IS×SPARTAN   作:魔女っ子アルト姫

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スパルタン、束。

「お、織斑先生大変ですぅ!!」

「なんだまた新しい国からの要請か……」

「違います、スパル先生がボーデヴィッヒさんと戦闘に入ったそうです!!」

「な、なんだとぉ!!?」

 

仕事を片付けてラウラとの対面の時間を何とか確保しようとしている千冬、流石に表情に疲れこそ出していないが声には出てしまっている。そんな彼女へと飛び込んできた凶報に近いそれは思わず顔を青くさせてしまった。

 

「馬鹿な……あの大馬鹿もんが何を考えている!!?」

 

机に鉄拳が炸裂する、衝撃で舞う紙は彼女の心情を現しているかのようだった。兎に角大急ぎで現場に向かって止めなければならないだろう。軍人であるとは現役軍人且つ専用機を持つラウラが相手ではISの技術を応用したアーマーを纏っている彼でも相手が悪い。立ち上がろうとする中で携帯が鳴り響いた、その着信音に思わずそれを取って通話にする。

 

「束か!?お前からも今すぐやめるように言ってくれ、奴が危険だ!!」

『ういういち~ちゃん折角連絡してあげたのにご挨拶だねぇ、まあいいけど束さんもそれで話をしたくてお電話した訳だからね―――先に言うけどスパ君が負けるから止めるとか流石に馬鹿な事は考えない方が良いよ』

「なっ……!?」

 

正しくそうして欲しかった、雇い主(クライアント)である束の命令ならば確実にスパルは戦闘行動を中止する、そこに自分がラウラに声を掛けて対処をするべきだと考えていたのに現実は全く別の方向性に胎動している。

 

「お前何をっ……!?」

『ち~ちゃんには詳細は話した事なかっただろうけどさ、スパ君のアーマーはミョルニルアーマーっていうんだけどさ……あれね、やろうと思えば搭乗者ごとISを叩き潰す事が出来る出力あるんだよ』

「な、なんだと!!?」

『ま~神経回路インタフェースで思考と同じ速度で管理されてる、スパ君がその気にならない限りあ~何だっけ……

<ラウラ・ボーデヴィッヒデハ?

ああそれだ、そいつが死ぬことはまずないだろうね。スパ君があれ程度の相手に殺意を覚える事もあり得ないだろうし』

 

この時、束が恐ろしく感じられてしまった。彼女は自分が知らない彼を知っている、アーマーの事を知っている。ドイツの少佐であるラウラの勝利などあり得ないと断言してしまう程。それ程の信頼関係が刻まれているというのだろうか。

 

「束……奴は、スパルは何者なんだ……お前は、何故そのようなアーマーを作った!?」

『さてどうしてでしょうねぇ~……唯一つだけ言えるとすれば―――スパルタンは決して負けない、それだけだよ。来たりて取れ(モーロン・ラベ)

 

そう言い残すと束は通信を切断した、そこへ千冬は必死に呼びかけるが既に通じなくなっている事を理解すると真耶を連れてアリーナへと向かって駆けだしていた。

 

 

IS学園第3アリーナ、本来ならば多くの生徒達が練習の場として使用する筈の時間帯なのだが……今そこは束の手によって外から中へ入る事も出来ずにあらゆる干渉が封じされている状態に陥っている。管制室にてアリーナ管理をしていた教員も完全に何も出来ずに閉じ込めを食らってしまっている。そこにて正しく物事を認識理解出来ているのは一夏とシャルルの両名のみだった。

 

「すっげっ……」

 

思わず出てしまった言葉は無意識下で形になったものだったが、シャルルはそれを否定する材料など持ち合わせていなかった。目の前の壮絶な戦いを目にして何も思わない方がどうにかしている。本当にどうなっているのか、あのアーマーはIS技術が転用されて作られた戦闘向けな物なのは知っている、だが流石に本当のISの方が優れているだろうと思っていたのかもしれない……だが現実は如何だ。

 

「さあお次は何だ」

「ぐっがぁぁっっ……!!?」

 

認めない、こんな現実を認めてはいけない。その筈なのに重く圧し掛かってくるそれらのせいで認めざるを得なくなっている。圧倒、その言葉すら出てこないのだ。

 

「っ……!!!」

「無駄だ」

 

