その行く末は?
地霊殿の主である古明地さとりからの地霊殿の招待を受けた大神家一行は、さとりの妹古明地こいしの案内により、異変後再び地底へと向かう。
果たして大神家の者達の運命は如何に?
side暦
「はぁい♪ここだよ~!」
「ありがとね!こいし」
こいしの案内により私達は無事地霊殿へと辿りつく...
異変の時はあまり余裕がなかったから外観をあまり見なかったけど...やはり立派な洋館だね♪
「招待を受けたはいいが?具体的にはどういうことをしてもらえるんだ?」
華楠がこいしに尋ねるとこいしはクルリと回る。
「うん♪主には地霊殿の御馳走を振る舞うし、地霊殿の温泉も堪能してもらうよ♪まぁ...旅館だと思ってくれればいいかな♪」
「旅館か...ということは泊まりになるの?」
「そうだね!赤いお姉さん!一応客間は沢山あるからさ!ゆっくりくつろいでくれればいいかな?」
「...う~ん」
「!!...どうしたの?黄色いお姉さん?」
こいしはご機嫌そうに言うが首を傾げている境奈の方を見て表情がやや固まる...
「...いや?何かさ?地霊殿だけどさ?前に見た時と比べて何か違うような?」
「!!」
「境奈?違うってどこが?」
境奈は黙って窓を指す
「...前に来たときは窓に格子何てなかったじゃん?」
「あ...確かに...」
地霊殿をよく見てみると確かに全ての窓に格子が貼られている...境奈の言う通り前はこんな物なかったよね?
私達が館を観察していると、こいしがピョンピョン跳ねる...
「あー!それはね!!地上の河童さんがセキュリティを強化してくれたの!!最近物騒じゃない?」
「地上の河童?にとりが?」
「確かそんな名前だったかな?ほら!外で立ち話も何だから!入って入って!!」
こいしは扉を開けて私達を押すように館へと入れる。
「お邪魔しまーす...」
「ようこそ!大神のお姉さん達!また会ったね!」
私達を出迎えてくれたのは異変の時にあった火車こと火焔猫燐こと、お燐と異変の黒幕だった霊烏路空こと、お空だった...
只お空は包帯でぐるぐる巻きで満身創痍みたいだが?
「ああ...うん...お空はどうしたの?」
「...うにゅ...赤い巫女に折檻されたの...私戦えなかったのに...」
...赤い巫女...霊夢か...
どうやら私達が帰った後も地獄だったようだ...
私達がお空を見ているとお燐が割って入る...
「さあ!さとり様がお待ちだよ!!ほら!お姉さん達!!」
「ああ...」
私達はそのまま居間へと通される...
ソファーに座らされて紅茶と茶菓子をお燐が用意する...
「あ!そうそう!!この館での注意事項だけど?いいかな?」
「注意事項ッスか?」
「まぁ...簡単なことだよ!この館では能力使用不可のセキュリティーがかけられているから能力が使えないことを頭に入れておいてね!」
「何でです?少なくとも異変の時は使えたと思うのですが?」
潤香の言葉に、こいしがお空を指さす...
「お空の力の抑制のためだよ!黒いお姉さん!河童さんが一日でやってくれました!」
...にとり...万能すぎでしょ?
しかし...能力使用不可は少し困るな...万が一のことが起きたらどうしようもない...
私の運も、ここではあてにならないか...
「さとり様が来るまで待っててね!!」
お燐達は足早に今を出ていき、居間には私達だけが残る...
「...何か忙しないね」
「...向こうも私達を持て成すのに気を張っているのだろう...気を使わなくてもいいのにな」
「...アタシとしては...この爆発ヘアーをどうにかしたいけどね!!」
境奈はブラシを髪に入れるが朝と同じようにブラシが折れる...
「銖理...こんど鋼鉄製のブラシ作ってくれない?...アタシの髪が戻らない」
「良いッスよ♪...ここから帰ったらッスけど...」
「温泉もあるみたいですし...そこで浸してみればどうです?」
銖理・潤香は用意された茶菓子を口に入れる...
「おのれ...文」
境奈が椅子に座ってコンパクトを取り出し化粧をし始めると、扉が開く...
「お待たせしました...大神家の皆さま!」
居間に地霊殿の主である古明地さとりが、にこやかな笑顔を浮かべて私達の前に立ち一礼する。
「この前の異変ではご迷惑をお掛けしました...本日は皆さま方にご奉仕させていただきますので宜しくお願いします」
「いえ...ご丁寧にありがとうございます...わざわざ私だけでなく...娘達まで一緒にご招待とは」
「...大神家の皆さまのおかげでもありますから...とりあえず夕食の準備ができるまで、お部屋でお寛ぎになるか...地霊殿自慢の温泉に入るかなさってください...特に露天の看板が立ててある温泉がおすすめです...お燐・お空...お部屋に案内してあげて」
「はい!さとり様!さぁ!お姉さん達!こっちだよ」
お燐達が先導して私達は彼女達についていく...
