「私情に近い何かと言うか……まんま私情だな」
「全くだ」
楯無からの要求、生徒会の顧問になるというのは千冬に話して通して確認を取る必要があるだろうが恐らく可能だろうと思っていた直後に本命の願い、それはまさかの妹との仲直りの手伝いをしてほしいというものだった。
「な、な、なっ……何を言い出しやがりますか貴方はぁぁぁあああ!!!?お二方を強引にお連れして重大なお話があると言っておきながらその実が、妹と仲直りしたいから自分が紹介したという事で会って欲しい!?何を考えているんですかぁ!!」
「だ、だって簪ちゃんと最近凄いぎくしゃくしているし……この前だって差し入れ持って行ったらすごい怒鳴られちゃって……」
「だったらご自分だけで何とかするのが筋でしょうがぁぁ!!!それをなんでスパル先生とノーブル先生にご依頼されるのですかとお聞きしてるんですよこの馬鹿会長ぉぉ!!!」
激昂した虚は顔を真っ赤にさせながら楯無の胸倉を掴んで問い詰めていく、楯無としては非常に重要な問題で何とか関係の修復を図りたい。本人も好きなお菓子やケーキを差し入れに持っていたりしているのだが……どうにも上手くいかずに彼女の悩みの種。
「レイ、その簪って子を知ってるか」
「ああ、四組の子で妙にアーマーをキラキラした目で見ていた」
四組の授業も受け持った事がある、その時に妙に此方を見ていた。憧れのヒーローを見つめる少年の瞳のそれに酷く近い物を感じた。そして楯無は何故妹との確執があるのかを語ってくれた。
元々自分の妹なだけで期待されていた事もあったが優秀であった為にそれには応えられていた、だが同時に自分と比較される事も酷くあった。本人もそれは自覚しつつも自分は自分で姉は姉と分けて考えていたが心の中で思う所はあったのだろう。それでも姉妹仲は良好だったのだが、彼女の専用機開発が一夏の出現とその専用機開発に人材などが回ってしまった影響でストップしてしまった。
その行いにその研究所を見限って自ら自身の手で専用機を完成させる事に固執していった。それは楯無が一人で専用機を完成させたという話もあるからだと思われる、そしてその作業を行う間も姉との比較は増して行く、遂に最近爆発してしまい、彼女は楯無を酷く避けるようになったとの事。
「そもそも私が専用機を完成させたっていうのも完全にデマよ、確かに稼働データを取るのには協力したけどそれだけなのに……」
「優秀さが仇になって尾ひれが付いたか」
「はい……」
手を尽くしたりもしたのだが……全てが尽く駄目だった。そこで二人の力を借りたいとの事だった。
「会長……お気持ちはお察ししますがそのような事を……」
「だ、だってもう私が近づくだけで凄い目で睨んでくるし、偶然すれ違った時だって怖いのよ……」
と本気で困っている事自体は伝わってくる、内容自体も別段困った事でもないし束と千冬に確認を取って許可さえ貰えれば自分達としてはやぶさかでもない願いに二人は受けてもいいと思い始める。
「俺達は博士と織斑女史からの許可を貰えないと顧問にはならないが」
「あっそれなら一応織斑先生からは許可を貰ってます、この生徒会の顧問は長らくいなかったのでそこに当てはめる事自体は簡単との事です。後はお二方の許可さえいただければと言った形です」
「ならば博士もそこまで反対もしないだろうな……いいだろう、引き受けよう」
「よ、良かったぁっ~!!」
と深く安堵すると共に歓喜の声を上げてしまった楯無。この生徒会は単純な生徒会ではなく楯無が日本政府に仕える暗部の人間という事もあってIS学園の為に行動する事も多くある、学年別トーナメントの時の襲来者の一件で彼女も危機感を強めており、この学園が狙われているのではという事を考えて自衛力を高めるべきだと思っている。
「本当に助かります!!実は顧問がいないせいで私が余計な書類を書かなきゃいけないので本当に大変だったんです!!」
「俺達がそれをやるって事か?」
「いえ違います、顧問がいない場合は会長を顧問代行として認めさせる書類をやるんですがそれを処理するべき仕事全てでやらなきゃいけなくて……お名前を使わせて頂けるだけで私の仕事量は本当に減るんです……」
「そんなにか」
「そんなになんです」
虚が書類を見せてくれたが、顧問不在の為に発生する書類数は酷く多かった。元々処理する筈だったものを加えれば3~4倍に膨れ上がる程。顧問を直ぐに付けてあげればいいのにと思うが、学園の教師陣も基本的に多忙である事が多くスケジュールもコロコロ変わるので軽い気持ちで顧問になる事が出来ないという事情もある。そんな所にスパルタンの二人が顧問になってくれるというのは楯無としても救いの神に等しいのである。
「会長、ホットカルピスが入りました」
「ごめんなさい虚ちゃん、マジで助かるわ……うっ……ごめん薬取って」
半分位の同情もあってか顧問とその妹への接触は引き受ける事となってしまった、流石に目の前で顔を青くしながら書類を戦おうとする少女を見捨てる事は難しかった。
「にしても良かったのか引き受けちまって」
「この学園の警備も仕事の内だ、向こうが此方の力を理解しているなら適切な距離取って関係を築けた方が楽だろ」
「確かに」
「それに―――」
それ以上、073は言葉を続ける事は無かった。足を進めながら052と別れて彼は彼での巡回ルートを進み始めていく。丁度楯無の妹がよく立ち寄っているという整備室近く、寄ってみるのもいいだろうと思いつつもある事が過ってくる。
「面影が似てたな―――あいつらに」
戦艦オータムが観測した「HALO」関するデータ
天使の輪のような円形状の物体。
直径10000キロ、厚さ22.3キロ
これまでに収集されたコヴナントのあらゆるデータと一致せず制御された回転と共に内径面に1Gの重力を持ち、窒素と酸素からなる大気と豊かな自然環境を備える。