大神神社で起きた古明地姉妹によるブラシ強襲の翌日...
今回はその被害にあった大神家の皆様の後日談を綴っていこう...
八雲家...大神煌炉の場合
昼下がりの八雲家にて...八雲家の居間にはその家主である八雲紫と半獣状態の大神煌炉の2名がいた...
紫は煌炉の尾の1本をリボンでデコレーションしており、彼女の尾はリボンで埋もれている...
「できたー♪」
紫の喜びの声と同時に煌炉は振り向いて自身の尾をジトーっと見ている...
「あの...取って良い?地味に毛が絡まって痛いんだけど?」
煌炉の言葉に紫は頬を膨らませる
「駄目よ!!せっかくできたのに!今日一日はこれをキープ!OK!?」
「はぁ...」
彼女がため息をつくと同時に廊下からドタバタと音が響く
「煌炉ー♪ブラシの時間だぞー!」
そこにやってきたのは八雲紫の式神八雲藍...彼女は手にもったブラシを持っており、煌炉はそれを見て顔を青くする...
「拒否します」
「む!!!なぜ!!!私がブラシをしてあげるというのに!!」
「ブラシはNG...理由は分かるでしょう?昨日何が起きたか分かるでしょう?」
煌炉の拒否反応に藍は頬を膨らませる...
「むす...」
藍は不服そうな顔ををするが煌炉は顔を背ける
「そんな顔をしてもダメ!!ダメなものはダメ!!」
「むす!!」
藍は顔を近づけて煌炉の顔を不服そうな顔で見る...
「だ...」
「むす!!!!」
藍は更に顔を近づける...煌炉と彼女の顔は間近まで来ている...
「...」
「むす~!!!」
「もう!分かったよ!好きにしてよ!」
とうとう煌炉が折れ、藍は嬉しそうにブラシを振る
「偉いぞー!煌炉♪」
「藍には甘いわね...」
「見てないで助けてくれない?」
煌炉は紫に助けを求めるが紫はブンブンと首を横に振る
「私は面白いほうがいいもん!!藍!やっちゃいなさい!」
「ああもう!!ちくしょ!!!!」
八雲家にて煌炉の叫び声が幻想郷に木霊するのであった...
太陽の畑...大神華楠の場合
同じく同時刻...大量の向日葵が群生している場所こと太陽の畑では、そこの主である風見幽香・そして秋神の秋静葉と秋穣子、そして大神華楠がティータイム中だった...
いつもと変わらない光景だが今回は違う...
「あははは!!!大神家最強の貴女がブラシが怖いなんて!!!」
珍しく大笑いしているのは風見幽香...彼女はツボに入ったのかお腹を抱えており、華楠の方は顔を真っ赤にしている...
「うるさいぞ!幽香!!いつまで笑っているんだ!!」
「だって見なさいよ!この新聞!!妹の尾に縋って引きずられている貴女が無様すぎてー!!」
幽香が差し出したのは、文文。新聞...その一面記事には、(白昼堂々!!大神家がブラシによる強襲を受ける!)と書かれている...
その新聞の写真には、妹である大神潤香の尾に縋って足を引っ張っている華楠の姿があった...その彼女も古明地こいしにより尾を引っ張られている何ともシュールな写真となっている...
「無様云々の話ではない!!意識が飛ぶんだよ!絶頂するんだよ!!下着を洗濯機に入れることになるんだよ!!!あいつのブラシは凶器なんだよ!!私達妖獣にとっては!!」
怒り心頭の華楠であるが、幽香は笑っているだけであり、静葉が華楠をなだめる
「落ち着いて...誰だってダメなものはあるわ」
「そうだよ!幽香さんだって尻尾が生えたらこうなるよ!」
穣子が言うと幽香が不敵な顔で紅茶をすする...
「私のどこに尾があるのよ?ブラシできるものならしてみなさいよ!まぁ...私なら耐えることはできるでしょうね」
「ほほう...そんなことをいうのか」
「ええ...尾が生えたら地霊殿でもどこへでも行ってやるわ!
幽香の言葉を聞いた華楠は黒い笑みを浮かべて自身が身に着けているパレオの内側からアンプルを取り出す
そして幽香が新聞を見ている隙に彼女のティーカップへその中身をこっそりと入れる...
その光景はそばにいた静葉・穣子が見ていたが彼女たちが止めることはなかった...
そして幽香は薬品が混入している紅茶をそのまま飲む...
「...ん!?」
効果はすぐに現れたようだ...何か違和感を感じた幽香は席を立ちあがり、そして自分の尻に手を当てる...
「んん!!?」
彼女のお尻には小さいが尾が生えていた...子犬くらいの大きさであるが、尾であることは間違いない...その光景を見て華楠が笑う...
