地霊殿の主である古明地さとりに招待された大神一行...
さとりからの持て成しに充分満足していた彼女達だったが、それは平和に終わることはなかった...
自称...世界一のブラッシング技術を持っているというさとりの過剰な持て成しにより、大神家の一員である境奈・潤香の2名が昇天してしまった...
封鎖された地霊殿の中で殺伐(笑)な鬼ごっこが開幕を告げる。
大神家残り 暦〇 華楠〇 境奈× 煌炉〇 銖理〇 潤香×
side銖理
「うう...こえーッス...」
私は誰もいない地霊殿の廊下を進んでいく...やっぱり他の皆と離れるのは得策ではなかった!!
怖いものは怖い!!いつ私がやられるか分からない!!そんな恐怖心が続くのは私としても精神的無理ッス!!!
「確か...境奈姉と潤香の2名が犠牲になったッス...残るは...4名か...」
潤香のアレを見たら絶対にさとりのブラッシングは体験したくないッス!!
尾にブラシが触れただけで乱れるとか...おかしいッス!!
「...と...とりあえず隠れてやり過ごすしか...警備が万全な屋敷だけど...どこかに穴の1つくらいは...」
私は廊下の角を曲がる...
「何処ですかー!大神の皆さまー!!」
「っ!!!」
向こうからは...さとりの声が!!不味い!このまま進んだら次の餌食は私だ!!
私はとっさの近くの部屋に入りクローゼットの中へ入る...
(がたたたたた!!!)
クローゼットの中で息を整えるが部屋の戸が開き、さとりが中へ入る!!!
「ここですかね?」
さとりはベットの下とかを調べ始める!!
このままではすぐに見つかってしまう!!!
ブラシは嫌だ!!ブラシは嫌だー!!!
「残るは...クローゼットだけですね...」
(ひっ!!!)
さとりはクローゼットへ近づいてくる!!
もう駄目!!私もここまでなの!?
「さとり様?失礼しますよ?」
さとりがクローゼットに手をかける前に、お燐が部屋に入ってくる
「どうしたの?誰か見つけたのかしら?」
「いえ...とりあえず気絶したお二方はお部屋に運んだことを報告に...」
「そう...お客様に無礼のないようにね!とりあえず他の人は見つかりましたか?」
お燐は首を横に振る...
「...仕方ありません...まだ隠れるところは沢山あります...部屋をくまなく探すわよ」
さとりはお燐と一緒に部屋を出ていく...
そして一人取り残された私はクローゼットの中でへたり込む...
「~!!いつからここはクロックタ〇ーになったんッスか?」
足に力が入らない!!ここまで恐怖したのは...ミスチーのお仕置き...影狼に襲われたこと!!衣玖の逆転脅し裁判!!
これではパンツがいくつあっても足りないッス!!
「生きなければ!!生きて地上に戻らなくては!!」
私は精神を集中させて動かない体に鞭を打ちながら入り口へと走る!!
こうなれば強行突破だ!!私にかかれば何とかなる!!
...扉にたどり着いた私は懐から解体専用ツールを出す!!
この扉はにとりが作った物!!つまり私の技術が応用されているはず!!
「にとりがやった扉ッス!!私に分解できないものはない!!」
私はツールを使って扉の仕掛けを解体していく...正直手持ちのツールでは心もとなかったが...時間をかければどうにかなるはず!!早く脱出をして...体制を立て直さないと!!
10分後...
「...ふん...ご丁寧に電子ロックまで...」
私は電子ロックを解除して、セキュリティーを無効にする...
...思ったよりは順調かもね!この調子なら数分で解体完了だ!!!
ぴー!!!!
「!?」
突如響くアラートに私は怯みドライバーを地面に落とす!!!
「え?待って!!これは...」
何このアラートは!!扉から出ているじゃない!!こんな大音量!!さとりが来てしまう!!!
「やめろ!!こんな音出すんじゃない!!!」
私は音の原因を探るが出所が分からない!!すでに解除したセキュリティから来ているわけではない!!
