IS×SPARTAN   作:魔女っ子アルト姫

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束、千冬、頑張る。

「ホムホムモグモグハグハグ……」

「束様チーズ蒸しパンをお食べになりながらの作業はおやめください」

「いふ?」

「頂きます」

 

流れるような銀髪と白と青のゴスロリ系ドレスに身を包む少女は金の瞳を輝かせながらキーボードを操作する、途中で束がIS学園経由で買い込んだ菓子パンを主のように慕い敬っている束と同じようにハムスターのように頬に詰め込むようにして咀嚼する。途中、揃ってのどに詰まったのかブルーベリーヨーグルトカルピスで流し込む。その光景は親子のそれ。

 

「束様、本日のご夕食はロールキャベツを御予定しておりますが」

「わ~い束さんロールキャベツ大好き~。にしてもく~ちゃんもお料理上達したね、前から美味しかったのに」

「い、いえそれは本当にご勘弁を……レイ様に教えて頂いた結果です」

 

スパルタンであるが073は同時に軍人としても十分過ぎる程の訓練を行っている、それは野外におけるサバイバル訓練も入っており速やかな栄養の摂取や手早い調理なども出来る。スパルタンとして活動するようになってからは基本必要な栄養を補給するサプリメントを摂取する身になっているが……簡単な調理は出来るのでそれを教えたに過ぎない。教えられる以前の物は……ゲルや炭を量産するほどに料理が下手だった、それでも束は美味しいと言っていたが……味は良いのかそれとも束の優しさなのかは解明は控えておこう。

 

「にしてもやっぱり男がISを稼働させたなんてログは何処にもないなぁ……みんな快くログ提出してくれたし男子乗ったよ~なんて一言も無かったし」

「矢張り虚偽、でしょうか」

「だとしたらフランスは随分馬鹿なことしてるなぁ……バレたらどうなるのか分かってんのかな」

 

男性IS操縦者が発見出来た、となれば様々な面で強く出る事が出来る。政治、経済などでも様々な政策を推し進められる……だがそれだけの事を虚偽を繕ってまでする価値があるとは思えずに束も首を傾げる。ワンミスで全てがパーになる事を考えるとリスクがリターンに見合わなすぎる。スーパーハイリスクローリターンだ、それなら既にいる一夏に歩み寄りを見せる政策やらを打ち出した方が余程効果的だ。意味不明過ぎる。

 

「仮にいっ君やレイ君のアーマーが目的だとしてもそれなら普通に送り込むだけでいい、なのに態々男に仕立て上げる理由……ク~ちゃん、デュノア社に狙いを定めて徹底的に探るよ。過去の事も含めて」

「承知致しました、創設から現在に至るまでの全データですね」

「そう、気合入れていくよ」

 

 

「織斑女史、お一つ宜しいでしょうか」

「な、なんだスパル手短に頼む」

「では率直に、ボーデヴィッヒの即時送還を提案します」

「……そんなに酷い、のか」

 

職員室。シャルルやらに加えてほぼ日常的にやってくる転入願いの処理で慌ただしく動き回っている教師陣の中にいるミョルニルアーマーのスパルタン、その視線の先には両手のペンで別々の書類を処理するという事をやっている千冬が話を聞いて頭を抱えた。二人が転入して間もなく1週間になるがその間の授業も073が受け持っている、がその間のラウラは余りにも酷くて手に負えない。

 

「授業の進行の邪魔はしておりませんが彼女は責務ある立場にあります、それがあらゆる物を許容せずに己の判断基準のみで切り捨てを行おうとする。幼稚で愚かな子供が権力と力を持った結果のいい例です」

「……あの馬鹿が……スパルに迷惑を掛けるなとあれほど行ったのに……殺すか」

「お気を確かに」

「分かっている、だがその位苛立っている」

 

冗談なのだろうが真顔でそれを言うのはやめて頂きたい。判別しづらい、因みに教師陣はほぼ全員073に感謝していたりする。束の差し入れドリンクを持って来たり問題児的な生徒の指導を千冬経由でだが行ってくれる、授業を代わりにやってくれる、そんな彼に感謝しない相手などいない。

