東方五行大神伝   作:ベネト

181 / 183
日常 ギャグ編


絶望の来訪

紅葉が散り、冬が近づいてきた幻想郷...

 

幻想郷の端に存在する神社こと、大神神社ではいつも通りの日常生活が行われていた...

 

「ふんふーん♪」

 

「あ...華楠~ソース取って」

 

「ああ...」

 

「今日の味噌汁...ちょっと失敗したかも」

 

「そう?煌炉姉?」

 

「ずずず...」

 

いつも通りの家族が揃った朝食の最中である...いつも通りの平和な時間が流れていた...

 

 

この時までは...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side暦

 

ピンポーン!!

 

「ん?」

 

玄関のチャイムが鳴り、私はその方向を向く...こんな時間にここに来訪者とは珍しいものだ?

 

「客か?私が応対しよう」

 

「んにゃ...私が近いから私がやるよ」

 

私は居間から出て玄関の方へ向かう...

 

「はいはーい!どちら様?」

 

私は玄関の戸を開ける...

 

 

 

 

 

「おはようございます!暦様!」

 

「やっぽー!狐のお姉さん!」

 

玄関の前には、悟り妖怪こと古明地さとり・こいしの2名がいた...

 

「うん!おはよう!じゃあ!」

 

ぴしゃん!!

 

かち...

 

私は戸を閉めて、鍵をかける...自身に尾がついていないことを確認する...

 

「...嘘だ」

 

何でこんな朝早くにあの2人が!?何でわざわざ神社まで来た?まずい...嫌な予感しかしない!

 

地霊殿での悪夢が蘇る!!屋敷中を追い回されてブラシをされるというあの悪夢が!!!

 

冗談じゃない!!私はともかく...娘たちはブラシを食らって全滅したというのに!!

 

 

 

 

がしゃん!!!

 

「おわ!?」

 

突如戸に破砕音と共に穴が開く...私の目の前には巨大なブラシが眼前に...

 

 

「酷いですね...暦様?せっかく来たんですし入れてくださいよ?」

 

穴の中からさとりの腕が飛び出し戸の鍵を解錠する...

 

「な...何でここに?」

 

「まぁ...少々言いたいことがありまして...宜しいですよね?」

 

「...どうぞ」

 

私は彼女達を居間へと案内する...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

居間へと案内すると場の空気が凍り付く...もちろん私の娘たちが唖然とした表情でさとり達を見つめている...

 

「...何で?」

 

「嘘でしょう?」

 

「あの時の悪夢が蘇ります...」

 

「はぁ...」

 

「...」

 

娘たちは何で迎え入れているんだと言いたげな目を私に向けるが、私は悪くない!!

 

私はもと居たところに座り、さとり達を見る...

 

「んで?何の用かな?できれば手短にお願いしたいな~」

 

「暦様!!今回私は怒っています!!」

 

さとりは急に私に向けて言い放つ...

 

「えーと?さっきの件かな?ごめんね~急に来たから勝手に手が...」

 

「そういうことではありません!この前の異変の時!こいしを虐めたというのは本当ですか!?」

 

...虐めた?

 

娘達は一斉に私の方を見る...

 

「何をしたんだ?」

 

「ほら...何をしたのよ?早く謝りなさいよ?」

 

「謝罪を要求します...お母様」

 

「記憶にありません...」

 

この前の異変でこいしを虐めた?それはない!!それどころか彼女に負けたら強制的に地霊殿行きだったのだもの!!逃げるに決まっている!!

あの時の勝負はドローだったもの!!私の逃亡で勝負がついたはず!

 

 

 

「うえーん!お姉さんに虐められたよー!!」

 

こいしは顔を隠しながら棒読みで言う...手で顔を覆っているが...笑いをこらえているようだ...私にはそういう手は通用しない!

 

「こいし!泣いているのね?」

 

「泣いてるよー」

 

さとりが確認し、彼女は返答する...本気で泣いている子が泣いてるって言わないから!!

 

「私の可愛い妹によくも!!貴女にブラシを要求します!!これは私達に対する慰謝料です!!いいですね!!」

 

さとりが私に向けて言い放つ!!

 

やっぱりブラシが目的か!!!この子達~!難癖つけてここに強襲しに来たのね!!

 

「見た?ほら!!言いがかりだよ!見てよ!」

 

私は娘たちの方を見る...

 

 

 

 

 

 

「うむ...仕方ない...母さん一人のブラシで済むなら問題はない」

 

華楠が言い放つ...

 

「は?待って...華楠!!何を言っているのよー!!」

 

「そうね~...今回の件は母さんに落ち度があったから責任はそうよね?」

 

境奈...貴女まで!!