にとりの奴!!独自でトラップを仕掛けたな!!
「くそ!!何か細工でもしてあったのか!!止まれ止まれ止まれー!!!」
中から出ているコードを無理矢理引きずり出し無差別に切り刻む!
こうなれば全てのモノを解体してやる!!!やればできる!!私はやればできる子!!!
ぴー...
...
「と...止まった?」
扉からのアラートが鳴りやむ...どうやら...解除は成功したみたいだ...こういう時は荒療治が効くッス!!機械であれ...何であれ...
「ふぅー...窮地を脱したッス...」
汗を拭い私は再び作業にかかる...早く終わらせてここから脱出を!!
しかしあちーッス...のどが渇いて来たかも...
「良ければお水をどうぞ!」
「んー...気が利くッス...」
水の入ったコップを渡され私は喉を潤して作業に没頭する...
「...ん!?」
恐る恐る...後ろを向くと...さとりが満面の笑みを浮かべてブラシを持っていた...
「銖理さん...見つけました♪」
「ぎゃあああああ!!?」
ぴちゅん!!!
恐怖か...快楽か分からんッスけど...いつの間にか視界が暗転する...
sideさとり
「...ふぅ!完了!!」
「あ...ああ」
私の足元では艶のある声を出して悶えている銖理さんの姿がある...
彼女の尻尾は手入れは行き届いているみたいですが...大神家の中では一番点数が低いです...
原因は尾につけているワックス...これはいけません...せっかく毛並みの質が良いのだから痛ませるのは頂けないわ...
とりあえず!ツララヘアーは元通りのサラサラヘアーに戻しときました!!
「...さて...次の方を探さなくては...」
銖理さんを放置し、私は屋敷の奥へ向かう...残りは3人...まだ楽しみはありますからね...
15分後...
廊下を進んでいくととある人物を発見する!
「!?」
赤い髪の狐...煌炉さん!!これは幸先がいいです!
「見つけました!」
「ふん!」
私は彼女へ向かうが彼女は廊下の奥へと逃げてしまい彼女の姿が見えなくなってしまう!!
「...!他の方よりは素早いみたいですね...」
私は煌炉さんを追撃する!!大丈夫です!すぐに捕まります!!
30分後...
「...はぁ...はぁ...あれ?」
...あれから煌炉さんを追っていますが...一向に捕まる気配がありません...?
足が速すぎます...子猫のようにすばしっこいです...
「ふぅー...」
煌炉さんは私と一定の距離をとって、煙草を吹かしている...彼女としても余裕が出てきたみたいです...
屋敷のセキュリティーが掛かっている以上...私も心を読むことはできませんが...それでも彼女の心の中は分かる...足でなら私を出し抜ける...そう思っているのでしょう...
「こんなことなら...体も鍛えておくべきでした...」
インドア生活がこんな障害になるとは...これは次回の教訓にしときましょう...
...この後の策を考える必要があります...速さでは彼女には勝てる見込みはありません...
どうにかして彼女を罠にかけて足止めをしないと...
私はすぐ近くの部屋に行きお燐に内線をかける...
「...はいはい!お燐ですよ!」
私はとある指示をお燐にする...
もちろん彼女は困惑するような声を出すが...
「え...何で?」
「いいから!!」
私は内線を切り...策を実行に移す!!!
「大神煌炉さん!!貴女の尾は私が頂きます!!」
「...しつこいな」
彼女は屋敷の奥へと逃げる!!...すでに貴女は私の手の上...どこにも逃げられません!!
「はぁ...はぁ...待って...」
地霊殿厨房前...私は千鳥足で煌炉さんを追うが...もう限界...やっぱり体は鍛えておくべきです...
「しつこいな!!!」
煌炉さんは、そのまま厨房へと入る...
ですが...策に嵌ったことは彼女は気づいていないみたいです...その部屋が...貴女の最後です!!
私は最後の力を振り絞り厨房へ入る...
「はぁ...はぁ...追い詰めました...」
「...執念深いね...それには脱帽するよ...何でそこまでブラッシングがしたいか理解に苦しむよ」
煌炉さんは私から距離を取りながら返答する...
