東方五行大神伝   作:ベネト

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日常編


紛失した宝塔

とある晴れの日の幻想郷...異変発生以降は問題らしい問題はなく、今日も幻想郷は平和な時間が訪れていた...

 

一部...命蓮寺の不穏を覗けば...

 

 

 

 

「何をやっているんだ!ご主人!!」

 

「すみませーん!!!」

 

命蓮寺の倉庫では、怒り心頭のナズーリンと半泣きの寅丸星がいた...

 

 

 

 

 

sideナズーリン

 

「わあああん!許してくださーい!!!」

 

私の目の前には泣きながら土下座をするご主人の姿があった...

 

もう、この光景は見慣れたものだ...そしてこの土下座の理由も...

 

「今月で...何回宝塔を無くすんだい?覚えているかい?」

 

「...うう!!多分15回です」

 

「26回だよ!!!!11回も誤差が出ているじゃないか!!!」

 

...そう...土下座の理由は、宝塔の紛失だ...聖の封印を解く時も紛失して救出に多大な妨げになったのを覚えている。

 

潤香の奴がいなかったら、救出もできなかったかもしれないというのに...だから無くすなと念を押しておいたのに!!今月で26回...1日一回のペースで無くしている何て!!

 

「ううう!!違うんです!!宝塔の方が勝手にどこかへ行ってしまうんです!!」

 

「子供みたいな言い訳をするな!!!...全く面倒な...」

 

私はダウジング棒を出して宝塔を探る...

 

「うう!!ありがとうございます!!聖には言わないで下さいね!!」

 

ご主人は私に手を合わせる...まるで仏に手を合わせるみたいな感じだが...変な気分だ...毘沙門天の弟子が私をねぇ?

 

「次無くしたら...言うからな...」

 

...聖は人里の法事に言っているから今日は遅くまで帰ってこない...それまでに探しておかなくては...

 

私はダウジングを頼りに、命蓮寺を後にする...

 

この探索が...私の苦行になるとも知らずに...

 

 

 

 

 

 

「...え?」

 

とある場所へ辿りつき私はダウジング棒を落とす...

 

私の目の前には、赤い鳥居が沢山ある大きい神社...看板には大神神社って書かれている!!!

 

ここは...大神潤香の実家であり、彼女と同じ九尾の狐達が住む場所じゃないか!!私の天敵がいるところに宝塔を落とすなよー!!

 

「な...何かの間違いだよな?」

 

ダウジングを確認するが...間違いなく宝塔が神社の方面にあることを示している!!何でご主人...こんなところに落とすんだ?何かの嫌がらせとしか言いようがない!!

 

「ふぅー!神社の道中に落ちていることに...祈るだけだ」

 

私は意を決して神社の中へと足を踏み入れる...自らネズミ捕りにかかった気分だよ...

 

 

 

 

 

 

神社の道中を歩いていると、大量の灯篭がある場所へとたどり着く...

 

...風情のある場所と言いたいところだが、私にとっては一刻も早く去りたい所だ...写真を撮って観光と言う気分にはなれないな...

 

「のんびり観光するには、ボディーガードが必要だな...って!?」

 

捕食者の気配を感じ私は近くの灯篭の影に隠れる...私は恐る恐るその方向を見る...

 

「フーンフーン...」

 

そこには、黄色い長い髪をした九尾こと...大神境奈がいた!!!

 

彼女は潤香の姉の一人!!大神家の中では、上から数えた方が早い実力者だ!!

 

「よりにもよって!!!」

 

私は灯篭の影から彼女を観察する...うまくやり過ごせれば何とかなる!!どうせ彼女は人里へ向かうはずだし、いつまでもここにはいないだろう!!

 

境奈を見ていると彼女は、懐から通信機を取り出して画面を見る...

 

「あら?銖理から連絡が入っていたわ」

 

彼女は通信機のボタンを押して耳に着ける。

 

 

 

「どうしたのよ?...え?変な物がある?...どうせ誰かの私物でしょう?ほっておきなさいよ~...ん?何?え?人里の甘味処に新商品?何々♪教えなさいよ!」

 

境奈は神社へ続く階段に座って長電話をしている!!!

 

くそ!!!いつまでも居られたら私が行動できないというのに!!

 

「何か追い出す方法を考えなくては!!」

 

私は必死に辺りを見回す...だが...あるのは古びた灯篭だけだ!!!地形的にも、この階段無しでは神社へ辿り着けない!!私はどうしたら!!

 

 

 

 

 

 

 

「ぐぐ...万事休すか...」

 

このままでは...宝塔の回収は不可能だ...悪いご主人...大人しく聖の怒られてくれ...

 

灯篭に手を当てると、わずかの灯篭がぐらつく...おっと...脆いな...経年劣化しているみたいだな...

