IS×SPARTAN   作:魔女っ子アルト姫

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束、狂乱。

スパルタン-S-073(レイ)が束の保護下に入って半年の時間が流れようとしていた。その間も彼はこの世界に対する理解を深めつつも帰還は可能なのかという可能性を模索してはいたが矢張り絶望的な状況、この世界にて骨をうずめる覚悟を固めつつも束の護衛兼実験役を請け負っていた。

 

彼自身は男である為にISを起動させる事自体は出来ない、だがミョルニルアーマー自体はISの基本スペックを凌駕している。そんな彼は新開発の装備などを試すには絶好の人材。それに加えて束も彼女なりにミョルニルアーマーを解析しそれらに適応する専用モジュールを開発していた。ISの機能をミョルニルアーマーのまま使用出来るようにした物で大きな改造をすることもなくアーマーに適応された時には073も酷く驚いた。

 

「フフン如何だいレイ君、束さんだって中々に大天災でしょ!」

 

と嬉しそうに語る彼女に素直に称賛を送る他無かった。外付けとはいえあっさりと適応させるのは容易ではない筈、しかしこれでアーマーはISの機能を獲得した。ISではないがISのような物になりつつある、束自身はミョルニルアーマー自体の改造を望んでいたが流石にそれを拒絶されこの形に落ち着いた。そこに至るまで度重なる交渉があったりはしたが……。

 

「よっしゃぁっ出来たぁ!!ワッハハハハ、見たか束さんはやってやったぞぉぉ!!」

 

そんなこんなで今日も今日で073は彼女の護衛を続けながら彼女が再現したUNSCの武器のメンテナンスを行っている最中、突然大きな声を上げながら笑い始めた。歓喜に染まっている彼女は飛び跳ねながら此方へと走ってくると自分の手を取ってブンブンと振る。

 

「~~~……おっもっ!!?」

「何か完成したんですか」

「ムッフッフッフ……苦心する事約半年間、難しすぎて眠れない日もあった、だがしかし今日をもってそれも終わり!!ISのシールドにエナジーシールドを応用して組み合わせる事についに成功したぁ!!!」

 

スパルタンの象徴も言えるアーマーに搭載されているエナジーシールド。そもそもその技術がコブナント由来の技術をリバースエンジニアリング*1した結果の産物。それをこの時代で解析してしまい、そのノウハウを活かして自らの技術を進歩させてしまった。もう彼女はハルゼイ博士並みに凄いのではないかと思えてきてしまった。

 

「まっと言ってもこれは逆にこのリバースエンジニアリングに成功した人達のお陰だね、流石に束さんだけでこれをやれとか言われてもぶっちゃけ無理ゲーだよ。人類の手で組み直されてるから何とかなりました~的な感じ」

「十二分に凄すぎるでしょう……博士、貴方何年先の技術を先取りしたのか分かってます?」

「あはっ数百年先だね」

 

サラッと言いのけてしまうがマジでとんでもない事をやらかしている。戦国時代の人間がUSBが何に使われているのかを解明して応用するような事をやってのけている。この世界の技術は彼が居た世界よりもずっと進んでいるとしてもそれを差し引いてもとんでもない偉業である事に変わりはない。

 

「これで本格的に宇宙活動前提型のISの開発が一気に進むよ。でもまあまだまだやる事は山済みだけど……う~んでも流石にレイ君のアーマーの丸パクリなんてプライドが許さないし……流石に未来の技術に頼りきりなんて紐も良い所だし……」

 

と束は参考にできる部分はしてそれ以外には手を伸ばしたりはしていない、加えて参考にするにしても技術的には彼女自身のオリジナルでそれを作り出す、そのままでないのは彼女にも彼女なりのプライドがあるのとこのアーマーを作りだした人々へのリスペクト。

 

「やっぱり全身を覆った方が確実だよなぁ……電磁パルス(EMP)の影響は防ぎきれないし……SEが切れたら生身で宇宙空間漂う事になって死ぬし……」

「出なくとも通常時から纏うが普通かと」

「ですよねぇ」

 

