「突然のお話の申し出を受け入れて頂き感謝いたします」
「誠意を持って来るのならば対応する、それだけの事だ」
話しかけられた
「布仏か……成程、本音の姉か」
「はい、妹からは何時も授業が面白く楽しいとお話をお伺いしております。姉としては妹の成績を上げてくださって事へは感謝の言葉を尽くしても私の思いを表現できない程です」
深々と頭を下げる少女、彼女は一組に在籍している生徒の布仏 本音の姉。本音という生徒は073としても酷く印象的であるが故に脳裏に簡単にイメージが沸く。おっとりとしているがしたたかさも合わせた掴みどころのない人物というのが073の人物評、クラス的にはマスコット的な扱いを受けているのか皆からはのほほんさんと呼ばれて親しまれている。
「彼女は最初から優秀だ、ただ少しマイペースが過ぎるだけだ。自分から興味を示すように仕向ければ無限に成長する」
「それを成すがどれだけ大変なのかも私は理解しているつもりです、姉としても家族としても苦労してきたのです……」
「なんか、大変そうだな……」
思わず052がそんな言葉を零す程度には虚は溜息と共に頭痛がするのか額を強く抑えている。この後073が本音のマイペースさを語るのだが……それを聞いて本当に大丈夫なのかと心配になる程度にはマイペースだった。
「後虚、一つだけ言っていいか」
「はいなんなりと」
「彼女は夢遊病か何かか、夜間巡回中に狐のような格好で夢見心地な彼女によく会うのだが」
酷く寝ぼけているのか、それともワザとやっているのかと疑いたくなるような感じで遭遇する本音。遭遇した際にはしょうがないので彼女の部屋の前まで連れて行ってから起きて貰って部屋に戻って貰う事にしている。偶に起きていた同室の少女が頭を下げながら本音を引き取る事もあった。
「あ、あの子ったら私にはそんなこと一言も……!!!」
「あの虚ちゃん気持ちはよく分かるのけど、それは後で呼び出して話しましょ……ねっ?」
「分かりました……」
やっぱりどの世界にも苦労人はいるのだな、と再認識する二人であった。
「それでは本題に入らせていただきます」
「済まない脱線してしまった」
と一言だけ謝罪しておくが、彼女は気にも留めていない事と逆に友好的な関係を築けているようで酷く安堵していたらしい。のほほんとしている本音は時に本質を無意識で鋭く貫く、それが発動して怒りを買っていないのかと不安だったらしい。
「率直に言わせていただきます―――貴方達は何処の軍に在籍していたのでしょうか」
矢張りそれ関連かと二人は内心で予想の範疇ないのであったことに納得を浮かべた。
「私はこれでも日本に仕える暗部の人間です、尽くせるだけの手を尽くしましたが貴方方と思われる人間が所属していた記録は何処の軍にもなく、お二方の存在はまるで幽霊です」
「
「悪魔だけかと思っていたがな」
軽率と思われる言葉に楯無は全身に緊張が走ってしまった、あの束が自らの傍においていた人間。故に彼女が手を回して情報を全て消していると言われたら何も言えなくなってしまう、そんな理不尽染みた事だってあの博士ならあり得えてしまう。だが確認せずにはいられない、唐突に出現した謎の存在の正体を。
「余り深入りするのはやめておけ、余計な知識は破滅を招くぞ」
「では完全な味方だと思っても宜しいんでしょうか、そう思いたいのですが」
「そうだな、少なくとも無用な追跡をしない限りは手を出さないがね」
「っ―――矢張りあれはワザと、だったんですね」
ああ、と肯定する姿の073に楯無は言葉を失いながらも当時の記憶がフラッシュバックしていく。直接向けられた殺気で心臓を鷲掴みにされたような感覚が今も思い出せるほどに彼女の中に刻み込まれている。今こうして居るのも怖くて怖くてしょうがない。でも彼女は動かずにはいられない、守りたい者の為に命を懸けると決めた覚悟に突き動かされている。
「博士からこの学園に派遣された時点で分かっているのだろう、味方だと」
「……はい、最初は疑っていました。ですがそれにしては貴方の行動は如何にも不可解でした、何より―――学年別トーナメントでのあの戦闘」
052もデータでの閲覧をしているのでそれを知っている、自分達からすれば何処かハンターを想起させるような無人機。それの撃破と戦闘が決定的であった。彼は味方だと分かっても正体が何も分からないそれを味方と断言するのは危険だと政府も言い続けてきた、だからこそ彼女はトラウマと戦いながら必死になって情報をかき集めようとしていた。結果は全て徒労に近いものだったが……。
「それで態々そんな事を聞いてきたことの意味は何だい会長さん、それらは全て答えを導く為の方程式でこの会談自体が最後の計算の一つなんだろ」
「っ!?ご、ご存じだったんですか!?」
「何となく分かる、俺達スパルタンへの深入りの危険を承知している上で態々んな事をするのは政府じゃない。私情に近い何かだろ」
052の言葉は楯無の中にあった核心を貫いている、間違いなく真実を。それに素直に言葉を漏らしながら彼女は喉を鳴らしながら二人を味方に出来るならば怖い物なんてないと自らを鼓舞する。
「はい、お願いがございます。一つはIS学園生徒会の顧問になっていただきたいんです、そしてもう一つ……此方が私としての本当のお願いです」
楯無の本当の願い、それは一体何のかと二人は固唾を飲んでそれを待つ。そしてそれが遂に語られた―――
「うちの妹が先生のファンになってて如何にしか接点を作って仲直りをしたいんですぅ!!」
「「……えっ」」
まさか過ぎる私情の極みに流石のスパルタンも素で変な声が出た、そして後ろでは虚がずっこけた音がした。
コルタナ
コヴナント戦争の絶望的戦況を打開する為にハルゼイ博士がスパルタンの最強の相棒として生み出したAI。スパルタンによるコヴナント支配階級の確保・拉致という極めて困難な任務の為に作られており、その頭脳は人類最高の研究者であるハルゼイ博士のクローニングから生み出されている。
マスターチーフと共に数々の戦いを共に行動してきた名実ともに彼の唯一無二の相棒である。