本日も朝の陽射しが差し込んでいる時間帯の幻想郷の端にある神社こと大神神社...
人里の肝試しの翌日の大神家には...その肝試しの被害者である大神境奈は自室で眠りについている...
彼女はうなされた状態で、身を起こす...
side境奈
「うわああああ!!」
悪夢から目を覚ましアタシの目に映るのは自室の景色...
アタシは確か...酷い目にあった...そんな記憶がある...
「...うう」
頭の中を整理すると、昨夜の忌まわしい事を思い出す...
...実の姉とアタシの事を大事にしてくれる者に嵌められ、ドッキリを仕掛けられたんだ...
理由までは聞かなかったけど、想像はつくわ...
アタシを驚かした付喪神のエサやりのためなのでしょう...
アタシが、こういうホラー物は嫌いなの知っている癖に!!よくもこんな酷いことを!!
「全く酷い事を...っ...」
流石にも気分が悪いわ...今日は九尾の姿でいましょう...このまま平和に終わりたいわ...
布団から出て姿を確認する...コートが無いけど昨日の格好のまま...お陰で体がベトベトよ...
「...シャワー浴びたい」
アタシは部屋から出て、浴室へ向かう...
ピンポーン!
「...?」
その途中インターホンが鳴りアタシは歩を止める...お客さんかしら?...まぁアタシの部屋が一番近いし出ようかしら?
「はいはい...どちら様?」
アタシは玄関の戸を開ける...
「おはようございます!大神家様!!地底からやってきましたよ!」
「...」
目の前には、桃色の髪をしたさとり妖怪事...地霊殿の主である...古明地さとりがいた!?何でこの子がここに!!地底との不可侵条約はどうなったのよ!!!
あの時の悪夢が蘇る!!地霊殿モフモフ事件が蘇る!!アタシは即座に脱落してしまって詳細は不明だけど!母さん以外の他の皆は酷い目にあったらしい!!
もうブラシの類は見るのも嫌なのに!!何でまたこんなことに!!
「...失礼するわね」
アタシは戸を閉めようとするが、さとりは足を出して妨害する!!
「な?」
「せっかく来たんですから!入れてくださいよ!今日は暦さんはいらっしゃいますか!?」
「いない!!いないから!!」
やっぱり母さん目当てか!!母さんを差し出してもいいが!アタシは現在半獣の姿!!!この状態でブラシをされたら!!
「いたたた!!!そろそろ戸を開けてください!!私の足が限界に!!」
さとりはブラシを戸に入れて、テコの原理をを使って無理矢理入ってくる!!くそ!戸を開けるんじゃなかった!!
「ふぅ!ここが大神神社ですか!中々の佇まいで...」
さとりは、神社を観察している...何でこの子がいるのよ!!このままでは神社で鬼ごっこになりかねないわ!!
「つぅか!!地底の不可侵条約はどうなったのよ!!アンタここに来れないはずじゃないの!?」
「妖怪の賢者に許可を頂きました...これでなら地底の者が地上に来ても問題はないはずです」
「え?嘘!紫の奴がそんなこと...」
「許可は確かに頂いています...こんな風な感じで」
(暦さんをブラッシングしたいので地上に上がる許可を下さい!)
(いいわよ~♪面白そうだし~)
「と言う感じで...」
「紫ー!!!」
あ...あのスキマァ!!!何が面白そうだからだー!!アタシらにとっては死活問題だというのにー!!
「まぁ...そんな感じです...そして境奈さん」
「うう!!」
さとりがアタシを観察するような目で見つめてくる!!最悪だ...只でさえ弱っているのに!追い打ちは酷いわよ!!
「...見た限り私のアドバイスを聞いていないみたいです...尾からの香水の匂いが強すぎます...ビリから2番目は抜け出せませんね」
「はぁ!?」
...何でディスられているの?ビリから2番目って何よ?
