IS×SPARTAN   作:魔女っ子アルト姫

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073、覚醒。

死んだ筈、それなのに意識が存在している。それは自分の特異性故なのか、この世界に生まれる筈ではなかった命だったからの罰なのか。SPARTAN-Ⅱ Sierraー073、それが自分。幼い頃からスパルタンとしての戦いは始まった、全ては人類を守るという使命感と家族を守りたいという願いからだった。自分は一度死んでスパルタンになった。一度生命活動を停止した自分は何者かによって未来、いや別の世界に飛ばされた。

 

誰がそんな事をしたかなんて詮索する意味はなく、神という上位者が悪戯にそうしたと仮定しておく。その上位者によって遥か未来の異世界に住む少年へとなった男はその世界が絶望にしかない地獄のような世界だと即座に理解した。そして同時に自分が地球を救うスーパーソルジャーを生み出すSPARTAN-Ⅱ計画に選ばれてしまった事も。絶望しかなかった、いや逆だった……絶望に立ち向かえる力を与えられると喜んでいたかもしれない。遥か昔の事……地獄のような日々の中でそれは塗りつぶされてしまった。

 

結果として自分はスパルタンとして生まれ変わり、戦って戦って戦い続けてきた。そんな自分に訪れた最後の時―――惑星リーチ、工業、軍事面で非常に重要な惑星であり、その優先度は地球に継ぐレベルの星にコブナントが襲来。スパルタンとして戦った、そして最後には―――

 

「チーフ……後を、頼みます」

 

尊敬し相手も自分に向けて信頼を向けてくれている最強のスパルタンを見送った。彼こそが人類の希望、そんな彼ともう一つの希望を箱舟へと載せてこの星を脱出させるのが最後の任務だった。チームメンバーだけは艦に乗せるつもりだったが彼らも共に戦うと言ってくれた、最後まで一緒に希望を守る為に戦う。そして自分達は―――全滅した。最後に残ったノーブル6はどうなったのだろうか、彼も死んだのだろうか……いや死んだのだろう、あの戦況で生きている方が不自然だ。自分達の戦いが未来を作ったと信じている。

 

そんな複雑な経緯のある自分は再度死んだ。兵士として、スパルタンとなった時からもう死など恐れはしなかった、何れ死ぬのだと受け入れながらその終着点までに成せるだけの事を成そうと全力を尽くそうと誓っていた。だが今の自分は何なのだろうか、今思考を行っている自分はどうなっているのか。身体は動くのか、瞳は開けられるのか、様々な事を思考しながら遂に身体に力が入った。

 

「―――っ、俺は……」

 

身体を持ち上げる、同時に視界にあるHUDが再起動する。ミョルニルアーマーの現在の状況を詳細に映し出している。エナジーシールド、レーダー、パワーアシスト、小型核融合炉(動力部)が良好で問題がないと表示されている事にこれなら不測の事態にも対応が可能だと思ったのだが直後に血の気が引くかのような思いがしつつ胸に手を当てる。そこには万全な状態のアーマー、エナジーソードで貫かれた様子も無ければ損傷自体もない。

 

「何が、どうなっているんだ……これは、俺は確かにあの時……」

 

思い出されるのは最後の記憶の手前、メンバーが次々と戦死していく中戦い続けた。そして遂に最後の時が訪れてエリートによって貫かれた……筈なのに傷も無い。プラズマによって焼かれた形跡もない……理解が出来ない、メット内のHUDに表示されるバイタルも通常を示している、つまり自分は生きている事になる。

 

「―――」

 

何もかもが理解を超えていた、死んだという確信もあったのにそれらを覆す材料が今の自分、自分の装備が語りかけてくる。無駄になったというのだろうか、自らの戦いが、あの人を守る為に必死になったあの戦いが。全てが失われて自分はなぜいま生きている、何故のうのうと生きている……!?

 

「あっ起きたんだ」

 

胸の中の感情が渦巻いた時だった、突然背後から声が掛けられた。咄嗟に腰部にセットされ続けていたハンドガン(M6G)を手に取って構えた。幸いな事なのか残弾もあった、必要ならばすぐに撃てる。そしてハンドガンとしては余りに大きい銃口(12.7x40mm)を声のした方へと向けるとそこに一人の美女が居た。エプロンドレスにうさ耳が余りにも特徴的な美しい女性が此方を見つめていた。

 

「やっぱりパワードスーツだったんだそれ、生体反応自体はあったから無人機ではないのはわかってたよ。でも……君は何者なのかな、そんなパワードスーツの存在は全世界を見てもどこにも存在していないよ」

 

女性は部屋の中へと入りながら此方を笑うかのようにしながら見つめてくる、だがその言葉に073は眉を顰めた。ミョルニルアーマー(スパルタン)の事を知らないと言った事が信じられなかった。スパルタンの存在は本来極秘、だが絶望的な情勢下で多くの(ささやかな)勝利を収め続け、いつしか戦場の伝説となっていたスパルタンに狙いを付けた上層部によって士気高揚の為に情報公開が成されている筈。それを知らないというのは余りにも可笑しい、そして世界中を見てもと言った。

 

「何も、知らない……だと、スパルタンを知らないというのか」

「スパルタとなんかの関係あるの?」

 

愕然となった。スパルタンの存在を知らない、その事実は073にとって凄まじい衝撃を齎すと自らの経歴と照らし合わせ一つの答えを導き出すに至った。それは―――異世界もしくは過去への転移、それしか考えれない。それに辿り着いてしまった073は思わず膝を突いてしまった。

 

「ね、ねえちょっと……」

 

突然の事に女性も慌てていた、彼女にとって073は突然の来訪者に過ぎない。彼女の拠点の一つに突然出現した謎のパワードスーツを纏った存在が073。一体何がどうなっているのか、解析したかったが装着者の許可がいるのかそれとも未知のテクノロジーなのかアクセスが出来なかった。故に目覚めるのを待っていた、が突然脱力してしまった彼を心配するように駆け寄った。

 

「頼む、俺にこの世界の事を、教えて、くれ……頼む……」

 

まるで縋るかのような言葉に女性は戸惑ったが少しずつ彼の質問に答えながらネットなどでこの世界について教えていく、そしてそれらによって―――この世界が全く知り得ない未知の世界である事を理解し、彼は口を黙り込んでしまった。メット故に表情は読み取れないが、女性は彼が泣いているように見えたという。




M6Dハンドガン

使用弾薬は12.7mmマグナム弾を使用する「対物」拳銃。FPS界史上最強の拳銃とも名高い。
尚、一部界隈では擬人化したらメインヒロイン待ったなしと鼻息を荒くする者もいる程に大変優れた名銃であり、初代HALOでは必ず持ち歩く武器としても名が上がる。

余談だが、照門と照星の色と形がちょうどうまい具合に人の顔に見える事もメインヒロインと呼ぶ理由になっているとかいないとか……。
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