IS×SPARTAN   作:魔女っ子アルト姫

18 / 74
転入生、遭遇。

「ご苦労だな生徒人気が鰻登りなスパル先生、先程も良い授業をしたようだな」

「織斑女史、鰻登り……とは?」

 

要請を受けた荷運びをしながらチェックをしている千冬が良い笑顔を作りながら良い玩具を見つけた猫のような調子で語り続けてくる。教師など気が進まない、上手くできるのかと不安になっていた073だが一ヶ月程度で一組では大人気の教師、他のクラスでも見事な手腕と褒め上手な先生だと評判になっている。上の学年の生徒も教えて貰いたいと一部では漏れている程だ。

 

「何、見る見るうちに昇っていくという意味だ。日本語にはこのようなものが多いと知らんかったか」

「皆目。学習項目が増えました」

「ならばもっと勉強しておくといい」

「はぁっ……」

 

少しばかり困ったような声を浮かべた後に引き続き荷物運びに戻る073、彼の仕事振りには感謝しか出ない。軍人であるからこそ体力や精神力などは自分達とは桁違いなのは理解しているがそれでもあそこまで自己を抑制して他者の為に尽くせるとは思えなかった。任務だから、の一言で片付けながら追加の仕事を振っても文句一つ言わず自己主張も特にしない。納得しているからこそだろうが……だからこそ千冬は少しだけ不安になっていた。

 

「束から聞いてはいたが……その様に長い事過ごしてきた弊害か……」

 

一部の女尊男卑思想の生徒らは彼に対して好ましくない反応を示しながら失礼な態度を取り下に見るような態度を取っているのに、彼はそれを一切取り合わず無視かあしらうような事をし続けている。彼の凄さが伝わるごとにそれは鳴りを潜めているがそれでも彼に対する悪意は存在する。束の影響下にある為に表立っての事を控えたとも言えるが。一切取り合わないそれに違和感すら覚えている。

 

スパルタンⅡは反乱軍を鎮圧し全UNSC市民に奉仕する事を教育されている。故に彼が千冬らの頼みを聞き入れ活動を行う事は全くもって当たり前の事なのである。そして元々スパルタンが対処する相手は反乱軍、つまり同族である人類。それらに対する最終兵器、それこそがスパルタン。そんな経緯もある故か073にとってその程度の風潮で踊らされ殺意すら抱かず殺しにかからない少女など小動物が威嚇する程度にしか映っていないのである。

 

「……スパル、今日の夜頃に一組生徒らが織斑の代表就任パーティを催すようだ。それに参加せんか」

「警備巡回があります」

「いやそれは私が変わる、お前が出た方が奴らも喜ぶだろう。旨い飯は期待出来んだろうが生徒らとの交友にはなるだろう」

「遠慮させて頂きます」

 

そう言って最後の荷物を担ぎ上げて歩みを進める彼にダメか、と肩を落とす。彼は何があっても素顔を晒す事を絶対にしない。元々スパルタンの素顔は軍事機密事項、もう既に束にミョルニルアーマーにスパルタンⅡ計画などの情報を渡している状態なのに機密事項も無いだろうとも思うだろうがそれでも彼は顔を晒す事はしない。食事も一人で行う、決して混じらない。それは彼自身の存在がこの世界と隔絶している事を示すかのよう。

 

「束、奴は一体何があったんだ。私にすらわかる、奴は唯の軍人などではない……奴が私らへと向けるのはまるで―――平和を謳歌する者を慈しみ守ろうとするような優しさのあるものだぞ……」

 

結局、彼はパーティへの出席は行わなかった。警備巡回ルートを只管に巡回し警備をし続けている。レーダーにモーショントラッカーなども併用して殆ど戦場に立っているような状態と心持ちでそれに臨んでいた。アーマーの機能がOFFにならなければ彼が傷付く事はほぼなく、例えEMPによってシールドが落ちたとしても元々ある装甲などを貫くにはこの世界の技術力では不足している。それでも彼は任務に忠実に巡回をし続ける。

 

「……どう過ごせば良いのか分からない」

 

任務があるというのもそうだがそれ以上にパーティなどという場でどのようにすれば良いのか全くもって分からない。スパルタンとして生き、スパルタンとして死んだ彼としてはそのような事は酷く難しかった。