我武者羅に振るったワイヤーブレードはあっさりと受け止められ同時に自らの失敗を理解する。ワイヤーをガッチリと掴みこんだ073はそのまま力任せにそれを振り上げた。

 

「いかんっ……ぉぉぉっ!!?」

 

咄嗟にワイヤーブレードを切り離そうとするが間に合わない、吊り上がったワイヤー共々機体が持ち上がって宙高くへと振り上げられた。ISを此処まで振り上げるなんてどういう出力をしているんだと思うのだが直後にそんな思考すら支配される、ラウラは一つにされてしまう。彼が作り出した竜巻の個性要素の一つとして取り込まれた。

 

「おいおいマジかよ……」

 

アーマーの出力故かもしれないが、それでもここまでくると一夏でもラウラに対しての怒りなど湧かなかった。最早そこにあるのはホラー的なインパクトによって掻き消された同情めいた何かだった。そしてそこにあるラウラを容赦する事もなく地面へと墜落させてしまう、途轍もない衝撃音と共にISの各部が大きく破損してしまっている。

 

「うわぁっ……」

 

流石のフランス貴公子シャルルも顔を引き攣らせてドン引きである、彼の中では073は優しい先生という評価だったのだが……絶対に逆らってはいけないタイプの人だったと改めるのであった。地表へと落とされた彼女は必死に身体を動かして起き上がろうとするが更なる銃声がその意志すら砕いた。

 

「ヒィッ!?」

 

年相応の声が漏れた、そこにはショットガンを握り込んだスパルタンの姿があり無造作にまだ使用可能な兵装へと打ち込んでそれらを完全に破壊していく。機械を思わせるかのような淡々とした流れるような動作にラウラは唖然としながら何故そんな事が出来るのかという疑問すら湧いてきた。

 

もう既に理解も出来ている、自分程度などでは彼の足元にも及ばない事も。射撃、格闘、戦闘の基本ですら圧倒的な練度の差があった。恐らく何を尽くしたとしても勝つ事なんて出来ないのは明白。自らの虎の子で一対一ならば反則的な強さを誇るアクティブ・イナーシャル・キャンセラー、停止結界すらまともに利く事が無かった。纏うシールド強度を上げるだけで対処したようにすら思えた。此処までボコボコにされると一周回って頭が冴えてくる。もう、自分はこのまま殺されるのだろうなという納得すらあった。

 

「戦闘継続の意志はあるか」

「―――ある、訳が無い……」

 

同時にラウラの意志ではなくISが強制的に解除され無防備な生身が曝け出された、彼女はそのまま倒れこむようにしながら気絶してしまった。一応の決着がついたのを確認しながら束がISに解除命令を出した。コア・ネットワークに直接接続出来る上に各ISが持つ機体データを全て掌握出来る彼女からすれば容易。そして強制解除にはもう一つの理由がある。

 

『レイ君、悪いけどそいつのISを回収して貰えるかな。内部に実にムカつくシステムが仕込まれてやがる』

「了解」

 

待機状態へと移行されたそれを回収しながら073は彼女を抱き上げた。酷く軽く柔らかな身体を傷付けぬように細心の注意を払いながら抱き上げると一夏とシャルルにも声を上げた。

 

「お前達は少しの間此処で待機を、間もなく他の教員が来るはずだ」

「わ、分かりました……」

「う、うっす……」

 

そして073はラウラを抱えたままその場を去っていく、残された一夏とシャルルはその僅か1分後にやって来た千冬と真耶に事情を説明するように言われるのだが―――

 

「スパル先生がラウラをボコった……?」

 

としか言いようがなく二人は酷く困惑したという。




《ハンター》
正式な種族名 レクゴロ

青い装甲に身を包み、右手にロッドガン、左手に盾を装備したコヴナント最大の種族。
常に2体セットで行動し、ロッドガンによる遠距離、盾による近距離をカバーしあう強敵でコブナントにおける重装歩兵。
実は半人型に見える外見は多数のレクゴロが集まって出来た群体であり、単品のレクゴロは1.4m程度のミミズ状の生物。このミミズ達が有機的に接続しあうことで知能や運動機能を高めている。
エリート族とはお互いに認め合う種族規模での盟友であり、彼らの命令にのみ従う

作品によって脅威度がだいぶ変わる敵。初代が最弱(ただしハンドガン必須)。
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