IS×SPARTAN   作:魔女っ子アルト姫

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転入生、相性最悪。

「一つだけ言っておくぞボーデヴィッヒ、教官はやめろ。お前は何時まで私を軍の人間だと見ているんだお前は区別も出来んのか」

「も、申し訳ありません……」

「織斑女史、冷静に」

 

HRへと入る直前、転入生である2人と顔合わせを行ったのだがそこで若干溢れたストレスで際どい表情になった千冬を抑える。僅かに殺気が漏れている、転入生である二人目となる男性IS操縦者であるフランスの代表候補生シャルル・デュノア、そしてドイツからやってきた代表候補生にして少佐の階級にあるラウラ・ボーデヴィッヒ。彼女は以前千冬の指導を受けた上に教官と呼んでしまった。フォローをしておくと彼女としては教官としての印象が強い上に何処か疲れてしまっている千冬を心配した言葉だった。が、ラウラ本人が原因ではないにしろ原因の一端の言葉遣いに軽くイラっときてしまったのだろう。

 

「すまん、スパル……私としたことがこの後の事が如何にも……ストレスが……」

「お気持ちお察しいたします。ですがそれを事情を知らない彼女にぶつけるのは如何なものかと」

「すまんボーデヴィッヒ……」

「い、いえ私こそ失礼な事を言ってしまい申し訳ございません織斑教官、ではなくえっと織斑女史……?」

「先生でいい……」

 

と咄嗟に073の言葉を真似するラウラに対して肩に手を置きながら先生で良いと弱弱しく声を掛ける。隣にいるシャルルもあの世界最強のIS操縦者、戦乙女と呼ばれた千冬が弱っている所が信じられないのか顔が引き攣っている。そしてそんな千冬を抑えているパワードアーマーを纏っている男にも驚愕している様子。

 

「スパルタン-S-073、IS学園の教官をしている」

「え、ええっとシャルル・デュノア……です」

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ……篠ノ之 束博士が送り込んだという例の……」

「ラウラ貴様スパルに失礼な事したらマジで許さんからな私と真耶がどれだけ世話になっているのか分かっているんだろうな今だって本当は私達がやらなければいけない授業を態々受け持って貰っているんだ失礼は絶対に許さん働いたら懲罰ものだ独房行きだデータ化だ覚悟しておけ」

「イ、イエスマム!!!」

「織斑女史、お気になさらず。任務ですので私は気にしません」

「うううっっ……シエラさんは本当に私達のメシアです……」

「や、山田先生でしたっけあのハンカチ使います……?」

 

途中千冬が何を言っているのか分からなかったが兎に角恐ろしい物の片鱗を味わったラウラは真っ青な表情を作りながら敬礼をしながら了承するのであった。兎も角さっさとHRを行う事になったのだが……そこへ追い打ちとなるフランス政府の人間の到着が被り、千冬と真耶はそちらの対処をしなければいけなくなり073にHRを任せた。肝心の彼は何とも思わずに了解し二人を連れて教室へと向かって行くのであった。

 

「……なあ真耶、私な……なんて情けない教師だと自分が嫌になって来たよ……」

「私もです……シエラさんにもう授業とか丸投げしちゃって……」

「「はぁっ……」」

 

二人は溜息混じりに午後に飲もうとしていたドリンクの二本目を喉の奥に流し込むと重くなった足に力を込めながら仕事に向かうのであった。

 

「えっとスパル先生……でいいんですかね」

「好きなように呼んで貰って構わない、生徒からはスパルやシエラ、スパゼなどと呼ばれている」

「それじゃあ織斑先生に倣ってスパル先生って呼びますね」

 

とシャルルは人懐っこそうな笑みを浮かべながら改めての挨拶をするが073としてはシャルルが男のようには見えない。むしろ男子用の制服を着た女という方がしっくりくる、そもそも喉仏などもない年頃の男というのはあり得るのだろうかと思える。束が本当にフランスで見つかった二人目は事実なのかと調べているが本当に疑問であった。彼の中で警戒する事が決定する中でラウラが同時に懐疑的な視線に敵意にも似た物を向けてくるのにも気づいていた。

 

「……私は貴様のような怪しい奴に気を許す気などない」

「好きにすればいい」

 

