穏やかな日差しが幻想郷を包み込む今日この頃...
人里から離れた雑貨屋こと、香霖堂に大神家の一人、大神潤香が来店する...香霖堂に預けた大切なモノを回収するために...
side潤香
「...おはようございます」
「ああ...おはよう...大神の」
店主である森近霖之助さんに挨拶をして、私はカウンターまで来る...修繕に出した私の預けたモノを回収するために...
「前に頼んだ修繕は終わりましたか?」
「...あれのことだね...一応...最善は尽くしたんだけど...」
霖之助さんは微妙な顔をする...何か嫌な予感がします...
「...まさか...直りませんでしたか?」
私の言葉に彼は、難しそうな顔をして風呂敷を出し、中からボロボロの状態のままの私のリボンが姿を見せる。
「...すまない...最善は尽くしたんだけど、生地自体が古い物でね...これ以上修繕するのは難しいんだ...」
「...分かりました...ありがとうございます」
大切にはしていたつもりですが、仕方のない事です...随分と昔の物ですからね...いつかはガタが来るのは覚悟していましたよ
「...お金は良いよ...君の大切なモノを直せなかったからね」
彼は済まなそうに首を振るが、私は彼の行動に同じく首を横に振る。
「いえ...形ある物はいつかは壊れますから...気にしないでください」
私はお金を払って、香霖堂を後にする。
人里...大神教会にて
教会に帰って来た私は、椅子に座って机に置いてあるリボンを眺める。
あの方から貰ったリボン...色はくすんでおり、所々焦げ跡もありますね...大切にしてきたのにショックです。
「形あるものは壊れる...形あるものは壊れる...」
...とりあえず言い聞かせないと、どうしようもありません...気持ちを立て直さないと!!こんなことで挫けていたら...来る時戦えませんから...私の最後の役目を果たさないと...死ぬに死に切れません!
「...ふぅ...とりあえずコーヒーでも飲んで落ち着き...」
ばごん!!!
「お邪魔娘々!!!」
突如の破砕音...教会の壁をぶち抜いて、怪しい仙人こと霍青娥が入ってくる...毎回思っている事なのですが、扉があるんですから扉から入ってもらいたいです...
「...壁を元通りにしてください」
「分かっているわよー!!」
青娥はしぶしぶと壁を元に戻して、私に近づいてくる。
「潤香~!今日は暇かしら?娘々と遊んでくれると嬉しいわー!」
「...そんな暇はありませんよ、貴方だって忙しいはずです」
「つれないわね!!...ん?」
青娥は机に置いてある私のリボンを見つめる...
「...前から思っていたけど昔からコレつけているわね?ここまで大事にするほどの物なのかしら?」
「...できる限る触れないでください...それは幾らお金をはたいても買えないものですからね」
「...あら?このボロき...リボンが?」
青娥はワザとらしく笑うが...それは今の私にとって、その発言は逆鱗になりかねませんね。
「今何を言いなおしました?私が怒る前に退出することをオススメしますよ...幾ら貴女でも...あの方の贈り物を貶す行為は...許せません!!」
「...あらら...地雷を踏みぬいたみたいね...じゃあ要件だけ伝えとくわ」
「要件?」
私が聞き返すと、青娥が私から距離を取って笑みを浮かべながら口を開く...
「そろそろ...あのお方達の復活の時よ...貴方には準備をしてもらわないとね...」
「...来ましたか」
とうとう...この時が来ましたか...私の予想通り、命蓮寺が大霊廟の上に出来たことにより復活が早まりましたか...予想はしていましたが、やはり確定したとなると嬉しい事です...
「なら...貴女はここで油を売っていていいのですか?少なくとも復活の用意をしている頃だと思いますがね?」
「そこのところぬかりないわよ...準備は出来ているわ...残りは貴女の気持ち次第なのよね!」
青娥は胸を張って返答する。自分の仕事は終えているか...準備だけは良いみたいですね...
「では...残りは私の事だけですか」
「ええ...貴女の方は策は出来ているかしら?異変解決組の対策と貴女の家族の対策は?」
対策ですか?不確定要素の異変解決組の事はともかく、当日来るであろう私の家族の事は既に終えています...当日のシナリオも組んでありますし、私の方もぬかりはない...
「...1400年待ったことです...私の家族の対策は出来ているに決まっているでしょう?」
「へぇ?まぁ予測はしていたけど...異変解決組は?私は出来る限り戦闘は避けたいのだけど...」
「...それは私がやりますよ...本気を出せば制圧は容易いでしょうね」
異変解決組ですか...博麗霊夢・霧雨魔理沙の2名は確定でしょうね...他に誰かが来そうですが、この2名を気を付ければ問題はないはず...
「ふふふ!頼もしいわ!あ!そうだ...」
青娥は私に近づいて抱きしめる?
「な?何です!?青娥?」
「もう一つの要件をやっておこうと思って~♪誰も遊んでくれないんですもの!ふふ!良い匂い~♪」
青娥は、私の胸に顔を押し当てている...何でしょう...嫌な予感が...
