季節は夏...
本格的に気温が高くなり、季節の変わり目ということで体調を崩しやすい時期に到達する...
早朝...大神神社の居間では、当主である暦が文文。新聞を眺めながらお茶を啜っており、普段と変わらない日常を過ごしていた...
急な来訪が来なければの話だが...
side暦
「季節の変わり目...風邪が流行かぁ」
新聞の一面を見ながら私はカレンダーを見る...
もう季節は夏になる...時間の経過というものは早いものだ...
しかし、新聞によると今年の夏は風邪が大流行しているみたいだ...
この私も少し前に風邪を引いて寝込んでしまったし、健康管理には最新の注意を払わなくてはならないな...
「まぁ!この私の能力を持っていれば関係はないけどね...ん?」
新聞をしまうと廊下を走るような音が聞こえてくる...
...音からして娘たちの歩調ではないみたいだ
こんな辺境の神社に誰が来たのだろうか?
しばらくすると部屋の襖が開き、とある人物が部屋に入り息を切らす...
長い薄紫色の髪に長いウサ耳...
永遠亭で働く妖怪兎こと鈴仙(略)がそこにはいた...
彼女は私を見つけると私に詰め寄る
「ぜぇ...ぜぇ...こ...暦!」
「どうしたの?うどんちゃん?珍しいじゃない貴女がここに来るなんて...」
「ぜぇ...うどんちゃん...言うな...」
彼女は息を整えながら私の両肩をガシっと掴む...
「おおう...どうしたの?あら?」
鈴仙の顔を見ると彼女は顔を歪ませながらグズっていた...
「暦~!私を...永遠亭を助けて...」
永遠亭に何かあったのだろうか!?
永琳が大変というのなら...流石にも私が動かざるを得ないか...
「何かあったの?分かるように説明して?」
「実は...」
side鈴仙
時は戻って昨日の夕方...
永遠亭の薬剤室で仕事をしている時...
私は師匠である八意永琳からとんでもない宣告をされてしまったのである...
「...39.6風邪ね」
師匠は体温計を咥えながら額に手を当てる
「あれ?師匠風邪ですか?」
「そうみたいね...今年の夏を甘く見ていたわ...」
師匠は明日の予約リストを眺める...
今年の風邪は性質が悪い...
ここに来るお客も増えてしまい、おかげで私の仕事も増加している...
「この前の暦の風邪でもうつされましたか?」
「多分ね...」
師匠はリストと薬品の数を数えている...
只でさえ明日の予約人数が凄いことになっているのだから、ここらで休んでもらわないとね...
「明日に響きますね...残りは私に任せて今夜は休んでくださいよ」
「そうね...あ...待った!」
師匠は戸棚から怪しげな薬の瓶を取り出す...
「何です?それは?」
「試作品の強力な風邪薬...自分で試そうと思っていたのよ」
強力な風邪薬か...
普段は私で人体実験を行っているのに...
師匠自ら行うとは...
「珍しいですね?自分で実験とは...あ...?」
書類から目を話して師匠の方を向くと彼女はすでに寝巻に着替えていた...
「じゃあ明日の永遠亭の事は任せたわ...薬の副作用で一日中ぐっすりだと思うから」
一日中ぐっすり?
待って!明日はかなりたくさんの患者が来るというのに!
「私の弟子だから一日乗り切れるでしょう...万が一何かあったら分かっているわね?」
師匠はそれを言い薬剤室から出ていく!?
「待って下さい!私一人では!!」
私は師匠を追い彼女の自室へ向かうが...
「スピ―!」
「...ああ」
師匠はすでに眠っていた...
私が突きつけられた実質の死刑宣告...
明日の仕事を乗り切らなくては私の未来はない!!
失敗したらお仕置きが!!
「ぐす...わあああああん!!」
永遠亭に私の慟哭が泣き響く...
side暦
「というわけなの」
鈴仙はぐずぐず泣きながら事の流れを説明する...
つまり永琳が風邪を引いてしまい、今日の永遠亭の診察を一人で回せないから手伝ってくれと言いに来たのだろう...
「いや?別に永遠亭には他の兎がいるじゃない?私がいなくても」
「てゐや他の子が手伝ってくれるわけないじゃない!!元々といえばアンタが師匠に風邪をうつさなければこんなことにならなかったのよ!!」
何故か鈴仙は逆切れする...
