神子と潤香の戦いが終わった同時刻...人里の銖理のライブ会場でも聖白蓮と大神銖理の人気取り戦争が行われていた...
「さぁ!行きますよ!銖理さん!」
「ぶっ潰してやる!!白蓮ー!!!」
「いけいけ!!!」
「やれやれー!!!」
会場がヒートアップする中、とある観客だけ心配そうにそれを見つめていた...
side影狼
「...何でこうなったの??」
いつもと同じライブだったのに...何か戦いみたいなことになってしまったわ...辺りの観客はそれに対して喜んでいるし...どうなっているの?
「...それに」
私は隣の席を見つめる...そこには、夜雀亭の女将さんとわかさぎ姫、そして女将さんの相棒である響子が満面の笑みを浮かべて応援している...
「銖理ー!!負けたらお仕置きよー!!」
「すごい!!これがライブなのね!!」
「白蓮様ー!!!」
...この状況を楽しめない私がおかしいのかしら?うう...でも今の銖理怖いんだけど...
私はステージ上の彼女達を見つめる...
銖理に関しては普段と打って変わって怒った表情でエレキギターを振り回している...
「ぶちまけろー!!!」
銖理はエレキギターで白蓮を殴りつけようとするが、彼女はそれを腕で防ぐ...
「...流石潤香のお姉さんですね...一撃が重いです」
そう言う白蓮だけど、笑みを浮かべたまま余裕そうなのよね...
「F〇ck!!」
銖理は彼女から距離を取り、エレキギターを掻き鳴らす!ギターからはマシンガンのように光弾が荒々しく発射され、流石の白蓮もそれを防ごうとせずに避ける...
「...汚い言葉は駄目ですよ」
白蓮は銖理に向かい注意するが、銖理はさらに怒りを露わにする...
「お前がそうさせたんだろうがぁー!!!」
そう叫ぶとまたギターを掻き鳴らし光弾を発射する...
銖理...今の貴女完全に悪役になっているわよ...
「どうしよう...この状況」
正直...ライブを見に来たのであってプロレスを見に来たわけではないのよね...流石にも帰るべきかしら?
「何言っているのよ!影狼!」
横を見ると女将さんが私の手を掴む...
「え?」
「こんなの今日限定のイベントよ!見逃すと後悔するわよ!」
「...限定」
「見ないの?だったら良いわよ♪後で銖理と一緒に~いいことを~」
「...見るわ」
抜け駆けは許さないわ...
私は席に座りなおして、ステージの戦いを見る...
ステージ上の銖理はエレキギターを掻き鳴らしながらスペルカードを取り出す...
「こいつで!ライブ(悪意のスポットライト)」
銖理がスペル宣言をすると、ステージに吊るされている照明が白蓮の方へと向く!
「何でしょう?」
「一斉照射だ!!」
カッ!!
照明が付き、眩い光が白蓮を一斉に照らす!!あまりの強い光に白蓮も怯んでいる...
「うっ...目つぶしとは!!!」
「隙だらけだ!!」
銖理がエレキギターで白蓮を薙ぎ払う!!彼女もガードが遅れてそれに対抗できずに後退する...
「うう!!」
「ぎゃははは!!!さっきまでの威勢はどうしたんッスか~?」
銖理はギターでの打撃で追い打ちをかけていく...本当にやっていることが悪役になっているわ...
「おらぁ!!!」
「きゃう!!!」
目がくらんでいるのか、白蓮は銖理の攻撃を何とか防いでいるだけ防戦一方となっている...彼女は銖理から距離を取るように上昇する...
「...」
「逃げるんッスか~!?逃がす訳ないッス!!」
銖理と彼女をロックオンしている照明が彼女を追い詰めるように追尾する...銖理の猛攻に妨害する照明を白蓮は逃げ切り懐から独鈷を取り出す...
「せめて...光源さえ無くなれば!!」
彼女は独鈷をステージ上部に投げつける!
彼女の放った独鈷はステージに吊るされている照明を次々と破壊する!!
「あ!!!よ...よくも!!!」
銖理は激昂するが、それに対してステージの照明が暗くなっていき、攻撃に緩みが出てくる...
「これからが本番です!!天符(三千大千世界の主)」
白蓮は銖理に向かって独鈷を投げつける...
「ふん!!この程度...」
「隙ありです!!」
「なっ!?」
銖理はそれを弾くが、白蓮は銖理との距離を詰め、彼女の前に現れて拳を握りしめる!
「猛獣とも拳で分かり合えます!!」
白蓮はそのまま銖理を殴りつける!!!
「ぶっ!!」
無防備だった彼女は、そのまま派手にステージに叩き付けられるが、すぐに立ち上がる!!
