幻想郷に朝日が昇りまた一日が始まる...
早朝の博麗神社ではその神社の主である博麗霊夢が目を覚ます。
彼女は頭を押さえながら寝返りを打つ...
side霊夢
「...頭が痛いわ」
重い体を動かしながら私は布団から身を起こす。
流石にも昨日は飲み過ぎたみたいだけど、記憶ははっきりと覚えているわ...
まさか...暦に抱き着くとは羽目を外しすぎたかも...
「...///」
でも悪い気は全くしなかったわ...
心地よい甘い香りに彼女の包容力はとてもよかった...
「そういえば暦は?」
部屋を見回しても彼女の姿がない...
すでに起きているのかしら?
彼女を探しながら部屋を移動しているととある匂いが鼻につく
「...ん?」
...何かいい匂いがするわ
食べ物の香り...焼き魚の香りかしら?
私はその匂いに誘われ台所へ向かう。
「フンフーン♪」
台所には白い長い髪にまとめた暦が焼き魚を焼いていた...
どうやら朝食を作っているみたいだけど...何というかその姿は様になっているわ...
暦を観察していると彼女は私に気づく...
「おはよ!霊夢!」
「...おはよう...昨日は悪かったわね...解包してくれて...」
「別にいいよ♪霊夢嬉しそうだったし!」
暦はニマーっと笑みを浮かべる...嫌な笑みには見えないけど何か嫌だわ...何というか恥ずかしいというか...
顔が熱い!
「...昨日のことを他言したら後が怖いわよ」
「...分かってる!!私の心の中にしまっとくから!」
暦は青い顔をしながら首をブンブン振る...
まぁ...暦が他言しない可能性もないわけではないし...保険に釘をさしておいたほうがいいわ...
彼女の方を見ると料理を盛り付けてお盆にそれらを乗せている...
「運ぶの手伝うわ」
「ありがと♪」
私はもう一つのお盆に他の器を乗せて居間へと向かう...
朝8:00
「いただきます」
「いただきまーす」
暦と手を合わせ博麗神社での朝食が始まる。
ちゃぶ台に乗せられているのは暦特製の白米・味噌汁・焼き魚・御浸しとなっている...私はまず最初に味噌汁から手をつける。
「...!」
味噌の風味がよく効いているわ...具は油揚げとネギの2種類だけどお米とよく合うわね!
やはり昨夜も思ったけど暦の料理は美味しいわ...
「...ん?」
「...」
暦は私の方を眺めて微笑んでいる...
「何よ...?」
「いや?随分美味しそうに食べるなぁ...っと思ってさ?簡素なものだったけど喜んでもらえてよかったわ♪」
...いかん...表情に出ていたわね...でもこういうのに意地になる必要はないか...
「...美味しい物だもの...そういう顔しちゃ悪い?」
「...別に思ってはいないよ?只お仕置き中だと聞いたから私もそれなりの事は覚悟はしていたんだけどね...」
「...」
そういえば暦はお仕置き中だったわね...
確かに暦が異変の黒幕に手を貸したことは事実だけど...それは彼女の意志でないくらいは私でもわかるわ...
でも...やはり暦と戦うのは何故か知らないけど胸が重くなるわ...
「別に...アンタが問題を起こさなければそれでいいのよ...」
「善処するよ」
暦は黙って味噌汁を啜る...
まぁ今回の異変は事故みたいな物だと思っておいたほうがいいわね...
魔理沙の話だと暦以外にも被害者がいるとか...
「...そういえば華楠もひどい目にあったって聞いたけど?」
「ごほ!!!!げほぉ!!!!」
私の言葉に暦は味噌汁が器官にでも入ったのか激しくせき込む...
...何か聞いてはいけないことを聞いた気がするわ
「...どうしたのよ?」
「けほ...色々あってね...少々ブルー入っちゃったのよ...また昔の華楠に逆戻りしちゃったわ」
暦は罰が悪いかのように目を反らす...
昔の華楠って...初めて会った時のことかしら?
確かにあの頃と比べると多少は明るくなったみたいだけど、また逆戻りなんて...
「困ったわね」
「...うん...とりあえず一回神社に帰ってアフターケアしないと...昨日の飲み会の時も普段お酒飲まないのに爆発するかのように飲みまくってたし...完全に荒れてるわ」
「...アンタも大変ね」
...普段は子供の姿だったりと忘れがちだけど暦はこれでも五児の母親だから自身の子供のことにも気をかけないといけない立場なのよね...
お仕置き中でも気にかけているはず...
「暦...早めに帰った方がいいわよ?」
「え?でも...まだお仕置き中だし」
暦は驚くようにするが私は彼女に念を押す
「昨日お仕置きは最後だと言ったでしょ?アンタも大変なんだから自分の事はちゃんとなさい!」
暦は私の方を見て驚いた顔をしたまま合掌する。
「...ありがと...じゃあ失礼するよ」
暦の姿は一瞬で消えてなくなる...
「...まぁ...また神社の手伝いでもしてもらおうかしらね」
私は残った朝食をつつくことにした。
side暦
博麗神社から転移を完了させ私は大神神社の大橋の上へ着地する。
まさか...お仕置きが早く終わるとは思わなかったけど、ある意味行幸かな?私も色々とやるべき仕事も山積みなのも事実だし...別件のこともある...
「...仕事の他に娘のことまで調べないとね」
暗くなってしまった華楠のアフターケアもそうだけど、もう一人の娘である潤香に関しても調べを進めなくてはいけない...
