厳しい極寒の冬を越え、春を迎える幻想郷の空の下...大神潤香は霍青娥と共にある場所に向かっていた...
「...潤香!ファイトよ!!準備は整ったわ!」
「...最初に聞いておきますが...ドッキリではないですよね?」
青娥の言葉に潤香は半信半疑で大霊廟へ続く洞窟へと入る...
side潤香
「だけど...とうとうか...」
大霊廟へ続く道を歩みながら、今までの事を思い出す...
色々あったが、遂にこの時が来た...内心嬉しいような...寂しいような気分です...あの方達の復活は嬉しいですが、これが終わったら私の役目も終わりですからね...
「随分と浮かない顔ね?」
青娥が私の顔を覗き込む...おっと...少しボーっとしていましたかね?
「...いえ?貴女の気のせいでしょう?」
青娥の返答し、大霊廟へ向かう...
光り輝く大霊廟の前には嬉しそうな顔しながら飛び回っている蘇我屠自古がいた...
「おーい!!潤香!!これを見ろ!!!とうとうあの方の復活の時が来たぞ!!」
「...ええ...そのようで」
私は大霊廟を見上げる...
...霊廟からは霊たちが現れたり消えたりを繰り返している...通常なら、この状態はあり得ないことなのかもしれません...
この状態は、あの方の力によるものかもしれませんね...
「あの方達も復活できますし...ここも賑やかになりますね...」
「太子様はともかく...あいつが復活するのはアタシは嫌だ...」
屠自古は嫌悪に満ちた顔をする...
「仲間でしょう?仲良くしませんと...」
「アタシの足がこうなったのもアイツの所為だろうが!!100歩譲って殺すのはやめておくして...せめて最低でも電気ショックでも浴びせたいわ!!」
...100歩譲って?...少し不吉な言葉が聞こえた気がしますが、私の気の所為でしょう...
しかし...昔から仲が悪いですね...今後の事は任せるというのに...不安です
「でも素晴らしいことです...これであの方が天を統べることができます...これで私の役目も終わりですね」
「いや...そんな寂しい事いうなよ」
屠自古からは悲しそうな言葉が紡がれる...
「...?...寂しいも何もないでしょう...私の役目はここまでのはずし...私の方は気持ちの整理は出来ています」
「そういう問題ではないんだよ!!!あの方の気持ちはどうするんだよ!!?復活したら!!お前を探すって言っていたぞ!!」
「!?」
...あの方が私を!?...そんなはずはない...だって...あの時...
「それでも私はあの方を怖がらせた...それに私のような者がお傍にいたら...民を導くあの方の沽券にかかわりますからね」
「だから!!!そういう意味じゃ!!!」
「ほらほら!!喧嘩も暗いお話はここまでよ!!!それにまだ完璧に準備が整っていないじゃないですか!」
青娥が私達の肩を叩く...
「準備?まだ何かあるのか?」
「もう!屠自古さん!!このまま時が過ぎれば、確かにあの方達は復活しますが!それを妨害されたら水の泡です!!私達はこの状態をキープする必要があるのですよ!」
「妨害...まぁ...今回の事は異変に認識されるのがオチですね...博麗の巫女その他もろもろが来てもおかしくはないでしょう...」
「うう...まだ安心できねぇのかよ...」
屠自古がしょんぼりしていますが...そんな最悪なことは私がさせません...
「それに、その他もろもろの人は潤香!貴女の家族も入るのですよ!そこの所の対策はできているのでしょうね?」
青娥の言う通り、私の家族の誰か1人が異変に来てもおかしくはない...幾ら家族とは言えども私が相手するとなると手に余ります...
「出来ていますよ...そこの所は心配なく」
「...信じているわよ...貴女の家族に来られると面倒なことになるのですから...」
「はいはい...とりあえず...夜にまた来ますよ...今夜確実に異変として認識されてもおかしくはないですからね」
私は大霊廟を後にする...
時過ぎて...19:00
幻想郷の端にある神社こと、大神神社では家族全員が居間に集まって夕食の準備を行っていた...
大神家の当主である暦は全員を見回す...