「お前!!...よくも!!!こんな!!!」
「貴女も潤香の姉なら来てください...貴女の実力はこの程度ではないでしょう?」
白蓮からの挑発...本人にはそのつもりはないかもだけど、銖理は顔を真っ赤にしている...
「...ぐぐぐ!!すぐに終わらしてやる...ライブ(アンプ+リサイタル)」
新たなスペルを発動すると、ステージの床から多数のアンプが現れて銖理はそれの上に着地する...
「また小細工ですか?」
「小細工?そんなんじゃないよ!!物理的に潰してやるからよ!!!覚悟しろ!!おらぁ!!!」
銖理はギターを掻き鳴らす...さっきとは違い音波状の弾幕が白蓮に行くが彼女はそれを容易く避ける...
「...火力が減りましたね?」
「...今のは呼び水...これからが本番だ!!!」
銖理の音波に反応したのか周りにあるアンプも起動音を発する...
「!?」
「GO!」
銖理が合図すると、多数のアンプから音波が一斉に白蓮に向けて発射される!!
ギュイイイイン!!!!
「くっ!!」
流石の白蓮も避けようとしたが、何発か被弾してしまったようだ...
「...今のを避けるんだ...随分としぶといな...」
「今のは只のラッキーパンチですよ!!」
「ふん...いつまで持つ?」
銖理は再びギターを鳴らし、多数の音波攻撃を再度仕掛ける...白蓮はそれに被弾しながらも耐え続けている...
「はぁ...はぁ...」
「疲れが見えてるッスよ~?そろそろ...止めか?」
銖理は観客席を見て笑みを浮かべる...
「さぁ!邪魔者を倒したらライブの続きッス!!皆続いてくれるかな?」
「「「イエー!!!」」」
銖理のコールに観客の声援が響く...今は銖理が優勢のようね...
「このままでは...」
「悔しい?でももう遅い!!お前とのライブはここで終わりだ!!」
銖理はギターを鳴らして音波の波状攻撃を白蓮に仕掛ける...
「まだ!終わりません!!」
白蓮はそれを避け銖理との距離を詰めていく...
「貴女のやり方は見切った!!」
白蓮はアンプの1つを殴りつけて、それを吹き飛ばす!!
飛ばされたアンプは他のアンプとぶつかり合い、ドミノ倒しのようにドンドン倒れていく!
精密機械なのか...倒れたアンプからは煙が出ており、音を発さなくなる...
「ああー!!!それ良い物なのに!乱暴しないでよ!!!」
銖理は叫ぶが白蓮の破壊活動は終わりを見せない...アンプを次々と破壊していき、ステージはドンドン更地へと変貌していく...
「これも貴女に勝つためです!!」
白蓮は最後のアンプを地面から引き抜いて銖理に向かって投げ飛ばす!!アンプは銖理に向かってすごい勢いで向かっている...
「くそがぁ!!!!!!」
銖理はアンプをギターで弾き飛ばし、その攻撃を無効化する...
「...当てるつもりでしたのに」
「ふふふ...全く...ここまで私を怒らせた奴は久しぶりだ...あは...あはははは!!!」
銖理は笑いながら肩で息をしている...すごい怒っているわね...こんな彼女を見るのは初めてよ...
銖理がスペルカードを構えると白蓮が拳を構える...
「む...来ますね...」
「これで終わりだ!!出撃(グレート銖理ちゃん号)」
銖理がスペルと宣言すると、ステージの壁が開く!
ブロロロロロ!!!
大きなエンジン音を鳴らしながらステージに現れたのは、大きなバイク...銖理はそれにまたがりエンジンを吹かす...
「これでぶっ潰す...」
「まぁ!!」
バイクが来るのは流石にも予想外ね...白蓮も驚きの表情を浮かべている...
「幾らお前が怪力でも...私が改造したコイツの馬力は...一味違うぞ!!」
銖理はバイクの前輪を上げながら白蓮に向けて突撃する...彼女はそれをガードするが弾かれて横に逸れる...
「...ふん...避けたか」
「く...中々良い趣味のからくりです...確かに私の力を持っても...弾かれてしまうとは」
彼女は左腕を摩っている...あの人が力負けするというの?
「ぎゃはは!!!まだ小手調べ...シフトアップだ!!」
ブォォォォン!!!!
銖理がギアを入れるとバイクは獣のように唸る!
「さぁて...エンジンも温まってきたし...そろそろやるか!」
ブォン!!!
銖理は再度突撃する...今度のは先ほどよりも速くなっている!