 

「責任にはそれなりの罰を...大神教第998条にも書いてありますし...」

 

潤香ー!!適当な戒律を作っているじゃないわよ!!

 

「左に同じく...」

 

「右に同じく...」

 

煌炉!銖理!貴女達まで私を売るというの!!この親不孝者!!

 

「ぐぐぐ!!!」

 

「これで良いだろう?だから私達は無罪放免で...」

 

「駄目です!華楠さん!!娘の貴女達も連帯責任です!!」

 

さとりからの無情な死刑宣告と共に娘たちの顔が、さっきとは打って変わって青白くなる...

 

「な?」

 

「は...はぁ?」

 

華楠・境奈が困惑の表情を浮かべるが...問題はない...やっぱり全てはフェアでなくては!!平等万歳!!

 

 

 

 

 

 

「というより...ブラシを行えるわけないでしょう?私達今は人間の姿だし...このままを維持すれば問題ないし...」

 

銖理の言葉に私達は彼女の方を向く!!

 

そうだ!今の私達には尾がない!!さとりには悪いけど尾のない私達をブラシはできない!!これで万事解決!!

 

「ははは!!考えてみればそうだよね!!さとり!悪いけど今日のところは...」

 

「許すわけないでしょう?」

 

さとりがスイッチを取り出してそれを押す...

 

 

 

 

「!?」

 

それと同時に急な脱力感に襲われて私達は床に伏す...何でこんな?

 

「...!?何で?」

 

私は娘たちの方を見て口を押える...

 

娘達の姿は9本の尾を持つ半獣の姿...何でこんな姿になったか分からない...どうして?

 

「あ...貴女達...こころ変わりでもしたのかしら?」

 

「そんな訳あるか!!母さんだって自分の姿を見てみろ!」

 

「...はい?」

 

鏡で自分の姿を確認すると、そこには尾が4本生えた天狐の姿の私の姿が!?

 

「何で!?」

 

「ふふふ...驚いているようですね...中々良いですね貴女の姿は」

 

「な...何をしたんだ!?」

 

華楠が叫ぶと、さとりは笑い始める

 

「少し小細工をさせてもらっただけですよ...現在この大神神社の一帯は結界で覆われています...これで存分にブラシができるというものです」

 

「結界?貴女にそれができるわけ...」

 

この子は妖怪!能力だって心を読む力でしかない...こんなことできるわけが...

 

「博麗の巫女にお金を積んでやってもらった次第です...少々高くつきましたがね」

 

「ぐぐぐぐ!!?」

 

霊夢の奴~!さとりに協力しやがって~お金を積まれたからって、よくもこんなことをー!!

 

「事前の対応はばっちりです...大神家の皆様の能力遮断は厄介ですからね...直接はともかく...範囲で封印されたらそれも無力、これで貴女達の姿も私の思いのまま、それに暦様...貴女の協力も感謝しているのですよ」

 

「は?」

 

協力?何のこと?

 

娘達の方を向くと彼女たちは非難がましい目で私を見つめる!!

 

「協力って何だ!?」

 

「何をしたのよ!答えろ母さん!!」

 

「この際貴女をここで...」

 

何か殺気じみてるー!!!味方がいないー!!!

 

「記憶にありません!!!!本当です信じてください!!!」

 

「物的証拠もあるのですよ...暦様」

 

さとりは懐から何かを取り出す...赤と青の千切れた鎖?

 

「...あれ?何か既視感が?」

 

「既視感も何も母さんのゲノムチェーンじゃないかー!!!何であれを持っているんだ!」

 

...そうだ私の能力で作った鎖!!何で彼女が持っているの?

 

「以前の地霊殿での異変の時、貴女はうちのお空と戦いましたよね?その時あの子が引きちぎった残骸です...これを研究し貴女達の体をいとも簡単にコントロールできる道具を作ったまでです」

 

さ...最悪だ...確かに私のゲノムチェーンならば、私達の能力遮断を無効化できる...あの時ちゃんと回収しとけばよかった!!!

 

「ま...待った!!流石にもこれは中止しろ!!前例がないものを試すんじゃない!!何の危険があるか分からない!!」

 

華楠が中止するように言うが、さとりは首を横に振る...

 

「ちゃんと実験はしましたよ...ちゃんと体には害のないことは証明済みです...それに暦様...貴女という被験者が居たおかげで良いデータが取れたというものです」

 

「は?」

 

被験者?そんなことした覚えがない...