「パス...私じゃなくても良いでしょ?」
私が一蹴すると鈴仙は態度を変えて泣きつく
「お願いよ!だからここまで来たの!!師匠のお仕置きは嫌だぁぁぁぁあ!!」
彼女は凄まじい声で叫ぶ...
永琳のお仕置きか...依姫と受けたものと比べてどれだけの差があるのだろうか?
私としては二度と受けたくないものだ...
何だか鈴仙が哀れに見えてきた...
「こよみ~!泣くわよ?本気になったら可哀そうと思えるくらい泣くわよ!?」
彼女は何だか脅しのようで脅しではない頓珍漢なことを言う...
というかすでに泣いているじゃない?
でも仕方ないな...
永琳の風邪も気になるし行くだけ行くか...
「分かったよ...行くよ」
私の言葉に彼女は顔を明るくする
「じゃあ!レッツゴー!!」
彼女に手を引かれて私は永遠亭へと連れていかれる...
永遠亭
幻想郷の病院のようなものだが人里から遠く、迷いの竹林を抜けなくては辿りつけない秘境の地である...
だが今年の夏の風邪により足を運ぶ者が増えて来ていた...
鈴仙は白衣に着替え、いつもは永琳が座る席に座って満足そうに椅子を倒す...
side鈴仙
「むふふ...」
ここが師匠が医者の目線で見ることが出来る光景かぁ...
何だか私がここで一番偉くなったみたいだ...
夢心地に浸っていると部屋に暦が入ってくる...
服装はナース服姿だ...
大人の姿になっただけあって中々似合っているじゃない!!
「本当に私いるの?確かに私は元研究者だけど...専門はDNAだから役に立つかどうか...」
「いるだけでいいのよ!」
暦に医療の知識が乏しいことくらいは把握している...
私が暦に頼りにしているのは彼女の能力!
(天運を身に纏う程度の能力)
いわば歩く幸運みたいな存在だ...いるだけで充分よ!!
「うどんちゃん...顔がにやけているけど?」
「別にいいでしょ?それとうどんちゃん言うな...」
準備はOK...
残りは本日の患者を何事もなく治療するだけだ...
永遠亭の開店まで後僅か...
絶対今日一日を乗り切らないと!!
「すんませーん!!」
!外から人の声第一の患者が来た!!
「はーい!どうぞ!」
私は戸をあけて患者を通す...
Dr鈴仙の一日が始まるわ!
一人目の患者は全身を黒いローブで身に包んだ小柄な女性...
顔は見えないが声で女だと判断できる...
「いや~すんませんね...朝早くから~」
第一患者は私に頭を浅く下げる...
何だか口調から感じるけど、小馬鹿にされている気がするが気の所為かしら?
「いえいえ...どうしました?」
女性はローブの袖をめくる
「いや~実は...私ねぇ...ちょっとした能力を持っていましてね...ちょいとそれが暴発してしまってですねぇ」
女性の腕を見ると私の思考が止まる...
「...え?」
「手首がですね...180°逆さになってしまったのですよ!!(笑)」
女性の手首は180°ねじ曲がっていた!!!
何でこんな重症患者が初っ端に来るのよぉ!!!
しかも当人は何故か大笑いしてるし!!
「あわわわ...」
これまでねじ曲がっているとやりたくないけど力づくでも戻すしかない!!
やりたくないよぉ...
見ているだけで痛い...
「あれ?どうしました先生?早く治してくださいよ?(嘲笑)」
当人は私を茶化すように笑ってる!!
うぜぇ...
しかし嫌だなぁ...
私は暦の方に助けを求めると彼女は患者の方へと歩みよる...
「成程ね...だったら50:50の賭けだね...」
暦は患者の手首を持つ...
そして
コキン...
変な音が室内に響き患者の手首は暦によって元に戻される...
だがそのあとに...
「うぎゃあああああ!!!?」
患者の叫び声...
ああ...なんてことを!!
師匠のお仕置きを覚悟したが患者は手が元に戻ったことに困惑している...
「え?ウソ...こんなにたやすく?」
「私の運がよかったみたいだね♪」
暦が患者に笑みを向けると患者は勢いよくその場に立ち上がる!