「はい!ここだね!!お食事が出来たらまた呼ぶからそこの所宜しく!」
「温泉は部屋を出て階段を降りたところだからね!」
お燐達は説明を終えた後、一階へと降りていき...私達は部屋に入る。
部屋の内装は洋風の広い客間というべきだろうか?
ベットも6人分ついているし、寛ぐことが十分にできるね...
「思ったより豪華だな?」
「そうだね...」
娘達は部屋に散らばり煌炉が時計を見る...
「...しかし...夕食が出来るまでまだ時間があるよ?どうやって時間を潰す?」
「温泉ッスかね?それにトランプとかもあるし...色々と時間は潰せるんじゃないッスか?」
銖理はテーブルを指さす、そこにはトランプがあり娯楽用具としておいてあるみたいだ...
「言わずもかな...温泉でしょ!!アタシの爆発ヘアーを早く直さないと!!」
「確かに...」
「じゃあ...温泉行く?地底の温泉というのも気になるしさ?」
娘達は頷き私達は案内された温泉へと足を運ぶ...
一階の脱衣所に来ると皆衣服を脱いで、生まれた時と同じ姿になる...
そして何故か煌炉が私達の体をじっと見つめる...
「...」
「どうしたの?」
「...いや...何で差がついたのかと...」
「...あ」
華楠達は気まずそうに目を反らす...
こればかりはどうしようもないね...個体差は当然あるもの...
「そのうち藍なみになるわよ...多分」
「銖理も同じくらいッス!!」
「...」
「ほ...ほら!行くよ!地底の温泉にさ!!」
話を逸らすように、私は温泉への扉を開ける。
...浴場は旅館かと思うくらいの大きさだった
大きなヒノキの浴槽、サウナへの扉...そして外には窓を通して大きな露天風呂も見える...
大神家の温泉が負けそうなくらいの規模だ...
「うむ...確かに自慢の温泉だな」
「それよりも!元に!!」
華楠が観察していると境奈は頭を洗いに洗い場のシャワーを手に取る。
境奈の頭にお湯が降り注ぐが彼女の髪は形状を記憶したかのように微動だにしない...
「...嘘でしょ?」
「一体どういう触り方をしたらそうなるんッスか!」
「これ元に戻らないんじゃないか?」
「御気の毒ですが...」
境奈に哀れみの目を見つめる娘達に境奈はワナワナと震え始める。
「...うぐぐ...このアタシの美貌がっ!!」
「帰ったら特製のシャンプーを作ってやる...それで直そうな?」
肩を落とす境奈に手を当てる華楠...
とりあえず私達は、かけ湯を浴びて温泉に入ることにした...
「...」
潤香の方を見ると彼女の左胸の辺りには3本の傷がある...
確かアレは...随分昔の傷だけど...完全に古傷になっているね...
可愛い姿だというのに...もったいない...
「...どうしましたお母様♪」
「いや?何でも?」
でも潤香の奴珍しく機嫌がいいみたいだ...大好きな温泉に心が躍っているのだろうか?
普段色々と悩んでいるみたいだし、今日くらいは羽根を伸ばしてくれれば幸いかな?
私達はとりあえず近くにあったヒノキの風呂に入る。
「中々良い湯だね~」
ヒノキの良い香りが心をリラックスしてくれる...
不機嫌だった境奈の顔もほころんでいる...
「...もうどうでもいいや♪」
「確かに...日頃の疲れが取れるというものだ♪」
「はぁ~♪」
「うふふ♪」
「~♪...露天も期待できるッス!」
ヒノキ風呂を皆で堪能していると、銖理が外を指さす...
露天風呂か...室内のがこれだけ良いのならば期待はできるね!
しかし華楠が急に怪訝そうな顔をする。
「しかし...やはり気にはなるな...これ...」
「何がよ?華楠~?」
華楠は窓の格子を指さす...
「防犯用の格子のこと?」
「ああ...確かにセキュリティのためなら仕方がないが...露天風呂の風景が少し落ちるというか...」
「確かに...これでは牢獄だね...室内では能力が使えないとなるとしても...やり過ぎじゃないかな?」
煌炉はノックするように格子を叩くが重い金属音がお風呂場に響く...
「まぁ...空の能力を危惧した結果でしょう?戦ってみて結構強かったしさ?力の使い方を覚えたら本当にやばいよ?」
「その時はまた母さんの出勤ッスね!」
「もう行かないよ!!」
次は神奈子・諏訪子にやらせる...嫌って言ってもやらせてやる...