「ふふふふ...あははは!!どうした?何か尾が生えているが?」
「な?あ...貴女何をしたのよ!もしかして紅茶の中に何か入れたわね!」
幽香の言葉に華楠はアンプルを見せる
「ふむ...失敗作ではあったが効果はあったようだ...尻尾を生やす薬...後で量産しておくか」
「なんてもの作っているのよアンタ!!!」
狼狽えている幽香であるが、華楠はせせら笑うだけだ...
「別にいいだろう?君にも私と同じ苦しみを味わうときが来たというだけだ...さぁ幽香?地霊殿へ向かおうか」
「は?なんで?」
「尾が生えたら地霊殿でもどこへでも行くといったのは君だ...地霊殿でのブラシ...楽しみにしているよ」
「ちょ...待ちなさいよ!」
華楠の言葉に首をふる幽香だが秋姉妹が口を開く
「往生際が悪いですよ幽香さん」
「静葉!?」
「貴女は確かにブラシに耐えられる...そういっていましたよね?」
「私も確かに聞きました!フラワーマスター様は自分の言葉を嘘にするのですか?」
まさかの味方がいない状況に幽香は顔を青くする
「ぐぅぅ...」
「さぁ...どうする幽香?」
華楠の言葉に幽香は立ち上がる
「分かったわよ!!行くわよ!この私がブラシに負けるわけないでしょう!!」
彼女はズンズンと地霊殿方向へ向かっていく...
「ふむ...ではその結末を見届けるとしようか...私達も行こうか静葉達...」
「「うん!」」
彼女たちも幽香に続いて地霊殿へ向かう...
この後一体どうなることやら...
命蓮寺 大神潤香の場合...
同時刻命蓮寺にて、寺の境内には寺の住職聖白蓮が竹箒をもって境内を掃除している...いつも通りの日常だが今回は珍しく客人がいた...白蓮はその人物に気づき優しく微笑む...
「滝行はどうでしたか潤香?」
「ええ...気分がリフレッシュできました...白蓮様」
そこには白い着物に身を包み、クマの入った目で疲れた様子の大神潤香の姿...滝行の後だったのか全身ずぶ濡れであり、丸で幽霊のような恰好となっている...
「気分は優れないようですね」
「...久々に夜眠れなかっただけです」
「滝行では駄目みたいですね...他の事でリフレッシュしませんと」
白蓮はそう言うが潤香は悩んだような仕草をする...
「思いつきません...」
「何か趣味でもいいのですよ?」
「残念ですが特には...」
ボーっと遠くを見ている潤香に白蓮は頭を抱える...せっかくの弟子が困っているのに何かできないものかと...
しばらく考えていると彼女に名案が浮かぶ
「そうです!ならアレをしましょう!」
「アレ?」
「そうです!私のリフレッシュ方法です!」
そう言うと白蓮は寺の奥から何かをこちらへと引いてくる...
「どうです!中々良いものでしょう!」
彼女の横には、サイドカー付きの大型バイク...何故幻想郷にこれがあるのかは分からない...流石の潤香もこれを見て目を見開く...
「これは...一体どこで?」
「ふふ!香霖堂で買いました!安く済んで良かったですよ!」
「...」
潤香は立ち眩みをしたかのように揺れる...
彼女にとってバイクはあまり良い思い出はない...過去に実の姉である大神銖理の無謀なバイク操作により被害を被ったのだから...
「どうしました?何やらあまり顔色が宜しくないようですが?」
「あの免許は持っていますよね?」
「免許?何ですそれ?」
潤香の言葉に白蓮は首を傾げる...何やら風向きが良くないようだ...
「まぁ...とりあえず走りましょう!これでリフレッシュできますよ!」
いつの間にか法衣からライダースーツ姿になった白蓮は潤香の背を押す...
「待ってください!!それに私今濡れているので!」
「大丈夫ですよ!さぁさぁ!!」
無理やりバイクのサイドカーに乗せられた潤香は逃げられないかのようにベルトを締められる...
「神よ...」
「さぁ!行きますよ潤香!」
ブォン!!!!
そしてバイクのキーが刺さり、地獄のエンジン音が響き渡る...
「白蓮様!待って!」
ブォォオン!!!!
そしてバイクは境内を飛び、幻想郷の大地を走りまわるのであった...
40分後
一通り幻想郷を走り抜き、バイクは命蓮寺へと戻る...
「ふぅ!良い風でした!」
「...」
バイクから颯爽と降りる白蓮と顔を真っ青にしてサイドカーから降りる潤香...
びしょ濡れだった彼女ではあったが幻想郷の風により来ている着物は乾いている...余程のスピードだったのだろう...