「うう!!」
最悪だ...アタシ一人ではどうしようもない!!誰もこの騒ぎに来ないという事は全員外にいるのね...なら!助けを呼ぶまでよ!!
アタシはこっそりと通信機のメール機能で助けを呼ぶ...
(助けてー!神社にさとりがー!!誰か応援を!!)by 境奈様
と...一斉送信をすると、すぐにメールが送られてくる...
(嫌です)by コヨミン
(無理)by コウロ
(多少の犠牲はつきものだ)by KANAN
(さよなら~!境奈姉~!( *´艸`))by 銖理♪
(お世話になりました...)by潤香
「ちくしょう!!!!」
アタシは通信機を投げ捨てる!!
全員に見捨てられた!!!銖理の奴にいたっては何で笑っているのよ!!おのれ!!あの裏切者め!!薄情者!!!
「さっきから何をやっているのです?」
「ううう!!」
さとりがブラシを持って近づいてくる!!やばい!!このままでは!!アタシがやられる!!
ピンポーン!
突如と響くインターホン!...まさか家族の誰かが助けに来たというの!!
「はいはい♪只今ー!!」
アタシは戸を開ける!!
「む...境奈か...煌炉に会いに来たんだが...」
「こんにちわー!境奈様ー!」
外には藍と橙の2人がいた...家族の誰でもなかった...アタシは本当に見捨てられたの?
「あはは...最後に見る光景がアンタたちか...」
「急に何を言って...あ!!!」
藍はさとりを見て尾を逆立たせる。
「お...お前は!!私の煌炉を良くも!!!」
藍は怒りの形相でさとりをにらみつけている...一方そのさとりは平気な顔をしているけど?...何が起きているの?
「あら?妖怪の賢者の式神様ですか...煌炉さんの尾の手入れをしていたのは貴女だったのですね」
「お...お前が私の煌炉を籠わしたんだな!!ゆ...許さない!!!」
「煌炉さん?彼女は中々のものでした...上から2番目...でも私の方が技術を用いれば更に上へ目指せますね」
「うがあああああ!!!」
何でしょう...藍の奴すごい怒っているわ...もしかしてこの状況を逆転させるチャンスなのでは!!
...橙は戦力外として...藍ならこの状況を打開できるかもしれないわ!!
元は傾国の美女...妖怪の上位に君臨する金色白面狐の彼女なら、さとりのブラシを食らっても倒れるはずがない!!
ゆけー!藍!煌炉の仇をとるのです!!
「許さん!!煌炉の仇は今討つ!!」
藍の拳が向かうが、さとりの方が早かった...
「危ないですね...」
さとりは藍の尾に櫛を入れる...
「...ふん!!そんなもの...私には...はぁぁぁん~!」
刹那...藍はそのまま崩れ落ちる...
数秒で堕ちたー!!!さっきの意気込みがどうしたのよー!!!
「藍!!どうしたのよ!!!煌炉の仇を取るんじゃなかったの!?」
「...無理...気持ちいいもん」
...やっぱり駄目だった...藍はアタシらと同じ妖獣...さとりのブラッシングに勝てる見込みなぞなかったというの!?
「流石は妖怪の賢者の式神だけあります...手入れはなっていますね!」
「ふぁぁ...」
藍の奴...さとりにブラッシングをされて完全に骨抜きになっている!!このままじゃ...アタシに被害が及びかねないわ!!
「この状況どうすれば...」
「ぼりぼり...ぼーり...」
横にいる橙を見ると彼女は、煮干しを食べながら静観している...
「ちぇ...橙...アンタ...この状況怖くないの?」
「...藍様のこの状態は見慣れてますから」
橙は冷たくアタシに言い放つ...
...何と言うか...アンタも色々の苦労しているのね...
アタシが再び藍の方を見ると神社の壁にスキマが開く...
「八雲ゆかりん!登場よ♪」
スキマから出てきたのは今回の状況を承認しやがった八雲紫...
