IS×SPARTAN   作:魔女っ子アルト姫

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セシリア、一夏叫ぶ。

他者の顔を窺わず堂々と己を出し勇ましく、媚びる眼差しをせぬ男としか結婚しない。そう父を見て誓っていた。名家に婿入りした故に退き目を感じているが故に常に母の顔色を窺っていた父、それを見て自分はそう思っていた。そんな男との結婚を望みながらも内心そんな人間が今の情勢下(女尊男卑)で居るのかと疑問に思いながら諦め足を向け、踏み入れようとしていた。

 

「―――あの方の瞳は、何処までも真っ直ぐで私程度を対等に……」

 

自身の専用機の修復が必要とされたので彼女は自室に戻り熱めのシャワーで汗を流した後にベットに腰を下ろしながら脳裏に残り続けている事を思う。今日、彼女は完敗したのだ。篠ノ之 束から送り込まれたという謎の存在であるスパルタン-S-073、男である存在が自分達を指導するという事に腹を立てた。その授業の内容の素晴らしさにも腹が立った。自分のちっぽけなプライドがそれを許そうとしなかった、愚かしい事に。

 

彼には自分を追いつめる権利があった、篠ノ之 束と繋がっている事は千冬から明らかにされていたのに自分は侮辱を投げかけた。自分を地の底に叩き伏せて嘲笑う事もしてよい筈なのに、彼はそんな事はせずに瞳を合わせ自分の多くの行いを当然だと言い、これからの練習と反省にして成長に繋げようと言ってくれた。頭を、優しく撫でてくれた。

 

「先生……」

 

彼の事を思う、同時に胸に更に強い熱が灯る。火照っていた身体は冷え始めているのも関わらずその熱は自分の身体と心を熔解させるかのような強い熱を放ちながら自己主張をやめない。その熱が戦う彼の姿を想起させる、自らの全力と向かい合ってくれた真摯な姿を映し出す、まるで―――理想の男性が顕現したかのような彼の事を考えずにはいられなくなっていた。

 

「先生、ああっこの思いは禁断なのかもしれません。ですが私はこの思いを捨てる事など、出来ません……この思い、受け取っていただけるでしょうか……?」

 

セシリア・オルコット、彼女が抱いた艶かしくも業火のような熱情は収まる事を知らずに更に大きくなっていった。

 

 

「……」

「あ、あの織斑君そのえっと……」

「うがぁぁぁぁぁブレード一本だけとか修羅過ぎんだろがぁぁぁぁぁっっっ!!!!!」

 

セシリアと073との試合後、漸く一次移行(ファースト・シフト)が完了し完璧に一夏専用のISへとなった機体、名前を"白式"。それを纏って勇んで073が待つアリーナへと飛び出したのは良いのだが……そこで判明した衝撃の事実、彼のISの武装は雪片弐型という名称のブレードがたった一本だけ。外付けの武装などは無く、単純に高機動近接特化型……というしかない機体セッティングに流石の一夏も絶句し073は何かの冗談か何かだと思った。ところがどっこいマジで剣一本だけがISの中にぶち込まれているだけだった。

 

「ま、まあ一夏落ち着くんだ。千冬さんだって現役時代は同じだったんだ」

「俺と千冬姉を一緒にすんじゃねえよ箒ぃ!!お前だってそれは分かってるでしょうがぁっ!!」

 

箒は幼馴染である彼を何とかなだめて冷静にさせようとするのだが、余りのショックに一夏は先程から叫びまくっている。流石の千冬も強く咎める事は出来ない、改めて現役時代の自分もあんなセッティングでやってたなと振り返ると本気で思うのだから一夏が同じ状況になったら叫んでもしょうがない。

 

「酷くね、俺スパル先生に銃の撃ち方とかコーチして貰う予定だったんだぜ。スナイパーライフルとか撃たせてくれるって言ってくれたんだぜ、俺興奮したよ。俺FPSだとスナイパーばっかりだったからさ、マジで興奮したんだよ。シモヘイヘの凄さ分かるのかな、とか思ってたんだよ。それで山田先生との訓練機での訓練でも射撃成績そこそこだったから猶更期待してたんだよ俺。それなのにこの仕打ちはねぇだろぉぉおおおお!!?」

 

正しく魂の叫びだった。ブレード一本だけと分かってそれでも何とか073に果敢に戦いを挑んだ、真耶との訓練は決して無駄ではなく初心者としては非常に上出来なレベルで滑らか機動を描きつつ初めて動かすISをそれなりに動かせていた。だが073からすれば撃ち抜くのは容易くあっという間に撃ち抜かれて終わった、懸命にブレードで弾を防いだり瞬間停止から急加速などをして彼なりにベストを尽くしたが……流石に無茶だった。

 

「え、えっとそのだ、大丈夫ですよ織斑君!!機動面はトップクラスですからそこを磨いて一太刀を入れる感じにすれば……」

「それをさっきやろうとしてハチの巣にされたんすよ俺、この機体セッティングにして専用機完成させた奴は何処だぁぁぁ!!!そいつはクビだぁぁぁぁ!!!!」

「お、落ち着いてください織斑君!?美食倶楽部の経営者みたいになってますよ!?」

「大丈夫だ一夏何だったら私が姉さんに相談して手を打ってもらうから、頼むから落ち着いてくれぇ!!」

「チクショメエエエエエ!!!」

 

最早半泣きになっている一夏を箒と真耶は必死に慰め続けた。それを見た千冬はまさか研究所が自分の弟だからという理由だけでこんな事にしたのかと悪い予感を感じ、束と073に相談して直ぐに一夏のISの調整をお願いする事にした。結果として完全に変える事は出来ずにミョルニルアーマーのように武装を外付けにする事で射撃武器を搭載する事に成功した。ハンドガンとアサルトライフルのみだが、一夏は両手を上げて大喜びしたという。

 

「流石にスパルタンでも剣だけって人はいなかったよね……」

「ナイフファイトとかが得意というのはいましたけど流石に……」




マスターチーフに関して。

「UNSCのあらゆる人員がチーフの経験とカリスマ性に敬服しており、階級を遥かに凌ぐ権威を認めている」とされる程にS-117は英雄として認知されている。
初期はその非人道的な出で立ちから彼を嫌うものも少なくなかったようだがコヴナント戦争や数々の戦いを通して人類を救い続けた彼の評価は今や揺るぎないものとなった。

チーフをデザインした人形なども販売されているらしく、文字通り人類すべての大英雄と言って差し支えないだろう。
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