大神神社での戦いの幕が引かれた頃...人里の大神教会前では大神潤香と豊聡耳神子の戦いが繰り広げられていた...
「ほら!ほら!止まっていると当たりますよ!神子様!!」
「ちょ!待って!潤香!!いやあー!!!」
潤香の放った水柱に吹き飛ばされる神子...戦いは一方的になっているようだ...
side神子
「ぐほぉ!!?」
潤香の水柱攻撃により、私は地に伏す...
...あれ?おかしいな?潤香の奴思ったより強い?大人しい子だと思っていたけど攻撃が容赦ない...苛烈過ぎる?
「次行ってもよいですか?」
「げほ!!待って!タンマ!!」
次の行動に移ろうとしている彼女を私は止める!!潤香の奴!本気で私を潰そうとしている!!
「もう終わりですか?貴女が私と手合わせしたいと言ったじゃないですか?」
潤香は大きな水球を手の中で転がしている...言葉の端々に棘のようなものを感じる...今にも私にぶつけてきそうだ!!
そんな馬鹿な!私の潤香がまさかのヴァイオレンス系だなんて!!!
「あの?潤香?まさか怒ってる?」
彼女に念のため確認するが、彼女は笑みを浮かべたまま口を開く...
「ただ怒っている訳ではありません...激怒しているだけです...」
潤香が鋭い目で私を睨む!!やっぱり怒っているじゃないかー!!!
「待って...今回はあくまで戯れだって...」
「私は...嫌だと言ったはずですが?穏便に事を済ませようと思ったのに...貴女様が騒ぎ立てるから信者の方たちが集まってしまったじゃないですか!」
潤香は後ろ手で集まっているギャラリー達を指さす...ギャラリーからは潤香コールが広がっている...
「潤香様ー!!頑張ってくださーい!!」
...ううう...私がアウェイになっている...潤香なら信者は少ないと思っていたが、そうではなかったか...おかげで調子がドンドン悪くなる...
「く...」
それにこの水柱攻撃...被弾するたびに体が重くなる...被弾しすぎると危険だ...
「調子が悪そうですね?神子様?」
「...う」
潤香が私の心を見透かしたかのように問いかける...
「私の術でスピードが下がっているだけではない...貴女様の特性は分かっていますとも...自分のペースが乱れると調子が狂ってしまう...このアウェイな状況で貴女様は本来の力を充分に発揮できない環境になっています...負けを認めるなら今のうちですが?」
...ううう!!流石は元私の従者...私の事を理解している!!自分で作ってしまった状況だが...まさかここまで酷いことになるなんて!!...でも私は退くことはできない!
「...それは嫌だ...私の決めたことに対して二言はないよ」
「お見事です...中々の心がけですね神子様...しかし...それとこれは話は別ですがね!!神罰(ウォーター・ピラー)」
潤香の周りに再度、水柱が吹き上がる!!水脈なんて関係のない無差別攻撃...彼女の能力で水を生成しているのか...
私は彼女から離れて観察をするが、彼女は私に指を向ける...
「逃げているだけで私を倒せるとお思いですか?」
ざぶん!!
「わぷ!!?」
潤香の水柱攻撃を食らう...ダメだ...距離を離していても意味がない...やはり直接彼女を攻撃しないと駄目なようだ...
「げほ!!!...うう」
...体が重い...勘弁してくれ...食らう度に体が少しずつ重くなっていく...早く勝負を決めないと...私が不利になるだけだ!
「仙符(日出ずる処の道士)」
私から全方向に向けてレーザーが発射され、潤香の方へ向かう...
「この程度で終わるとでも?」
彼女は腕を氷結してレーザーを鬱陶しいそうに薙ぎ払う...やはり彼女を倒すとなると馬力が足らないか...だけど
「攻撃するだけが狙いではない!!はぁ!」
霊力を放出させ、体に纏わりついた水を弾き飛ばす!!これで元通りだ!!
「ほう?それが狙いですか...」
潤香は悠長に私を観察するように眺めている...
「おかげで隙だらけだ!!」
私は彼女の背後に周り剣を振り上げる!!
「なっ?」
「君は反応が鈍いんだよ!」
私は剣を彼女の頭へと振り落とす!!
がきぃーん!!!
「!?」
「確かに私の背後をとるのはお見事です...ですが力が足りませんよ...」
私の剣が振り下ろした先は、氷結した彼女の長い髪!!鋼のように固くなった髪は何事もなかったかのように剣を防いでいる...馬鹿な...切ることが出来ないなんて!!
「甘い!」
「く!」
彼女に弾き飛ばされ、私は距離を取る...完璧な防御じゃないか...これでは彼女を倒すことは...
「私は大神家の血族ですよ?甘く見てもらっては困ります」
潤香は髪を元通りにして靡かせている...隙が全く無い...
「ですが...速さがあるのは困りますね...目で追うのも大変ですし...次の過程に行きますかね?神罰(霧の回廊)」
潤香がスペル宣言をすると、彼女の体が霧状になり消える!
「な?」
「私はこちらですよ」
「っ!」
潤香からの不意打ちを防いで私は彼女から距離を取る...速い...さっきよりも格段に速くなっているようだ...
「小細工はやめたのか?」
「ええ...あまり時間をかけ過ぎると霊力の無駄ですのでね!」
潤香が私の前に現れて、氷結した腕で払う...
「ちっ...」
とっさに避けるが、彼女はしつこく追撃をしてくる!!
「余り油断はしない方が宜しいかと!!もっとも!この状況下では、貴方は自分の力を出し切れない状況ですがね!!」
彼女は氷結した腕の連撃を打つ...腕はカチコチ...脚は霧状になって速度が上昇している...あまり防戦一方だと不利になるな...