「面白いことになっているわね!!ゆかりん!面白いの大好き!」
「黙れ紫ー!今回のこれどうしてくれるのよ!!」
紫はスキマに座って扇子を開く...
「...幻想郷は全てを受け入れるの...それは残酷なことですわ」
「は?いきなり何を!!早く!平穏を戻してよ!!」
紫を見るが、その表情は真剣そのもの?
「地底出身であれ...幻想郷の仲間には違いはないわ...境奈...大神である貴女なら分かるわよね?」
「...う...それは...」
...確かにアタシら大神は遥か昔、退治屋として暗躍し妖怪の敵として君臨していたけど今は違う...完全に幻想郷の一員となっている。
流石にもさっきの発言は...不味かったわ...
「...確かにね...出身はどうであれ...仲間ということには変わりはないわね」
「...そう...仲間であることは変わりないわ...ってことで!さとりん!境奈の了承を得たし存分にモフモフなさい!!」
「感謝しますよ!ゆかりん!」
「...は?」
え?何でそうなるの?それどころか...こいつら何で愛称で呼び合っているの?...まさか...謀られたの?
「じゃ!ゆかりん帰る!橙!帰るわよ!」
「はいはいー!紫様ー!」
橙はスキマに飛び込み、紫は藍の尾を引っ張ってスキマの中へ押し込む...
「じゃあ!後はどうぞ!」
そのまま...彼女はスキマの中に入り消える...
「ふざけるな!あのスキマァ!!!!!」
...結局真面目な話も糞もないじゃないの!!今度セメントまみれにして石像にしてやるー!!人里の広場に飾ってやるー!!
「じゃあ!了承を得ましたので...ランクアップ行きますよ!」
「う...うわあああああ!!」
さとりがブラシを持ってやってくる!!今度こそアタシが終わる!!誰かヘルプ!!
ピンポーン!
!また...インターホン!!
今度こそ天の助け!!
「はいはーい!どちら様!」
アタシは戸を開ける!
「こんにちは!大神の皆さま...命蓮寺の住職...聖白蓮です」
...このヒト確か...この前の異変の!
確か潤香の奴と知り合いだったし、話は何度か聞いているわ!!このヒトなら、この状況を何とかしてくれるはず!!
「...潤香のお姉様ですか?」
白蓮はアタシを見て目を泳がしている...
「...潤香の姉の1人...大神境奈よ!どうぞ宜しく!」
「ええ!!宜しくお願いします」
彼女と握手をするが...相変わらず目を泳がせたままね?...初対面だけど緊張しなくてもいいじゃない...
だが!これで流れはこっちに来ているわよ!!神はなくとも仏が来た!!アタシはバットエンドを進まない!!
「実は白蓮!今アタシ全力で困っているのよ~...協力してくれない?」
「え?ええ!いいですよ!」
...よし!了承を得た...残りはさとりから守ってもらう仕事のみ!
「実はアタシ~現在進行形でピンチなのよ~...さとりがアタシの尾をブラシしようとしているから...守ってくれない?」
「境奈さんの尾を...ブラシですか?え...ええ!」
白蓮はアタシの尾を見つめている...よし!これで守りは完璧だ!!残りはさとりを片づけてもらうだけ...いけー!ひじりん!さとりんにメガトンパンチじゃああ!!!
「...あれ?」
「ああ~!もふもふです~!」
...後ろを向くと、そこにはアタシの尾を抱いて顔を埋めている白蓮の姿が...
え?何が起きてるの?
「白蓮!!さとりはあっち!!アタシを守ってよ!」
「幾ら修行をしても...このモフモフだけは我慢できません...はぁぁぁ~」
...白蓮は恍惚な表情を浮かべている!!まさか人選をミスった?
「ふふふ!白蓮さん...まさか私と貴女が仲間だとは思いませんでしたよ」
さっきまで沈黙していたさとりが白蓮の方へ向かう...