 

また娘達の方を向くと、もう...怒っているとしかいえない顔をしている

 

「何度協力すれば気が済むんだー!!」

 

「母さん!謝って!!!謝ってよ!!!!」

 

「この際お母様を縛り付けて...」

 

「...動けないようにボコって終わりでいいじゃない?」

 

あああ!!もう!味方がいない!!!

 

「知らない!知らない!!知らないもん!!!!私悪くない!被験者になった覚えはない!!!」

 

身に覚えがない!!私自身ゲノムチェーンを体に打ち込むことなんてほとんどないというのに!!

 

さとりは不適に笑い始める...

 

「こればかりはもう一人協力者がいたんですよ...二ツ岩マミゾウさん...この方の名前に覚えは?」

 

「何であのタヌキが?」

 

何であいつの名前が...あいつとは面識は殆どないし、会ったのも前の異変...

 

 

 

 

 

「あ...」

 

前の異変のことを思い出して、私は全てを理解する...

 

「あ...って何だ?母さん...身に覚えが?」

 

「うん...そういえば前の異変の時にあいつにゲノムチェーンを差し込まれて...一時的にあいつの術が私に効くようになっちゃったんだよね...多分その時...」

 

あの時...確かにそうだ...あいつの幻術は私達には効果はないというのに、あいつの道具を食らって無効化にされた...その後ボコボコにされたのも覚えている...

 

「とりあえず?理解はできましたか?」

 

「うん...分かったけど...分かったけどさ!!」

 

正直ブラシは嫌だ...絶対にこれだけは回避しないといけない...とりあえず...打開策を考えねば...

 

「...」

 

「...」

 

「...」

 

「...」

 

周りにいる娘たちも冷や汗ダラダラで目を泳がせている...

 

 

「ずー!...で?ブラシでしょう?さっさとやったらどう?」

 

「!?」

 

第一声を放ったのは煌炉!!彼女は特にこの状況に怯むことなく、お茶をすすっている...

 

「こ...煌炉...何でアンタ平気なの?」

 

境奈の言葉に煌炉は鼻を鳴らす

 

「ふん...もうこっちはブラシされようがどうでもいいんだよ...毎回毎回...藍に捕まってブラシされて、ある程度は耐性がついたんだよね...」

 

「お...お前...何勝手に一人耐性作っているんだ!ずるいぞ!!」

 

「そうだよ!...何で煌炉姉!!」

 

他の姉妹から不平不満の声が上がるが、煌炉は我関せずといった態度をとっている

 

「これは私の努力だ...必死に耐えて...ある程度はブラシ食らっても大丈夫になったんだよ...分かるか!?さとり並みのブラシ技術を持った藍に毎回ブラシされている私を!!幾ら何でも批難される覚えはない!!」

 

何故か半ギレ状態になっている...彼女なりの努力ね...

 

そして煌炉はさとりに近づく...

 

「とりあえず...手早くお願いね...この後人と会う約束をしているから...」

 

「ふふ!潔いのは喜ばしいですよ煌炉さん...」

 

さとりはブラシを出して煌炉の尾に当てる

 

 

 

 

 

 

 

 

「でも...」

 

「ん?」

 

「藍さんが私並みになった?それは違いますね...私のブラシ技術は...」

 

さとりは煌炉の尾にブラシを一撫でする...

 

「ふぎゃ!?」

 

煌炉はその場に倒れる...

 

「え?」

 

煌炉が倒れた?何で?耐性があったんじゃないの?

 

「日々私のブラシの技術は進化しているのです...一緒にされては困りますね」

 

耐性持ちがやられたー!!!煌炉でこうなるということは私達は只ではおかないじゃないの!!!

 

「総員撤退!!」

 

「いやああああ!!!」

 

「嫌だー!!!」

 

「うわああああ!!!」

 

その光景を見た娘達が散り散りになって逃げだす!!!

 

「待ってー!!置いてかないでー!!!」

 

私も屋敷の奥へと逃げる!!!まさかまたあの悪夢が再来するなんて!!ついてない!!

 

 

 

 

sideさとり

 

「逃がしませんよ」

 

私は奥に向かいながらトランシーバーを取り出して、通話を開始する

 

「お空・お燐...屋敷の外の警備は任せたわ」

 

(うにゅ!!任された!!)

 

(はいはーい)

 

外の警備は万全...残りの方々をこの屋敷内で追い詰めればこの計画は完璧となる!

 

「こいし!行くわよ!!根こそぎブラシをするわよ!」

 

「OK!お姉ちゃん!!」

 

私達は屋敷の奥へと向かう...さて狐狩りの時間です...今度こそ貴女にブラシを!!

 

 

 




次回逃走中

ではこれにて
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。