まだ彼女は気づいていない...これなら...いける!!
「妖狐の尾をブラッシングすることは...私の夢ですから...」
「はっ!...境奈姉さんや潤香で終わっているじゃないか」
「まだ...3人いますもん...」
「3人って...誰か早くもやられた?...びっくりだよ...でも私は失礼する!お前の相手をしているわけにはいかないからね!」
煌炉さんは私を避けるように厨房を走る...
かかった...
「...え?」
煌炉さんは急にバランスを崩して、体をジタバタさせながら止まる...
彼女は足元に気を付けながら私の方を向く...
「...!?何だこれは!!」
私は笑いを堪えながら彼女を方を向く...すでに彼女は私の手の中...この厨房に入ったのが運の尽きです!!!
「ふふ!!かかりましたね!!煌炉さん!」
「かかったって何が?」
煌炉さんは滑る足を踏ん張りながら返答する...
もう既に気づいているでしょうね...私のトラップを...
「気づきませんか?厨房の床に撒かれた...油をね?」
「...油?」
彼女は辺りを見回す...てっきり気づいていると思いましたが...杞憂でしたか...
そう...私が仕掛けたトラップは床の油...
さっきの内線でお燐に...
(厨房の床に油を撒いときなさい!)
という指示をだしたのだ...
煌炉さんの気を付けるべき点は1つ...足の速さ...
その機動力を削いでしまえば彼女は無力化する!!
「まさか!私の機動力を無効化するために!!」
煌炉さんは、さっきとは一転して顔を青くしながら私から距離をとっていく...
だが油に足を捕られたのか、そのまま奥の方へと滑っていく...
「うわああ!!待って!止まらな...ぎゃ!!!」
彼女は厨房に置いてある冷蔵庫に頭から突っ込み、その場に倒れてしまう...
「...きゅ~」
「...結果オーライですね!!」
気絶してしまえばこちらのモノです!!私は彼女へ近づきブラシを構える...
15分後...
「...ああ...あああああ」
「ふぅ♪満足!!」
悶絶している煌炉さんを尻目に私はブラシを回しながら厨房を後にする...
点数は中々高い評価をつけましょうか...私と同じくブラッシング技術に長けている人が煌炉さんの尾の手入れをしているのでしょう...
中々の腕ですが...私の方が上です!
「さて...次はどうしましょうか?」
残りは大神暦様と華楠さんの2名...どちらも最強の名を冠する妖狐です...先ほどの方々と比べたら苦戦しそうですね...
それに上手いこと気配を隠して行動していますね...この広い地霊殿の中で探すとなると私としても骨が折れます...
「...一度原点に戻ってみましょうか」
私はお風呂場へと足を運ぶ...
推理小説でも言っていました...犯人は一度現場に戻るとね...
お風呂場...
境奈さんをブラッシングした場所へ戻り露天風呂へと向かうと、ある方を発見する...
「...」
「...どうされましたか?華楠さん?」
私の目の前には露天で、ずぶ濡れになり、ぐったりと床に臥している華楠さんを発見する...
彼女の手元には竹筒が握られており、彼女が何をしていたか用意に想像がつきます...
「...忍者の真似事でもしていたのですか?」
「...」
彼女は何も答えないが恐らく私の言ったことは正解でしょう...
温泉の中に隠れていたようですが、長時間浸かっていた所為で、のぼせたのでしょう...
策施策に溺れるとはこのことを言うのでしょうか?
「では失礼しますね!」
私はブラシを構え、彼女は何も抵抗なくお縄につく...
「...」
「ふぅ♪モフモフでした!!」
点数は文句なしの100点ですね!!手入れが入ってます!!今まで触ったことがない手触りでした!!
さて...残りは暦さんだけ...
「待っててくださいね!!残りは貴女の尾だけですから!!!」
side暦
「...どうすればいい!!」
厨房の戸棚から外に出て私は頭を抱える...
