宗教戦争の予兆
幻想郷のとある日の昼頃...
幻想郷の人里にある甘味処には、大神暦・大神銖理・大神潤香の3名がお茶をしながら世間話に花を咲かせていた...
いつものほのぼのとした光景...だが異変のトリガーは無慈悲にも引かれてしまう...
side暦
「幻想郷もかなり人が増えたね!このまま面白くなってくれるとありがたいけど!」
潤香はコーヒーを啜りながら、笑みを浮かべている...
「確かに...神子様・白蓮様が復活した今...色々と忙しいですよ...道教と仏教...宗教の派閥が出てきましたね...」
「それだけでは無いッスよね?うちの大神教も合わせれば3竦みになるッス!」
「3どころではないよ...神奈子の所を合わせれば4だよね?...宗教カルテッドだよ」
...人が増えるのは構わないけど、宗教が増えると色々と問題が起こるかもしれないよね?
外では宗教の違いで争いになった件もある...別に殺し合いという訳ではないけど...それが異変になりかねない...
潤香は私の言葉に顔を曇らせる...
「別に...私達の方は関係のないことでしょう?そこまで...信者は必要ありませんし?」
「いやいや...自分の仕事はするべきッスよ...大神家で母さんを宣伝する担当は銖理と潤香の役目じゃないッスか!」
消極的な潤香に銖理が反論する...
確かに...私は神だから信仰はある程度必要かもしれない、前から銖理と潤香に大神の事をある程度強めに広めてもらっている...
潤香の教会・銖理のライブ会場の2つに私の黄金の像が置かせてもらっているけど...正直意味があるのか分からない...
集計の結果...少しの信者はいるみたいだけど...正直自分の力になっているのか微妙な所ね?神奈子の奴は(それは継続しておいた方が身のためだ)とか言っていたけど...
「まぁ...2人には感謝しているよ...」
「...私の役目ですし...別に...」
「銖理はライブを楽しめれば充分っス!」
2名は何事もないかのように、飲み物を啜る...
まぁ...宗教ね...うちは当たりさわり無いように動けば別に問題はないかな?ゆるーくやっていければそれで...
私は新聞を手に取り、一面を見る...
いつもの文文。新聞の内容と思っていたけど、今日は違った...
突然起こった人気取り争い!!宗教戦争か!?
...という一面記事が目に映る?
...何か嫌な予感がするけど?
「何ですか?何か悪いニュースでも?」
「...うん...今話していたことについて」
「ん?どういうことッスか?」
私は銖理と潤香に新聞を見せる...
新聞の一面には、見知った顔の少女達が戦っている姿だ...人気の取り合いとは何だろうか?
新聞の文面を見た彼女達は、顔を渋くさせる...
「何ですかこれは...」
「人気取り?何の話ッスか?」
「さぁ...今回はゆっくりしたいし...」
私は外を見る...
...ドンパチとした騒音などは特にはないけど、何か嫌な予感がする...長年の勘というべきかな?
「...そろそろお開きにしようか?今回位は平和に過ごしたいし」
「同感です...さて...」
潤香が席を立ち上がり、ジャケットのポケットに手を入れる...
「...あら?」
「ん?どした?」
銖理が潤香に尋ねるが、彼女は顔を青くする...
「...すみません...今日のお勘定はお支払い宜しいでしょうか?...財布を教会に忘れたみたいです...」
...何だそういうこと...別に構わないのに!
「別にいいよ!これ位は私が払うって!銖理の分も払うよ♪」
「さんきゅ!ッス!」
「ありがとうございます...」
銖理と潤香は私に一礼をする...
「では...私は教会に向かいますので...ここで...」
「銖理はライブなので!」
「うん!OK!」
彼女達は甘味処を後にする...
少し遅れて私も勘定を済ませて甘味処を後にする...
「今日は早く神社に引っ込みますかね?...何か嫌な予感がするし...」
私は真っすぐ大神神社へと向かう...
大神神社にて...
「ん~?今日は随分と曇ってるな...」
神社の大橋に着地して私は辺りを見回す...さっきまで晴れていたのに急に天気が変わったね?
