side暦
とりあえず衣玖を居間に案内した後、私は通信機で娘たちに召集をかける...
私はともかく何故娘まで必要なのだろうか?
しばらく待っていると娘たちがぞろぞろと居間に入ってくる...
「何だ?」
「お待たせ~♪」
「...要件は早くお願いね」
「うぃ~ッス!」
「お待たせしました...」
娘たちはそれぞれの席に座り、居間でお茶を飲んでいる衣玖を凝視する...
「客か?」
「まぁ...そんなところ...私だけじゃなく貴女たちにも用があるんだって...」
「アタシたちに?」
衣玖の方は私たちをじろじろ観察しているみたいだ...
「...中々の力をお持ちのようですね...これでなら依頼を頼めるというものです」
「依頼?」
私が聞き返すと衣玖はトランクから書類を取り出してちゃぶ台に広げる...
「今回大神の皆さまにお頼みしたいのは...総領様のご令嬢である比那名居天子様の警護をしていただきたいのです...」
警護の依頼ねぇ...
大神家が依頼を受けるのは本当に久しぶりかもしれない...
「警護ねぇ...アタシらは誰からその令嬢様を守ればよいのかしらね...」
境奈が伸びをしながら欠伸をすると衣玖はわずかながら顔を青くする...
「え~と...博麗の巫女その他etcですね...」
「ん?何で?」
何故霊夢達がそのご令嬢を狙うことになるのかしら...
少しやましいことでもあるのかしら?
わざわざ神社へ来るくらいだし...
もしかして...
「...異変に関わっているの?その子?」
「ええ...お恥ずかしいながら」
衣玖は目を背ける
「私としても総領娘様のやったことは度が過ぎていますので...博麗の巫女にお仕置きされるのが一番だと思うのですが....総領様が大神をボディガードとしてつけろと...私も不本意ですが仕事が仕事ですので...」
「私達が受けると思うの?幻想郷の住民だし...この地震の犯人を突き止めろと...前もって言われているのよね...」
衣玖は残念そうな顔をしながらトランクに手を伸ばす
「確かに心苦しいですが私としても仕事ですので...大神家の弱みを掲示させていただきます!!!」
衣玖はトランクから写真をばらまく...
「写真?何これ...」
私はその1つを手に取る...
そこに映っていたのは...
幽香と体を交わっている華楠の姿だった!!
「え?」
華楠の方を見ると彼女は顔を真っ青にしながら写真を見つめている...
他の子を見るとそれぞれ写真を見つめながら顔を真っ青にしている...
「い..何時の間に撮ったんッスか!!」
銖理が顔を真っ青にしながら衣玖に詰め寄る
「天界の諜報部からの情報です...万が一大神の皆さんが依頼を受けて下さらない場合は...この写真をですね...」
「ば...ばらまくというの!?」
境奈は恐怖の表情を浮かべている...
「ええ...脅すという行為は私としても不本意ながらですがね...ちなみにデータは天界にあります...私を倒してもデータの流出は防げませんよ?」
娘たちは青い顔をする...
と言っても煌炉・潤香は意にも介していないみたいだが...
衣玖は私の方を見つめる
「というわけで依頼を受けていただけると助かるのですが?」
「ええ~!?流石にもね...」
霊夢に頼まれた以上、裏切るわけにはいかない...
かといって娘たちが事実上人質になっているのもなんとも...
私が悩んでいると潤香が立ち上がる...
「では私はこれで失礼しますよ?」
潤香のまさかの行動に衣玖が慌てる
「ま...待ってください!!貴女の失態が世間に...あれ?」
衣玖は書類と写真を見つめて言葉を詰まらせる...
一体どうしたというのか?
「...私の失態がどこにあるのです?」
「えっと...どこにも...」
確かに写真を見る限り潤香が映っているものは一枚もない...
私の娘の中では一番慎重なだけはある...
流石は潤香ね...
「では私はこれで...」
潤香は笑みを浮かべるとそのまま消える...
残り4人...か
ん?だったらうまく追い返せるかもしれないね!
私は思考を巡らせる...
side衣玖
「うぐっ!」
困りました!
まさか潤香さんの弱みがないとは!
書類には大神潤香に関する情報は取れなかったという文字が書かれているだけ!!
諜報部!ちゃんと仕事をしてくださいよ!!
私が書類を見つめていると暦さんは微笑みながら私を見つめる
「依頼の件ねぇ...良いこと思いついちゃった♪」
「良いことですか?」
暦さんは4人の娘さんを見回す...
「私の娘たちをその脅し道具で屈服させてみなよ?それが出来たなら受けても良いよ?」
「本当ですか!!」
まさかのチャンス!!
少なくとも情報は潤香さんのみが抜けていただけですし!他の4人を脅すには充分!
他の娘さんたちは信じられないといった表情で暦さんの方を見ている
「か...母さん!何てこと...」
華楠さんが言うが暦さんは微笑むだけ...
「大丈夫...貴女たち5人中3人を屈服させたらの話だからね...大丈夫だよ皆強い子だからね...」
5人中?
ああ...潤香さんがいなくなってしまったから
早くも1ミスですか...
後2回ミスしたら...協力は得られなくなるというわけですか...
不利な提案をされてしまいましたが私に断る理由はない!!
なら私に残された手は1つ!!
この写真で大神家の皆さんを屈服させるのみ!!
私は書類を手に近くにいる煌炉さんに向かう...
「...何?」
煌炉さんは不機嫌そうに煙草を咥えている...
やはり刺々しい雰囲気がありますね...
「さぁ!ご開示です!」
私は煌炉さんの弱みである写真を机に叩きだす...
写真には妖怪の賢者らしき人とその従者らしき者との体の混じり合いの写真です...
「煌炉さん...この写真知ってますよね?」
「...ああ」
彼女は何も無いかのように煙草を吹かす
特に気にしてはいないみたいだ...
「とりあえず...これが人里にばら撒かれたら困りますよね?大人しく屈服してくださると助かるのですが?」
「...ふぅ」
彼女は煙草の煙を吐き出して私を見据える...
「別に?したければすれば?」
「...え?」
まさかのドライな返答?
そんな!先ほどは確かに!!
彼女は煙草を消して立ち上がる
「確かに驚いたけど...ばら撒くことは多分無理だろ?恐らく紫の奴が隠滅するだろうし...」
「隠滅?」
「ああ...あいつならこの手の情報なら簡単に揉み消すことができるだろ?では私も失礼するよ...」
煌炉さんは一言そういうと居間から姿を消す!!
「馬鹿な!!!」
早くも崖っぷち!!
これでは大神家の皆さんに協力を得られない!!
私を見て暦さんは微笑む...
「これで残機は無いね...これからどうやって逆転するか見せてもらうよ?」
彼女は子供っぽく笑い、私は書類を確認する...
もうミスはできません!!
何としてでも残り3人を屈服させなくては!!
早くもピンチの衣玖さん!
果たして次回どうなるのか?
ではこれにて