式に縛りを加えてしまった。
身体的能力を自身に代えることができるのは、相手の低下している身体能力のみ。また、相手に渡せるものは、自分に対して有利な能力のみ。彼女が幼いながらにして自身にのみであるが、強力な反転術式を使えたのも、この縛りによるものだろう。
彼女の能力を知った、五条家は落胆した。しかし、無下限呪術でないにしても彼女の能力を都合がいいと思った。そう、五条悟の身代わりとなればいいと。
よって、五条家のためにという思想が入り混じった教育をされた五条千代は、元々彼を守るという思考もあって、五条悟が負傷する度にその能力で請け負い、彼が完全な状態であるように努めた。
そうして、現在に至る。
一連の話を聞いた夏油は、苦虫を嚙み潰したような表情で五条に問うた。
「お前が、千代ちゃんがそのための存在であることを知ったのはいつだ。」
自分の親友は呪術師であるが、肉親を自身のための生贄の様に扱う奴ではないと夏油は信じていた。
静かに五条は口を開く。
「俺が、中2、あいつが中1のとき。あいつの呪法は、触れて発動する。だから、その時まで、反転術式だと偽って、俺の治療をしていた。ただ、あの時は、俺もかなりやられていてな。あいつの体が目に見えて血に染まるのを見た。問い詰めて、初めてあいつの術式を知った。情けねえよな。今まで、負った傷を全部妹にあげていたんだから。」
五条千代は幼い頃より、黒い服を好んできていた。それは、自身から発する血を隠すためでもあった。
「悟のせいじゃない。それなら俺も同罪だ。彼女に治してもらった。」
夏油はまっすぐ親友の方を向いて答える。顔は少し歪んでいたが。
「...さっきも言ったけど、傑は悪くない。そう教育してきた五条家の問題だ。」
(その五条家の中に悟自身も含めているのだろう。)
親友の言葉を受け、夏油に苦悶の表情が浮かぶ。悟は何もしていない。だが、存在しているために彼女を傷つけてしまったことを悔いているのだろう。
「今は、どうなっている。私が一昨日、彼女に会ったとき、五条家を崇拝しているような様子は見られなかった。」
「あいつの術式が分かってから、教育係をボコボコにしたし、色々周りにも言っておいたから教育はもうされていない。だが、あいつの心の中を覗けるわけでもないから、今のあいつの思考は俺にも分からない。根底には残っているかもしれないな。」
「っ、では彼女はなぜ今になって任務に参加し始めたんだ。不躾なことをいうが、その話だと彼女はこれからも悟を治すだけで良かったのではないか。」
五条が自身の手のひらを見つめて言う。
「多分、俺が強くなりすぎたからだよ。怪我なんてしないほどにな。それに高専に入ってからは、少々傷を負っても、硝子の反転術式で回復させてもらえたしな。」
「なるほど、だから五条家は役割がなくなった彼女を、一度実戦に投入してみて、彼女が実戦の中でも役に立つかを判別したって所か。上層部と取引して。」
反転術式を扱える呪術師はそう多くはいない、がいることにはいる。そのほとんどは非戦闘員であり、一瞬で治癒できるわけではない。ある意味、ノータイムで治療できる彼女の能力が真に活かされるのは、戦闘中であるといえるだろう。
「ああ、たぶんな。2級よりも上の等級の呪霊を偽って伝え、油断して傑が負傷する状況を想定したんだろうな。怪我がなければ、あいつの有効性を示せないからな。」
五条の言葉に夏油は息を吐く。
「はあ、私までも利用されていたとは。心底腹が立つ。」
「ああ、そうだな。」
二人の間に静けさが通る。
「よし!この話は終わり!」
急に五条が手を叩き叫んだ。
「どうしたんだ。急に。」
夏油は先ほどの重い空気と打って変わった五条をみて驚く。
「これ以上話してもしょうがないってことさ。確かにうちが手のひらを返したように、あいつを呪術師として送り始めたり、その先駆けに傑を利用したのは許せない。だがあいつも呪術師だ。今後その任を持つことに異論はない。」
確かにそうだ。彼女自身、教育はもう受けておらず、これから通常の任務を受けられれば、一般の呪術師と何ら変わりない。
(本当は兄として心配しているのだろうが、こいつは普段の飄々としている態度の方が似合う。)
夏油は悟の空気を変えようとする姿勢に乗っかった。
「それに2か月後にはここに来るからな。近くでも見守ってあげられるからだろ、
「な、お前、それをあいつから聞いたのか。」
少し顔が赤くなった五条が尋ねる。これは面白いと感じた夏油はさらに悪い笑みを浮かべて畳みかける。
「ああ、それともう一つ。誰がお前によく突っかかるネチネチ野郎だ。この野郎」
夏油の言葉でさらに五条の顔が悪くなる。
「く、あいつ変なところでぼろを出すからな。だが、俺も一つ許せねえことがある。」
反撃するかのように五条は夏油を指さした。
「なんだ?」
「俺の妹を千代ちゃんなんて気安く呼ぶな!せめて、苗字呼びしろ!」
親友の意外な一面に驚く夏油。
(…意外だ。こいつシスコンだったのか。しかし、)
「はあ、お前だって妹のことあいつ呼ばわりしているだろ。兄としてどうかと思うが。それに苗字だとお前と被る。」
「ふざんけんな。お前普段、俺のこと名前呼びだろ。」
「今度から苗字呼びにしてあげるよ。」
軽い挑発をかました夏油。余裕の表情で五条をいじる。
「ああっ?」
それに易々と乗る五条。五条悟の額に青筋が浮かび、戦闘の構えになる。
「なんだ?やるのか?」
夏油もやる気満々だ。
「ああ、ここで白黒つけさせてやるよ。」
二人の間に緊張が走る。
次の瞬間、教室の扉が開き、担任の夜蛾が入ってきた。
夜蛾が二人を見遣ると、二人は先ほどの剣呑な雰囲気などなかったかのように着席していた。完璧な高速移動であった。
しかし、夜蛾は突っ込んだ。
「おい、机の上のオセロ片付けとけよ。」と。
ここまで読んでくれてありがとう~
なんか、設定を色々詰めすぎた気がする。