濃い霧が充満し氷結したフィールドで博麗霊夢一行は、目の前の霧を緊張の面持ちで見つめている...
濃厚な妖気を発する目の前の霧からは大神家の一人である、大神潤香の完全体がその奥にあった...
目の前の霧が晴れていき、彼女の本気の姿が露わとなる...
side霊夢
「...これがアンタの本気なのね」
目の前の霧が晴れ彼女の本気の姿が露わになる...
目の前には6メートルはある巨大な黒い妖狐がいた...
体表は水のように滑らかでツルツルであり、獣らしいモフモフした様な毛並みではないことが分かる...所々氷結しているおり、顔の部分には金色の灯りが鈍く光っていた...
「お...おい...華楠の奴よりもデカいじゃないか!!!」
「同じく...銖理さんよりもです...」
魔理沙・妖夢が驚きの表情を浮かべている...
確かに大きいわね...この目で大神家の者達の本気の姿を全員は見たことが無いけど、一番大きいわね...
これが彼女の本気...これは骨が折れるわね...
「...はぁ~」
突如潤香の方から大きな溜息が響き渡る...響いたような声だけど、この声は彼女の声ね...
「ど...どうしました?潤香さん?」
早苗が心配そうに尋ねるが潤香は顔を曇らせながら、再度溜息をつく...溜息からは冷気が流れており、彼女の口元の部分が氷結する...
「はぁ...やはり...驚きますよね?姉妹の中で一番大きな体躯ですから...年々年々大きくなった結果です...あのお方に仕えている時は煌炉お姉様よりも小さかったのに...」
彼女がガクッと頭を下ろす...
何というか...一気にマイナスオーラが溢れてきているわ...何か気温がドンドン下がっている気がする...
「...はぁ...とりあえず貴女方全員を捕縛でもしましょうか...やる分には困りませんし...」
彼女は9本の尾を飛ばす!!!液体状の尾は、伸縮しながらグネグネとこっちへ向かってくる!!
「来るわ!」
「私には通用しませんよ!」
早苗が飛んでくる潤香の尾を割るが、尾はすぐに再生してしまう...
「...無駄です...私の尾を割っても手数が上ですからね...」
尾は再度私達の方へ向かう!!早苗の技が通用しなくなっている!このままではジリ貧に!
「じゃあ!私の技は聞くよな?」
魔理沙が早苗の前に立ち八卦炉を潤香に向ける!
「こんどは貴女ですか...」
「紅魔館の異変の時はお前が退いたから決着はまだだけどよ...私の魔法なら聞くだろう!」
魔理沙は潤香に向けてマスタースパークを放つ!!極大の光線は彼女の巨体を呑み込むが、すぐに光線から彼女が出てくる!
「くっ...」
潤香の体は液状の体が蒸発してしまったのか所々消滅している!尾も何本か欠けているし魔理沙の魔法が効いているわ!
「どうだ!流石にも聞いただろう!」
「...ふふ」
魔理沙の言葉に潤香は笑みを浮かべている...
「...効いた割には余裕そうね」
「ふふ...失礼...確かに、この体には有効みたいですね...ですが...私の最高硬度はこんなものではない!!最高硬度(ブラック・ダイアモンド・ボディ!)」
潤香の体に妖気が集まると、彼女の体が氷結していき、全身がダイアモンドに覆われたようになり、尾も先程とは違い、刺々しく変化する...
「アンタの本気かしら?早くも出すなんて...余裕がないのかしら?」
「...貴女方4人を相手にするとなると仕方のないことです...私もこの姿に慣れていないのもありますが...これで私に傷をつけることは不可能になったというものです」
「やってみないと分からないだろ!」
魔理沙は再度マスタースパークを放つ...潤香はそれを避けようともせずにそれを食らう...
「...!?」
マスタースパークが消えた後、無傷の状態の潤香がいた...ヒビも焦げもない姿...ダメージらしきものが一切ない!!彼女は目を開けた笑い声をあげる...
「ですから...効かないと言ったはずですよ?この状態の私の姿は最高硬度...お母様の攻撃も通らなかった完璧な鎧というものです...貴女方が束になって私を攻撃しても一切が無力になるということですよ...」
「暦の力が通らない?」
「ええ...以前本気の姿の時にお相手した時に少々おいたが過ぎましたのでね...池に放り込んで氷結した次第です...まぁ...あの時は運が良かったですよ...今ではどうなるか分かりませんがね...」
母親である暦の攻撃が通らない何て...実質無敵に近い状態じゃないの!!
「お...おい...幾ら何でも反則だろ!?」
「...私の剣で切れるかどうかも分かりませんね」
魔理沙たちは苦い顔をする...私もどうしたらいいか分からないわね...
実質無敵...攻撃が通らなければ意味がないわ...
「さて...そろそろ動きますかね...」
潤香は口を開けて氷弾を私達に向けて放つ!!