「リフレッシュできましたか?潤香?」
「ええ...とても...」
口を押えながら彼女は寺の方へヨロヨロと歩いていく
「あら?どちらへ?」
「お手洗いです...う...」
そして彼女は全速力で厠へダッシュするのであった...
妖怪の山 大神境奈の場合
妖怪の山天狗の里にある射命丸文の自宅にて、とある一室で大神境奈と犬走椛の2名が将棋をしていた...
「はい...王手」
「うっ!」
盤面は椛側が不利...玉を境奈の駒に囲まれており完全に詰んでいる...これは投了するしか道はない...
「ま...参りました」
「はい...ありがと」
境奈は傍にあった一升瓶の酒を一気飲みする...何か荒れているようだ...まぁ昨日のようなことがあったのだからしょうがない...
「...ん...ふぅ...さぁ椛!後89戦するわよ!アタシの100連勝がかかっているのだから!」
「は...はい」
すでに11連敗の椛...すっかり意気消沈している...彼女も将棋は達人級の腕前であるが、こういうことに関しては境奈は秀でている...
「あやや...情けないですねぇ椛?」
部屋に入ってきたのは射命丸文...盤面を見て椛の方を半笑いで見つめる
「文さん...」
「接戦にもなりませんね...これでは虐殺です...椛?このままでは本当に100連敗しますよ?」
「ハンデあげようか?」
「...」
「勝ってくださいよ!私に貴女の勝利を見せてくださいよぉ!」
「椛~!早く~!」
境奈からの煽りに近いヤジと文からのねちねちとしたヤジが続く...
そして
「うがああああああ!!!」
とうとう椛がキレた...
「!?」
「!?」
「分かりました...次で終わらせましょう...」
「...ん?アタシの連勝を止めるというの?でもアタシの頭はまだ冴えているわよ?次の一戦で終わらせるって...」
「...終わらせますよ...ただし次の一戦で境奈様が負けたら...罰ゲームでよろしいですね?」
「あやや!!境奈の罰ゲーム!!乗った!!」
文が後方で茶化しているが、境奈の方は何故か冷や汗を流している
「ん?罰ゲーム?そんなの急すぎよ!!」
「今決めました...狐なのに天狗になっている境奈様は一度私の手でお仕置きしないといけないと思ったからです...」
「...フーンだ!!!負けなければ良い話でしょう!!」
「高を括るのも今のうちですよ」
「椛にお仕置きなんかされるわけないでしょう!!」
そして第12局目がスタートする
2時間後...
「...え?ちょっと待って...追い詰められている?」
試合の最終局番...盤面を見る限り境奈側が劣勢となっている...
「待ったは無しです...」
「むぅ...まさかの有言実行とは...やりますね」
「うぐぐぐ!!!」
境奈は盤面を見るが、頭の良い彼女ならすぐに理解ができた...
どの手をしたところで詰みになっていると...
「嘘でしょう...怒っただけでここまで戦況が変わるなんて...ねぇ?待って椛!!からかったの謝るから!」
「次の手をお願いします...」
「ねぇ?ちょっと...」
「次の手を...」
「...」
「次の手を指せ!!大神境奈!!!」
「ひぎぃ!!!!」
椛の一喝で境奈は反射的に駒を盤面に指す...
これは悪手...この駒を打ったことにより、境奈の王ががら空きになってしまったのだから...
「...王手」
椛が一手指し、これで境奈が王手を掛けられた...完全なる詰みとなった...
「あ...あああ...」
「あやや!!椛が勝ちました!!よくやりましたよ!椛!!さぁ!一緒に境奈にお仕置きを!!」
「ふん!!」
「へぶ!!!」
椛は文にボディーブローを決め、文が畳に倒れる
「文!!!」
「ここからは私がお仕置きします...文さんはそこで寝ていてください」
椛はゆるりと境奈へと近づく
「さて...罰ゲームの準備は出来ていますよね?」
椛は境奈のコートの襟をつかんで彼女をずるずると引きずっていく...
「待って!椛!待って!アタシに何をするの!!」
「大丈夫ですよ...境奈様は天井のシミを数えているだけでいいのですから」
「待って待って待って!!止めて止めて止めてー!!!」
ピシャン!
境奈の絶叫と共に障子が閉まり中では、これより罰ゲームが開催される...
妖怪の山 大神銖理の場合
妖怪の山...河童の住処にある工房こと、にとり工房の客室には、ソファーに座って不機嫌そうな顔をしている大神銖理の姿があった...
そして...その彼女をお茶の入ったお盆をもって顔を青くして見ているのは、この工房の主こと河城にとり...何やら工房内は不穏な空気に包まれている...