前々から思ってたけど...よくどこかへ消えるし...元々濃い目の下のクマが更に酷くなっている...不眠症が更に酷くなっているみたいだ...
何か嫌な予感がするし私の方でも娘が危ないことに首を突っ込んでいないか確かめなくてはならない...
昔は危なっかしい戦い方してたし...見張る必要が出てきたわ...
「...しっかし...あの子の行方辿るには苦労するかもね...手始めに華楠のことに着手するか」
「あ!暦様!」
ぼやきながら大橋を進んでいると途中でここでは見慣れない人物と鉢合わせする。
そこには守矢神社の巫女である早苗がいた...
ここで会うのは珍しい気がする...
「早苗?どうしたの?こんなところで?」
私の言葉に早苗は目を反らす
「...華楠さんの様子を見に...かなり傷ついているみたいなので...」
「...ああ...華楠のこと...わざわざありがとうね」
早苗に頭を下げるが早苗は私をチラチラと眺めている?
「...どうしたの?」
「あ...いえ...何か珍しい格好をしている...と思いまして」
早苗に言われて私は自身の格好を確認する...
しまった...お仕置きの時の格好のままだ...それに...私の着物を博麗神社に忘れてきてしまった...
「...博麗神社でお仕置き中だったのよ...せっかく来たんだし上がりなさいな」
私は早苗の背を押して神社へと入る。
早苗を神社の居間へ案内すると彼女は辺りを落ち着きなく見回している...
「あの?華楠さんは?」
「華楠をご所望かな?...今はちょっと逢わせられるかな?」
...正直今の華楠は荒れている
流石にも華楠を慕っている早苗に合わせるわけにはいかない気がするわ...
しかし早苗は私に詰め寄る...
「華楠さんに合わせてください!!」
「え?でも...今の華楠は...」
「華楠さんをこれ以上傷つけたままじゃダメなんです!!!だからお願いします暦様!」
早苗は私に深々と頭を下げる...
「...いや...私に頭を下げられても...」
「お願いします!」
早苗の懇願...
これ以上は私としてもきついか...
まぁ...華楠の心を癒せるのなら早苗に任せておいた方がいいかな?
「...分かったわ」
「本当ですか?」
早苗は笑顔を浮かべて私に抱き着き私は華楠の部屋へ彼女を案内する...
さて...これが吉と出るか凶と出るか...私でもこの先の事は分からないな。
しばらく廊下の奥へ進むと半開きになった扉が目に入る...
あそこが華楠の部屋だ...
普段は閉まっている扉が開いているということは華楠は確実に部屋の中にいるね...
早苗の方を見るとその扉をじっと見つめている...
「ここに華楠さんが?」
「ええ...とりあえず入ってみようよ?」
私は扉に手をかけて部屋の中へと入る...
そこにいたのは...
「...はぁ...消えてしまいたい...何故私の力は生命なんだ?」
机に突っ伏して独り言のように嘆いている華楠の姿...
机には洋酒のビンがありその中身は半分近く減っている...
普段からお酒飲まないのに...やけ酒とは...
「早苗...これが今の現状の華楠なのよね...って?」
「...」
早苗は黙って彼女は部屋の中へ入り華楠の後ろへ向かう...華楠の方は全く早苗に気づいていないみたいだったが流石にも近くに寄られて漸く彼女の存在に気が付く...
「さ...早苗...何でここに...」
「華楠さんの心の傷を癒しに来たんですよ?別に驚く必要もありませんよ」
「...わ...私は...」
華楠は怯えるように早苗を見るが早苗はそっと華楠に抱き着く...
「...!!?」
「...華楠さんを思う気持ちはどういうことがあっても私の心は変わりません...私のお姉ちゃん何ですから...もう泣かないでください...消えるなんて言ったら私が寂しくなりますっ!」
華楠は目を閉じて尾を伸ばして早苗の体を優しく包み込む...
「...すまない...私は...何も見えていなかったんだな...」
...いい雰囲気なってきた...私が居るのは野暮かもね...
私はそっと部屋から出て戸を閉じる...
まさか早苗の言葉で冷えかけていた華楠の心が溶け出すとは...奇跡かもしれないね...
「まさか...親である私よりも先に解決するとはね...」
少し寂しい気分だがここは早苗に任せましょうかね?
部屋から離れると廊下で潤香と鉢合わせになる。
あら?今日は屋敷にいたみたいだ...
「おや?お母様?」
「...潤香?」
潤香を観察すると相変わらず不健康そうな顔をしているわね...
目の下の濃いクマに自慢の黒髪も手入れがなっていないのかボサボサだ...
「良く寝てる?永琳に頼んで強力な睡眠薬でも処方してもらおうか?」
「?...今日は寝れたほうですよ?軽く...2時間半ぐらいですね?」
「2時間半!?どこかの偉人でも3時間よ!?」
...ダメだ...確実に睡眠不足じゃない...やっぱり永琳に頼まないと潤香が壊れてしまう!!
私は潤香のジャケットを掴み彼女を引っ張る...
「え?何を?」
「ママは貴女の健康が心配です!!!黙って永遠亭に行きますよ!!」
私は彼女を強制的に永遠亭へと連行する...
華楠の事は何とかなったけど、まだ課題は山積みね...
遅れましたが明けましておめでとうございます。
今年も宜しくお願いします
ではこれにて