「くっ!!!」
私は結界でそれを防ぐが他の皆は逃げ惑っている...
「おい!嘘だろ!何とかしろ霊夢ー!!」
「この氷弾も切ることができないです!!銖理さんより硬い!」
「割れませーん!!!」
...だらしがないわね!!!私だけでも対抗しないと、この異変は終わるわ!!
「神霊(夢想封印)」
私は潤香が撃つ氷弾に向けて光弾を放つ!!...壊すことが出来なくても弾き飛ばすことができるわ...
潤香が放った氷弾は彼女の元へと弾いておいた...氷弾は彼女の硬い装甲をカンカンと音を鳴らしながら砕けて消滅する...
「...何です?小賢しいマネを」
彼女は鬱陶しいそうに首を振る...流石にも効果が薄いわね...
「これはどうです?」
ブン!!!
彼女は黒いをこちらへ放つ!!!九本の尾が正確に私達を軽く薙ぎ払う!!!
「ぐえええ!!」
「きゃあああ!!」
「いやああ!!!」
「くぅぅ!!!」
何とか体勢を立て直すけど...力が入ってなくて助かったけど...きつい攻撃だわ...
「やっと...当たってくれましたか...全く目で追うのがやっとですよ...こっちだって貴女達みたく若くはないんです...動かなければ楽にやりますから...さっさと倒れて下さい」
...潤香は小言のようなことを呟く...口調にドンドン怒気のような物が含まれて来ているわね...
いつもの彼女らしくないわ...自分の本気の姿を私達に見せてイライラが溜まって来たのかしら?
「霊夢さーん!!本当に倒せるんですかー?」
早苗が泣きついてくる...
「泣く前に考えなさい!完璧何てことはないわ!アンタの奇跡を見せなさいよ!」
「だって!!私の奇跡も魔理沙さんの魔法も妖夢さんの剣術も効かないんですよ?それどころか、潤香さんが吐く氷弾だって本体と同様の硬さを持っていますし!」
「...いや...待って」
...確かに完璧何て言葉はないわ...潤香の体も実際は無敵に見えるけど...
「...!」
...これは予想だけど、潤香の奴も自分の体がどこまで硬いかまで理解していないんじゃないかしら?
この姿を嫌がって緊急の時にしか完全体にはならないみたいだし...深い理解まではしていないはず...
それに...
「壊れない物はないわ!!」
私は後ろで諦めムードになっている魔理沙・妖夢・早苗の方を向く...
「いやいや!!無理があるだろ!!」
「壊れませんもん!!」
「どうやってあの守りを崩すんですか!!!」
彼女達から不平不満が飛ぶが、それは一切聞かないわ!!
「潤香の守りにも欠点があるわ!私に考えがあるの!!」
「考え?それは?」
魔理沙が尋ねるが、言う訳にはいかないわ...万が一潤香に聞かれて対策を打たれたら、どうすることもできなくなるわ...
「悪いけど...内容は話せないわ...でも私を信じて彼女を攻撃して!!」
「...分かったよ...その代わりキチンと決めろよ?」
魔理沙は潤香へと向かう...
「魔理沙さん!?」
「アンタ達も潤香に攻撃!!良いわね!!」
「は...はい!!」
「...分かりました!」
早苗・妖夢も魔理沙に続く...
「正面突破ですか?」
潤香は彼女達を待ち受けて、尾を放つ!魔理沙はそれを掻い潜り潤香に光弾を放つ!
「とりあえず!破れかぶれだ!!!」
魔理沙の放った光弾は潤香の体に着弾する...相変わらず傷一つも焦げも見当たらないけどね...
「何かしましたか?」
「何か不安になって来たな...」
潤香は丸で堪えていない...
「次は私ですよ!!」
今度は早苗が飛び出しレーザーを放つ!彼女が放ったレーザーも潤香の体に傷一つつけることが出来ない...
「それで?」
「うう...」
さっきと同じ反応だわ...でもこれで良い!!微々たるものでも!傷をつけるきっかけになるなら!!
「いざ...」
妖夢が潤香へと接近し切りかかる!!金属音が夜の景色に響き渡る...
「...鬱陶しいですね」
「...未熟なんですかね」
妖夢の攻撃を受けて潤香もイライラが募って来たのか口を開ける...
「これ以上の事は無駄ということを教えてあげましょう!」
潤香は黒い氷弾を彼女達に飛ばす!!
それを待っていたわ!!!
「二重結界!!」
私は魔理沙達に結界を張り、氷弾からの攻撃を防ぐ!そして防いだ氷弾は跳ね返り彼女の下へと戻っていく...
「おやおや...弾かれましたか...なら今度は弾かれない程度に...」
バキ!!!
多数の氷弾は彼女の体に当たる...
ピシ...
