出会いと別れの春も終わりへと近づいていく春下旬、季節は紡いだ関係を発展と深める夏へと。清々しい空気が徐々に湿気と熱気を持ち始める季節の変わり目、世界的にイレギュラー且つ異常な場所でもあるIS学園も同じように生徒達に変化という成長は訪れそれら受け入れて前に進めている。そんな季節の中でも変わら無い光景も存在する、例えば―――教鞭をとっているミョルニルアーマーを纏ったスパルタンとか。
「ウォーミングアップは以上と、これよりIS基礎機動訓練へと移行する。これより訓練機である"打鉄"か"ラファール・リヴァイブ"へと搭乗して貰って基本的な物から初めて貰う。その前に専用機のお手本を見せて貰う、オルコットに織斑、手本を」
「分かりましたわシエラ先生!!」
「分かりましたスパル先生」
本来の任務とは違うが軍人である為か授業の質や授業を受けた生徒らからの評判の良いのか徐々に授業を受け持つ量が増えている073。数をこなせばそれらしくなるのか以前よりも教師らしくなり言葉遣いなども慣れてきた。そんな彼の呼び名は一夏のようなスパル、それはセシリアのシエラ先生というものに統一されつつある。少数派としてスパゼというものもあったりする。日本に多い様々な物の呼び方を省略するものに流石の彼も首を傾げたりもした。
二人は指示を受けてISを展開、共に飛び上がっていく。同時に二人に指定高度を送信してその地点まで上昇するように指示を出しつつ073自身もISの機能を使用した習熟訓練に頭を使っていた。彼自身ISの知識は束に叩きこまれているがいざ使うとなると別の話、千冬から見ても十二分な応用などが出来ているが彼からすればまだまだミョルニルアーマーと同じように使用出来ていない感覚が強い、故に一夏の指導は彼自身の訓練にもなるので結構助かったりしている。
「指定高度到着後に急速降下、完全停止。目標は地表から10センチだ」
指示を飛ばすとポイントに到達したセシリアから先に降下体制へと入った。一夏も上達こそしているが矢張りまだまだセシリアには及ばず、速度という観点で言えば"白式"の圧勝にも関わらずに彼女の後ろを飛んでいた。それでもスムーズな軌道を描けているので及第点だろう。そんな彼女は急降下していく、流れ落ちる雫のような優雅さと美しさを身に纏いながら地表へと迫っていく、指定された10センチピッタリに完全停止をやってのける。
「流石は代表候補生、見事な完全停止だ」
「お褒めに預かり光栄ですわ、ですがこの程度このセシリア・オルコットからすれば当然ですわ!!半分でも行けましたわ!!」
「それは頼もしい、それはまたいずれ見せて貰おう」
「はっはい必ず御覧に入れて見せます!」
と心から嬉しそうな声と笑顔を浮かべている彼女、キラキラと輝いている瞳と笑顔に073は素直に真面目で優秀な生徒で手が掛からなくていいと思っている。が周囲の女子らはおんやぁ……?と何やら怪しい瞳を向けている、中で空中からまるで天へと向かうロケットのような勢いで迫ってくる一夏が見えた。その勢いを本当に殺し切れるのか、心が恐怖に耐えられるのかと思われる中で一夏は完全停止をやってのけた……が10センチではなく、25センチ程の位置で止まっている。彼は身体の向きを直しながら地面にヘタレ込むように腰を下ろした。
「……こ、怖えええ……」
「怖いと思えるのは立派な事だ」
思わず出た言葉で一夏を叱らず褒めた。顔を上げると手を差し出してくれている073がいた、その手を有難く取りながら立ち上がった。
「皆も分かったとは思う、ISというのは大きな力を秘めている。単純な飛行の力の向け方でも今のような事が出来る。そしてそこへ様々な武装などもある、皆はそれらを確りと理解し歩めるようにならなければならない」
IS学園には憧れなどで入る生徒も多い、IS操縦者というのは基本的に肌にピッチリと合うISスーツを着用する。それは彼女らがアイドルのような物を兼ねるから容姿を見せるような意識があるから、故かこの学園にもアイドル志望のような生徒も多く、退学する生徒も多いと千冬は嘆かわしいと呟いていた。
「皆が行うべきなのは恐怖を抑えるのではなく恐怖を理解しそれを自分のものにする事だ。恐怖は人間には必要な物だ、恐怖が無ければ危険を避ける事なんて出来ない。だが恐怖を知りそれらを自分のものにしたとき、それらを冷静に捉え対処出来る」
そう言いながらハンドガンを取り出し彼は自らのこめかみへと押し当てる、生徒らからは悲鳴のような声も上がるが彼は一切揺るがず落ち着き払っている。
「質問だ、何故君らは悲鳴を上げて恐がった」
「だ、だって下手したら死んじゃいますよ……!?」
「そうだ。銃は何かを撃ち抜き殺す暴力だ、だが私はそれを恐れない。何故ならば銃を知り撃ち方を知っている、私はトリガーにすら指を掛けていない」
そう、彼はそれを知っている。故に恐れない。彼女らもよく見て見ると073が指を掛けていない事が分かった、ISを纏っている一夏とセシリアは細かい部分まで拡大する事が出来るためか撃つ気が全くない事を知って慌てる事もなかった。流石に一夏は小さくィィッ!?と声を出したが。
「恐怖を知るというのがこれだ、直面したものへの理解と対処法を深める。それらは君たちに大きな力を勇気を与える、勇気を持った人は比類ない力と魅力を手に入れる。勇猛で凛々しい人への憧れとはそこにある、私は君達がそんな人物になりえるような手伝いをしていこう―――済まない少々説教臭かったか」
と話を切ったが直後に大きな拍手と喝采が帰ってきた。恐怖を否定し塗り潰すのではなく、恐怖を理解しそれを自分の一つにして前に進む原動力の勇気と化す。そしてそれを得た人物がどれほど魅力的なのかも語られた、それらを聞いて彼女の中には073への尊敬の心がより一層大きくなり、自分もそう成りたいという思いが生まれた。
「せ、先生私頑張ります!!」
「うんうん怖がる事を分かってあげるなんてなんか素敵!」
「そっか織斑先生がカッコいいのってそういう事なのね!!」
「なんて素晴らしいお言葉なのでしょうか……ぁぁシエラ先生、私はより一層、先生への想いが……ぁぁいけませんわもっと虜に……」
「か、かっけぇっ……かっけぇっ!!マジで尊敬するぜスパル先生!!」
「分かって貰えたなら良い、その為には訓練と失敗を繰り返そう。訓練で得た失敗を理解し得たものを成長に変えて一歩一歩前へ、さて授業を再開しよう」
『はい先生!!』
ノーブルチーム、惑星リーチでの戦い
6名のスパルタンから構成される
惑星リーチにて奮戦した部隊、コブナントの侵攻を受けながらも最後の最後まで戦い続けた英雄たちだが、一名を除いて全滅している。
その内の一人、ノーブル6は073と同じ地点にて彼が指揮するファイアチームが全滅した後も最後の最後まで戦った、最後まで生き抜き、スパルタンであり続けた。その戦いぶりからもしもチーフの隣に彼が居たら……と思わずにはいられない
スパルタンはコヴナントに「悪魔」と呼ばれている。だがそう呼ばれるようになったのは実はHALO本編ではなくReach。簡単に言えばチーフ率いるブルーチームがランボーとコマンドーを足して割らない様な大暴れを演じた為である。
UNSC側被害 兵員 3億8千万人以上、民間人 7億人以上が死亡
コヴナント側被害 投入した艦艇総数の2/3以上 地上兵力の大部分