「ありゃ?どうしたの?」
「どうしたのじゃねぇよ!!普通は嫌がるはずなのに何淡々とこなしてんだよ!?」
患者は治ったのに荒療治の事ではなく、何か別の意味で暦に対してキレている...
怒るポイントがずれてるわ...
「いいじゃん...治ったんだし?」
「ああ!面白くねぇ!!」
患者はそのままお金の入った袋をそのまま投げ飛ばしてプンプン怒りながらその場を去っていく...
一体何しに来たの?
「はい...次...」
「え?はいはい!次の方どうぞ!!」
暦に言われ私は次の方を部屋に入れる...
あれ?いつもと変わらない気がする...
「こひゅー...こひゅー」
「パチュリー様!しっかり!」
部屋に入ったのは紅魔館の魔法使いことパチュリーとその使い魔...
この人はいつもの常連...何やらパチュリーの方は酷い呼吸をしているわ...
「ええと?本日はどのような症状で?」
「こひゅ...こひゅー...ひゅー」
彼女は息を吐きだすだけ...
言葉になってないじゃない!!
「こひゅ...こひゅー...ひゅー」
「ええと何々?」
使い魔はパチュリーの方へ耳を近づける...
「ええと...いつもの喘息が酷くなったと言っています!」
「そうですか」
...あの呼吸音でよくそんあ通訳が出来たと私は内心思いながらすでに処方された薬を出す
「いつものお薬です...」
「こひ...」
「ありがとうと言っています」
パチュリー達一向は代金を置きそのまま部屋を出ていく...
師匠がいなくてもこれくらいは私だってできるわ!!
「はい!次のお客様!」
私はまた戸を開ける...
「助けてッ!下さい!」
「ええっ?」
突如私は誰かに掴みかけられる...
私に掴みよるのはあの妖怪の賢者の式神事...八雲藍...
何やらすごく慌てているようだ...
「...藍様」
そしてその後ろにいるのは藍の式神こと橙...
何やら不機嫌そうだ...
「頼む!橙を助けてくれ!」
藍は私を揺さぶる!!
何なの!?急に?
「一体何が?橙さんは見た通り元気に見えますが?」
「このやぶ医者がぁ!!見ろこれを!!」
藍は目を見開いて橙の足を指差す...
彼女の右足の所にはわずかな擦り傷があった...
「...擦り傷?」
「擦り傷?じゃないだろ!私の橙が怪我をしたんだ!!綺麗に直してくれ!痕が残ったら私はっ!私は!!!」
「藍様...私は別に大したことありませんから...」
泣き叫ぶ藍に青筋を立てながら宥めている橙を見て私は言葉を失う...
大したことでもないのにここへ来たの?
今日はついてない...
何で私が1人の日に限ってこんなことが起きるの?
暦の方へ助けの眼差しを送ると暦は絆創膏を持ってこっちにやってくる...
そしてそれを橙の足の擦り傷につける
「はいはい!橙!これでいいかな?」
「おい!暦!そんな適当なことで橙の傷が治るわけないだろ!!」
藍は暦を攻め立てるが暦は笑みを浮かべる
「ただの絆創膏ではないよ?私の幸運の力を入れた特別な絆創膏...これを貼るだけで橙の傷は元通りになるってわけ!」
暦の言葉に藍は顔を輝かせる
「本当...なのか?橙の傷は元通りになるのか?」
「私は嘘はいわないよ?」
藍はその言葉に安心したのか暦に抱き着く
「ありがとう!お前のおかげで橙は救われた!」
「はいはい...帰ったら安静にね」
暦の顔は白目をむいている...
ああ...力の話は嘘っぽいな
藍達はお代を置いて部屋を出ていく...
何だか濃い人ばかり来ているな...
私が伸びをしてリラックスしていると暦が私の方へ近寄る
「うどんちゃん!休んでいる暇はないよ?」
「分かってる!後うどんちゃんってもう言うな...」
お客はまだ来るみたいだけどこの調子なら何とかなりそう...
私は残りの時間来るお客さんを暦と頑張って治療した...
午後6時
月が出始めて今日の診療もあと僅か...
夜は妖怪が活発になるからお客が少なくなるから、実質今日は成功かもね...
