学年別トーナメント、1年の決勝に襲来したそれ、便宜上突然の襲撃者をブルー・ゴーレムと呼ばれる事となった。それは073の手によって屠られた、各部の装甲はそのゴーレムが所持していたロッドガンの燃料ロッドを同時点火させた事による熱でドロドロに溶けていた。分厚い装甲が無くなった部分を狙って投げ付けられたブレード、それは胸部へと突き刺さり追撃の飛び蹴りで蹴り穿たれた事で機能を停止した。完全に動く事が無くなったそれの解析は束が引き受ける事になって地下へと運び込まれた。
「如何だ束、何かわかった事はあったか」
「ちょっとち~ちゃん大丈夫、顔酷いよ」
「もう慣れてきたわ」
何とか戦いの後の処理が終わった千冬はやや疲労困憊と言いたげな表情をしながら地下へと足を踏み入れた。各国から人が集まる今のタイミングでこのような事が起きた事でその対処にも追われたのだが、社畜さながらのオーバー労働に身体が好い加減に慣れてきたのか教員達も効率良く裁く方法を身に着けたのか普段よりも短時間で終わらせる事が出来た。
「取り合えずこいつは言うなれば無人機、しかも使い捨てのね」
「これが、か」
「データ収集用のね、如何やら戦いで得られてたデータをどっかに送るようになってたみたいだけど流石に束さんが此処にいる事までは計算できなかったみたいだね、その回線はこっちで掌握してたからデータの流出はないよ」
「流石だな、だがまさか無人機だとはな……」
ISは人が乗らなければ動かす事が出来ない、それが当たり前。それを根本的に崩しにかかっている、それについても束が既にその方法を調べ終わっていた。
「そもそもこいつはISコアで動いてない、ち~ちゃんってば疑似コアの事はご存じ?」
「ああ、お前の作ったコアを作ろうとして生まれた廉価版だろう」
束がISを生み出し、そのコアを世界に向けて配ったがその数は僅かに467のみ。束はそれ以上の数を世界に流通させる気が皆無であった為、オリジナルとも言えるそれらのコアを参考にして各国は共同開発と研究を行い量産型とも言えるコアを完成させている……のだがそれには大きな問題点が存在する。
オリジナルコアと比較した際にその性能差は明らか。オリジナルの2~3割程度の性能しか引き出せない。更にそのような性能でありながら量産し配備する事を考えても束が提示したコアを作る為の費用と僅かに安い程度であった。それらの問題点から量産型のコアは疑似コアと呼ばれ区別されるようになっている。
「こいつは疑似コアを合計7個使って稼働している、4つは出力特化調整をされてるね。疑似コアだけでオリジナルに迫る性能にしようとしたらそれだけの数がいる。そしてコアの数だけ機体も膨れ上がる、だから重装甲重火力にして此処に来るまでは外付けの大型ブースターにするって事にしたわけ。ある意味正解だけどね、因みにブースターの方は普通のロケットブースターだったよ。宇宙船に使われるようなあれね」
「成程な……」
「それでそんだけ疑似コアを突っ込んで連結調整した後に、一度人間で稼働データを取る。その時のデータを基にした物を使えば動かす事は出来る。まあそれでも人間が動かすには大きく劣るけど、だから高機動じゃなくてもそれなりの脅威になる重火力にしたんだろうけど」
そこまでの調整を行った存在はスパルタンの手によってあっさりと屠られてしまっている、これを作ったのがどこの誰かは知らないだろうが最大の誤算は彼の圧倒的な強さだろう。その強さには千冬ですら驚きを隠しきれなかった。
「それで束、奴は一体どこに……?」
「ああ、なんかいっ君達の所に行ってるよ。今回の一件で折角の決勝戦が台無しになって結局トーナメントも中止になっちゃったじゃん。残念だったな、みたいな声掛けしてくるって」
「一番の割を食ったのはあいつらだろうからな……」
今日まで一夏たちが必死に訓練に励んできたことは承知している、偶に自分もその現場を見て心の中で一夏への応援を送った事もあった。ラウラともいい関係を築けている事にも安心していた、そして此処でいい成績を残してくれれば教師としての自分も安心出来るので是非とも頑張って欲しいと思っていた。結局一夏は決勝まで勝ち進んだのに結局それは中止になってしまったのは不憫な気がする。
「まあ大丈夫じゃない、いっ君のモチベはメットの中を見る事にあったみたいだし」
「―――えっ奴の、スパルの顔か。あいつの素顔の事か!?」
「あれ、聞いてなかったの?なんか元々成績よかったら見せてあげてもいいよ、的な話をしてたら一年の間だと優勝したらいっ君かレイ君と付き合える的な話が生まれちゃったから、それを阻止する為にもいっ君たち頑張ってたんだよ」
「ま、まさか今あいつらは奴の素顔を見てるとでもいうのか!?」
「いやそこは知らんけどさ」
と言っても束自身も彼の素顔は見た事が無い、本名と同じくスパルタンの顔も軍事機密扱い。だが彼も少しずつ変わってきているように何時か自分にも素顔を見せてくれると信じながら待つ事にしているのだが……如何やら千冬的にも酷く気になる事だったらしい。
「おい束今すぐ奴の居場所を教えろ、私も行く」
「いやいやいやこれの解析いいの?」
「だって奴の顔だぞ、私とて学園のみの付き合いだが奴はメットを外した所は一度とてない。見たいに決まってるだろうがぁ!!」
「いや、これの調査報告を聞きに来てその後は立ち会う筈じゃないの……?」
「ンなもん後で良いだろ!!」
「ええ~……」
と親友への呆れを滲ませながらも束自身も気になるのか片手間に調べてみる事にした。彼女の考えも理解出来なくはないからである。調べてると彼は一夏たちと共に生徒が使用可能な談話室に集まっている事が分かった、千冬はそれを聞くとまた後でな!と駆けだしていった。
「あっれ~……ち~ちゃんってあんなキャラだったっけ……?」
それだけスパルタンの素顔は神秘に満ちている……という事なのかもしれない。
《フォアランナー》
かつて宇宙に存在した超古代文明。
その技術力は圧倒的であり、惑星を一から創る事すら可能としていた。しかし繁栄を誇った彼らも彼らに恨みを抱く者達の作った兵器やその他の要因で衰退、滅亡してしまう。彼らの技術は遺跡として銀河中に眠っており、コヴナントはそれらを多数利用している。
HALO世界でもフォアランナーは様々な形で干渉、激突を起こしている。主にコブナントがそれらのテクノロジーを使用しているが、人類もその恩恵に預かる事も出来ている。
そして人類はフォアランナーの技術を何となくのレベルでだが、使い方が分かり扱う事が出来る。