「確かに速いですが!まだいけます!」
白蓮は迎撃しようと拳を突き出すが、銖理は軌道を変えて彼女の横を走り去る...
「隙ありだ...」
ドドドドドドドドド!!!
銖理はギターを鳴らし、今度は音波ではなく弾を放つ!攻勢に転じて無防備だった白蓮はそれを避けることができずに被弾する...
「ぐぅぅ!!!」
「ははは!!!私を怒らせた罰だ!!」
白蓮は吹き飛ばされてステージに倒れ、銖理は満足気に笑い声をあげている...これは銖理の勝ちなのかしら?
「まだ...終わりませんよ...」
「あ?」
銖理がその方向を見ると、白蓮が立ち上がる...すでに満身創痍に見えるが...大丈夫なのだろうか?
「しぶといな...」
「私は負けるわけにはいきません...私を信じて送ってくれた者達に顔向けが出来ませんから!」
白蓮は拳を構えるが、銖理はそれを見て不敵な笑みを浮かべる...
「流石は潤香の奴の師匠か...でも根性だけで世の中変わると思うな!!」
ブォン!!!
銖理は攻撃に移る!!スピードに乗った突撃...このままでは白蓮が轢かれる!!
「はぁあ!!!」
白蓮は突撃してきたバイクに向けて拳を突き出す...
ばぎゃあああ!!!
彼女は撥ねられることなく、逆に銖理の乗ったバイクを弾き飛ばす!!!
「何!?」
銖理はうまくバイクで着地するが...バイクの正面は破砕しており、火花が散っている...
「中々良さそうなものだったので...壊すのは申し訳なかったのですが...」
「私の愛車をよくも...だけどこの程度で壊れるほどでは...」
...ブブブブ
「!?」
銖理は再びエンジンを吹かそうとするが、先ほどよりも元気のないエンジン音が鳴り響く...
「どうやら先ほどの攻撃が致命傷だったようですね?先程の走りはできませんね」
彼女は再び拳を構える...
「ち!!!まだ終わらない!!」
彼女が再びエンジンを吹かすと、バイクのマフラーから黒い煙が立ち込め始める...
黒煙は煙幕のようにステージを覆いつくす...このままでは何も見えないわ!
「...また小細工ですか?」
「お前に引導を渡すには充分だ!!」
ブォオン!!!
煙のステージの中で銖理のバイクが走る音が響く...
ばきああ!!
何かの破砕音が響いたと同時にステージの煙が晴れ始める...
「...」
「...あ...ああ...嘘でしょう?」
ステージにはバイクに乗ったままウイリー状態で停滞している銖理と、バイクのエンジンを蹴りで貫いている白蓮の姿...
彼女はエンジンから脚を引き抜いて彼女から離れる...
「...これで終わりですよ」
「ま...待って...認めない...私は認めない!!!」
銖理のバイクからは、燃料が漏れ始めており...火花がそれに着火し始めている...
「往生際が悪いですよ...いざ南無三!!」
ドカーン!!!!
白蓮が手を合わせると同時に銖理のバイクが大爆発をする...
「ぎゃあああああ!?」
そして乗っていた銖理は幻想郷の空の彼方へと消える...
「...銖理の完全な負けね?」
「あのおバカ...頭に血が上ったからこうなるのよ...はぁ...」
隣にいた女将さんが溜息をつくと観客席中に歓声が沸き起こり始める!!
「白蓮様!!すごいぞ!!!」
「貴女は銖理ちゃん以上だ!!!」
辺りは歓声に包まれており、白蓮コールが鳴り響く...
ステージに残った白蓮は観客席に手を振っている...
「皆さまありがとうございます...命蓮寺を宜しくお願いしますね!」
「うぉー!!!!」
「うぉー!!」
ステージは完全に白蓮一色になってしまった...銖理を応援していた私達の肩身が狭いわ...
「影狼?どうする?銖理さん飛んで行ってしまったけど?」
「大丈夫よ...意外にも頑丈だから死にはしないわ...」
ワカサギ姫は心配そうに銖理が飛んで行った方向を見つめるが、女将さんは無いごともないように答える...
「今回ばかりは銖理の運が無かったわね...」
「白蓮様ー!!!今度お経をー!!!」
響子はテンションが上がって白蓮を祝福しているわね...勝てば官軍負ければ賊軍ね...
このライブももう終わりね...これで完全に見るものがなくなったわ...
「はぁ...どうする?」
「とりあえず...銖理の回収くらいはしてあげましょう?流石にも可哀想だし...」
「そうね...」
女将さんの後に続き私達は吹っ飛んだ銖理を回収するためそのステージを後にする...
銖理撃破...
人気取りはまだ続きます!
ではこれにて