これで師匠からのお仕置きは免れるかも
「これで終わりね...」
「本当だね...これで私の役目も終わりってものよ」
暦は眠そうに欠伸をしナースキャップをとる...
今日は暦がいてくれて良かったと思う...
「サンキュ...暦助かったわ」
「別にいいよ!色々と楽しかったし...じゃあ!私はこれで...」
暦が帰ろうと外に出ようとすると空間が歪み中からとある人が2人医務室に現れる...
「八意様!助けて下さい!!」
「...」
その空間から出てきたのは私の元主の綿月豊姫様と綿月依姫様...
何やら依姫様の方はぐったりしており、豊姫様は医務室を不安そうに見回す...
「鈴仙!?八意様は?」
「ええと...本日はぐっすりとお休み中です...」
「なんてこと...」
豊姫様は絶望したように床に崩れ落ちる...
何だか嫌な予感がする...
依姫様の方は淡い息を吐きながら壁に寄りかかっているし...
「あの?依姫様どうされました?」
私が豊姫様に尋ねると豊姫様は泣きそうな顔で私を見る!
「宇宙船に撥ねられたの!だから八意様に助けてもらおうと...」
ラスボス(超重傷患者)来たー!!!?
何で今日に限って慎重な依姫様がよりにもよって宇宙船に撥ねられるの?
「何で依姫様が!?」
「実は...月で飲み会があって...」
回想
side豊姫
ほんの数時間前...
月の都では宴会を行っており、月の上層部の者達が仕事の息抜きとして集まっていた...
「さぁ!今日は楽しみましょ!依姫!」
「お姉様...はめをはずし過ぎないようにお願いしますよ...」
私達も綿月の代表として参加した
依姫の言うとおり...はめをはずし過ぎないように気を付けていたのだけど...
本日は本当に運が悪かったとしか言えなかった...
誰も悪くない...誰も悪くなかったの...
宴会場に入ると月の上層部の者たちがすでに到着しており、始まってもいないのに宴会場も盛り上がっていた...
「あらあら...随分と沢山...」
「?お姉様あそこ!」
依姫が指差す方を見ると席の端っこの方にここでは珍しい方がそこにはいた...
銀色のセミショートの髪に白いジャケット・紫のYシャツ・スカートに身を包み...
背中に右だけ生えた白い翼をした女性こと稀神サグメ様がそこにはいた...
物静かなこの方がいるのは珍しい...
「サグメ様♪」
「お久しぶりです」
私たちが近づきと彼女も気づきスケッチブックにペンを走らせる
(お久しぶり...元気だった?)
「ええ!!それはもう」
「無病息災です!」
私たちはサグメ様の横に座る...
(それは良かった...しばらくあっていなかったからね)
サグメ様はスケッチブック文字を書いて笑みを浮かべる...
...この人が何故直接しゃべらないのか疑問に思う人もいるかもしれないがこれは仕方のないこと
サグメ様は口がきけないわけではない...
能力故に無闇に話すことができないのだ...
この人の(口に出すと事態を逆転させる程度の能力は)何らかの事象に関して口にするとその事象を逆転させてしまうという強力な力を持っている...
世界をひっくり返すことが出来る能力だが、発動条件が厳しく・更に逆転する事象をサグメ様は選べないため、うかつに話すととんでもないことが起きるらしい...
だから普段は筆談で会話をしており、その分他人とのコミュニケーションが取れないで寂しい思いをしているわ...
今日の飲み会なら色々と都合が良い...
「今日は飲みましょ!サグメ様!」
「お供しますよ」
私と依姫が言うと彼女は嬉しそうに頬を染める...
(ありがとう...)
30分後
お酒が入り、宴も盛り上がってきた...
サグメ様もクールな表情を崩して笑みを浮かべながら宴を楽しんでいるようだ...
「サグメ様が楽しそうで何よりね」
「ええ...本当に...」
私たちが話しているとサグメ様が依姫に抱き着いてくる
「!サグメ様?」
「...ふふ依姫...可愛い」
サグメ様は猫のように依姫に甘えてくる...
何でしょ...サグメ様の新たな一面を見れた気がするわ
「お姉様どうしましょう?」
「いいじゃない?好きにさせてあげたら?」
サグメ様は私たちを潤んだ目で見つめる...