残りはこの私だけ!!私の娘達全員やられちゃったじゃない!!!
さっきまで目の前で煌炉がブラッシングされていたし!!絶対にアレは受けたくはない!!!
でも...屋敷にかけられているセキュリティーにより、内部にいる全員が能力を使えない状態になっている...
「本当に...能力が使えないの?」
私は厨房の籠に入っているシシトウを手に取る...
私の幸運が発動していたらシシトウの辛いのは引かないはず...これは...確かめなくてはいけない!!
「いざ!むっ...!!!ブー!!!!」
...結果は見事に辛いの引いた...つまり私の能力は完全にストップしているということ...
運に見放された...
「私の能力が止まってしまっている以上...私には勝ち目はない!!」
私は床に零れている油を慎重に避けて進み厨房を後にする...
「とりあえず!能力はとりあえず放置!!!こうなれば脱出方法を考えないと」
窓を見るが、全て鉄格子が貼られており通り抜けは不可能と考えるべきか...
表も門は金庫並みに重厚だし破壊は不可能...
出口も...あそこしかない!!
「うう...積んだ...もう...投降した方がいいかな?」
廊下を歩いているとふと飾られている鏡が目に入る...
映るのは私の姿...
恐怖で長い金髪は変に逆立っているし、雪の様に白い肌は...もはや死人のような青白い色になっている...
「...ん?」
私はあることに気づき鏡をよく見つめ、今までの情報を纏める...
少し大きな賭けかもしれないが...助かるかもしれない!!
「...ふふ!ツキが来たわ!!」
私は近くの部屋に行き、寛ぐことにした...
彼女には何もできない!!何もね!!
30分後
「ずずず...」
がちゃ!!
お茶を飲んで寛いでいたが...私としても暇になってきた頃...やっと!さとりが部屋に入ってきて私を見つける...
「はぁ...はぁ...やっと見つけましたよ!!暦様」
彼女は息を切らしながら大きなブラシを持って私との距離を詰めていく...
「遅かったじゃない?私としても暇になってきたところなのよね?」
「...何かの策ですか?随分と余裕みたいですが?」
彼女は私の態度が引っかかったのか、警戒して辺りを行ったり来たりする...
「策はないよ♪でも私は貴女には倒されない自身があるのよね♪」
「ハッタリは効きませんよ!!心が読めなくとも私には精神的揺さ振りは効きません!」
...どうやら彼女は気づいていないみたいだ...私には一切手出しできないことをね
「...ならやってみなさい♪あなたは私には手出しできないわ」
「ハッタリは効きませんー!!」
さとりは飛び出してブラシを振り落とす。
「...!」
さとりのブラシは私の目の前で動きを止め、彼女は驚愕した様子で私を見つめるだけだ...
「どうしたのかしら?私はここですよ?」
「なっ!!...まさか!貴女のその余裕は!!」
どうやらやっと気づいたみたいね...
「やっと気づいたみたいね...私には尾が1本もないことにね!」
「ぐうう!!」
彼女はブラシを抱きしめ苦虫を噛み潰したような顔をする...
...どうやら私の考えはあっていたようだ
この子の目的は尾をブラッシングすること...それが前提条件...
しかし空狐である私には尾なぞ存在しない...
つまり...彼女は元々私には手出しは出来なかった事になるわ!
「さぁ!どこからでも来るがいい!!さとり妖怪よ!そのブラッシング技術が空狐に通用するのならな!!」
私が指を向けると、さとりは半泣きになる...
「うわあああああ!!私の夢が崩れ去るー!!!うわああ!!」
彼女は八つ当たりのようにブラシを床へと叩き付ける...
折れた巨大ブラシは宙を舞う...
そして...
「ふご!!!」
さとりの頭へと落下して彼女は下敷きになり、ノックダウンする...
「...私の夢...が...」
「さて...華楠達を回収してお暇しないと...」
私はその場を後にし娘を回収しに行く...
ブラッシングは予想外だったけど、それなりに楽しめた感じかな?
生き残り暦のみ...
ではこれにて