 

「...む!これは使えるぞ!」

 

本気を出して押せば倒れるな...彼女とは距離があるし!派手な音がすれば気を引くくらいはできるだろう!!そして!彼女がいなくなった階段を上がって神社にゴールだ!!!

 

「そおい!!」

 

私は灯篭を押す...朽ちた灯篭は、アッという間に崩れて向こう側に倒れて大きな音を出す...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そういうつもりだったのだが...

 

 

「そおい!!」

 

どか!...どかかか!!!!

 

「...あれ?」

 

私が押した灯篭は確かに倒れた...だが...他にあった灯篭にぶつかって、灯篭が連鎖的に倒れていく!!!まるでドミノのように!!次々と!!!

 

そして...あろうことか境奈が座っている階段の灯篭まで続き...そして...

 

「...へー♪和風プリンね!!面白そうじゃない!!今日行ってみようかしら?...?」

 

境奈の目の前の灯篭が倒れ、彼女へと向かう!!

 

ずぅぅぅーん!!!!

 

彼女は言葉なく灯篭に押しつぶされる。

 

 

 

 

 

 

「...事故だ...事故という事にしておこう!!」

 

私は彼女へと駆け寄り、脈があるか確認する...

 

「きゅー」

 

...よし!生きているな!!!命に別状は無さそうだ!!これは私が悪い訳ではない...恨むならご主人を恨んでくれ...

 

私は階段を上がり、神社を進む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

階段を上がり大きな門を抜けると、大神神社の境内へ辿りつく!!

 

大きな池に囲まれた大きな屋敷があり、池に架けられた大きな赤い橋が特徴的だ...池には、色通りどりの鯉が泳いでおり不思議な雰囲気を感じるな...

 

「とりあえず神社へ到着だな...宝塔は...」

 

ダウジング棒を手にすると屋敷を示している...宝塔は屋敷の中確定か...この中は広そうだし苦労しそうだな...

 

「さて...屋敷の中を拝見しますかね?...!?」

 

橋に足を踏み入れると、何かの気配を感じて身を屈める...

 

「おかしいッス...境奈姉からの連絡が途絶えたッス...」

 

神社の中から大神家の1人、大神銖理が出てくる!!こいつは強さ的に下から数えた方が早いが怒らせると怖いらしい...

 

「ちぃ!!!次から次へと!!」

 

...こいつが出てきたのは、さっきの境奈の連絡が途絶えた事なのだろう!!これだから嫌なんだ!!

 

さっさと姉のもとへ行ってもらいたいが、彼女は端末を弄りながら橋に腰を掛けている...

 

「...既読スルーッスか...大方、文にお持ち帰りされたか何かッスかね?」

 

「動く気配がないな...」

 

辺りを見回すが、特に隠れられる所もない...それに銖理は端末を弄りながら動く気配も見せないし、どうすればいいか...

 

 

 

 

 

「ん?」

 

神社の端を見ると小さな社があり、そこにはエサやり場と書かれた看板が立てかけてある...

 

その社を開けるとそこには、鯉のエサらしき物が入っている袋が多数あった...このエサ...使える!!

 

私は可能な限りエサ袋を持って、橋の近くに隠れる...

 

「...このエサを使って鯉を暴れさせれば!!」

 

私はエサ袋を、池に投げる!!これで銖理の奴の気を引くことが出来る!!

 

 

 

 

 

 

 

ばしゃしゃしゃー!!!

 

大量の池の鯉は銖理の近くに集まり、辺りに水しぶきを上げる。さすがの銖理も気づいたのか驚くように身を乗り出す。

 

「な...何ッス!?鯉?何で?」

 

彼女は池を見るため身を乗り出したまま...それがいけなかった...

 

 

ばしゃ!!!

 

一匹の鯉が池から飛び出し、銖理の眼前まで跳ねる...

 

 

ばしーん!!!

 

 

そして...鯉は自慢の尾びれで銖理の頭を全力で叩く!!

 

「な...何で?銖理が何を...」

 

打ち所が悪かったのか...銖理はそのまま昏倒する...

 

「...これ...事故だな!うん!事故!!」

 

境奈に引き続き、銖理まで事故に巻き込まれるとは...可哀想な奴らだ...だがここまで来てしまった以上最後までやらないとな!!

 

私は銖理を乗り越えて、大神家の屋敷へと足を踏み入れる!!

 

 

大神家内部...和風の佇まいの屋敷だ...多数の部屋がある様に見えるが、私の能力を使えば宝塔の捜索には造作もないな...

 

「とりあえず...目的地まで到着だ!残りは宝塔を持って帰るだけ!」

 

私はダウジングをしながら、長い廊下を進む。

 

 

しばらく進むと、ダウジングの反応が高まり始める!!

 

「宝塔も後少しだ!!」

 

今までの苦労を思い出しながら私は緩む口を必死に抑える。

 

長かった...大神神社へとやって来て、天敵達の目を躱しながら最深部まで来たんだ...帰ったら自分にご褒美をあげたい!

