大神暦を倒し折檻を済ませた霊夢と紫一行...
彼女達の前には土下座をしている暦がおり、霊夢はお祓い棒で彼女の頭をぺしぺしと叩く...
「暦...何か言うことは?」
「すみませんでした!!!」
暦は青い顔をしながら頭を地面につけて土下座をする...
もうそこには大神家当主の威厳など残ってもいない...
霊夢はそんな暦を見た後一息をつく。
「で?暦?異変の首謀者のいる場所って分かるわよね?」
「...天界とか言ってた...私は実際に会ったことないから分からないけど...」
暦の言葉に紫は考え込むような表情をする。
「...天界ね...あそこには確か天人がいるわね」
「天人?」
紫の言葉に霊夢は尋ねる。
「天人とは天界に住む種族...修行などが認められた者達の事を指すけど...まぁ暇人と言った方がいいわね...」
「暇人?」
「ええ...天人は桃やらお酒を煽りながら毎日踊りあかす自堕落した生活を送っているらしいわ...うらやましい限りね...」
紫の言葉に霊夢は暦の方を向く
「本当に天人とやらが異変の首謀者なの?聞く限りのほほんとしている種族みたいだけど?」
霊夢の言葉に暦は必死に首を振る
「わ...私嘘つかない!!確かに天界って言ってたもん!!」
「元々アンタは嘘の塊でしょうが!誰が言ったのよ!」
「な...永江衣玖って人...華楠と一緒にいたみたいだから...多分他の組にやられたかも...」
暦の言葉に嘘偽りがないことを確信した霊夢はお祓い棒をしまい山の方を眺める。
「天界って...妖怪の山を経由する必要があるわね...」
「そうね...一番高い山だし...ここしかないわ」
紫は山の方へと歩を進め、霊夢の方は暦の手を掴む...
「...え?」
「ほら!いくわよ!アンタもここまで来たら協力しなさい!」
霊夢の言葉に暦は顔をさらに真っ青にし否定するように首を横に振る。
「いや...マジ?無理無理!!もう残りの霊力は残っていないし!!私の体だってズタボロだし!!!」
「貴女が藍を倒しちゃったから変わりがいないのよ...諦めなさい暦」
「この場でさらに痛みつけてもいいのよ?」
「...うぐ」
暦は諦めた顔をして紫の後をついていく...
もはや自慢の髪も立派に生えた尻尾も真っ白になっており、彼女の目も充血している...
霊夢はそんな彼女を見て少し満足気な顔をする。
「今回はアンタも巻き込まれた感じだし天界で憂さを晴らしたらどう?」
「...そうする」
「異変が終わったら...神社のお手伝いお願いね♪」
「...う」
こうして彼女達は天界へと向かう。
2時間後...彼女達は妖怪の山を抜け山頂にたどり着き天界へと向かう。
天界へと進むたびに降り注ぐ日光が強くなり、霊夢は煩わしそうな顔をする。
「...ここまで高いところへ来ると日差しが強いわね」
「高度があるからね...日に焼けないうちに黒幕に引導を渡しましょう」
「...はぁ」
溜息をつく暦をよそに彼女たちは更に上へと上がっていく...
彼女たちが進むにつれ上空には、島のようなものが多数浮いていることを確認する。
その浮島には天人と呼ばれた者たちが紫の話通り、歌ったり踊ったりをしている光景が目に入る。
警戒心の薄い彼女達を見て霊夢は首をひねる。
「こんな時だというのに...呑気な連中ね」
「そういう種族なのよ...地上の事なんて知らないでしょうね」
「はぁ~」
暦が大きなため息をつき、彼女たちはその浮島をひとつひとつ観察しながら前へ進む...
この沢山ある浮島の中から異変の首謀者を見つけるのは彼女達であっても苦労するものである。
20分経過すると霊夢がしびれを切らして暦の方を向く。
「暦!アンタの幸運で黒幕を探しなさい!いちいち見てられないわ!」
「はぁぁぁぁ...何で?」
やる気のない暦を霊夢は彼女の体を揺さぶる...
