思い出したのは鬼になってから   作:アステカのキャスター

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 こんにちはアステカのキャスターです。
 大変唐突に鬼滅の刃を書きました。とりあえず3話分は書きます。それがお試しと言う形で続けるか判断します。
 前の『始まりの退魔四家』から違う恋愛要素が欲しかったので書きました。不定期で通信授業で忙しい中で書くので微妙かもしれませんがよろしければ感想、評価お願いします。では行こう!!




第壱話

「なんで……」

 

 

 今宵は満月、我妻善逸と少女は白い花が咲くこの場所で月見をしようと約束した。夜の事だった。いつも稽古から逃げている善逸に、この花畑でいつも花のように笑う少女。

 

 

「なんで……!」

 

 

 月は少し隠れていた。風に流されて徐々に月明かりが少女を照らす。そこに居たのはバラバラに引き裂かれた血肉と、一部が赤く染まった花畑。

 

 

「なんでなんだよ……!?」

 

 

 目を擦っても現実は変わらない。

 善逸に背を向けて血溜まりの花畑に立っていた見覚えのある着物。

 

 ただその音はいつも優しかった少女のものではなく、それはまるで……

 

 

「なんで君が鬼になってんだよ?! 愛菜(まな)ちゃん!!」

 

 

 そこに居たのは善逸が良く知る少女の姿。

 長い爪で少し伸びた歯牙、白い着物が血で染まり、綺麗だった琥珀色の瞳は見た事がないような紅色に染まっていた。

 

 悲しい音をして見下ろす鬼の姿をした少女だった。

 

 

 

 

 

 ★★★

 

 

 

「ぎゃあああああああ! もうやってられっか!!」

「待て善逸! 逃げるんじゃないわい!!」

「い゛ぃいやぁぁぁぁあああ!!! 流石に無理だって! 無理無理無理!!! 俺家出します!! 今までお世話になりました!!!」

 

 

 全力で逃げる俺を追いかけようとする爺ちゃん。爺ちゃんなんで片方義足なのにあんなに速いの!? と絶叫しながら俺は逃げた。

 

 今更ながら、一つも型を覚えられない自分に嫌気がさして逃げ出した。足腰は鍛えられた、爺ちゃんの言われた事全て拒否しながらもやってみせた。

 

 けど、兄弟子の獪岳は壱ノ型以外は使えるのに、自分だけは壱ノ型どころか他の型すら使えない。そんな自分に嫌気がして、遠くに、ひたすら走って涙を流しながら逃げた。

 

 

 

 

 

 

「ハァ……ハァ……ハァ……」

 

 気付けば後ろに爺ちゃんは居なかった。

 ただ自分がいた所を見渡すと、そこは深い森の中だった。

 

 

「ハァ……ハァ……」

 

 

 息切れが辛い。

 身体中から汗が出て、今すぐにも水が飲みたい。当然水筒など持っていない。丸腰で逃げたのだから当然だった。

 

 

「アレッ…………?」

 

 

 視界が歪む、身体が思うように動かない。

 爺ちゃんから1時間以上逃げてたせいで、脱水症状を起こしていた。身体を動かそうにも動かない。このまま気を失ったら死ぬ。

 

 

「(ヤバい……死ぬ……誰か……助けて……!)」

 

 

 叫ぼうとしても声が出ない。

 喉がカラカラなせいで呼吸すらままならない。俺は重い瞼を閉じて気を失いかけた。

 

 その時、優しい音が聞こえた。

 澄んだような優しい音、死ぬ前の幻聴だと思いながらも遠のいていく意識に身を委ね……

 

 

「あの……大丈夫?」

 

 

 瞼が開いた。

 そこに居たのは白い髪の琥珀色の瞳をした女の子がいた。少女は首を傾げながら俺に問いかけている。

 

 

「–––––!! –––––!?」

「声が出ない? ……水飲む?」

「!!」

 

 

 神様! と思い、少女が差し出した瓢箪の水を飲み込む。飲み込んだ水は人生で飲んだどの水よりも美味しく感じて、体の至る所に吸収されていくようだった。

 

 瓢箪の水を全て飲み干すと、歪んだ視界が元に戻り、身体は再び動けるくらいにはなった。その事に涙しながら俺は叫んだ。

 

 

「ぶっは……!! た、助かった! 生きてるって素晴らしい!!!」

「あ、あははは。大丈夫ですか?」

「ありがとう! ほんっとありがとう!! 死ぬかと思っ、いや死を覚悟したくらいだったから!! ありがとうございます女神様!!」

 

 

 両手を握って感謝の意を示す俺に対して少女は少し引いていたが、朗らかに笑っていた。女神様! と叫ぶ俺に聞こえてきた音は少し動揺していて、呆れたような音だけど。

 

 それと同時に、とても聞いた事がないくらい優しい音だった。

 

 

 

 ★★★

 

 

 

 

 

 私の名前は望月(もちづき)愛菜(まな)

 