 

私は廊下の角を曲がり、反応のある部屋の戸を開ける!

 

 

 

 

 

内部は、何かの倉庫らしい場所で、棚には薬品らしき液体の入った瓶が所せましと置かれている...倉庫を進んでいくと、ある人影を見つけて私は身を隠す。

 

「...おいおい...まだいるのか?」

 

私の視線の先には、緑色の長い髪をした狐こと...マスク姿の大神華楠がいた...

 

彼女は机に置かれたフラスコに薬品を流し込みながら、置かれている書類に目を通している。

 

「えーと...確かこの配分で良かったはずだ...残りは...」

 

彼女は、書類を机に置いた後、文鎮らしき物を置く...

 

「...あ...あれは!」

 

彼女が置いた文鎮らしき物!!!それはよく見たら光り輝いており、私には既視感があるものだった!!

 

「あれは宝塔じゃないか!!何で宝塔を文鎮に使っているんだ!!」

 

本来貴重なものだというのに!!文鎮に使うなんて何という事だ!!...だが、それはとりあえず置いておこう...今考えることは!華楠にバレずにどうやって宝塔を取り返すかが課題となる。

 

...大神華楠...大神家ナンバー2...実質姉妹の中ではトップと呼ばれているみたいだが、詳しい情報は不明だ...

 

「...確か薬に関しての知能はあるみたいだが...今は何かの作成中か?」

 

華楠を観察すると彼女は現在作成したフラスコにラベルと貼り一息ついている...

 

「秘薬の完成だ...全く誰が持ち出したんだか...作り置きするの誰だと思っているんだ...後は潤香の睡眠薬を作って終わりだな...」

 

彼女は戸棚に秘薬と書かれたフラスコを置いて、睡眠薬の作成に移っている...

 

「睡眠薬...これは使えるんではないか?」

 

私の案では...

 

①華楠が睡眠薬を作る

 

②私が気づかれないように極小の光弾でフラスコを破壊する

 

③辺りに睡眠薬が気化したガスが充満!華楠の奴は簡易的なマスクしかつけていないし、それを吸って寝るはず!

 

④宝塔の回収というわけだ!

 

...我ながら完璧だ...さっきみたいに犠牲はださないはずだ!!

 

「良し!思い立ったら早速やってみよう!!」

 

私は華楠が睡眠薬を作り終えるのを虎視眈々と待つ。

 

 

 

 

 

15分後...華楠の持つフラスコが鮮やかな青色になる...

 

「よし...これで潤香の奴もお眠だな」

 

華楠は満足そうに笑みを浮かべるが、すまない...破壊させてもらう!!

 

「そおい!!」

 

私は極小の光弾を放ち、フラスコに見事に命中させる!残りは気化したガスが華楠に浴びれば!!

 

「な...何だ?フラスコに異常でもあったのか?」

 

華楠はひび割れたフラスコを心配そうに見つめながら、軽く振っている...

 

フラスコの液体は鮮やかな青からどす黒く変色をし始めている?

 

そして...

 

 

 

ボン!!

 

フラスコが爆発し、華楠は声も上げずに倒れる...

 

「あれ?思っていたのと違う?」

 

倒れている華楠の口に手を当てると、僅かに息をしている...うん!死んでいない!事故だなこれは!!死んでいなければ安いものだ!!

 

「...まぁ...予想とは違うが目的は確かに完遂したはずだ!!」

 

私は机の上に置いてある宝塔を手にする...

 

ああ...この輝きが目に染みる...辛かった...今までで一番この探索は苦労したよ...

 

「よし!!では撤退だな!!」

 

私は大神神社を後にする...

 

 

 

命蓮寺にて...日が暮れる頃...私は何とか死地から命蓮寺へ戻ってくる。

 

「今日は疲れた...ご主人にさっさと宝塔を渡して休むとしよう...」

 

私はご主人の部屋へと向かい障子を開ける...

 

「おーい...ご主人...探してきた...ぞ?」

 

「ごめんなさーい!!!」

 

「...ふふふ」

 

私の眼前に映るのは...土下座しているご主人と何故か帰ってきている聖の2名...聖は私に気づいて手招きをする。

 

「ナズーリン...こちらへどうぞ...宝塔探しご苦労様です...」

 

「...」

 

バレているのか...ご主人は慈悲を!と言いたげな目で私を見つめているが、聖にバレてしまった以上、洗いざらい話すしかないみたいだ...

 

「ああ...聖...全て話すよ...だから私の説法は勘弁してくれ...」

 

...私は聖に今までの事を全て白状する。今までの紛失回数によりご主人が説法を受けるのは言うまでもない...

 

...ただ...本日の大神家で起きた3件の事故は、私の心の中にしまっておこう。

 

 

 

 




日常編でした

そろそろ異変の前の話でもやっていきます

ではこれにて
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