はぁ...やっと帰って来たわ」
雪がちらつく博麗神社では月からやっとの思いで帰還した博麗霊夢がフラフラと境内を歩いている...
霊夢達一行が月へと行き、約1月余りの時間が経過し冬と化した幻想郷...
最後に戦っていた暦が逃亡し、霊夢達は敗北し月へと行った霊夢以外の者はすぐに帰っていたが、神を無断で降臨させてしまった霊夢は1月の間、月で神の降臨を国中で披露するという謎の役割を任命されてしまっていたため現在の彼女は疲弊していた..
「ああもう!全く疲れるわ」
彼女が境内を歩きながらぼやいていると神社の縁側には、それを見て笑っている魔理沙がいるのに彼女は気づく...
side霊夢
「そろそろ戻って来ると思ってたぜ」
魔理沙は私の姿を見て笑う...
全く...歓迎の言葉にしては薄いわね...
「...待ってたなら掃除してくれれば良かったのに」
私は神社を見る
流石にも一か月も神社を開けていたから少し汚れが目立つわね...
かー!かー!
そして烏の鳴き声...何というか廃神社の雰囲気を醸し出している...
嫌な感じ...
「あややや!やっと戻ってきましたね!」
「ん?」
神社の屋根の方を見るとそこには烏天狗である文がそこで満面の笑みを浮かべて立っていた...
「文...」
「ようやく!月旅行の話が聞けそうです!」
月旅行ね...正直良い思い出がないわ...
「特に話すことはないわ...神を降臨するのに都のあちこちで披露したりとか」
「あやや...面白みがない」
文は隠しもせず溜息をつく...
この天狗...
「特にないわよ...本当に!何となく見覚えがある奴を見た気がするけど...あ!そういえば暦はどうしたのよ?」
私の問いに魔理沙も文も気まずそうに目を背ける
「雪が強くなってきましたね」
「そうだな!」
彼女たちはごまかすように遠い目をする
「ねぇ!何かあったの?」
「あ!そういえば人里の甘味処に新メニューが出来たらしいですよ!」
「マジで!今度行くかぁ!!」
「アンタたち!いい加減にしなさい!!」
私の一喝に魔理沙たちは怯む
「は...はい!」
「答えなさい...で?もう一回聞くわよ?暦がどうなった?」
魔理沙たちは目を背ける...
「大神家に行けば分かるかも...」
「一回お邪魔しましたが...かなりきているかと...」
「分かったわ!」
私は大神家へと飛ぶ...
暦に一体何があったのだろうか?
大神神社につき私は庭へと着陸する...
暦の屋敷か...前に一回来たことあるけど広いし入り組んでいるのよね...
「失礼するわよ~」
私はとりあえず居間へと入る...
誰かしらいるでしょ...
「おや?今日は来客が多いな」
「...」
居間につくとそこには炬燵の中に入っている大神家長女の華楠がいた...
炬燵から頭だけ出していて、もはや炬燵+カタツムリ=こたつむりとなっている...
そういえば...華楠は冬の間屋敷に籠っているとか言っていたわね
「暦に会いに来たんだけど?」
私の言葉に華楠は目を背ける
「...そう...だが今の母さんはふさぎ込んでしまってな...私たちもどうすればいいか...」
「私が行くわよ...あの子とは一応付き合いは長いし!!」
そう...赤い霧異変の時から暦はずっといた...
色々としてもらったし今度は私が彼女を助ける番よ!
「そうか...君に母さんを任せようか...」
華楠は炬燵に入ったままの状態で尾を伸ばし襖を開け廊下にかかっているランプが赤く点滅しているのを見て溜息をつく...
「...母さんの部屋はここを左に進み突き当りを右に...そして次の分かれ道を右に進み次の三叉路を左に...そして次は3つの扉があるから前にいる土狐の中で誰が本当のことを言っているか判断して正しい道を進んで...あ...そうそう...部屋や道を間違えたら問答無用でピチュるから間違えないように...」
華楠は死んだような目で長文を淡々と答えるがいくらなんでも長すぎるわ!
「あー!!長いわ!!覚えられないわよ!!何でそんなにセキュリティが無駄に高いのよ!!」
「昔の名残だ...大神神社は元々銖理が作ったカラクリ屋敷...セキュリティだけはすごいんだ...」
華楠は炬燵に入ったまま遠い目をし壁にかかっているランプを尾で示す...
「そしてそのランプが今のセキュリティランクを決めている...青=セキュリティOFF・黄色=いたずら目的・赤=緊急事態用と」
今のセキュリティは赤じゃないの!!
「何で?緊急事態用に?」
「母さんが誰にも会いたくないと...」
「解除方法は!?」
「私は絡繰りには詳しくない...銖理に聞け...」
「その銖理は!!?」
「知らん...」
「もう!これじゃあ暦に会えないじゃない!よく毎回彼女は自分の部屋に戻れるわね!!」
「母さんの幸運の力のおかげもあるな...」
華楠は炬燵に深く潜るが私は彼女の尾を掴む
「アンタも来るの!自分の母親でしょ!」
華楠は弱々しい抵抗をする
「嫌だ!炬燵の外寒いもん!!」
只の駄々っ子と化してしまった華楠の尾を私は強く引っ張る
「いいから来る!!」
「いやぁ~!」
「そこまでです!霊夢さん!!」
突然襖が開き外から早苗が入ってくる...
「早苗...」
「あれ?来てたのか?早苗」
「駄目ですよ!華楠さんは寒いのが苦手なんですから!!」
早苗は私が掴んだ尾を離して体が自由になった華楠はまた深く炬燵へ入る
「ぬくぬく~♪」
「ふふ」
腑抜けた顔になっている華楠を見て早苗は微笑んでいる...
ここにいても埒があかないわ...
こうなればこの奥に向かうだけよ...
「じゃあ私は奥へ行くわよ...」
私が奥へ行こうとすると早苗が私の手を掴む
「待ってください!私も行きます!」
「...何でアンタが?」
早苗は華楠と同じ遠い目をする
「諏訪子様達が暦様の様子を見に行ってやってくれと...」
...早苗も私と目的は同じか
早苗は更に続ける
「私たちの目的は同じです!一緒に参りましょう!霊夢さん!」
「わ...分かったわよ」
私たちは居間にいる華楠を置いて屋敷の奥へ進む...
華楠の独り言を聞き逃しながら...
「そういえば...他に誰か来ていたような?」
次回...風雲大神カラクリ屋敷
ではこれにて