073からすれば試合形式としてルールが定められているとはいえ大体に肌を露出させたまま戦ったりするのは正気とは思えない。ISには優れた防御機構があるのも承知だがそれは絶対的でない事は伝えられている、地球で運用したとしても何かの拍子で防御機能が落ちたら生身が大きく損傷する恐れがある。

 

「にしても流石に頭使い過ぎたぁ……レイ君~そこにあるコーラ取ってぇ……」

「どうぞ」

 

約2リットルのコーラのペットボトルを手渡すとそれを彼女は腰に手を当てながら一気飲みし始める。咽たりする事なく飲み干すともう一本!と要求するので手渡すと凄い音がしたが気にしないようにした。そして再び飲み始めたタイミングで―――ネットニュースが飛び込んできた。

 

『世界初、ISを動かした男性現る!!その人物は織斑 千冬の弟、織斑 一夏!!』

「っっっ!!!?」

 

一気飲みで咽なかった束が思いっきり咽そうになった、噴き出すのを懸命に堪えながら口に合ったそれを飲みこむとまだ残っているそれの蓋を閉めながらニュース記事をガン見しながら見た事の無いような驚きの表情を作って呆然としていた。

 

「博士……織斑と言えば博士のご友人の」

「うん、うんそうなんだよ束さんの大事な友達のち~ちゃんの弟君だよ!!何やってんのあの子!?っつかなんてIS最大の欠点の女しか動かせないっていうのをサラッと乗り越えて動かしてる訳ぇ!?あの子絶対自分がどんだけやべぇ事やらかしたとか絶対理解してないでしょ!?ああもう折角研究が良い所まで来たのにそっち優先しなきゃいけないじゃないかぁも~!!!」

 

憤慨しながらも束は携帯を引っ手繰るように取ると番号を入れ始めた、そう言いながらも自らの夢よりもあっさりと友人を優先する辺り優しい人であることが読み取れる。そして繋がったのか彼女は大きな声を上げながら電話へ向けて叫んだ。

 

「もしもしち~ちゃん!?何いっくん何やらかしてんの!?何あの子ってまさかのジェンダーレスだったりすんの!?」

『……まさか一夏がISを動かした事には関係ないのか、私が束が手を出したのかと……』

「んな事やってるほど今束さん暇じゃねぇんだよ!!今待望の宇宙活動前提型ISが良い所に差仕掛かろうとしてんのにさぁ!!大体ち~ちゃんもち~ちゃんだよね!!何かあったら束さんのせい束さんのせいって!!!」

『いやそれはお前が常識はずれな技術を開発しまくるから……』

「だまらっしゃい!!事実確認もしないで犯人扱いしないで欲しいね!!!」

 

そこから約1時間ほどギャアギャアと凄まじい口論が始まった、073はそれを唯見届ける事しか出来なかったのだが……漸く終わったのがぐったりとした束が腰を落ち着けながら語りかけてきた。

 

「……ねぇっレイ君、もしもIS学園に行って欲しいって言ったら―――」

「貴方の言葉ならば従います」

 

この言葉に束は心から有難みと感謝を浮かべながら彼は本当に自分の味方なのだと確信しながら感謝の言葉を述べるのであった。そして同時に―――肩を竦めながら自らもIS学園へと出向くことを決心するのであった。

*1
分解や解析などを行い、その動作原理や製造方法、設計や構造、仕様の詳細、構成要素などを明らかにすること




キャサリン・エリザベス・ハルゼイ博士

人類最高の天才にして、スパルタンの母。スパルタン計画、ミョルニルアーマーを開発、
古代文明を研究、コヴナント技術を研究し等々、あらゆる分野で八面六臂の活躍をした天才。
子供達を拉致し肉体改造を施す計画を立案する非常さと、人類の平和の為にそれを推し進める強い意志と、自分が未来を歪めてしまったスパルタン達への深い愛情を秘めた複雑な人物でもあり、その真意を明かすことはほぼない。

ハルゼイ博士はスパルタンⅡ全員の名前を覚えてる。例えスパルタンⅡがアーマーを着込んでいる状態だとしても判別できる程に深い愛情を持っている。
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