「え?」
「貴女も同じく...モフモフな尾が好きなのでしょう!?さっきから貴女の心の中を見ていましたが...境奈さんの話を聞かずにずっと凝視していましたね?」
「あ...いや」
白蓮は顔を青くする...そういえばさっきまでずっと目を泳がしていたのは...尾の所為?
「白蓮!さとりの言葉に耳を傾ける必要はないわ!!いいからメガトンパンチを早く打てー!!」
「白蓮さん!?今ここにブラシがあります...一緒に境奈さんをブラッシングしませんか!?」
「う...うぐう...」
白蓮は頭を抱えている!!そんなに悩むことなの!!アンタ僧でしょう!!煩悩を打ち払いなさいよ!!!
「...やりましょう!こんな機会滅多にないですし!」
「いい返事です!!」
2人は固い握手をする!!...何か固い友情が築かれたー!!!
神も仏もいないの...
「うう...嫌...来ないで!!」
2人はブラシを構えてこちらへにじり寄ってくる!!!
ア...アタシはまたモフモフされるの?...こんな悪夢...アタシは...アタシは認めないんだからー!!!
「アタシに近づくなー!!!」
数時間後...満足した表情でさとりと白蓮の2人は大神家を後にする...
そして玄関には真っ白になった境奈だけが残されており、誰も彼女を介抱することはなかった...
「...!」
しかし...大神家にやって来た、とある人物がこの有様の境奈を見つけて抱きかかえる...
そしてその者は彼女を連れてその場を去る...
妖怪の山
side文
「...こんな感じでいいですかね?」
境奈を布団に寝かせて、私は一息をつく...
本日は彼女にしたことについて謝ろうとして大神家を訪れましたが...まさかキラキラ輝いている境奈が玄関で倒れているとは思いませんでした...
何でキラキラ輝いているのかは分かりませんが...まさか...昨日の肝試しの所為でこうなったのでしょうか?私は境奈に嫌われたくありません!!彼女に嫌われたら私は!!!
「...う」
「!?」
意識が戻ったのでしょうか?境奈が身を起こして私を見つめている...
「境奈?目が覚めましたか?」
「...うぅ」
境奈は涙目になり私を抱きしめる!?
...あれ?何でしょう...これは...
「どうしました境奈?どこか痛いところでも?救急箱持って来ますから...」
「いや...離れないで...一人にしないでよぉ!!」
彼女は私を更に強く抱きしめる...
いつもより甘えてきますね...そして何かに怖がっています...相当精神的にきているのでしょうか?
「境奈...ごめんなさい...私は怖がる貴女に酷いことをしてしまいました...謝って許されることではないと思いますが...」
「うう!!」
境奈は私を抱きしめたまま返答しない...何かに怖がっていることは分かりましたが...これ以上は聞きだせそうにありません...彼女の心を癒しませんと...
「...失礼しますよ境奈」
私は彼女の上に覆いかぶり、彼女の涙に濡れた顔をそっと舐める...
少し涙でしょっぱいですが...可愛い境奈のため...
「...あ...あ」
境奈はくすぐったそうな顔をしますが、まだ表情が怯えています...
「大丈夫ですよ...私が全て忘れさせてあげますから♪...ん!!」
「んー!!」
私は彼女に深いキスをする...
境奈も驚いたのか涙を流すのをやめる...
「...ん...ぷふぁ...ふふ!泣き止みましたね!」
「...文~文~!」
境奈は私に抱き着き、足を絡めている...これはOKとみなしていいですね!
「大丈夫ですよ...急かさなくても私は逃げませんから...」
私は衣服の前を開けて彼女を抱きしめる...
温かい彼女の体...心音が聞こえます...ガラス細工のように繊細な彼女の体と心ですもの...
いつもは私が襲っていましたが...今日は優しくしてあげます...
貴女がいれば...私は満足ですからね...
次回も日常編
ではこれにて