 

「今の彼女は私に対する敵対心や悪意で動いているでしょうな、彼女から見た私など謎のアーマーに身を包んだ存在でしかない」

「だがその存在は私が絶対的な信頼を置いているのは奴も知っている筈だ、奴め何故そこまで愚かになった……」

「権力の腐臭、ではないでしょうな。あれは狂信です」

「……なら私のせいだろうな」

 

狂信、信じて疑わずに全てをそれに捧げてしまう者の強さはスパルタンである彼は良く知っている。しかしそれが齎すのは甘美な毒、身を任せ続ければ身の破滅を招くだろう。

 

「……奴と一対一で話を付けなければならんな、お前でも構わないだろうが聞く耳持たんだろう?」

「でしょうな、しかし出来るのですか―――この仕事の量で」

「……」

 

まだまだ処理しなければいけない書類が山のように積まれている、机やテーブルに置ききれず、所狭しと床にまで乱立するのは書類の束、束、束。恐ろしいのはこれだけの数を千冬だけではなく教師やその他の職員を総動員して処理しなければいけない程なのである。千冬は他と比べて早いとはいえそれでも全く追い付かない。ドリンクが無ければガチで潰れていた可能性も十二分にあり得る。

 

「博士に一部委託する事をご検討ください」

「……い、いやこれは私がやらなければいけない事だ……不必要に奴を頼るなどあっては……」

「ではそのようにお伝えしますが」

「い、いや待ってくれもう少し検討を……」

 

教師としてのせめてものプライドだろうか、何とか踏み留まっているが一度その甘美な毒に飛び込んでその味を堪能したいと心から思うのだが一度楽を覚えると依存するのでは、という自制心から必死に我慢している千冬は立派である。

 

「……では私はアリーナの方へ、織斑の訓練がありますので」

「ああ……そうか、ああっ……弟を頼む……」

 

と見送った073の後を名残惜しげに見つめる千冬、だが彼の姿が消えると気持ちを切り替えて熱いお茶を喉の奥に流し込むと気合を入れ直して受け入れ要請が来ている代表候補生の書類選考を始めるのであった。

 

「承認!駄目!承認!駄目!駄目!駄目!駄目!駄目!承認!承認!!」

 

と超ハイスピードで第一次の書類選考を承認するか否かをハンコで示していく。尚、千冬は闇雲に押している訳ではなくほんの一瞬の間に中身を確りと確認した上でそれらを行っている。正しく神業と呼ぶに相応しい。

 

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!!」

「―――お茶、此処に置いて置きますね……」

 

差し入れのお茶を渡しに来た食堂のおばちゃんは千冬の周囲を紙が無数に舞っていると休憩中に同僚に話したという。




《グラント》
正式な種族名 アンゴイ

コヴナントの歩兵において最も数の多く小柄で非常に繁殖能力が高い種族であり、過去には言葉通り肉壁として用いられていた。
その幼稚で臆病な性格故に、指揮官が倒されるとヤケになってプラズマグレネードを両手に特攻してくる。また中には命令によって自爆を強要されている部隊なども存在するようである。コヴナントブラック過ぎワロエナイ。
呼吸にメタンガスが必要なため、ガスマスクと背中のタンクが欠かせない。このため背中を撃つと盛大に吹っ飛ぶ。

しかし彼らの大半は少年兵であるが故にパニックや特攻が多い、成長したグラントはエリートとも並び立つ程の戦闘力を持つ。そして学習力も優れており人類の言語を真っ先に習得したのも彼らグラントである。

HALOプレイヤーからすると彼らは敵ではあるが、可愛らしい一面もあり人気も高い。彼らが可愛くない、とHALO4では苦情が起きる程に人気がある。一部では慌てふためくグラントを見て愉しむ者や、彼らが少年兵、つまりロリショタ的な意味で愛好している者もいる。宇宙は広い……。
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