「アンタだって!異変に協力したじゃない!!!異変の片棒を担いだ罪+神社倒壊の責任は取ってもらうわよ!!」
「...はぁぁぁぁ~...神社の事に関しては全く悪くないんだけど」
暦はぼやきながら前へ進んでいき、霊夢達は彼女の後ろへとついていく...
適当に飛んでいる暦ではあるが、彼女の強運は本物である。
暦が行きつく末には朗報がある。
異変の黒幕という存在についてだが...
暦がしばらく進んでいると大きな浮島へとたどり着き、暦はその浮島へと降り立ち、溜息をつく...
「...ここなのね」
「...知らないよ...適当に来ただけだもん」
彼女たちが辺りを見回していると紫が視線に気づいて笑みを浮かべる...
「いえ?大当たりみたいね」
「「え?」」
紫の視線の先にいたのは青い長い髪をした少女...
桃がついた黒い帽子をかぶり、白い服・青のスカートを身に着けており、手には刀身が緋色の刀をもって不機嫌そうな顔をしながらこちらを見つめていたが、こちらが少女の存在に気づくと近づいてくる。
「遅いわ!!いつまで待たせるのよ!!ずっと待っていたのに!!誰も来やしないじゃない!!」
「...待っていたということは...アンタが黒幕みたいね」
霊夢の言葉に少女は顔を輝かせた後、胸を張る。
「ええ!私こそこの騒ぎの黒幕!比那名居天子!まぁ!三人も来たし異変を起こした甲斐はあったわね!」
天子が喜んでいることに霊夢は首をひねる。
今までの異変を起こした者は博麗の巫女が来ることに嫌な顔を浮かべるのが一般的だが天子に至っては満面の笑み...
ここへ来るのを待っていたとしか言いようがない...
異変の黒幕の相手をしてきた霊夢にとって天子の態度には違和感しか感じなかったからだ。
「待っていた...ね?まるで私達が来ることを楽しみにしていたみたいじゃない」
霊夢の言葉に天子は剣を向ける。
「そうよ!天界の生活には飽き飽きしているのよね...退屈しのぎに地上の者をここに呼んだってわけ!この緋想の剣の力を使ってね...」
「緋想の剣?」
天子は剣を見せる
「これの事よ!これのおかげで個人の周りに局地的気候変動を起こして異変だと知らせることができるわ」
「...魔理沙が言っていた長く続く雨のことはそれの所為か」
暦はげんなりとした顔をし天子はそんな彼女を見て笑みを浮かべる。
「ええ...まぁ他にも呼ぶ者はいたけど誰かの所為で来てくれないし...でも地震も起こして正解!1名は確実に来るからね」
天子は霊夢の方を見る。
「それって私の事?」
「そう!派手に神社を壊せば博麗の巫女は来ると思っていたのよね!」
天子の言葉に霊夢と紫は額に青筋を立てるが霊夢は深呼吸をして暦の背中を押す。
「暦!やりなさい!アンタの仕事よ!!」
「...何で?ここまで下らないこと言われたんだから霊夢達がいけばいいじゃん」
暦は霊夢に反論するが紫も暦の背中を押す。
「私達がやってもいいのだけど、あの天人が持っている剣は何らかの力を感じるわ...だから貴女をぶつけて様子見をしようと思うのよ」
「酷くない?」
「いいから行きなさい!!」
暦は抵抗するが彼女達に無理やり天子の前に出されてうなだれる。
そんな暦を天子はほくそ笑みながら剣を向ける。
「まずはアンタ?それでもいいわよ?戦いは前座から始まるものだし」
「...はぁぁぁぁぁ...帰りたい...でも私がここまで不運に巻き込まれているのは...君の所為だし...」
暦は髪を靡かせた後尾をブンブンと振り、戦闘態勢になる。
「ここで憂さ晴らししてもいいよね?」
「...大神家か...眼中になかったけど、ある意味幸運ね!どっからでもかかってきなさい!」
天子は剣を向けて暦は鎖を体から出す...
不運な狐の神様と幸運な天人の戦いが始まる!
暦が堕ちるところまで堕ちていく...
ではこれにて