「...悪いね...急に押しかけちゃってさ」
開口一番に銖理が言うとにとりはびくりと体を震わせる
「い...いやいや...別に迷惑ではないよ盟友!!」
にとりはテーブルにお茶を置くが銖理はハイライトのこもっていない目で彼女を見据える
「最近は随分と羽振りが良いみたいじゃない」
「!?」
「どうしたの...何か良い商売でも見つけたのかな」
「んー?別にそこまで儲かっているわけでは...」
にとりは目を逸らすが、銖理はフンと鼻を鳴らす...
「少し話は変わるが、昨日...大神神社が強襲された...地霊殿の古明地さとりだ...何か心当たりは?」
「!!」
にとりの顔に冷や汗が伝う...彼女にとっての嫌な予感が的中したのだ...普段妖怪の山に姿を見せない銖理がここに来たということはその訳はひとつしかないからだ...
「...地霊殿からの仕事のオファーがあったこと...私達大神が知らないと思っているの?」
「げふ!!」
単刀直入...隠しても意味がないことを彼女は悟る...
銖理は懐から赤と青の鎖をテーブルに置く
「さとりからこの道具を作成するように頼まれた...そうでしょ?」
「た...確かに頼まれたさ!!でも私は言われたように作成しただけ!!別にやましいことなんてないよ!私は自分で出来ることをしただけだもん!!」
「別にそれに関しては間違っていることではない...私も物づくりだからね...それに関しては咎めるようなことはしないよ...だからね?今日はお願いがあって来たというわけ」
「お願い?」
「簡単なお願いだよ...この道具の作成を今後永久的にしないことをお願いしに来ただけだよ」
銖理の今回の目的...それはこの赤と青の鎖の作成の停止...昨日この道具により大神家は強襲を受けたのだから...
だがにとりは首を横に振る
「む...無理だよ!!来月にはそれを大量生産する工場ができるというのに!」
「もちろんその工場も白紙に戻してもらうことになるね」
「いやいや!!今回のことに関しては急には!!」
にとりの態度に話が平行線になっていることを察した銖理はおもむろに大きなアタッシュケースを取り出してテーブルに置く
「!?なにこれ?」
「大丈夫だよ...タダとは言わない」
銖理はアタッシュケースを開ける...
「な?」
「そちらとしても悪い話ではないはずだ」
アタッシュケースの中身は丸々入った金の延べ棒...その輝きににとりの目が眩む
「わ...賄賂?」
「まぁ...分かるよね?私達大神はお願いしているというわけ?これくらいなら...工場の一つ生産停止してもお釣りが返ってくる量だ」
「で...でも!!地霊殿に私は専属の仕事を受けているから!!...工場を停止させたら...」
「...それがあるか...ならお釣りは返って来ない...せいぜいイーブンか...なら」
銖理は新たなアタッシュケースを取り出して中身を開封する...それにも勿論丸々入った金の延べ棒が...
「う...」
「悪い話ではないでしょう?私達大神はね?にとりとは今後とも仲良くしたいんだよね?良い返事を待っているよ?」
銖理はそう言い残し、工房を後にする...
「...」
残されたにとりは、2つのアタッシュケースの中に入っている金の延べ棒を見て、電話を取る...
「...私だ...例の件だけど...あの工場はキュウリの漬物工場にするから...ん?急だって?例の道具に関しては白紙なの!!私も現場行くからすぐに作業して!!」
にとりは急ぎ足で工房を後にする...
どうやら...話は纏まったみたいだ...
その夜...夜雀亭にて
「...」
夜雀亭に入ってきた銖理は黙ってカウンターの席に座る...おかみのミスティア・ローレライは銖理に笑いかける
「今日はどうするの?」
「強いお酒をお願い...料理は...お勧めで」
「分かったわ」
ミスチーが厨房の奥に引っ込むと、銖理に近づいてくる人影がひとつ...
「お仕事お疲れ様~♪銖理~」
間延びした話し方としながら彼女に抱き着くのは、彼女の母親であり大神家の当主である大神暦...
銖理はジャケットを脱ぎながら顔色一つ変えずに口を開く
「...とりあえずあれで良いでしょう?暫くは私達の天敵になるものはなくなったはずだよ」
「素晴らしいわ!!流石は銖理!!お仕事できる子ママ嬉しいわ!!」
「ある意味今回のこと...私に対する罰ゲームじゃん...」
「うん?何のこと?まぁ...今回のご褒美にここの料金は私がおごってあげるから♪」
「...」
銖理は運ばれてきた酒に手をつけ、暦は彼女から離れて黒い笑みを浮かべる...
「...さて...対策は打ったが...別の保険が必要か...まぁそれは追々考えるとしましょ」
これにて大神家の後日談は終わりを告げる
PC壊れてデータとびました...
少しずつ投稿していきます
ではこれにて