 

「ああもう何なのよこのメモ、というかなんでメモなのよふっつう確り見取り図が印刷された物とか渡すでしょ!?それなのに何でメモなのよこんなの絶対可笑しいわ!!!」

 

と巡回中に何やら酷く騒いでいる女子を発見する。栗色の髪をツインテールにした小柄で活発そうな少女、そんな彼女は手にしているらしきメモに文句を述べながら苛立たし気に足踏みをしていた。と同時に千冬から転入生がやってくるという小耳に挟んだ話を思い出し彼女がそうではないかと思い至った。そして迷ったのかもしれないと声を掛ける。

 

「何を騒いでいる」

「あぁんッ!!?ってうわっ何IS学園って警備用にロボットまで配備されてんの!?」

「正真正銘の人間だ」

「ってええっ男ぉ!?ってあれそう言えばなんか学園には篠ノ之博士が送った男が居るって聞いたような……」

 

如何やら自分の事は一応知っていたらしい、束が送り込んだ人間という事である意味一夏並に注目される存在になっているから当然だろうが。

 

「スパルタン-S-073、篠ノ之 束博士から任務を受けてIS学園に赴任した。警備と一部授業にて教官を担当している」

「なんかどっかのゲームに出てくる特殊部隊の人みたいな感じね……あ、えっとごめんなさい、凰 鈴音です。一応中国で国家代表候補生をやってます」

「話は聞いている、最短で代表候補生へと昇りつめた少女と話題になっている」

「い、いやぁそれほどでもぉ~♪」

 

素直に感情を表に出しながら照れている鈴、彼女は僅か1年足らずで代表候補生に成り上がったしまうほどの才能(ポテンシャル)を持ちそれらを活かすだけの努力も絶やさずにいた。そんな少女の凄さはある意味スパルタンに選ばれた者と似ているのかもしれない。

 

「それで何を騒いでいたのか」

「あっそうなんですよ聞いてください、私政府の命令でIS学園(此処)に来たんですけど到着してからはこれを見ろってメモを渡されたんですよ。そこには確かに指示が書いてありましたよ、でもそれ以外が皆無なんですよ!?本校舎一階総合事務受付に行けだけで地図とか一切なし!!」

「……酷いな、政府の連中は何を思ってそんな事をしたんだ」

「そう思いますよね、んもう今度の連絡の時にタップリ文句言ってやりますよ!!」

「それは明らかに政府の怠慢、やる権利は十二分にあるだろう」

 

あの束の指示で来ている人から権利はあると言われた事で鈴は益々その気になって次の連絡をする時が楽しみになった。この事を言ったら一体政府の年を重ねただけで優秀だと思い込んで不相応な程に偉そうな大人たちの反応が楽しみになってきた。

 

「フム……それではそこへは案内しよう、巡回ルート上だ」

「えっでも、良いんですか。道を教えて貰えるだけで……」

「夜中に少女一人を放置する方が問題だ、まあ何かの縁という奴だ」

「それじゃあお願いしちゃうま~す、ええっと……スパ先生で良いんですかね」

「スパ……まあ好きに呼んでくれて構わない」




《エリート》
正式な種族名 サンヘイリ

コヴナント最強と称される種族で、コヴナントの権力階層では二番目に位置する、文武ともに高水準なエイリアン。高い身体能力に絶大な忠誠心、戦闘センスを持つそして身体能力はスパルタンⅡに相当する程。
名誉を重んじ、戦闘では特にその傾向が現れ「戦場で戦って死ぬことこそ誉」と考えている戦闘民族。そのため、敵味方を問わず勇敢なものには最大の敬意を払う。

その敬意はリーチでのスパルタン、ノーブル6や073にも向けられ最後まで戦士として戦い続けた彼らには最大限の敬意を向けており、戦後には彼らの事を語るエリートも……。

因みに彼らから見た人類は恋愛対象にもなるらしく、戦後にはとあるスパルタンに恋心を寄せるエリートが確認出来る、しかもデータ上にそのスパルタンへの想いを綴ったポエムまであった。HALO5にて確認できるので必見である。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。