「遊ぶって...何をです?ブラシはしませんよ!!」
ブラシはダメです...前回遊ばれて、地霊殿ではトラウマになって...ブラシはロクなものではないです。
「違うわよ♪命蓮寺の住職とやったことですよ!」
...は?何でそこで白蓮様が出てくるんです?
「な...何を言って」
「隠さなくてもいいわ!2人仲良くイチャイチャしていたじゃないの!!」
何故その事を知っている?...あ...あれは事故に近い何かだというのに!!!カマをかけているに決まっている...
「何の事か...さっぱりです」
「何よ!大人しく百合百合していたじゃない!見ている方としてはもどかしかったですわ!」
見ている方って...この邪仙!!まさか覗き見していたの!?全て...全部を!?
「な...ななな...」
「それに私は前にも言いましたが可愛い子が大好きなのです!」
青娥の手が私の胸に伸び、ブラウスのボタンを外していく!!
「ここは神聖な場です!!こんなことをしている暇があれば!あの方達の復活に力を!!」
青娥を突き飛ばそうとしますが、彼女はしっかり私を掴んでおり放そうとしない!!
「背徳感あっていいと思いますわ♪娘々の遊びは少し荒っぽいですからね...ふふふ!」
「んっ!?」
青娥は私の胸の傷を舐めている!...完全に本気だ...完全に屠自古の二の舞になってしまう!!!
「駄目ですよ!!」
「あの住職が良くて何で娘々がダメなんですか!!?いいじゃない!2回目なんだし!!」
...2回目?2回目ってどういうこと?私には覚えが全くない!!
「あの?青娥さん?2回目とは?」
「ん?ええ...前に貴女の神社へ行った時を覚えてますか?半獣の姿で寝ている貴女にムラっと来たので~その時に...」
...不眠症治療の時です!!!あの時、確かに青娥は私の部屋に来た!!まさかあの時に!!私が寝てしまった後!?
「な...何てこと...」
「というわけです♪じゃあ!いただきにゃんにゃん!!」
2時間後...
「お邪魔娘々♪」
ツヤツヤになった青娥は教会の壁を破壊して教会を後にする...あの邪仙...やりたい放題して...よくもこんな...
「はぁ...はぁ...あの邪仙...覚えてなさい!」
私は服を着直して彼女が明けた壁の穴を氷結させて塞ぐ...修理は明日でいいでしょう...もうやる気が起きません...
「う...」
服の匂いを嗅ぐと、私に似つかわしくない甘い匂いがする...青娥の香水の香りが移ってしまいましたか...
「それにしても...2回目とは...気づかなかった私が滑稽です...」
今日は色々とショックな出来事が多すぎた...厄日です...さっさと帰って布団の中で夜を過ごしましょう...
私はリボンを持って教会を後にする。
大神神社...
神社へ戻り部屋へと続く廊下を歩いていると、華楠お姉様と鉢合わせする...
「潤香...丁度良い所に」
「はい?何です?」
華楠お姉様は赤い十字が入った袋を私に渡す。
「お前の睡眠薬だ...寝る前に飲んでおけよ」
「ありがとうございます」
ああ...前に頼んだアレですね...今日はこれを飲んで眠りたい気分です...本当に...
「かなり強い物だから...量は気をつけてくれ...ん?」
華楠お姉様は私に顔を近づける?
「な...何です?」
「...香水変えたか?お前らしくない匂いだが?」
「!!?...使うものを間違えてしまいましてね...お風呂行ってきます!!」
私は華楠お姉様と別れてお風呂場へ直行する!!
「うう...もう!!」
服を脱いで裸になると、ふと鏡が目に映る...いつもなら直視はしませんが...今日は!?
「...あ...あら?」
鏡に映っている者は、いつも通りの私...+胸の傷周辺に多数つけられている...紅いアザ!!!
「青娥ー!!!よくもこんなー!!!!」
私の拳が鏡を破壊する...
その頃大霊廟にて...
大霊廟に戻って来た青娥は、自らの僕であるキョンシーである宮古芳香に干し肉をあげていた...
「芳香ちゃーん!!ご飯よー!!」
「おおう!!せーが!!...ん?」
「どうしたのよ?」
「いや...何か機嫌が良いみたいだな!」
「うふふ!!気の所為よー///」
芳香の言葉に彼女は顔を赤くして干し肉を遠くに投げる。
蘇我屠自古がその方向にいるとも知らずに...
「へぶ!!!」
干し肉は屠自古の顔に放たれ、その光景を見て青娥の顔が赤から青へと色を変える...
「あ...と...屠自古さん!?」
「...おい...青娥...何かの嫌がらせか...オイ!」
体から電撃を奔らせながら近づく屠自古に青娥は後退する...
「わ...わざとじゃないんです!!よ...芳香ちゃん!!娘々を助け...」
「じゃあ~これ貰ってくからー!じゃあな青娥ー!!」
青娥は芳香に助けを求めるが、芳香は干し肉を咥えてピョンピョンと外へと出て行ってしまう...
「NOOOO!!!芳香ー!!!」
「一回は一回だ!!色ボケ仙人がー!!!」
そして...霊廟の内部にて大きな雷が落ちる...
翌日...青ニャンが黒にゃんになって潤香に発見されることは、また別のお話...
軽い次回の導入編でした
ではこれにて