「か、開始直ぐに試合終了……って凹む……」
「操縦者目指すのやめようかな……取り敢えず新学期からは整備目指そうかな……整備楽しかったし」
対戦相手の少女らはそんな声が飛び出す程の元気はあったがもう精神的にはボロボロの域だった。開始直後に両手に重機関銃による弾幕の嵐、それらから逃げられたと思ったら的確に機動部位を狙っての狙撃で高速移動を潰される。鈍った所を盾殺しとも呼ばれる武装を展開。右の
「シャルロットさん、先程の物は少々ラグがありましたわ。データを更新して最適化を」
「そうだねセシリア。僕も気になったし」
『何、だと……?』
と肝心のそれらを決めた二人は改善点の洗い出しとそれらへの対応を即座に行い自らの向上を行う、そんな行いを見て少女二人もあんな二人も努力する姿勢があるんだから自分達ももう少し頑張ってみよう、取り敢えずスパル先生に相談しようとなったのは余談である。
「何で本職教員の私らじゃないんだろうな……」
「スパルさん大人気ですもんね……私も学生時代にあんな先生欲しかったですもん」
「それについては全くの同意だがな」
と最近教師として確りやれるか不安になりつつある二人、だがそんな不安が封殺されるように仕事が回ってきて生徒達に掛けて上げる筈の時間が無くなっていくので素直に073が生徒達に目を配ってくれるのは素直に助かるのは事実なので何も言えないのであった。
「シエラ先生、私達第一試合を無事に突破いたしましたわ♪」
「流石としか言いようがないな。しかし最初から遊びがないな、後になればなるだけこの情報が後を引いて相手に手の内が読まれるかもしれないぞ」
「それに備えて真逆の対応策とか色々準備はしてますから大丈夫だと思います、いざとなったら頭から尻尾までアドリブで通しますから」
「そうか、それとセシリアは全方位射撃が死角に偏り過ぎだ。そしてシャルはバンカーを打ち込む際に無駄に踏み込み過ぎている」
そんなアドバイスを真面目に聞きながらも二人は酷くご機嫌そうだった。彼女からすれば073は巡回中だった筈なのに自分達の試合内容をバッチリと把握している、つまり巡回中だったのにも拘らず見に来てくれていたという事になりご機嫌になる要素しかないのである。
『中継した甲斐がありました』
「〈手間を掛けさせたな〉」
『いえいえお気になさらず』
実際は073は確りと巡回をしていた。HUD内にイグが中継したセシリアとシャルロットの映像を映して貰っていただけなのだが知らぬが仏である。巡回の片手間にだが観戦していたのは事実なので、彼女達からすればそれだけで嬉しいのだろう。
そんな圧倒的な強さで相手をほぼ封殺で圧倒していくセシリアとシャルロットのタッグ。正に対戦相手を戦々恐々へと陥れる無双っぷりであった。恋する乙女は時として魔物になると言われているが真実なのだと思わずにはいられない、そしてそんな乙女らが魔物へと変貌するきっかけを作ってしまった一夏はラウラと共に順調に勝ち進んでいくのだが……
「やっべぇっ……少佐殿、あのお二人に勝てると思いますか?」
「いやキッツいな……開始からの初動の速度が恐ろしい程に早い。私の数倍だ、最初から防御前提だとしても防御したらそのまま何も出来なくなる可能性も高い」
「うわぁっガードしたらしたらでブレイクされるまでそのまま拘束とか完全なる即死コンボだぜ……」
このまま行くと決勝戦で当たる事になるであろう二人への恐怖を募らせながらなんとか戦法を組み立てようとするのだが……二人の実力や技術などを考えると余りにもきつい事が判明した。
「あれに対応出来るのは確実にスパル先生か織斑先生だろうな、そのレベルを私達で何とかするとなると一から十までハイリスクを負うしかないだろうな」
「ちなみに少佐殿はその作戦を如何思いますか」
「それを通すとしたら尋常じゃない運がいる、確実にな。素直に棄権して第3位決定戦に備えるのが利口だ」
「んじゃそうしませんかね」
「妥当かもしれんな」
とラウラに此処まで言わせるほどに二人は異常なまでに張り切っていた。二人からすれば073は憧れの人であると共に添い遂げたいとすら思える人。セシリアは本気で惚れているしシャルロットは人生を救われている、そんな二人からすれば優勝したら073と交際出来るという与太話は許しておけないのだろう。あわよくば自分達がその権利を行使できないか程度には思っているかもしれないが……そして決勝戦は一夏&ラウラ、セシリア&シャルロットとなった。
「これで最低でもシエラ先生へのご迷惑だけは回避出来そうですわね」
「うん、これで迷惑を掛けずに済みそう」
「いや本当にすいませんでした……」
「この場合は完全に聞き耳を立て、伝言ゲームになった女子ら全員のせいだ。軍曹、お前はあの場にて明確に目的を明らかにしていた。それを面白半分に改変した奴のせいだろう」
「少佐殿ォ……!!」
一夏は割と本気で073に迷惑をかけかねない事になった事を悔やんだのか、本気で臨んだ。その結果としてラウラと決勝まで上り詰める事が出来た。各国からしても稼働経験が代表候補生と比べたら雲泥の差である筈の一夏が彼女らと張り合えている事実に驚愕しながらも、彼への接触を検討する中で決勝戦が行われようとしていた。
「さて―――織斑さん、加減などしませんのでお覚悟を」
「ラウラ、悪いけど僕も一切加減しないし全力で行くからね」
とやる気満々なお二人に対して一夏とラウラは最早半ば投げやりな気分になりつつあった。取り合えずリスキル染みた開幕への対策は立てる事が出来たが、その後は完全なアドリブ対処しかないと分かると流石のラウラも苦笑いしか出なくなった。そして遂に試合が始まる―――瞬間だった、その場に本来あるの筈の無い、いやあってはならない乱入者がその場へと降臨した。
ノーブル6 スパルタンタグ-B312
欠員補充のために配属されたノーブルチームの新人。HALO:Reachにおける主人公。
スパルタンの中でも特に情報があやふやな人物で、過去の履歴も殆どが分かっていない。
極秘開発中の最新鋭戦闘機のテストパイロットであった事は確かなようだが……。しかし、短期間でチームの信頼を勝ち得た実力は本物であり、"あのAI"に未来を託された一人でもある。
リーチ戦を最初から最後まで戦い抜き、人類の希望を繋げた。戦艦オータム脱出支援のためマスドライバーで砲撃を行い、以後消息不明。