「...」
やだなー...今日くらいはゆっくりしたかったのに...物事はうまくいかないものだね~
「隠れてないで出てきたら?私を相手に隠れん坊はおすすめしないよ?」
「...はぁ...やっぱり...潤香の奴の母親だけあるみたいね?」
灯篭の影から見知った顔が姿を現す...
青い髪に僧侶のような服を身に着けた少女...雲居一輪が姿を現す...
「...白蓮のところの子じゃない?何かよう?」
「狡猾なアンタのことだ...私の用には気づいているんじゃないの?」
一輪は輪っかを私に向ける...
「私は今回に限ってはゆっくりしたいのよね?」
「悪いけどそうもいかないのよ!姐さんの為!人気取りの為!アンタ達大神にも念のため退場してもらいたいのよ!」
平和的解決は無理に近いか...人気取りね...あの新聞に書いてあったことには間違いはなかったみたいね...
「人気取りね...何が良いんだか...」
「他にも参戦者はいるのよ!他のに先を越される訳にはいかないわ!」
「う~...メンドイな...」
私はゲノムチェーンを体に刺して、体を退化させる...
一輪はこういう殴り合いには長けている部類だ...なら...私の体もそれようにしないとね...
身長が伸び、髪が白くなり...私の尻に4本の尾が生えて天狐の姿へと変化する...
「うーん!...なら相手してあげる...その代わり...負けても文句言わないでよ?」
「文句は言わないさ!他教には絶対に負けるはずはないからさ!」
一輪は雲山を呼び出して、私へと駆ける...
ああ...この状況だと...潤香と銖理が心配かも...
人知れず神社にて異教徒同士の戦いの火がつけられる...
一方その頃...人里大神教会にて
「...ああ...やはりここに置いたままでしたか」
教会の聖堂にて潤香は、自身の財布を手に取る...
「危ない危ない...それなりに入っていたから無くなったら大変ですし...さて...私も早く帰るとしますか...」
バン!!
私が立ち上がると、扉を開ける音が聖堂に響き渡り...私はその方向を見る...
「...な?」
「失礼するよ!潤香!」
聖堂の入口には、神子様がいた...いつもの服装に紫色のマントをつけているようです...
何ですか、あの魔王のようなファッションは...イメージチェンジでもしようとしたのでしょうか?
「み...神子様?何か御用ですか?」
「ああ!君に少し用があってね!一つ質問したいことがあるのだけど...いいかな?」
「質問?出来る限りお答えはしますが...」
態々私に質問に来るとは...一体何の用でしょうか?出来る限り私も答えるようにしないと...
私が質問を待っていると、神子様が口を開く...
「...聞いた話だけど...君は姉君と共に人里で母親の信仰を集めているようだね?」
神子様は聖堂の奥にあるお母様の金色の像を指さす...
「...ええ...一応それが私の裏向きのお仕事になりますけど?」
「そうか...なら」
神子様は私に向けて笏を向ける...
「私と一戦!手合わせしてもらおうか!」
「...は?」
...私は耳が悪くなったのでしょうか?やはり年の所為ですね...いきなり物騒な事をこの方が言うはずがありません...
「んん?...すみません言っていることが聞こえなかったので...」
「...だから私と手合わせをしてもらうって!」
...やはり聞き間違えではなかったです...何でこういうことを言うのか何となく想像がつきますね...人気取りとか...さっきの新聞には書いてありましたし...
「...何故にです?」
「もちろん私の役目だからだ!民を導く為には私が民の希望となる必要がある!だから申し訳ないけど...私と一戦...」
「私の負けでいいですから...どうかお引き取りを...」
「潤香ー!!お願いだからー!!!」
神子様が私の服を掴み、懇願するように揺さぶる...
「...いや...貴女様の勝ちでいいですから...他の方へと...」
「いやいや!!そうではない!!民に私の勇士を見せないと駄目じゃないか!!これでは目立つことが!!」
...ああ...そのマントはそのために用意したのですね...
「いや...でも...」
「私は復活してまだ月日が浅いからまだぽっと出なんだ!!他の子達と比べて霞んでしまうんだ!!だから!」
...退いてはくれませんか...なら...
ガシャーン!!!
「失礼します!」
教会の窓を突き破り私は逃亡を図る!!理由がどうであれ流石にも神子様と戦うのは気が引けます...戦わずにして退くのがよいかと...
