銖理が色々あった翌日...
竹林の永遠亭に続く道を大神家の一人潤香が歩みを進めていた...
片手には書類を入れるカバンを持ち、表情はいつも通り目の下にクマを作り彼女は眠そうに目をこすっていた...
side潤香
「ふぁぁぁ...全く...通信機くらいは持ち歩いて下さいよ...」
私は欠伸をしながら永遠亭に続く道を歩いている...
何故私がここにいるのかというと...
是非曲直庁に出す私たちの寿命延長の申請書の提出期限が明日になっているからです...
まだお母様と銖理お姉様の申請印をもらっていないため書類を出すに出せないので私が直接現地に向かっているというわけです...
幸いなことにお二人につけている発信機は竹林のどこかにいると示しているので探すのには苦労はしないと思います...
「...こちとら徹夜だというのに...ふぅ~!帰ってコーヒーとカステラにでも食べてゆっくりしましょうか」
永遠亭まであと僅かというところに差し掛かると竹林から見覚えのある姿が道に飛び出してくる...
黒の革のジャケットにツララのような白い髪をした女性...
見違えることもない...私の姉である大神銖理の姿だ...
彼女は落ち着きなく辺りを見回して私の存在に気付く...
「じゅ...潤香!私を匿って!!!」
「あ...お姉様...申請書の印鑑下さい」
「そんな後であげるから!何とかして!!」
「何とかとは何を...」
銖理お姉様は近くの草むらに隠れるとまた竹林から誰かが出てくる
茶色の着物を身に着けた少女ことミスティア・ローレライだ...
確か居酒屋の経営にうまくいったとか...
一見優しそうな女将さんに見えるが手に持った包丁がそれをかき消してしまう...
彼女は私を見つけると満面の笑みを浮かべてこちらへやってくる
「あ!潤香いいところに!」
「お久しぶりです...何かありましたか?」
彼女は満面の笑みを浮かべて手に持った包丁を光らせる
「あの浮気者を見なかった?」
...浮気者?
恐らく銖理お姉様の事ですか...
一体何をしたのでしょうか?
聞かない方が良いでしょう...
ロクなことが起きないでしょうし...
「さぁ?銖理お姉様の事は見ていませんが?」
「ふふ」
ミスティアは私に包丁を向ける
「私がいつ銖理の事だと言ったの?変な隠し立てすると痛い目にあうわよ」
「あら?」
私としたことが...ついボロを出してしまいました...
これはいけませんね...
嘘をつくと新たに嘘をつかなくてはならなくなります...
「...あらら?嘘がばれましたか」
「彼女は何処?」
彼女は包丁を向けるが私は大神...
その程度の武装では私には傷1つもつかないくらい分かると思ってましたが?
「...勝てるとでも?」
ミスティアは少し迷ったような口惜しそうな表情を浮かべる
「...やっぱやめた...私の力で見つけるわ」
「その方が賢明だと思います」
「ふん!」
そう言うと彼女は竹林の奥へと消えていく...
そして草むらから銖理お姉様が出てくる
「助かった!ありがと!潤香!」
「ええ...印下さい」
「はいはい♪」
銖理お姉様は判子を取り出し書類に目を通し始める...
「何か彼女とありましたか?」
「...えっと」
その間...私はミスティアと何があったか聞くとお姉様は迷ったような表情を浮かべる
「ちょっとした一夜の戦いというか...冒険というか...」
「?」
例えがよく分かりませんが...
彼女が怒り狂うようなことをしたみたいですね...
これ以上やるのは無粋ですか...
「はい!終わった!!」
「...これで大丈夫ですね」
銖理お姉様から書類をもらい私は発信機を見る...
残りはお母様のみ...
この方向だと永遠亭の方みたいだ...
近いところで良かったです...
「では私はこのまま永遠亭へ向かいます...お姉様も気を付けて...」
私が去ろうとすると銖理お姉様は私のジャケットを掴む
「待って!アンタが消えたらまた私が彼女に追われるじゃない!!」
私はお姉様のボディガードではないのですが...
それに強さは私と同等...
意味のない気がします...
「...どうしてもと言うならついてきます?」
「その方が私が安全よ!!」
銖理お姉様は私に引っ付く...
やれやれ...仕方ありませんね
「では早く参りましょう...時間も有限です...」
私は銖理お姉様を連れて永遠亭への道を急ぐ...
「ここまで来れば何とかなるかな...」
「大丈夫ですよ...ほら...着きましたよ」
永遠亭の近くまで来ると永遠亭の住人+aが集まっているのを確認する...
住人に混じって2人...
遥か昔にお会いした顔が見える...
月の民こと綿月豊姫・綿月依姫姉妹だ...
かなり久しぶりですが...
月面戦争以来でしょうか?
「あ~!兎が~!」
「はい!行きますよお姉様!!」
何やら依姫が豊姫を引きずりながらこちらへと向かい私たちに気づく...
「あら?貴方達は暦の...」
「ええ...娘です...月面戦争ではお母様がお世話になりました...」
軽く威圧すると彼女は目を背ける
「...ええそうね」
「?」
何もない?
彼女ならいきり立って刀を抜くと思っていましたが?
「あ~!待って!潤香!」
しばらくするとお母様が慌ててこちらへ来て依姫の前に立ちふさがる...
「お母様?」
「依姫達と喧嘩しちゃ駄目!!もう!ダメ!!」
一体何があったのでしょうか?
お母様も依姫も顔を真っ青にしていますが...
これは...見なかったことにしましょうか...
「そ...そうですか...あ...お母様申請書に印をいただけますか?」
私が書類を見せるとお母様は忘れていたかのような表情をする
「あ...ごめん...わざわざ来てくれたんだ...」
お母様は大人しく申請書を手に取り黙々と書き上げていく...
そして依姫はお母様をじっと見た後背を向ける...
「じゃあ私たちは帰るわ...暦」
そう言った依姫の言葉にお母様は黙々と書類に筆を走らせている
「...そう」
「つれないわね...見送りの言葉も無いの?」
「...まぁ...またいつか」
お母様が返答すると依姫は豊姫を引きずりながら返答する
「八意先生のこと...任せたわ」
「...分かってる...私の役目だ」
お母様の返答に満足でもしたのか依姫は何も言わず僅かに表情を和らげて姉である豊姫を引きずっていく
「ああ!兎~!」
「帰りますよ!」
そう言って二人の姿は消える...
お母様の方を見るとペンを回しながらしばらく考え事をしているみたいだ...
「お母様?」
「う?ああ!!ごめんね!ほら!出来たよ!」
お母様は申請書を私に手渡す...
書類の中身に漏れがない事を確認し書類をしまいお母様を見る...
お母様は2人が消えた空間をしばらく眺めていたが私たちの手を引いて竹林の出口へと歩きだし始める...
「お母様?」
「母さん?」
「ほら♪私たちも帰るよ!まだしなければならないことが沢山残っているからね!」
お母様に手を引かれて私たちもその場を後にする...
やらなくてはならないことですか...
まだ...ずっと...先のことですね
約束を果たすまで...
私の役目を果たすまで...
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