ドイツ軍人である彼女から見れば073は余りにも謎過ぎる人物なのもあるだろうがそれだけではない、彼女にとって千冬はある種の象徴的な物、過去に何があったのか彼には把握できないがそれだけ心酔している存在があれほどに頼っている事を簡単には容認出来ないのかもしれない。それは同じ軍人……いやスパルタンである彼としては余りにも馬鹿馬鹿しい事に映ったのか彼女に対して溜息しか出なくなった。そんな事を思っていると一組に到着した、中へと入ると生徒達が元気に挨拶をする中で一気に凍結されたかのように硬直した。

 

「シャルル・デュノアです、フランスから来ました。皆さん宜しくお願いします」

「お、男……!?」

「騒がないように、仕事が溜まってイライラしている織斑女史の鉄拳が飛んでくるぞ」

 

と五寸釘を刺されるとシャルルの登場で熱気に支配されそうになっていた少女たちがヒェッ……という声と共に再度凍り付いた。クラスの舵取り方を完全に心得たからこそできる芸当である。

 

「織斑、それなりに世話を焼くように」

「分かりました~」

 

一方の一夏は一夏であまり喜んでいなさそうにしている。というのも彼から見てもシャルルが綺麗すぎる為か男として見れていない。フランス人は美形が多いから男でもあんな風になるんだろうかと思いつつも格差社会だな、思っているのかもしれない。尚、彼自身も十分なイケメンであるのでそれを言う資格は恐らくない。続けてラウラが挨拶をする事になった。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ、ドイツより出向した」

 

と簡潔に自らの情報を述べるだけ述べて終了した。彼も人の事は言えないがせめて宜しく位は言うべきだろうに。そして同時に073の中で本当に彼女は軍人なのかという疑念すら浮かんできた、子供だからというなどという事は一切の理由にも言い訳にもならない。それが通るならば彼はどうなってしまうのか。

 

「織斑 一夏……貴様がっ―――」

「ボーデヴィッヒ、何か?」

 

一先ず席に着くように促すがラウラはその前に一夏に詰め寄った、その只ならぬ雰囲気に073は何かを察知して動いた。彼女は腕を振り上げるとそのまま一夏へと振り抜こうとするがそれより前に一夏は席を立って距離を取った。空振りする筈の手は073にも止められた。

 

「何をする……!!!」

「それは此方の台詞だラウラ・ボーデヴィッヒ、お前はドイツ軍人だと言ったな。お前は突然民間人に暴力を振るうのか。ドイツ軍人はその程度か」

「ッ―――!!」

 

我が祖国を愚弄するかと言わんばかりの瞳を向けるが073は掴んだラウラの手首を軽く締めた。加減しているとはいえ万力でガッチリ固定されたかのようなそれに驚愕に目を見開いた少女をスパルタンは落胆に満ちた瞳で見つめながら溜息を吐いた。

 

「……織斑女史には報告しておく、さっさと席に着け」

「……」

 

不貞腐れたようにラウラは席へと着いた、その際に一夏を鋭く睨みつけるのも忘れていなかったが彼からしたら突然ビンタを食らいそうになった挙句に睨み付けられた。小声で何なんだよあいつ……と毒づくが彼は悪くはない。

 

「織斑、お前も不憫だな……この後は二組合同での稼働訓練だが……デュノア共々私と来い、案内がてら護衛もしてやる」

「なんかお世話掛けます……」

 

ラウラ自身に何があったのか可能ならば千冬に聞くしかないだろうが、今現在として彼女は073としては眉を顰める存在にしかなっていない。彼は人類の為に戦い続けた軍人(スパルタン)、そして彼女は―――軍人として失格な事をしている。この二人の相性は悪いとしか言いようがない。




スパルタンへの認識

仮に反乱軍への増援をUNSCが出した場合、スパルタンでなければまともな対応はされないだろう(良くて無視、最悪問答無用で敵ごと吹っ飛ばす)。
だがスパルタンは人類にとってヒーローという概念にまでなっているので「UNSCの支援だけどスパルタンだから支援を受け入れました」という言い訳ができる。背に腹が変えられない状態とはいえ世論のUNSCへの反感、色々と出てくる数々の密輸品を見られても基本「スパルタンだから」でいい訳が済んでしまう。

このイメージを作ったのはスパルタンⅡとⅢ達であり彼らは名誉なんて気にしないがチーフ達の後に続くⅣの面々はその自覚が足りなかったのでハルゼイ博士は基本的にⅣを嫌っている。HALOファンの間でも実力も足らずに弱いⅣ世代をスパルタン(笑)と呼ぶものが多かった。私も呼んでた。

しかし、HALO5で登場したスパルタンⅣであるファイアチーム・オシリスらのお陰で彼らの名誉は回復している。
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