地獄を見た、地獄を聞いた、地獄に降りた、地獄を作った、地獄を―――渡った。
「敵接近!!」
「戦闘隊形を崩すなよ、みんな分かってるな?」
「ああ分かってるぜ!!」
「ええ、未来に繋ぐために戦いましょう!!」
「あの人を守って死ねるならこれほどまでに嬉しい事なんてないぜ!!」
我らは家族、我らは戦友、我らは兄妹、その絆は例え死であっても断ち切る事なんて出来ない。戦場を渡り続け人類の為に戦い続けるのが使命。それが自分達に課せられた運命、それを喜んで受け入れ飲み込んだ、荒れ狂った嵐の中だろうと嬉々として飛び込んで銃を握りトリガーを引き弾丸で命を奪い続けた。
『まだ残っているのか、急げ本艦は間もなく発艦する!!』
「いいえ我々には仕事が残っていますのでお先にどうぞ」
そう言い残し、通信を切った。きっとあの艦長は自分達にも生き残れと言うだろう、いや意思を尊重して幸運をというのだろうか……恐らく後者だろうがそんな事を言われたら嬉しくて照準がブレてしまうかもしれない。だから切ったのだ。そんな行いに仲間が笑った、そして銃を握りしめた。
「さて行こう、残ってるのは―――ノーブル6と俺らか……さあ最後の獲物は俺達で総取りだ……行くぞ!!」
『yes sir!!』
時に2500年代、人類はワープ技術を確立させ銀河中に生活圏を広げていた。問題と言えば植民地惑星などで起きる反乱程度。人類は癌にも打ち勝ち、遂に大昔の人々が夢見続けてきた宇宙の大開拓時代が始まっていた。正しく夢に溢れた星の海への船出。だが人類は突如として史上最大の敵と敵対する。
人類は神を冒涜する者である、そう宣言するや、コブナントと称するエイリアン連合が戦争を仕掛けてきたのである。人類よりも遥かに技術で勝り、凄まじい兵器や戦艦などを用いる彼らは命すら顧みない。コブナントに人類は惨敗を重ね続けてきた。
人類に与えられている希望、それはスパルタンと呼ばれる特殊改造を施された兵士らであった。彼らは専用のアーマースーツ、ミョルニルアーマーを纏い勇敢に人類の為に奮戦した。スパルタンらによって齎す地上戦の勝利は勝利というにはあまりに僅かで苦しい物であった。だが宇宙戦では一方的な敗北を続け戦線の後退をせざるを得ない人類にとっては希望であった。
だが―――コブナントの魔の手は奥深くまで伸びた、植民地惑星の中心と言える惑星リーチ。地球に次ぐ重要な星とされているこの星にもコブナントが攻撃を開始。宇宙から行われる地表をガラス化する程のエネルギーによる砲撃、身体を焼くプラズマ兵器、リーチは瞬く間に戦場となり、死へと走り続けていく。
胸を光の刃が貫いた、それはコブナントの最高戦力、エリート族の価値観故。彼らは出血を不浄の者とする、彼らはプラズマを主武装にしその攻撃によって傷口は焼かれる。だがそれだけではない、全滅したチームのリーダーであるスパルタンの止めを刺す際にエリートはライフルを投げ捨てエナジーソードを抜刀し突進、長い格闘戦の末にスパルタンを貫いた。
「―――っ……」
何を言っているのか伝わっていない、胸を貫けてもなおスパルタンは腰にあるナイフへと手を伸ばし突き立てようとするが……刺さる寸前に力が抜けその瞳に前にてナイフは停止した。
『―――、―――』
その行為を見届けたエリートは完全に仕留めたスパルタンを地へと下すと咆哮を上げた後に最後に残ったスパルタン―――ノーブル6へと向かって行く。ソードはエリートの象徴、それを使い相手を殺す事は彼にとって戦う相手への最大限の称賛と敬意。あの咆哮も戦い続けた戦士への弔砲……それに近い物なのだ。
バイザー越しに最後に映っていたのは―――最後までライフルを握りしめ、地を駆け、敵をなぎ倒し、迫りくるソードを構えたエリートと戦う同じスパルタンの姿だった。
その戦いは決して無駄などではなかった、ノーブル6らスパルタンの奮戦によって植民地惑星の中心地であったリーチから人類の希望が飛び立った。それは文字通りの希望となり長きに渡る戦争を終結させる大きな輝きとなった。歴史は確実に受け継がれた、そして―――人類は救われたのだ。彼らの勝利は後僅かだったというのに……だが彼らはリーチに消えた、肉体もアーマーも全てガラスのように砕け散った。残ったのは彼らの勇気、勇気の炎は灯り続けた。不死身の兵士、スパルタンの勇気が未来を作った。
スパルタンは不死身だ、奴らは……行方不明になるだけ―――そう、行方不明になるだけ。
惑星リーチにて最後まで戦い続け、最後はエリートのソードによって胸を抉られて尚戦おうとした戦士は敬意をもって葬られた。そこで彼の命は終わり、彼は星をも焼き尽しガラスと化してしまう程の光に飲まれてしまった……。
―――筈だった。
「あれなんだろこれ、えっクレーターって……落ちてきたって事?でも反応とかなかったのに……ってえっ何これパワードスーツ!?」
命運が尽きたスパルタンは新たな戦場に身を投じる事になる、運命は未だスパルタンに戦いを強いる。そしてスパルタンはその戦いに身を投じ戦い続けていく。だが彼にあった目的は既に無くなりスパルタンは何を見つめるのか。世界を見つめ何を成すのか。
「ねぇねぇスパちゃん、宇宙って……やっぱり綺麗なの」
「……ああ、数多の星々が作り出す無限の天海。だが一番美しいのは……この地球だと思っている」
一人の女科学者と人類の希望と言われた戦士、その二人の道は重なり合うのか……それは誰にも分からない。