 ちょっとした鍛冶屋の娘だ。

 

 私は日輪刀と言う刀を作る家系に生まれた流れ者だった。鬼殺隊に必要な刀、鬼を殺す為に必要な刀を作る家系だ。

 

 

愛菜(まな)。この刀はね。一年中、雨が降らずに晴れ続けている山で––––」

 

 

 ただ、不思議なのは日輪刀や鬼殺隊と言う言葉を聞くと、自分の知らない情報が頭の中に流れる事だ。

 

 何故かはわからない。私が何かを忘れているのか、分からないけど知っていた。

 

 その知識の中に、呼吸という技が存在していた。それを使えば基礎体力が上がるとの事で、刀を鍛つ際にも役に立つらしく。頭に浮かび上がるイメージで全集中の呼吸を使うようにしたが、体力が無い状態では酸欠で死にかけたから、体力はつけようと思った。

 

 鍛冶屋の修行の日課を終わらせて、近場の川で水を汲み、お気に入りの場所で手作りのお団子を食べようと森を走って進んでいたが、その道中で何故か倒れている黄色い男の子を見つけた。

 

 

「…………?」

 

 何故か分からない。

 分からないが、()()()()()()()()()()? 

 

 

「あの……大丈夫?」

 

 

 そんな不思議な既視感がある中で、呼吸が止まりそう。死にかけてる。

 

 

「–––––!! –––––!?」

「声が出ない? ……水飲む?」

「!!」

 

 

 水を汲んだ瓢箪を渡すと、彼は瓢箪の全ての水を飲み干して、感謝し出した。

 

 

「ぶっは……!! た、助かった! 生きてるって素晴らしい!!!」

「あ、あははは。大丈夫ですか?」

「ありがとう! ほんっとありがとう!! 死ぬかと思っ、いや死を覚悟したくらいだったから!! ありがとうございます女神様!!」

 

 

 両手を掴まれて迫る顔に思わず動揺と、何故か呆れがあったせいか。気付かぬ内にため息をついていた。

 

 

 

 

 

 

 その男の子の名前は我妻善逸と言うらしい。将来鬼殺隊に入る為に修行しているらしいが、どうしてこんな場所に? と聞いた瞬間、彼は泣いた。

 

 突然の事に動揺した私は少し慰めてから、落ち着いたようで、見つけた近場に丁度いい岩があり、私も善逸くんも座る。4本あった団子を差し出すと美味しそうに食べていた。

 

 

「俺、爺ちゃんに教わった型が全く身に付かなくて……それで逃げちゃって……」

「それはどんな技なの?」

「えっと、雷の呼吸の基礎、壱ノ型なんだけど……霹靂一閃って言って、それが目に負えないくらい速くて……」

 

 

 ドクンッと、心臓の鼓動が高鳴る。

 まただ。また、自分が知らない情報なのに、()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「よっと……」

「えっ、どうしたの?」

「霹靂一閃って……物凄い速い抜刀術?」

「う、うん。そうだけど……」

 

 

 分からない。

 どうして分かってしまうのか分からない。

 けど、()()()()()()()()()。呼吸の音も、構えも、踏み込み方も。

 

 自分の身体の寸法をきちんと把握して、それら全てを認識する。筋肉の繊維一本一本に空気を巡らせる。常時、全集中の呼吸はまだ出来ないが、力を足だけに溜めて……

 

 

「–––––」

 

 

 一息に爆発させる。

 空気を切り裂く雷鳴みたいに。

 

 雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃

 

 

「はっ……?」

 

 ヒュオッ、と風が通り過ぎていた。

 善逸は唖然としながら口をポカンと開ける。気が付けば愛菜は岩場から数十メートルを超高速で駆け抜けていた。

 

 

「う、嘘でしょ……」

「––––で、出来た?」

 

 

 善逸くんが驚愕していたが、自分も驚いていた。今のは間違いなく霹靂一閃だ。見た事ない型にも関わらず、空気を切り裂くような速さに自分でも驚愕していた。

 

 刀は持っていない。

 けど、今のは間違いなく基本の型である霹靂一閃の踏み込みだったらしい。

 

 

「も、もしかして愛菜ちゃんって……とんでもない天才?」

「えっ? い、いやいや違うから!」

「でも今のって間違いなく霹靂一閃だよね!! 聞いただけで出来てるからね!? 天才過ぎない!?」

 

 

 何故か出来てしまった霹靂一閃に私はまだ熱を隠せないでいた。逆に、なんで俺は出来ないんだと卑下する善逸くんに私はオロオロとしながら、慰めようとするが、逆効果だろう。

 

 

「あ、あの。良かったら教えようか?」

「……えっ?」

「霹靂一閃……だっけ? 踏み込み方とか、意識する事とか」

「お、お願いします!!」

 

 

 即答して私の肩を掴んで叫ぶ。

 ちょっと顔が近い! とビンタしてしまったのは多分悪くないと思う。

 

 まあ、それが私と善逸くんの出会いだった。

 

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