「家族全員が揃うのも珍しいわね」
「確かに...境奈や銖理が外で食べてくる事が多いからな」
「偶には家で食べたくなるのよ♪」
「銖理も同感ッス!!」
「はいはい...鍋通るよー!!」
煌炉が鍋をちゃぶ台の上に置き、家族全員がそれを囲み...台所から出てきた潤香はエプロンを畳みながら皆をジッと見つめている...
「潤香?食べるよ?」
「ええ...まぁ...はい...」
「?...食欲でもないのか?」
華楠は潤香を心配そうに見つめるが、彼女は首を横に振る。
「いえ...少しボーっとしていただけです...これをしまってくるので先に食べててくださいな」
潤香はエプロンを片づけに居間を抜ける...
「何か今日は元気ないな...潤香」
「気のせいでしょうー!?早く食べるわよ!!」
「鍋が冷めてしまうッス!!」
「「「「「いただきまーす」」」」」
潤香の事を気にせずに他の家族は鍋をつつく...
side潤香
「...ふふふ」
「ぐぅ...」
「むにゃ...」
「すー...すー...」
「zzzzz...」
居間に戻ると泥のように眠りについている家族たちがいる...上手い具合に成功しましたね
「...相当強いのでしょうか?コレ」
私はジャケットから普段愛用している睡眠薬を取り出す...
華楠お姉様が作った物ですが...作った本人までが眠りに落ちるとは...私の睡眠障害は...かなりのところまで来ているみたいですね...もっともその生活も今夜で終わりですがね...
ですが...これで私の準備は完了です...残りは異変に着手するだけです...博麗の巫女だろうが...その他もろもろだろうが...私が本気を出せば問題はない...
「それに...」
私はジャケットのポケットにあるものを忍ばせる...念には念をです...保険は幾つあってもいいでしょうね...
「さてと...家族をこのままにしておくのもアレですし...せめて布団に...あら!!?」
「ぐぅ...」華楠
「むにゃ...」境奈
「すー...すー...」煌炉
「zzzzz...」銖理
...あ...あれ?数が合わない?お姉様達は眠りについているけど...お母様がいない!!
「成程ね...お鍋の中に睡眠薬を入れていたのね...通りで様子がおかしかったわけね...」
「!?」
後ろを振り向くとお母様が微笑みながら私を見つめていた...
「まさかお母様が生き残るなんて...」
「偶々トイレに行っただけだよ、私は運だけはいいからね...」
お母様は肩を竦める...ぐ...何て言う誤算...一番止めておきたかったヒトが起きている何て!!
「何?...何かやるつもり?」
「...」
「成程ね...かなり前から色々といない時があったけど...今回の事に関係でもしているのでしょう?」
「...お見通しですか...ですが...貴女とはいえ!今回の異変は参加させません!!」
左腕を氷結させお母様に向けるが、彼女は驚くだけ...
「おっと!!参加はしないよ!!頑張ってきなよ!」
「...は?」
...予想外の言葉に私は能力を解く...参加しない?
「見逃してくれるのですか?」
「うん!!娘の頑張りは遠くで見ていたいんだ!私は貴女の母親だもの!娘の頑張りを無碍にはしたくないんだよね」
正直...助かりました...流石の私でもお母様の相手は手に余りまくります...余計な力を使わずに済みますね
「...感謝します」
「礼を言う必要はないよ...娘の中で唯一控えめな貴女の願いだものね...私の勘だけど...今回の事は1400年前の事かしら?」
...流石の洞察力...やはりお母様には一生勝てませんね...
「...そんなところです」
「なら!早く行きなよ!!潤香!後悔のないようにね!!ここで貴女の幸運を見守っているわ!」
お母様はそれを言うと、眠っている華楠お姉様を背負って居間を出る...
「...ありがとう...お母様」
私も今から出て神社の入口へ向かう...
1000年以上前から続く今回の異変...何としても成功させないといけません...
全ては民を導く、あの方の明るい未来の礎として、元従者である私が何としてでも...
「...始めます...太子様」
次回異変
ではこれにて