ガシャーン!!!
「逃がすかー!!!」
2枚目の窓が割れる音が響き、神子様が猛スピードで追いかけてくる!?速い...速すぎる!!
「捕まえた!!!」
「っ!!?」
教会の入り口まで逃げましたが、神子様に腕を掴まれる!
「ん?何だ?」
「潤香様と...誰だあれ?」
「まさかと思うけど...近頃の人気取りの件じゃないのか?」
神子様が大声で叫んだ為か...教会の近くに居た住民の方たちまで集まってくる!?
「あああ...人が集まってしまった...」
「これで八方塞がりだね...さあ!私と美しい闘いを始めようじゃないか!」
神子様が宝剣を抜き私へ向ける...その光景を見た住民の方々もヒートアップしていく!!
「いいぞ!!!いいぞー!!!」
「負けるな!潤香様!!」
「アンタ大神教の教祖だろ!逃げんなー!!」
ヤジなんでしょうか?少しブーイングも聞こえてきます...
「...最悪です」
私は両手を氷結させて戦闘態勢に入る...
「行くよ!潤香!」
「神子様...貴女は少しお痛が過ぎました...少しですが、お仕置きしてあげますね...」
教会前...宗教戦争が勃発する...
同時刻、銖理ライブ会場
side銖理
「Year!!銖理ファンクラブの皆ー!!乗ってるかい!?」
「「「Year-!」」」
ステージ上から観客席を見回すが、本日も満員!!
「銖理ー♪」
「今日も来たわー!!」
「狐さーん!!」
「フンフーン♪」
見知った顔もライブに来てくれているし!!感激ッス!!
エレキギターを掻きならし、今日も果てるまで...
「失礼しますね!」
ズドーン!!!
轟音と共に上空からステージに着地する者が現れ、私は演奏を止める...
ステージには砂煙が立ち込め、観客からの声援もピタリと止まる...
「...え!?」
「この前ぶりですね...銖理さん」
砂煙が晴れ、その者は編み笠を取り、長い茶と紫色の長い髪を振る...命蓮寺の住職...聖白蓮が姿を現す...
「白蓮...何でここに...何でこのタイミング!?」
「...荒れた幻想郷を鎮めるため...本日はここに来ました...実にここは騒音で実に迷惑であるので!!...ついでに布教も少々...」
「前者は兎も角、狙いは後者だよね!?つまり布教に来たってことっスよね?あの新聞に書いてあった人気取りの事っスよね!?」
いきなり空から降って来て布教を開始するなんて...ライブジャックにも程がある!!!ああ!!もう!!ライブが滅茶苦茶...
「!?白蓮様だ!!何でこの方がここに!!?」
「うぉぉ!!!白蓮様ー!!布教してくれ!!」
「白蓮様ー!御経教えてくださーい!!!!」
何故か...観客席からはブーイングではなく、歓喜の声!?
「何で!?」
「皆さまー!命蓮寺を宜しくお願いしますー!」
「「「うおおおお!!!!」」」
白蓮の言葉にステージに歓声が響く...
最悪だ...ライブを滅茶苦茶にされたあげく...私のファンに布教まで!!許さん白蓮...マジ許さん!!!
「フリーズ!!!!」
ぎゅいいいいん!!!...ドドドドドドドドド!!!
私はエレキギターを武器モードにしギターの弦を掻き鳴らすと、ギターからはマシンガンの如く弾が発射され、ステージに威嚇射撃をする...
「ふむ...銖理さんもスイッチが入ったみたいですね...怒ったときの潤香とそっくりです」
「人に喧嘩売っておいて...よくそんなセリフをぬけぬけと...良いよ!!私もその人気取り参戦するよ!!BYaaaaaaaaaa!!!」
私が叫ぶと更に会場がヒートアップする
「おお!!銖理ちゃんが怒った!!」
「いけいけー!!負けるなー!!」
「負けたらお仕置きよー!!」
応援してくれるファンの為にも私は負けるわけにはいかない!!
「行きますよ...銖理さん」
「来い...白蓮!!」
ステージ上の宗教戦争が開幕する...
久々の投稿です...
年末・年始忙しいです...
ではこれにて