本来私は関係ないというのに!!
「話はさておき...次は露天風呂に行ってみましょうか?」
潤香に促され私達は露天風呂へ向かう...
露天に出ると外の冷気が身を包むけど心地よいかな?
「まあ!!」
私達の眼前には日本庭園の自然が広がり大神家の庭の池並みの大きな露天風呂が広がっていた...
「幾らなんでも広すぎだろ...」
「プールじゃん...」
華楠と境奈はその巨大な温泉に驚愕しており、煌炉は向こうを指さす。
「あっちにもあるね...普通くらいの大きさだけど?」
煌炉の指さす方向にも確かに温泉があった...
普通の大きさだけど、あれを見てしまうと見劣りしてしまうね...
温泉の前には巨大な看板が立ててあり、覚醒の湯という文字が彫られている...
(特に露天の看板が立ててある温泉がおすすめです...)
...さとりが言っていたのはアレか...しかし...こっちの巨大温泉の方がすごい気がするけどな?
「母さん!早く!」
「はいはい!!」
娘達に急かされて私は巨大温泉へ向かう。
「はぁ~♪...極楽かな~」
「外の世界でもこれほどな物はありませんでした~」
巨大温泉に浸かり全員骨抜きにされる...
先ほどのヒノキも良かったけど、やはりこちらが一番かも...
「あああ~♪とろけるわ~」
「やはり露天風呂というのもいいものだな...庭の木々を堪能し...じっくり湯に浸かる...最高だな」
「しかし...青い空は見えないけどね」
煌炉は上を見上げるがそこには黒い天井と光源のオレンジ色の提灯がつけてあるだけ...地底だもの...そこのところは仕方がないかな...
銖理の方を見ると、効能が書かれている看板を眺めている。
「効能は~...腰痛・霊力の回復・切り傷・打ち身・冷え性ッスか...それにこの後?覚醒の湯に入ったら体もバッチリ?」
「ん?アレのこと?」
私は先ほどの普通の温泉の方を向く...
この温泉と併用するとは変わった湯だこと...
それに看板の方...最後の文は書き足したような跡があるわね...
それを聞いた潤香と境奈は覚醒の湯へ向かう
「あの露天に入って今度はこちらですか♪」
潤香は身を屈めて温泉の淵に立ち、境奈はその後ろに立ち興味深々といった感じで眺めている
「しっかし...あっちの温泉と比べると何か地味なのよね~」
境奈が詰めると潤香がバランスを崩す!
「急に詰めないでくださ...」
ざぶん!!
潤香が温泉に落下する...
「あ!ごめん!潤香!」
「大丈夫ッスか~潤香~」
私達は覚醒の湯へ向かい潤香が浮かび上がる...
「もう...びっくりしましたよ...ああ...でもここの温泉も中々...」
「「「「「!?」」」」」
私達は潤香の姿を見て固まる...本人自体は気づいていないみたいだが...私達の驚く様子を見て彼女も首を傾げる。
「...あの?どうしました?」
「あの...その...耳と尻尾が」
「耳?尻尾?...え!?」
漸く気づいたみたいね...
今の潤香の姿は...半獣の姿...人間の姿に...狐耳と髪色と同じ9本の尾がある姿だ...
この子だけはこの姿を忌み嫌って使用していないというのに...
「心変わり?」
「違います!!!この温泉に入ったら急にっ!!」
「...ふむ」
華楠が温泉の湯に手を入れると、しばらくして彼女の姿も半獣の姿になる...
「確実にこの温泉が原因かな?」
「...そうだな...詳しくは調べていないが霊力を上げる成分が多く含まれているみたいだ...現在は能力が使えない所だ...なってしまったら...ここを出るまで人間の姿はお預けだな」
「境奈お姉様!!貴方も道連れです!」
「ひ!!」
温泉から潤香の尾が伸び境奈を捕らえて温泉へと引きずり込む...
ざっぱーん!!
激しい水しぶきを上げ案の定境奈も半獣の姿に...
「げほ!!!」
「...良い温泉だと思ったのに...うまくいかないものです」
「私は別に構わないけどな...」
「銖理もッス!」
煌炉と銖理は特に気にすることもなく覚醒の湯に浸かる...
彼女達の姿も半獣の姿に...
「まぁ...軽い休暇と考えればいいかな?」
私も便乗して温泉に浸かる...
...私の場合は耳が生えるだけだった
「何か...」
「地味だね...」
「羨ましいです...」
私は空狐だもん...尾がないもん...
何やかんや最後の温泉で空気が悪くなってしまったので私達は、その場を後にし部屋へと戻る。
部屋へ戻ると部屋の前には、こいしがいた...