そして黒い氷弾が当たった潤香の体にヒビが入る!!それを見た彼女は動きを止める!
「な...何で私の体にヒビが!!!」
潤香はヒビの入った体を見て悲鳴を上げている...やっぱり限界を理解していなかったみたいね...
「アンタは自分の体について理解が足りなかったのよ!」
「...な...何を言って...わた...くしが?」
「それはそうよ!自分の硬度と同じ氷弾が直撃すればアンタの体だって傷はつくわ!!それに魔理沙たちの攻撃を受けて少しずつ疲弊していた体に気付かなかったのがアンタの敗因よ...」
さっき弾いた氷弾は、潤香の体に当たって砕けて消滅した...同じ性質の硬度ならば、潤香の体に傷をつけることが出来るわ...勘だったけどうまくいったわ!
それに壊れない物はない...鉄だっていつかは金属疲労を起こして砕ける...彼女の体だって同じことよ...魔理沙たちのしたことも無駄ではないわ...
「負け?...ま...待って!!!そ...そんなこと許されるはずがないわ!!!」
少しずつヒビが広がっていく体を無視して潤香が叫ぶ...いつもの余裕が吹き飛んだみたいね...
「許すも何も...アンタの負けよ!」
「...こんなのわたくしは!!認めない!!!今までの待った...1400年の時が泡沫になるなんて認めない!!!」
...1400年...どんなに待ったか分からないわ...でもこのままにすることは出来ないわ...理由がどうであれ、博麗の巫女として黙認することはできないわ...
私は潤香と向き合う...
「大丈夫よ...アンタの主は復活したら...私が成敗しとくから」
「あの方に手を出すな!!巫女ー!!」
潤香は遠吠えのような叫び声をあげて、完全体から半獣の姿に戻る...傷だらけの体であり、いつもの眠たげな金色の双眼は鋭くなって私を睨みつけている...こんな目ができたのね...
「まだ...戦えるのかしら?」
「...せめて...貴女だけは私の手で止める!!!」
潤香は腕を氷結させて私に飛びかかる...
「霊夢!!」
魔理沙の声が聞こえるけど、意味がないわ...今の彼女は完全に無防備だもの...
「悪いわね...」
私は彼女へ向けて光弾を放つ...光弾は潤香の胸へと着弾し、彼女は吹き飛ぶ...
「...無力な...潤香をお許し下さい...み...神子様...」
潤香はそのまま消える...何か言っていたみたいだけど、今はそれどころではないわ...
彼女がいなくなったお陰で辺りを覆っていた氷の結界も消滅する...
「さて...黒幕のところまで行くわよ...」
「...これでいいのか?あいつかなり重傷だったけど?」
魔理沙が私に言うが、どうしろというの?
「...あの子だって大神の一員でしょ?あれくらいだったら大丈夫よ...」
「お医者さんの華楠さんもいますし...大丈夫なはずです!」
「では急ぎましょう!少し時間をかけ過ぎましたから!潤香さんが言っていた人が復活してしまうかも!」
「急がなくてもいいわ...」
「何で??」
妖夢が急かすけど、急ぐ必要はないわ...潤香の奴に免じて復活だけは目を瞑ってあげるわ...
その代わり...私に嫌な思いさせたことについては後々報いを受けてもらうけどね...
私達は先へ進む...この先にいるのよね?
「...げほ!!!!」
命蓮寺近くの森にて、傷だらけの大神潤香は一歩一歩と千鳥足で大神神社へと帰還していた...
本気の姿を使ったため妖力も尽きており、重傷である彼女にとって既に限界を迎えているはずだ...
「これで...私の役目は終わりです...もう...何も...」
自嘲染みた笑みを浮かべた彼女は、小石につまずいて盛大に転ぶ...
「...」
立つ気力もないのか、彼女は動きを止める...
「大丈夫ですか?潤香?」
「...?」
彼女が顔を上げると、そこには命蓮寺の僧こと、聖白蓮の姿があった...
白蓮は潤香にそっと手を差し伸べている...
「白蓮様?どうして?」
「...よく頑張りましたね...もう我慢しなくていいのですよ?」
「何故...私に手を差し伸べるのです!私は貴女の門下を傷つけたのですよ!?」
「確かにそうですが...貴女も私の大切な弟子です...倒れていたら手を差し伸べるのは当然です」
白蓮は潤香を起こし、彼女に肩を貸す...
「...このまま自宅へと送りますよ」
「...白蓮っ...さ...まっ!」
俯いて震えている潤香に白蓮はそっと頭を撫でる...
「...今は自分の体を治すことだけを考えなさい...大丈夫です...貴女が目覚める頃には良い光景が広がっているはずです」
白蓮は潤香と共に大神神社へと向かう...
中程まで終了した今回の異変...この結末がどうなるか...誰にも分からない...
戦闘難しいな...
ではこれにて