「八意様がいなくなって一時はどうなるかと思ったけど...貴女達のおかげで月も安泰よ...ずっと言えなかったけど...ありがとう二人とも」
サグメ様からのまさかのお褒めの言葉に私たちの眼がしらが熱くなる...
「...もったいないお言葉です」
「いや...そうではない豊姫...八意様だって君らの事を期待しているはずだ...」
サグメ様は依姫の方を向く
「そして私は依姫...君に期待しているんだ...第一次月面戦争で君は攻め込んできた大神の者を降したんだ...次にあいつが来た時も期待しているよ」
「...そうですか」
依姫の方は何やら微妙な表情を浮かべる...
暦の件か...確か八意様に喧嘩禁止令を敷かれてしまったのよねぇ...
まぁ...私としては彼女とは仲良くしたいと思っているし、依姫も多分そう思っているはず...
「修行も大事だけど...自己管理も忘れないで...健康第一だし...まぁ...依姫なら病気・怪我は大丈夫でしょ...」
サグメ様は酒を飲み干す...
どんどん彼女の目が座ってきている気がする...
にしても...本当に今日はよくしゃべるわね...
しゃべる...
しゃべる!?
私は重大なことが現在進行形で起こっていることに気づき立ち上がる...
依姫も気づいたみたいだ...
「お姉様...今頃ですがとんでもないことが起きています...」
「うん!私も気づいた!!」
サグメ様の能力!!
(口に出すと事態を逆転させる程度の能力は)何らかの事象に関して口にするとその事象を逆転させてしまうという強力な力を持っている...
彼女はさっきから話をしている!
故に能力がっ!運命が逆転してしまう!!
「?」
サグメ様は酔っぱらっているから事の重大さにまだ気づいていないみたいだ...
「まずいわ...」
事象の逆転...
一体何の事象が逆転してしまうの?
正直私も酔っぱらっていたから何について話していたのかもう忘れた!
私が考えていると依姫が顔を青くする...
「お姉様...恐らく私の運名が逆転しているかと...」
「え?何で?」
「さっき...(自己管理も忘れないで...健康第一だし...まぁ...依姫なら病気・怪我は大丈夫でしょ...)っと...つまりこれから私は...」
「早まらないで!まだ決まったわけでは!!」
「今日は!シェルターで寝ます!お休みなさい!!」
私は依姫に言うが彼女は宴会場を出る...
そして外では待機していた玉兎の声が...
(依姫様!ダメですよ!)
「どきなさい!!私は生きるのよ!!」
(依姫様!道路に出てはダメ!)
どん!
依姫様ー!
...そして鈍い音と玉達の悲鳴が
早いフラグ回収だったわね...
「...八意先生今日いるかな?」
私は依姫を回収し幻想郷へ向かう...
side鈴仙
「というわけなのよ」
「なんてこと...」
...そんな不運の連鎖が続いてしまうなんて
師匠もいないし依姫様に何かあったら私の責任が!!
「暦!何とかして!」
「え?」
暦の方を見ると彼女は着替えを済ませており、窓から帰ろうとしているところだった!!
「「逃がすかー!!」」
私と豊姫様は逃げようとする暦を捕え地面に組み伏せる...
「痛い!!痛い!!!」
「逃げんじゃないわよ!もし依姫様に何かあったらアンタも一緒にお仕置き受けてもらうからね!!」
「それどころか今この場で無にしてもいいのよ?」
豊姫様は扇子を暦に向けて彼女は顔を青くする...
「私に医療の知識はないって!!」
「いるだけでいいのよ!いるだけで!!」
暦の髪を引っ張り部屋に戻し、私は依姫様の様子を見る...
「はぁ...はぁ...」
本当にムシの息だ...
相当のダメージを受けているのが確認できる...
話しによると宇宙船に轢かれたとか...
ということは骨・内臓もどこかしら異常をきたしている可能性が高い!!
ああ...どうしてこんなことが...
「暦~!どうしよ...」
私が暦の方を向くと今度は通信機を使って誰かと話しているようだ...
「うん...お願いね...」
「緊急事態なのよ?」
病室は通話禁止なのに...こんな時に誰とはなしているのよ?