「仕方ない...」
私はスペルカードを発動する...彼女の言う通りやり辛い状況だ...でも、この状況ならではこそ出来ることがある!!
「人符(勧善懲悪は古の良き典なり)」
私は潤香に向けて宝剣を向ける...宝剣の先から黒いエネルギーが放射され彼女に向かう!!
「な?何ですこれは!?どこにこのような力が!?」
ドォーン!!!
放たれたエネルギーが彼女を貫く!!
「...油断したね?」
...このスペルは隙だらけだからあまり使いたくはないのだけど、私のコンディションが高い場合、もしくはとっても低い時に限り威力が増す...
現段階では、周りの民衆は潤香に注目しているため、私がアウェイ...もっともコンディションが低い状況だ...おかげで最大火力で迎え撃つことができたよ...
「さぁ!まだ終わっていないのだろう!!潤香!君の本気を見せてくれ!!」
私は目の前の黒煙に向けて宝剣を向ける...煙は次第に晴れていき彼女の姿が露わになる...
「...まさか起死回生の一手があるとは驚きです...流石は神子様ですね...」
煙の中から出てきた彼女の姿は着ている物の他にも両腕の氷結した腕もヒビが入っており、霧の脚も元通りになって傷だらけだ...完全に満身創痍といったところか...
「...まだ立てるのね」
「ええ...追い詰められてきましたね...見てくださいな...周りの方々は貴女に注目していますよ?」
「え?」
辺りを見ると、民衆の目が私に注がれている...
(何だ?一瞬で潤香様を追い詰めたぞ?)
(どこの誰だ?あの人...かっこいいぞ)
...私が注目されている?...何か気持ち良いかも...でも余韻はまだ早いな...
「...君は少し焦ったらどうかな?追い詰められているんだろう?」
「ええ...確かにその通りです...ですが、大神教には...このような言葉があります...」
潤香はスペルカードを構える...
「追い詰められた狐はジャッカルよりも狂暴だとね...神罰(凍土の執行官)」
潤香の体が凍り始め、彼女の体が鎧に包まれたかのような姿になる...全身が氷の結晶に覆われたような風貌...彼女から濃厚な霊力があふれ出ている...
「本気かな?」
「ええ...まさかここまでとは思いませんでした...」
潤香は両腕をブレード状にして地面を抉る...これは近づけさせるとまずいかな?
「なら...もう一度!」
私は彼女に向けて光線を放つ!!
「無駄ですよ...」
ブン...
潤香は光線を薙ぎ払い消滅させる!!
「な?私の術が!!」
「これで終わりにしましょうか?残りの霊力ももったいないですし、先ほどの攻撃は見切りました!!」
潤香がこちらに向けて突撃し、私はとっさにガードする...彼女を弾き返す...
「くっ...」
...一撃が重い...これはまともに食らったらまずいな...
体勢を整えた潤香は再度私に向けて突撃する...
「ふふふ...手は尽きましたか?なら!私の手で舞台に幕を引いて差し上げましょう!!」
彼女の全力...私も応えるまで...私はスペルカードを構える...
「手は尽きてはいない...」
私は勺を掲げて彼女の迎撃に映る...
「隙だらけですよ!神子様!」
彼女は警戒をせずに私の間合いに入る...いつもは慎重な彼女ならありえない行動だけど、自身の硬度に絶対の自信を持っていたようだね...
「勝ちを急ぎ過ぎたね...潤香!(詔を承けては必ず慎め)」
私は勺にエネルギーを集中させ、巨大な光剣と化したものを彼女目掛けて振り下ろす!!!
「しまっ!!」
潤香はとっさに両腕で攻撃を防ぐ...
「まだ...まだ終わるわけには!!」
彼女は必死にそれを防いでいるが、もう手遅れだ!!!
「潤香!これが私の全力だ!!!」
side潤香
「...あ」
...なんとなく結果が分かってしまいました
ピシ...ピシ...
私の装甲にどんどんヒビが入っていく...全力を尽くしたつもりでしたが、これで良かったかもしれない...
「やはり貴女様は民を導く者...更なる高みへと向かうのですね...」
私の体は光に完全に光に包まれる...
お...
おーい!!起...ろ!
「おーい!潤香!起きろ!」
「!?」
目を開けると照らす光と青空...そして私をしゃがんた状態で見下ろしている神子様の姿...いけない...意識が飛んでいましたか...
「ええ...失礼しまし...痛っ!!!」
起き上がろうとすると、体に激痛が走る!!
「おっと!私の一撃を受けたんだ...幾ら君でも休憩が必要だよ!」
神子様は私を抱きかかえる?
「あの?神子様?」
私の顔が熱くなるのを感じる...
それもそのはずです...この恥ずかしい状態はもちろん...辺りを見回すと私達の戦いを観戦していた皆様が神子様を見つめていたのだから!!
「すごい!潤香様を倒すなんて!!」
「あれが...豊聡耳神子様!?何てひとだ!」
「神子様!神子様!神子様!!!」
辺りは神子様の声援が響き渡っている...
「あの?神子様?降ろしてください」
「ん?いやだ!さっきまで私がアウェイだったんだ...君も恥ずかしい目にあってもよいでしょ?」
まさかの却下...辺りの視線が痛いというのに!!
「ははは!!さぁ!皆の衆!私こそ生きる伝説!豊聡耳神子だ!!!」
「「ウォー!神子様ー!!!」」
更に神子様の声援が高まっていく...
「ははは!!...やっぱりこの方が気分が良い!!さぁ!次行くぞ!潤香!」
「このままの状態ですか!?」
「私の天下の道を見るがいい!!」
神子様は高笑いしながら、私を抱えて人里の奥へと進んでいく...
ですが...悪くありませんね...このまま見させてもらいます...貴女様が進む道をね...
次回に続く...
ではこれにて