「あ!狐のお姉さん!ご飯の準備ができたよ!」
「丁度いいタイミングだね...」
こいしは私達の姿を見回す。
「う~ん...もふもふ地獄?」
「うん...温泉でちょっとね...」
「分かった!じゃあ!ついてきて!」
こいしが先導し私達は食堂へたどり着く...
食卓にはすでに料理が用意されており、そしてさとりが厨房から現れる。
「大神家の皆さま...お食事の用意ができました...ゆっくりご堪能くださいませ」
「ああ...ありがとう?何かすごいね」
「今回はフルコースを用意させていただきました...私のブリー...んんっ!!!地霊殿の主としての腕を振るいましたので」
「何か...旧都でもすごかったけど...ここでもすごいかも」
「内容としましては、前菜の季節のオードブル・次にキノコのスープ・次に羊のステーキ・最後にフルーツパフェになりますね...そしてお飲み物も熟成させた赤ワインをご提供です」
「...すごいな」
「素晴らしいッス!!」
「さぁ!大神の皆さま!ご堪能あれ!!」
さとりが前菜の蓋を開ける...
何やかんやでディナーも残すところパフェのみとなる...
感想を述べるとするなら...非常に美味しかった...
旧都の料理も美味しかったけど、ここと比べると差ができるね...
「中々美味しかったよ♪」
「ふふ!喜んでいただいて何よりです」
さとりは私達のグラスにワインを注ぐ...
そして彼女は私達の姿を見回す
「ふむ...覚醒の湯に入ったみたいですね...皆さまの体もモフモフでキラキラですね」
「確かに...体の調子は良くはなりましたが...注意事項を明記をお願いします」
潤香はワインに口をつけながら苦言を漏らす...
「それは失礼しました...次回から気を付けますね」
さとりはワインを次終わり、お燐がパフェを持ってくる。
「これで最後のメニューとなります...お気に召していただけましたか?」
「充分満足だよ...逆に申し訳ないよ...私だけでなく娘達まで招待してもらえてさ?」
「いえいえ...私は好きでしているだけです...さて...夕食は終わりましたが今夜は地霊殿でゆっくりしていってください...残る時間遊戯を楽しむなり、温泉を堪能したり大神家の皆さまのご自由でどうぞ...」
ん~...どうしようかな?今は満腹だし...お風呂という気分でもないかも...
「少し部屋で遊ぼうかな?他の皆は?」
「アタシは風呂行くわ...髪が相変わらず爆発しているからね」
「...しかし?今朝よりは戻ってきたんじゃないか?」
「マジ?...今夜中には戻すわ...他は?」
境奈が尋ねると華楠達が次々と答える
「...ふむ...今日は部屋で休もうかな?」
「私もそうする...お風呂は早朝に入るよ」
「銖理も休むッス!」
「私も...」
どうやら境奈以外は休むみたいだ...
さとりの方は頷く
「ベットメイキングはお空がやっておきましたのでお休みになってください...」
「本当にありがとうね」
私達はパフェを完食し、境奈と別れて部屋へと向かう
side境奈 〇〇一の事件簿...不穏なBGM
「全く...やっと治って来た...」
脱衣所の鏡の前でアタシは自慢の髪に櫛を通していく、相変わらずの爆発ヘアだったけど、やっと櫛が入るようになったわ!
「これも温泉の力なのかしらね?」
とりあえず...時間をかけて櫛を入れていくと元通りになり始めてきた...
「...やっとここまで来たわね...今度は文の奴には注意しないと」
...時間を見ると40分も経過しているわ...もう部屋に戻らないと
「お風呂は明日にしましょう...」
ぎぃぃぃ...
「!?」
扉の開く音が響き身構える!!
こ...怖いわけではないわ!!ただ...慣れない所にいたから...ビビっただけよ!!
「うう...誰?」
扉の方を向くが誰もいない?
...風で開いたのかしら?
「...早く戻ろう...もう疲れたしベットへ...!?」
ふと鏡を見るとアタシの背後にさとりが立っておりアタシは椅子から転げ落ちる!!
「なななな!!!アンタ!!何よ!!」
「失礼しました...ただ先ほどから髪を気にしているみたいだったので様子を見に」
...さとりは大人しく頭を下げる
「...気にすることはないわ...少し痛んだだけよ...」
「良ければブラッシングして差し上げますよ!これでも腕には覚えがあります」
さとりはブラシを取り出す...
こうして見ると可愛いものね?見た目が見た目だけあるからかしら?
「そう?ならお願いしましょうかしら?」
「ではお待ちください...」
さとりは整髪剤などを用意する...
さて...この子の腕前拝見かしら?
「ん?」
鏡を見ると、さとりは身の丈程あるブラシを持ってアタシに振り下ろすところだった...
「え?まっ...」
ごっ!!!
ででーん(BGM)
今回はここまで
ではこれにて