怒る気力もない私に暦は鼻をならす
「緊急事態だからこそよ...すぐ来てくれるよ?」
すぐに来る?
誰が?
私たちがしばらく待っていると医務室の戸が開き誰かが入ってくる
「すまん...遅れた」
「お待たせー♪」
医務室に入って来たのは暦の娘である華楠と境奈の二人だ...
暦は待ちくたびれたように彼女達を招き入れる
「ごめんね!二人とも!急に呼び出しちゃってさー!」
「何...気にするな...」
「別にいいわよ~♪」
2人は椅子で落胆している豊姫様とベットで寝ている依姫様を見た後顔をしかめる...
「月の民か...」
「しかも母さんを殺そうとした奴じゃない?」
殺気立つ2人を暦はなだめている
「やめて!とりあえず依姫を助けてあげて!そのために貴女達を呼んだの!」
暦の言葉に2人は深く溜息をつき、華楠は腰巻の内側からアンプルを取り出し境奈はロングコートのポケットからスペルカードを取り出す...
「まぁ...良いがな」
「...アタシの本職は陶芸なんだけど?」
2人の言葉に暦は嬉しそうに跳ねる
「ありがとう!さっそく頼むよ!」
「はいはい...(アートサージェリー・ドッコ)」
境奈の後ろに9本の尾を持った土狐が現れる...
尾には医療用のメスや鉗子・針などが装着されている...
「少し時間をくれ...すぐに終わる...」
「はいはい!オペの邪魔だよ~!」
私たち3人は外に出され待合室のベンチに座る...
あれ?私医者なのに?
30分後...
医務室の戸が開き華楠と境奈が出てくる...
豊姫様は彼女たちに詰め寄る
「依姫は無事なの!?」
「無事だ...だがしばらく安静が必要だ」
「明日は永琳がいるでしょ?後は彼女が何とかしてくれるはずよ」
彼女たちはそのまま廊下の奥に消え、私たちは医務室に入り依姫様の様子を見る...
「すぅ...すぅ」
ベットで寝ている依姫様は規則正しい寝息を立てており、何とか回復に向かっていることが分かる...
「良かった...」
「ありがとう!暦!」
豊姫様は暦を抱きしめる
「私ではなくて娘たちにお礼を言って...とりあえず明日は永琳が何とかしてくれると思うし安心していいでしょ?」
豊姫様は空間を開いてその中に入る
「分かったわ!明日も来るわね!」
彼女はそう言い残し消える...
そして残った暦はベットで寝ている依姫様を見て微笑む...
「...全く...寝顔は可愛いんだから」
「暦...本当に助かったわ」
私が彼女に頭を下げると彼女は飛び退く
「もうこれ以上は駄目だからね!」
そう言い彼女も霧の中に消える...
時間を見ると9:00...
やっと私の仕事は終わりを告げるわ...
「お仕置きをうけないって最高ね...今日は良い夢見れるかも」
今日は疲れた...部屋で休もう
その頃月の都...
ルンルンとスキップをしている豊姫は物陰でこちらをうかがう存在に気づき歩みを止める...
「貴女は!」
「...えっと...あの...」
物陰から豊姫を見ていたのは稀神サグメ...
彼女は不安そうに只豊姫を見つめる
それを見ていた豊姫はサグメを抱きしめる
「!?」
「大丈夫ですよ...サグメ様は悪くありません...依姫も無事治りましたし...全て無事に終わりましたよ~」
「...すまない」
体を震わせるサグメに豊姫はそっと頭を撫でる...
彼女には悪気などないことを分かっているからだ...
(今度...八意様にお礼を言わないと...)
サグメがプラカードを出すと豊姫は首を横に振る
「いえ...お礼を言うのは大神家の者達です...」
(大神家の者!?)
サグメは殴り書きのプラカードを豊姫に見せる...
表情は怒りに満ちており、そんな彼女に豊姫は冷や汗を流す
「え?どうしました?」
(ナンデモナイ...)
サグメは表情を戻して何事もなかったように豊姫に再度抱き着く...
「そうですか...あはは...」
豊姫は内心嫌な予感を感じながらサグメの頭を撫で続けた...
近い未来妙なことが起きるのではないかと危惧しながら...
次回異変
はいヨロシクー
ではこれにて